住友電気工業 (株) 2011年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
 - 2011年
3月期
2010年
3月期
増減率
備考
全社
売上高 2,033,827 1,836,352 10.8%
-
営業利益 103,810 51,728 100.7%
-
経常利益 129,099 68,206 89.3%
-
当期純利益 70,614 28,708 146.0%
-
自動車関連事業
売上高 960,002 816,623 17.6%
新興国を中心に自動車需要がグローバルに拡大したことに加えて、ワイヤーハーネスの新規車種への採用拡大やHEVおよびEV向け高圧ハーネスなど環境関連の新製品の売上が拡大。
営業利益 64,118 34,526 85.7%

会社設立

中国とベトナムに自動車用コネクタの製造子会社を設立すると発表した。コネクタの製造子会社は中国では3社目、ベトナムは初めて。生産能力は2013年度 にそれぞれ月5千万個を見込む。両社は自動車用ワイヤーハーネスの両国での生産量を増加する計画で、構成部品のコネクタについてもグループ会社などに安定供給できる体制を一層強化する。(2011年2月15日付日刊自動車新聞より)

合弁事業

韓国の大手タイヤ補強財メーカーの暁星(Hyosung Corporation)と合弁事業契約を締結した。タイのラヨーン県にSumiden Hyosung Steel Cord (Thailand) Co., Ltd.を設立し、スチールコードの製造を行う計画。資本金は11.3億バーツ(約30億円)で、出資比率は同社70.0%、暁星30.0%。また、中国 では暁星の100%子会社でスチールコードを生産する暁星鋼簾線(南京)有限公司(Hyosung Steel Cord (Nanjing) Co., Ltd.)の持分30%を取得し、同社との合弁会社として運営する。持分取得後、この会社の名称は暁星住電鋼簾線(南京)有限公司(Hyosung Sumiden Steel Cord (Nanjing) Co., Ltd.)に変更される予定。(2010年12月17日付プレスリリースより)

>>> 次年度業績予想(売上、営業利益等)

2012年3月期の見通し

(単位:億円)
-
2012年3月期
(見通し)
2011年3月期
(実績)
増減率
売上高 20,000
20,338 (1.7%)
-自動車 9,600
9,600 0.0%
営業利益 1,000
1,038 (3.7%)
経常利益 1,150
1,291 (10.9%)
当期純利益 650
706 (7.9%)
研究開発費 850
790 7.6%
-自動車

 480

451 6.4%
設備投資額 1,300
984 32.1%
-自動車 630
457 37.9%

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2011年3月期 2010年3月期 2009年3月期
全社  79,026 72,259 72,988
自動車関連事業  45,107 37,512 38,890

研究開発活動

ワイヤーハーネス/車載エレクトロニクス機器事業
-同社と住友電装(株)、および両社の共同出資によるオートネットワーク技術研究所を中心に、安全・快適・環境のニーズに対応した新製品の開発を行っている。
-ワイヤーハーネスについては次世代車載システムに対応できるハーネスアーキテクチャーを構築。それに必要な要素技術の開発を進めている。

-車載エレクトロニクス機器に関しては、そのIT化、高機能化、ネットワーク化に対応すべく、PD(Power Distributor)等のエレクトロニクス機器、次世代の車載LAN(Local Area Network)の開発を進めている。
-環境対応の観点からは、電線材料のアルミ化やコネクタの小型化によるワイヤーハーネスの軽量化をはじめ、市場規模が拡大してきたEV(Electric Vehicle)・HEV(Hybrid Electric Vehicle)用高圧ハーネスや部品の開発等に取り組んでいる。

高エネルギー密度を持ち完全不燃性の新型電池の開発に世界で初めて成功したと発表した。電解液に溶融塩のみを使用する二次電池で、不燃性のため組電池での 高密度化が可能になりリチウムイオン電池の半分程度の小型化が可能という。大阪市此花区の大阪製作所で、一戸建て・4人家族1日分相当(9キロワット)の 組電池を所内電力系統につなげ、構内試験を開始した。今後、トラックやバスなどの車載用や、電力貯蔵用での実用化に向け開発を進める。(2011年3月5日付日刊自動車新聞より)

同社と住友電装(三重県四日市市)は、アルミ電線を使用した自動車用低圧系ワイヤーハーネスを開発し、トヨタ自動車が販売を開始した新型「ラクティス」 に採用されたと発表した。同グループによると、ワイヤーハーネスの総重量は1台あたり20キログラムに達するものもあり、燃費向上のためにも軽量化が求め られているとしている。今回、アルミ電線の適用について電気接続の信頼性確保を実現する端子構造の見直しなどにより撚線(よりせん)構造の細物アルミ電線を使った軽量ワイヤーハーネスの開発に成功したとしている。搭載車種の拡大に向けさらに技術開発を進めていく。 (2010年11月25日付日刊自動車新聞より)

ハイブリッド車に使われる電力変換部品のリアクトルを低コストで製造する技術を開発した。素材をこれまでの合金に替えて、鉄系の低価格素材を用いるもの。 材料コストが安くなるため、その分製品価格を下げられるメリットを訴求する。一方で合金に比べ電力変換の際に生じる損失は大きいという弱点はある。しかし 鉄系材料は素材が柔らかいのでプレスで密度を上げることができ、ある程度克服できるという。損失の大きさから生じる熱も、周辺の冷却性能を工夫することで改善する考え。(2010年5月31日付日刊自動車新聞より)


ハイブリッド自動車(HV)や電気自動車(EV)のコンバーターに搭載されるチョークコイル用圧粉磁心を開発したと発表。製品体積を最大50%低減、コイルの銅線使用量を約30%低減でき、小型化、高性能化を可能にする。(2010年5月20日付日刊自動車新聞より)

技術提携

フランスの加工基板メーカーS.O.I TEC Silicon On Insulator Technologies S.A (Soitec)と、低コストGaN(窒素ガリウム)基板の開発について協業を開始すると発表。住友電気工業のGaN基板製造技術と、Soitecの Smart Cut技術を組み合わせた薄膜GaN基板の共同開発を推進する。具体的には、Smart Cut技術を用いてGaN基板に極薄の膜転写を繰り返し行うことにより、1枚のGaN基板から複数枚の薄膜Gan基板を製造する。本技術の確立により、ハ イブリッド車や電気自動車向けのパワーデバイス等において、GaN基板の更なる普及が見込まれるという。(2010年12月1日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2011年3月期 2010年3月期 2009年3月期
全社  98,424 73,306 131,597
自動車関連事業  45,666 29,609 69,567

-自動車関連事業では、ワイヤーハーネス・防振ゴムの増産、合理化のための投資を実施。

設備投資計画 (2012年3月期)

-全社で130,000百万円の投資を計画。
-自動車関連事業では、ワイヤーハーネスと防振ゴムの製造設備等に63,000百万円の投資を予定。