三菱電機 (株) 2015年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2015年
3月期
2014年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 4,323,041 4,054,359 6.6 -
営業利益 317,604 235,172 35.1 -
税金等調整前当期純利益 322,968 248,990 29.7 -
当社株主に帰属する
当期純利益
234,694 153,473 52.9 -
産業メカトロニクス
売上高 1,268,858 1,089,109 16.5 -北米・中国等の新車販売市場が好調なことに加え、円安の影響もあり、受注・売上とも前年度を上回った。
営業利益 145,982 98,079 48.8 -

経営方針

経営の基本方針
-三菱電機グループは、コーポレートステートメント「Changes for the Better」に基づき、変革に挑戦し、常により良い明日への探求を続けるとともに、「成長性」「収益性・効率性」「健全性」の3つの視点による「バランス経営」を継続し、持続的成長を追求する。

-2015年5月、2016年3月期の経営戦略説明会を開催した。売上高4兆3,700億円、営業利益3,200億円といずれも2015年3月期に続く過去最高の更新を見込む。創立100周年を迎える2021年3月期に向けた成長戦略では、自動車機器事業での予防安全など、新たな基盤事業の展開を加速する。 (2015年5月22日付日刊自動車新聞より)

-2020年をめどに予防安全システムに参入する。2015年までに超音波センサーを、2017年までにカメラを製品化する。2020年には駆動用モーターの制御技術や情報通信技術とも組み合わせたシステムのパッケージ提案を目指す。衝突被害軽減ブレーキなどの本格的な普及が見込まれる予防安全分野に参入し、事業拡大を図る。これまで駐車時に障害物の接近を知らせるコーナーセンサーやバックビューモニター用のリアカメラを量産してきたが、先進予防安全システムを視野に入れた前方監視用のカメラやセンサーの開発は初めて。製品のセンシング機能を高めて安全装備での採用を目指す。 (2014年5月29日付日刊自動車新聞より)

目標とする経営指標
-2021年3月期に達成すべき成長目標: 「連結売上高5兆円以上」、「営業利益率8%以上」
-継続的に達成すべき経営指標: 「ROE 10%以上」、「借入金比率15%以下」
-2015年3月期、営業利益率は7.3%、ROE 13.9%、借入金比率は9.4%を達成。

事業 2015年3月期の主な取り組み 新たな事業展開
自動車機器事業 2014/08月 モータージェネレーターの市場投入 ① 電動パワートレインシステムの基盤事業化

② ネットワーク機能の充実化・統合ディスプレイ化等の市場動向を見据えた開発促進によるマルチメディア事業の拡大

③ 予防安全の事業展開・拡大
-既存製品やシステム制御技術の連携・融合による技術開発推進
-高度安全運転支援を視野に入れた通信技術・インフラ事業との連携強化
2014/10月 製造・販売会社Mitsubishi Electric Automotive de Mexico, S.A. de C.V. (MEAM) 営業開始
2014/12月 電動パワーステアリング用モーター、累計生産1億台突破
2015/02月 高効率オルタネーターが欧州委員会によりエコ・イノベーション技術に認定。
2015/03月 Mitsubishi Electric Automotive America, Inc. (MEAA) の工場建屋の増築と新規設備の導入。
パワーデバイス事業 2014/10月 自動車 (EV・HEV) 用J1シリーズラインアップ拡大 ① 自動車 (EV・HEV) 用J1シリーズラインアップ拡大
2015/02月 自動車 (EV・HEV) 用JシリーズT-PM小型パッケージ仕様サンプル提供開始
>>>詳細

2016年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2016年3月期
(予測)
2015年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 4,370,000 4,323,041 1.1
営業利益 320,000 317,604 0.8
税金等調整前当期純利益 320,000 322,968 (0.9)
当社株主に帰属する当期純利益 220,000 234,694 (6.3)


>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 195,300 178,900 172,200
-産業メカトロニクス 70,500 63,400 58,900


-2016年3月期の研究開発費は、全社で202,000百万円を予定。

研究開発体制

-国内研究所、海外研究所 (米、欧) および製作所・連結子会社の開発部門において、基礎研究から応用研究、製品化開発、生産技術開発を推進。

研究開発拠点

-熊本県菊池市に新たに建設していた液晶事業の技術管理棟 「LCD イノベーション センター」 が完成したと発表。2015年1月から稼働を開始する予定。投資総額は約10億円で、延床面積は約4,050平方メートル。生産拠点であるメルコ・ディスプレイ・テクノロジーの泗水工場の隣接地に建設され、開発・設計部門である液晶事業統括部 (熊本県合志市) を移転した。これにより、生産部門と開発・設計部門の試作の立ち会いや性能評価、打ち合わせなどが容易に実施できるという。液晶モジュールは、産業用・車載用をはじめさまざまな分野で使用されている。 (2014年11月19日付プレスリリースより)

-パワーデバイス製作所 (福岡市西区) の敷地内に新設した設計技術棟が2014年3月10日から稼働すると発表。製作所内の各部門の連携を強化、需要が多様化するパワー半導体の開発を加速させる。同製作所の敷地内に分散していた営業、開発、設計技術部門を設計技術棟に集約し、部門間の連携を強める。これにより、SiC (炭化ケイ素) パワー半導体などの新製品開発を加速し、多様化するパワー半導体の需要に対応する。設計技術棟は地上6階建てで延べ床面積は1万1千平方メートル、25億円を投資した。 (2014年3月7日付日刊自動車新聞より)

