(株) ジェイテクト 2012年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2012年 3月期 |
2011年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 1,052,671 | 955,470 | 10.2 | -東日本大震災からの回復やエコカー補助金の復活による自動車販売の増加などにより、国内売上が回復。 |
営業利益 | 35,657 | 39,924 | (10.7) | -超円高の継続、売価水準の低下、タイの大洪水の影響により減益。 |
経常利益 | 38,649 | 40,263 | (4.0) | |
当期純利益 | 13,303 | 20,052 | (33.7) | |
機械器具部品 | ||||
売上高 | 902,797 | 828,962 | 8.9 | -自動車販売の増加によりステアリング、ベアリングが増収。 |
営業利益 | 22,862 | 34,529 | (33.8) | -売上高増加による増益要因を、円高による為替差損や売価水準の低下が相殺。 |
受注
-三菱自動車が3月にタイで生産を開始する新型グローバルスモールカー「Mirage」のコラム電動パワーステアリング(C-EPS)を受注した。生産を担当するタイ中部のジェイテクト・オートモーティブ・タイランド(JATH)では、新たにC-EPS生産ラインを新設して対応する。JATHが三菱自にステアリング関係部品を納入するのは初めて。(2012年1月11日付日刊自動車新聞より)合弁事業
-同社とGKNは、タイにおけるドライブラインに関する合弁事業を解消すると発表した。これにより、GKNは生産合弁会社GKN Driveline JTEKT Manufacturing Limited (GTM)に対するジェイテクトの持分49%を取得し、完全子会社化する計画。一方のジェイテクトは、販売・流通合弁会社GKN JTEKT (Thailand) Limited (GTT)に対するGKNの持分49%を取得し、完全子会社化する。GKNとジェイテクトは今後、トヨタ向けのドライブシャフトの供給などの既存事業を除いて、個々で操業を行う予定。なお、今回の取引によりGKNはジェイテクトへ約7.7百万ポンドを支払う。また、GTMの今後の受注状況によってはさらに1.3百万ユーロを支払うことになる。(2012年1月27日付プレスリリースより)事業再編
-同社は10月28日に開いた取締役会で、完全子会社の大住工業(香川県東かがわ市)を2012年1月1日付で吸収合併することを決めたと発表した。大住工業は軸受の製造と販売を手がけていたが、現在は同社への土地および建屋の賃貸のみが事業活動で実質的な休眠状態にある。そのため、資産を集約してグループの経営資源の効率化を図ることにした。(2011年10月29日付日刊自動車新聞より)-7月1日付で等速ジョイントの販売子会社を吸収合併すると発表した。経営資源を集約することにより、同事業の強化につなげる。吸収合併するのはジーケーエヌ・ジェイテクト (愛知県刈谷市)。同社は光洋精工と合併してジェイテクトとなる前の旧豊田工機が1999年に英国のGKNグループとの合弁で設立した。出資比率はGKNグループが49%、ジェイテクトが51%だったが、4月1日付で合弁を解消し、ジェイテクトの完全子会社となっていた。(2011年5月31日付日刊自動車新聞より)
国内事業
-トヨタ系部品メーカー各社は、自然災害などによる部品調達網の寸断に備え、部品や材料、完成品の在庫量を部分的に見直す方針を明らかにした。同社は電子部品を始めとする複数の部品で在庫を一定量積み上げる。さらに「世界的に部品の設計共通化や調達先の分散を図り、補完体制を構築する」考え。(2012年2月6日付日刊自動車新聞より)
2013年3月期の見通し |
(単位:億円) |
2013年3月期 (予想) |
2012年3月期 (実績) |
増減 (%) |
|
売上高 | 11,000 | 10,526 | 4.5 |
営業利益 | 450 | 356 | 26.4 |
経常利益 | 430 | 386 | 11.4 |
当期純利益 | 250 | 133 | 88.0 |
2013年3月期 事業別売上高の見通し |
(単位:億円) |
2013年3月期 (予想) |
2012年3月期 (実績) |
増減 (%) |
|
機械器具部品計 | 9,500 | 9,027 | 5.2 |
-ステアリング | 4,750 | 4,437 | 7.1 |
-ベアリング | 3,610 | 3,391 | 6.5 |
-ドライブライン | 1,140 | 1,199 | (4.9) |
工作機械等計 | 1,500 | 1,498 | 0.1 |
合計 | 11,000 | 10,526 | 4.5 |
>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2012年3月期 | 2011年3月期 | 2010年3月期 | |
