太平洋工業 (株) 2012年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
2012年
3月期
2011年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 79,579  84,631 (6.0) -
営業利益 3,699  5,151 (28.2) -
経常利益 4,147  5,281 (21.5) -
当期純利益 3,297  2,969 11.0 -
プレス・樹脂製品事業
売上高 56,841  60,209 (5.6) -主要市場である日本市場では前期並みの売上高だったが、米国では前期の決算期変更の影響に円高も加わり、減収。
営業利益 1,669  2,950 (43.4) -原価改善の効果や減価償却費の減少があったものの、上半期での売上高の大幅な減少や競争激化による販売価格の低下が影響し、減益。
バルブ製品事業
売上高 22,361  24,091 (7.2) -東日本大震災やタイの洪水によるサプライヤーチェーンの寸断は主要顧客の世界規模での生産に影響し、主要市場が米国であるTPMS製品の販売が減少したことに加えて、円高の影響もあり、減収。
営業利益 2,040  2,219 (8.1) -円高や原材料価格の高騰が影響し、減益。

新会社

-中国の天津(Tianjin)市に100%出資の統括会社「太平洋工業(中国)投資有限公司(仮称)」(Pacific Industries China Corporation)を設立すると発表。資本金は30百万米ドルで、2012年5月に設立する予定。なお、同社は中国に天津太平洋汽車部件(Tianjin Pacific Auto Parts Co., Ltd.)と長沙太平洋半谷汽車部件(Changsha Pacific Hanya Auto Parts Co., Ltd.)の2社を有している。(2012年3月21日付プレスリリースより)

-ベルギーのブリュッセル(Brussels)に100%出資による販売子会社「Pacific Industries Europe NV/SA (仮称)」を設立すると発表。タイヤ空気圧監視システム(TMPS)など自動車部品の販売を行う。資本金は1百万ユーロで、2012年7月に設立する予定。(2012年3月21日付プレスリリースより)

合弁会社

-中国・湖南省に新工場を設置すると発表した。三菱自動車などを主要納入先とする半谷製作所(愛知県大府市)などと合弁で、11月中に新たな生産子会社を設立する。半谷製作所と海外生産で連携するのは初めて。現地で貸工場を借りて生産体制を整え、12年7月をめどに生産開始する。三菱自向けに車体プレス部品を供給する。14年度に年20億円の売上規模を見込んでいる。太平洋工業の中国拠点としては3カ所目となる。新会社の名称は「長沙太平洋半谷汽車部件」。出資比率は太平洋工業本体を含む太平洋グループ3社が47%、半谷製作所が47%、鉄鋼商社のメタルワンが6%とする。今後は太平洋工業、半谷製作所が同社を通じて車体骨格などのプレス部品を三菱自に納入する。(2011年11月7日付日刊自動車新聞より)

海外事業

<中国>
-中国子会社「天津太平洋汽車部件有限公司 (Tianjin Pacific Auto Parts Co., Ltd.)」が長城汽車(Great Wall)との取引を開始する。自動車用プレス部品を2013年3月から納入を開始する。

受賞

-2012年トヨタグローバル仕入先総会において、「技術開発賞」および「部品標準化賞」を受賞した。技術開発賞として表彰されたのは、同社の2槽式オイルパン。一方、部品標準化賞としては、フィルム技術を用いたオーナメント標準化開発が評価されている。 (2012年2月27日付プレスリリースより)

中期経営計画 OCEAN-15

OCEAN-15 数値計画 2015年度
(目標)
売上高 950億円
経常利益率 6%台
海外売上高比率 40%以上
総資産回転率 1.05

 

2013年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2013年3月期
(予想)
2012年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 78,000 79,579 (2.0)
営業利益 3,800 3,699 2.7
経常利益 4,500 4,147 8.5
当期純利益 3,100 3,297 (6.0)

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
プレス・樹脂製品事業 122  114 73
バルブ製品事業 344  84 84
全社共通 133  525 518
全社 603 735 684

 

研究開発体制

-研究開発を行う各事業部の技術部門・生産技術部門と、将来を見据えた研究開発を行う技術企画部門で構成。新製品開発および競争力向上のための新材料・新工法の開発を部門相互が連携。
-ソフトウェアの研究開発は、子会社のピーアイシステム株式会社が実施。
-専門メーカー・大学・研究機関など産学官を含めた開発体制により、技術の深化や開発スピードの向上を図る。

研究開発活動

事業セグメント 担当部門 研究開発内容
プレス・樹脂製品 -技術企画部門
-第一事業部の設計部、生産技術部

-プレス製品では、超ハイテン材の冷間プレス加工技術など新工法の研究開発を実施。

-樹脂製品では、軽量化、遮音、遮熱のための成形技術等の研究開発を実施。
-新工法開発では、塗装レスによるVOC、CO2削減を目指し、材着メタリック材料の開発に注力している。

バルブ製品 -第二事業部の技術部、生産技術部およびTPMS事業部 -タイヤバルブ製品では、タイヤバルブのシール技術を応用した新製品開発を実施。
-TPMS製品(直接式タイヤ空気圧監視システム)では、タイヤ位置毎の圧力表示が可能なシステムに適応したTPMS送信機を開発。
-高精度プレス製品では、ネットシェイプ率向上(材料使用量低減)の取り組みを実施。
-新工法開発では、高精度プレスラインの無人化による平準化生産の取り組みを実施。
全社共通 -技術企画部門 -軽量化等、多機能複合材料の研究開発。
-TPMS応用製品の開発。
-環境負荷物質削減および使用材料低減による環境にやさしい製品の開発。

