住友電気工業_2009年3月期の動向
ハイライト
業績 | (単位:百万円) |
2009年 3月期 |
2008年 3月期 |
増減率(%) | 要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 2,121,978 | 2,540,858 | (16.5) | -2008年以降、自動車やエレクトロニクス市場を中心に世界的な需要減退が鮮明になる。さらに、急激な円高による輸出品の採算悪化や、国際競争激化による製品価格の下落など、世界的な需要減少の影響を大きく受けた。 |
営業利益 | 23,527 | 148,996 | (84.2) | |
経常利益 | 37,773 | 169,644 | (77.7) | |
当期純利益 | 17,237 | 87,804 | (80.4) | |
自動車関連事業 | ||||
売上高 | 917,125 | 1,199,352 | (23.5) | -2008年秋からの自動車市場の急激な縮小に伴い、ワイヤーハーネスや防振ゴムの需要が減少。また、2007年度下期に自動車用ブレーキ事業をアイシン精機(株)へ譲渡したことによる。 |
営業利益 | 6,142 | 74,532 | (91.8) | -需要減少に加えて、欧米におけるワイヤーハーネス工場の再編・移転費用の集中などによる。 |
事業再編
-2009年4月1日付で、住友電工ウインテックとSEIハイブリッドの2社を吸収合併することと、住友電工ハードメタルを吸収分割することを正式決定。1月29日に開催した住友電工の取締役会で決議した。子会社3社を再編することで、事業体制の強化を目指す。住友電工ウインテックとSEIハイブリッドの2社は消滅会社となる。吸収する住友電工ウインテックは、自動車用電装品や産業モーターなどの製造・販売を行う住友電工の全額出資子会社。合併後は本体との統合による連携の強化を図り、集約化により環境変化に対応できる体質にしていく。ただし合併前に製造と生産技術、品質保証、開発部門にかかわる事業は分割して新設会社に移すことにしている。(2009年1月31日付日刊自動車新聞より)
会社設立
-同社と住友電装の英国での合弁会社であるSumitomo Electric Wiring Systems (Europe)は、欧州地域への自動車用ワイヤーハーネスの供給体制を強化するため、エジプト・ポートサイド市に自動車用ワイヤーハーネスの製造会社を設立したと発表。住友電工グループがエジプトに自動車用ワイヤーハーネスの生産拠点を設けるのはこれが初めて。新会社は「SE Wiring Systems Egypt」の名称で、資本金は1千万米ドル相当のエジプトポンド。英国合弁会社のSumitomo Electric Wiring Systems社が全額を出資する。設立は2008年7月で、稼働開始は2009年8月を予定する。自動車用ワイヤーハーネスを製造し、2010年には年間50億円の売上高を目指す。(2008年9月9日付日刊自動車新聞より)
2010年3月期 業績見込み
項目 | 2009年3月期 実績 |
2010年3月期 見込み |
全社 | 2兆1,120億円 | 1兆7,800億円 |
自動車関連事業 | 9,171億円 | 7,400億円 |
開発動向
研究開発費 | (単位:百万円) |
2009年3月期 | 2008年3月期 | 2006年3月期 | |
全社 | 72,988 | 68,373 | 64,427 |
自動車関連事業 | 38,890 | 40,891 | 38,019 |
研究開発体制および活動
ワイヤーハーネス/車載エレクトロニクス機器事業
-同社と住友電装(株)、および両社の共同出資によるオートネットワーク技術研究所を中心に、安全・快適・環境のニーズに対応した新製品の開発を行っている。
-2007年8月、住友電装(株)を完全子会社化。統一したガバナンスの下で素材や情報通信など同社グループが持つ技術を活用した新製品・新技術の開発を推進中。
-車載エレクトロニクス機器はIT化、高機能化、ネットワーク化に対応すべく、PD(Power Distributor)等のエレクトロニクス機器や、CDU(Center Display Unit)システム、次世代の車載LAN、およびそれらのソフトウェア開発を推進しており、これに適したハーネスシステムの開発も併せて行っている。
環境対応の観点から、以下の開発に取り組む。
- ワイヤーハーネスの軽量化
- EV、HEV用高圧ハーネスの開発
- ワイヤーハーネスに含まれる環境負荷低減物質の低減技術(ハロゲンフリー電線、鉛フリー半田、半田レス接続端子など)の開発
-新製品の品質確保と開発期間短縮に対応すべく、要素技術開発に不可欠な試験・分析・評価・解析技術の開発を推進。ワイヤーハーネスの寿命推定や電子モジュール製品の熱・振動解析等、CAE(Computer-Aided Engineering)技術を用いたシミュレーション機能を充実させるなど、試作レス開発を指向した技術開発にも取り組む。
防振ゴム事業
-東海ゴム工業(株)では、新事業の早期創出を推進する開発体制の再構築を狙いとして、従来の研究所を一部再編し、「新事業開発研究所」を設立。
-自動車分野においては、ゴム製品事業などで一層の低コスト化、環境対応、乗り心地性向上、グローバル対応を目指し、技術確保に取り組んでいる。
研究開発実績
-樹脂中の赤リンの有無及び含有量を分析する技術を世界で初めて開発し、特許を出願したと発表した。今後、各種樹脂製品の材料開発を始め品質管理、受け入れ検査などさまざまな分野で同分析法の活用を期待している。同社では、高分子材料など有機物の分析に用いる手法である「熱分解ガスクロマトグラフ質量分析」を使い、赤リンがセ氏450度付近で昇華・ガス化する性質に着目。熱分解ガスクロマトグラフ質量分析により、赤リンが特徴的なマススペクトルを示すことを見いだし、樹脂中の赤リンを定性・定量分析できることを確認した。この分析法は溶剤による分離回収など、煩雑な前処理が不要であり、0.1ミリグラムレベルの少ない試料量で分析できる特徴を持つ。(2008年8月2日付日刊自動車新聞より)
-世界で初めて超電導モーターで駆動する「超電導電気自動車」の試作に成功した。通常の電気モーターでは銅線を使うが、世界最高レベルの臨界電流値を持つビスマス系の高温超電導線材を使うシステムで、銅線に比べ200倍の電流を流すことが可能になった。電気抵抗の低減などのメリットを生かして通常の電気自動車(EV)に比べ、CO2の排出量を約13%削減することに成功した。同社では遅くとも10年以内には市販車両への搭載を目指しており、自動車メーカーや電気モーターメーカーなどに対して、積極的な提案活動を展開する。(2008年6月14日付日刊自動車新聞より)
設備投資
設備投資額 | (単位:百万円) |
2009年3月期 | 2008年3月期 | 2006年3月期 | |
全社 | 131,597 | 119,887 | 121,830 |
自動車関連事業 | 69,567 | 69,075 | 75,263 |
-自動車関連事業では、ワイヤーハーネス・防振ゴムの増産、合理化のための投資を行った。
設備投資計画 (2010年3月期)
-全社で80,000百万円の投資を計画。
-自動車関連事業では、ワイヤーハーネスと防振ゴムの製造設備等に32,000百万円の投資を予定。