研究開発活動

産業メカトロニクス
-FA制御システム機器、サーボモーターなどの駆動機器、配電制御機器、メカトロ機器、産業用ロボット、電動パワーステアリングなどの自動車用電装品、カーマルチメディア機器などの開発を実施。

-2015年3月期の主な成果は以下の通り。

  • オーディオナビシステム「DIATONE SOUND. NAVI NR-MZ90シリーズ」
  • 車両用DIATONEスピーカー 「DS-G500」
  • 3モーターシステム用パワーユニット
  • 第8世代エアバッグコントロールユニット
  • 新世代ブラシレスオルタネーター

-2015年3月時点で、開発中の製品

製品開発

小型軽量化したパワー半導体モジュール
-電気自動車 (EV) やハイブリッド車 (HV) のインバーターに用いるパワー半導体モジュール 「JシリーズT-PM」 の小型軽量タイプの提供を開始すると発表。2015年2月19日からサンプル出荷している。同製品は、構成部品を高集積化して実装面積や製品重量を低減し、インバーターの小型軽量化に貢献する。独自構造を採用した第6世代のIGBTと高放熱の絶縁シートを搭載してトランスファーモールド内の構成部品を高集積化した。従来のラインアップと比較して実装面積を36%縮小するとともに、重量を42%軽量化した。第6世代IGBTの搭載により、コレクター・エミッター間飽和電圧を従来比で12%低減、インバーターを低消費電力化する。 (2015年2月25日付日刊自動車新聞より)
>>>2015年 人とくるまのテクノロジー展情報

ハンズフリー通話用雑音除去システム
-運転中のハンズフリー通話や音声入力向けに、車内の雑音を96%除去する技術を開発したと発表。音声と雑音が混在している中から音声のみを抽出し、ウインカーやワイパー、対向車などから不定期に発生する雑音まで除去する。ハンズフリーでも十分な音声通話品質が得られるため、安全性や快適性の向上に貢献する。2018年にカーナビなど車載機器に搭載する。 (2015年2月18日付日刊自動車新聞より)

EVを経済的・自動的に充電
-電気自動車 (EV) との連携機能を強化したホームエネルギーマネジメントシステム (HEMS) 向けのエネルギー計測ユニットと情報収集ユニットの新製品「HM-ST03」を発売したと発表。外出予定や電気料金が安い時間帯に合わせてEVを自動的に充電できる。EV用パワーコンディショナーや家電などHEMSに接続できる製品数を7点から14点に増やし、住居の快適性を高める。(2014年8月22日付日刊自動車新聞より)

高効率なEV (電気自動車) 用モータードライブシステム
-モーターとインバーターを一体化した「EV (電気自動車) 用モータードライブシステム」 (開発品) の冷却性能を向上させて発表した。筐体外周のモーター冷却水路とインバーター冷却水路を並列に配置する独自の構造により冷却効率を高めた。開発品は駆動用のパワー半導体に炭化ケイ素 (SiC) を全面採用し、電力の損失を大幅に低減することが特徴。自動車メーカーに提案し、2018年の事業化を目指す。 (2014年2月14日付日刊自動車新聞より)

簡単操作インターフェース
-ドライバーが操作したい機能を推定し、最小限のボタン操作や音声入力でカーナビ、空調、オーディオや電話といった機能を使用できる「簡単操作インターフェース」を開発したと発表。操作や運転の履歴、時間帯、設定された目的地を基にドライバーが利用する機能を推定し、使う可能性の高い項目を事前に表示する。運転を阻害することなく安全に車載機器を操作できる技術として自動車メーカーに提案し、2018年の製品化を目指す。 (2014年2月12日付日刊自動車新聞より)
>>>2015年 人とくるまのテクノロジー展情報

設備投資額

(単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 194,458 173,968 164,626
-産業メカトロニクス 54,238 48,550 53,376


-産業メカトロニクス事業においては、FA機器および自動車用機器における増産等を目的として投資を実施。

設備の新設計画

(単位:百万円)
  2016年3月期
(計画)
主な内容・目的
全社 235,000 -
-産業メカトロニクス 79,000 FA機器および自動車用機器の増産等

海外投資

<米国>
-米国の高効率オルタネーターの生産体制を増強すると発表。40億円を投資して建屋を増築するとともに新規設備を導入し、2016年1月から稼働させる。米国市場では、安定した自動車販売が見込まれるとともに、燃費規制の強化などで自動車の低燃費化が求められる。生産体制を強化することで、需要拡大に対応する。米オハイオ州メイソンのMitsubishi Electric Automotive America, Inc. (MEAA) のメイソン本社工場の敷地に、1万4500平方メートルの鉄骨平屋建ての建屋を新設する。増築後の延べ床面積は5万6千平方メートルとなる。(2015年3月26日付日刊自動車新聞より)

<メキシコ>
-メキシコに設立した自動車機器の製造・販売会社 「Mitsubishi Electric Automotive de Mexico, S.A. de C.V. (MEAM)」 が2014年10月から営業を開始したと発表。自動車生産が活発化する同国に新拠点を開設することで米州事業の強化を図り、新会社では2017年度に300億円の売上高を目指す計画だ。MEAM (ケレタロ州) は、オルタネーターやスターター、カーマルチメディア製品などの生産と販売を目的とした新拠点。資本金は5億ペソ (約30億円) で、三菱電機が95%、Mitsubishi Electric Automotive America, Inc. (MEAA) が5%を出資する。従業員は約80人。(2014年10月9日付日刊自動車新聞より)