三菱電機 (株) 2016年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2016年
3月期
2015年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 4,394,353 4,323,041 1.6 -産業メカトロニクス部門、重電システム部門、情報通信システム部門および家庭電器部門の増収による。
営業利益 301,172 317,604 (5.2) -重電システム部門、情報システム部門および電子デバイス部門の減益等による。
税金等調整前当期純利益 318,476 322,968 (1.4) -
当社株主に帰属する
当期純利益
228,494 234,694 (2.6) -
産業メカトロニクス
売上高 1,308,776 1,268,858 3.1 -北米・欧州を中心に新車販売市場が好調なことに加え、円安の影響もあり、受注・売上とも前期を上回った。
営業利益 159,160 145,982 9.0 -



研究開発活動

産業メカトロニクス
-FA制御システム機器、サーボモーターなどの駆動機器、配電制御機器、メカトロ機器、産業用ロボット、電動パワーステアリングなどの自動車用電装品、カーマルチメディア機器、予防安全(自動安全)・運転支援システムなどの開発を実施。

自動運転分野
<コンパクトな人工知能>
-前方を走行する車両から荷物が落下した場合、周辺の安全を確認してハンドル操作で危険を回避する技術を開発した。車載機器に搭載できるコンパクトな人工知能も開発、2017年以降の実用化を目指す。(2016年2月20日付日刊自動車新聞より)

<誤差1メートル以内で位置検出>
-無線LANと音波による測位を組み合わせて誤差1メートル以内で位置を検出できる屋内位置検出システムを開発した。GPSの電波が届かない地下駐車場での駐車位置までのナビゲーションや倉庫での物流管理など、さまざまなシーンでの利便性向上に貢献すると期待されている。現在、2017年4月の 実用化に向けたアプリケーション開発を進めている。(2016年2月12日付プレスリリースより)

研究開発体制

-国内研究所、海外研究所 (米、欧) および製作所・連結子会社の開発部門において、基礎研究から応用研究、製品化開発、生産技術開発を推進。

相乗効果の追求

-同社の柵山正樹社長は、東京都千代田区の本社で開いた2016年度の経営戦略説明会で、自動運転分野の研究開発に、同社グループが保有する技術や事業、製品を組み合わせて相乗効果を追求する考えを示した。八つの成長けん引事業群の一つに位置付ける自動車機器事業は、オルタネーターやスターター、電動パワーステアリングなどの既存機種に加え、電動化や安全運転支援、自動運転といった新しい領域を強化する。自動運転の研究開発では、自動車機器で培った車両制御技術やミリ波レーダーなどのセンシング技術、高精度三次元地図、準天頂衛星などの保有技術を組み合わせることで「他社にはできない高度な自動運転システムを実 現する」(柵山社長)方針。ミリ波レーダーは強みを持つ製品だが「次のモデルチェンジに対し、しっかりと改良することが必要で、現在その真っ最中。できるだけ幅広く採用されるように提案する」(同)と開発に力を入れる。(2016年5月30日付日刊自動車新聞より)

予防安全システム開発グループ新設

-同社は「予防安全システム開発グループ」を新設した。予防安全や自動運転などに関する研究開発を総合的に見て、各開発部隊に指示を出す司令塔の役割を果たす。 新体制の構築により、予防安全分野における研究開発のレベルアップと開発期間の短縮を実現する。2月16日付で自動車機器開発センター内に新設した予防安全システム開発グループは、予防安全と自動運転、全体のシステムなどを総合的に見る。各種コンポーネントやサブシステムなどの開発部隊に対し、目標スペッ クや完成時期などを提示する司令塔的な役割を担う。予防安全の研究開発ではセンサーとアクチュエーター、ヒューマン・マシン・インターフェース (HMI)、通信・情報系の大きく4分野が対象になる。20人以上で構成し、今後は増員も予定する。(2016年3月25日付日刊自動車新聞より)

会社設立:高精度三次元地図
-同社など6社は19日、自動車メーカー9社と新会社「ダイナミックマップ基盤企画」を設立すると発表した。自動走行や安全運転支援システムの実現に必要な高精度三次元地図などの整備や実証、運用に向けた検討を進める。新会社は6月設立の予定。資本金は3億円で、三菱電機が18%、ゼンリンと パスコが17%ずつ、アイサンテクノロジーとインクリメント・ピー、トヨタマップマスターが6%ずつ、自動車メーカーはいすゞ自動車とスズキ、トヨタ自動 車、日産自動車、日野自動車、富士重工業、ホンダ、マツダ、三菱自動車が3.3%ずつ出資する。(2016年5月20日付日刊自動車新聞より)

研究開発費

(単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期
全社 202,900 195,300 178,900
-産業メカトロニクス 70,800 70,500 63,400


-2017年3月期の研究開発費は、全社で213,000百万円を予定。

設備投資額

(単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期
全社 177,801 194,458 173,968
-産業メカトロニクス 54,653 54,238 48,550


-産業メカトロニクス事業においては、FA機器および自動車用機器における増産等を目的として投資を実施。

設備の新設計画

(単位:百万円)
2017年3月期
(計画)
主な内容・目的
全社 260,000 -
-産業メカトロニクス 78,000 FA機器および自動車用機器の増産等

2017年3月期の見通し

(単位:百万円)
2017年3月期
(予測)
2016年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 4,280,000 4,394,353 (2.6)
営業利益 260,000 301,172 (13.7)
税金等調整前当期純利益 280,000 318,476 (12.1)
当社株主に帰属する当期純利益 200,000 228,494 (12.5)


>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

目標とする経営指標
-2021年3月期に達成すべき成長目標: 「連結売上高5兆円以上」、「営業利益率8%以上」
-継続的に達成すべき経営指標: 「ROE 10%以上」、「借入金比率15%以下」

主な取り込みと事業展開

事業 2014年以降の主な取り組み 事業展開
自動車機器事業 2014年8月 モータージェネレーターの市場投入 高効率機器及び高度な制御技術による、環境配慮、安心・安全、快適性の実現

・各市場ニーズに対応した幅広い製品・システムを供給

・電動パワートレインシステムの製品化により、低燃費化を通じた環境負荷低減と、運転時の快適性向上に貢献

・安全・快適な自動運転に向けた、予防安全技術の開発を推進
-既存製品やシステム制御技術の連携・統合による技術開発推進
-高度安全運転支援を視野に入れた通信技術・インフラ事業との連携強化
2014年10月 製造・販売会社Mitsubishi Electric Automotive de Mexico, S.A. de C.V. (MEAM) 営業開始
2014年12月 電動パワーステアリング用モーター、累計生産1億台突破
2015年2月 高効率オルタネーターが欧州委員会によりエコ・イノベーション技術に認定。
2015/3月 Mitsubishi Electric Automotive America, Inc. (MEAA) の工場建屋の増築と新規設備の導入。
2015年10月予防安全(自動運転)コンセプトカー「EMIRAI3 xAUTO」開発