製品開発

2槽式オイルパン
-同社は世界初の2槽式オイルパンを開発・量産化した。オイルパン内が2槽構造になっており、エンジンオイルの温度上昇を早めることで、燃費向上、CO2の削減に寄与する。同製品は2011年度トヨタ技術開発賞を受賞した。

超ハイテン材の冷間機械プレス加工法
-同社は超ハイテン材の冷間機械プレス加工法を開発。熱間プレス加工に比べ、コスト20%削減、加工数が約8倍に増加する。

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
プレス・樹脂製品事業 4,688  3,074 3,888
-国内 3,322  2,687 2,636
-海外 1,366  387 1,252
バルブ製品事業 2,139  1,936 424
全社 6,855  5,065 4,359

 
<プレス・樹脂製品>
-国内に関して、貸借していた東北工場の土地および建物の買収や、自動車の新型モデル用金型等の新製品対応に投資。
-海外に関して、中国と北米におけるプレス製品事業の新製品対応に投資。

<バルブ製品>
-韓国におけるコンプレッサー関連製品の増産対応に投資。

-2013年3月期の設備投資額は、85.1億円を予定している。

海外投資

<中国>
-2013年度中にも中国・湖南省に新工場を建設する。同地域では12年7月から貸工場で車体部品の溶接作業を開始する方向で準備を進めている。さらに自前の工場を設置してプレスも現地化し、車体プレス部品の一貫生産体制を構築する。投資額は20億~30億円規模を見込む。新工場で生産するプレス部品は、三菱自動車と広州汽車集団が12年度上期をめどに設立する新合弁会社向けに納入する。同合弁会社が12年度をめどに生産開始する第1弾モデルに関して受注を獲得したばかりだが、完成車工場の近郊で一貫生産を行うことで受注品目の拡大を狙う。(2012年2月16日付日刊自動車新聞より)

<韓国>
-韓国連結子会社である太平洋エアコントロール工業(PAC)の工場を拡張し、カーエアコン用コンプレッサーのケーシング部品の生産能力を拡大すると発表した。同社は2011年より、同工場においてダイカスト成形から加工までの一貫生産を開始。現在、年間100万台分を生産している。2011-2015年の間に500億ウォン(約35億円)を投じて、2012年中に年間300万台分、2015年に年間400万台分の生産体制とする計画。なお、PACの売上額は2015年に500億ウォン(約35億円)に達する見込み。(2012年2月3日付プレスリリースより)

設備の新設計画

(2012年3月31日現在)
会社名・
事業所名
(所在地)
事業
セグメント
設備の
内容・目的
投資
予定額
(百万円)
着手 完了
予定
完成後の
増加能力
同社
西大垣工場
(岐阜県大垣市)
プレス・
樹脂製品
新製品対応 3,856 2011年
4月
2015年
3月
なし
増産・合理化等 714 2011年
9月
2014年
3月
なし
同社
東大垣工場
(岐阜県大垣市)
プレス・
樹脂製品
新製品対応 1,972 2010年
12月
2014年
9月
なし
増産・合理化等 703 2011年
10月
2013年
5月
なし
同社
養老工場
(岐阜県養老郡)
プレス・
樹脂製品
増産等 171 2010年
8月
2014年
4月
なし
同社
東北工場
(宮城県栗原市)
プレス・
樹脂製品
増産等 1,920 2012年
4月
2014年
3月
生産能力130%程度増加
同社
北大垣工場
(岐阜県安八郡)
バルブ製品 新製品対応 512 2011年
11月
2014年
10月
なし
増産・合理化等 476 2011年
10月
2014年
3月
なし
同社
美濃工場
(岐阜県美濃市)
バルブ製品 増産等 186 2012年
1月
2014年
12月
なし
同社
本社等
(岐阜県大垣市)
全社 研究開発等 119 2011年
9月
2013年
5月
なし
Pacific Industries USA Inc.
(米国 オハイオ州)
プレス・
樹脂製品およびバルブ製品
新製品対応等 693 2012年
4月
2013年
3月
なし
太平洋汽門工業股份有限公司
[Pacific Valve (Taiwan) Co., Ltd.]
(台湾 台中市)
プレス・
樹脂製品およびバルブ製品
新製品対応等 369 2012年
4月
2013年
3月
なし
太平洋バルブ工業株式会社
[Pacific Valve Industrial Co., Ltd.]
(韓国 梁山市)
バルブ製品 維持更新等 83 2012年
1月
2012年
12月
なし
太平洋エアコントロール工業株式会社
[Pacific Air Controles Co., Ltd.]
(韓国 牙山市)
バルブ製品 増産等 1,793 2012年
1月
2012年
12月
生産能力50%程度増加
Pacific Industries (Thailand) Co., Ltd.
(タイ チャチョンサオ県)
バルブ製品 維持更新等 82 2012年
4月
2013年
3月
なし
天津太平洋汽車部件有限公司
[Tianjin Pacific Auto Parts Co., Ltd.]
(中国 天津市)
プレス・
樹脂製品
新製品対応等 121 2012年
1月
2012年
12月
なし
長沙太平洋半谷汽車部件有限公司
[Changsha Pacific Hanya Auto Parts Co., Ltd.]
(中国 長沙市)
プレス・
樹脂製品
新製品対応等 181 2012年
1月
2012年
12月
2012年7月から一部稼動開始