全社 | 34,704 | 31,938 | 27,410 |
-2013年3月期の研究開発費は350億円の見込み。
研究開発拠点
研究開発センター | -奈良県橿原市 -大阪府柏原市 -愛知県刈谷市 |
商品開発センター | -愛知県岡崎市 |
-三重県伊賀市に、自動車用ステアリングシステム、駆動システム、軸受ユニットの開発・実験のためのテストコースを建設開始したと発表。この「JTEKT伊賀試験場」のテストコース面積は、約16万平方メートル。投資額は30億円。2012年9月の完成が見込まれる。(2011年6月21日付プレスリリースより)
研究開発活動
-同社と中国の同済大学(上海市)は、同大学内に共同研究室を開設することで合意。この研究室は「自動車アクティブセーフティ技術共同研究室」と命名。同社が保有するステアリングおよび軸受・駆動系部品に関する自動車製品技術、先端要素・システム技術と、同大学の先端基盤技術を融合し、アクティブセーフティ(予防安全)技術に関する共同研究を行う。開設期間は2010年10月から2013年9月までで、必要に応じて延長する。(2010年10月13日付プレスリリースより)製品開発
ステアリング部門-ステアリングの中で環境貢献度が最も高い電動パワーステアリング(EPS)を中心に、各種ステアリングシステムの小型化・軽量化に取り組み、コラムアシスト式パワーステアリングの新シリーズとして、「ECU・モーター合体タイプC-EPSシステム」を開発。従来品より約15%の軽量化を実現。モーターとそれを制御するECUを一体化することで、接続のためのハーネスを削減し、製造現場での組み付けやすさを向上。また、中心部品となるブラシレスモーターを小型化し、従来品に比べ約20%軽量化。さらに、ステアリングとハンドルをつなぐ部位をアルミ製にし、軽量化を実現することなどにより、従来品に比べ重量を2.7kg削減。
ベアリング・駆動系部品部門
-ベアリング製品
- 冷間鍛造ハブユニットを開発。製造時に消費するエネルギー量の約70%を削減。
- 超低トルク仕様のシールを内蔵したハブユニット軸受を開発。リップ接触部の形状を工夫し接触抵抗を低減することにより、燃費換算で約0.2-0.4%の燃費低減効果を達成。
- 従来より軽量化され、組み付け性を向上させたサイドフェイススプライン付ハブユニットを開発。
- 新型小型軽量ドライブシャフトが軽自動車用として始めて採用。本製品は今後、ミドルセダン等の車種へもシリーズとして拡大展開予定。
- アイドルストップ用電動ポンプを開発。ブラシレスモーターの採用等により小型化、低コスト化、省エネ化を実現。
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2012年3月期 | 2011年3月期 | 2010年3月期 | |
全社 | 65,864 | 30,850 | 25,248 |
機械器具部品 | 59,289 | 27,321 | 22,432 |
-日本ではテーパーローラーベアリング、大型ベアリングの生産能力増強に投資。海外においては、中国、インドといった新興国向けの生産能力の増強に投資。
-機械器具部品においては、ステアリングやベアリングにおける生産能力の増強、製造設備の更新、新規型番への生産対応に投資。
-2013年3月期の設備投資額は850億円を予定。
海外投資
<インドネシア>-PT. JTEKT Indonesia (JID)がインドネシアに新工場を建設し、2011年12月より軸受の現地生産を開始すると発表。また、これまで組立工程のみであった電動パワーステアリング(EPS)の生産についても、2011年10月より現地一貫生産を開始した。総投資額は約80億円の予定。JIDによる2012年の売上額は150億円を見込んでいる。(2011年11月16日付プレスリリースより)
<インド>
-インドでは初となる軸受の生産拠点として、Koyo Bearings India Pvt. Ltd. (KBIN)にBawal工場を建設すると発表。総投資額は約70億円、工場の竣工は2012年5月の予定。工場面積は18,000平方メートルで、2012年11月から生産を開始する。Bawal工場では自動車用および2輪車用軸受を生産し、日系および現地資本の自動車・2輪車メーカーや、建設機械・農業機械等の一般産業機械メーカーへ供給する。なお、2015年におけるKBINの売上額は110億円を見込む。(2011年10月17日付プレスリリースより)
設備の新設 |
(2012年3月31日現在) |
事業所名 | 所在地 | 設備の内容 | 投資予定 総額 (百万円) |
着手 | 完了 予定 |
国分工場 | 大阪府 柏原市 |
機械器具部品製造設備等 | 4,800 | 2012年 4月 |
2013年 3月 |
田戸岬工場 | 愛知県 高浜市 |
機械器具部品製造設備等 | 3,000 | 2012年 4月 |
2013年 3月 |
徳島工場 | 徳島県 徳島市 |
機械器具部品製造設備等 | 2,900 | 2012年 4月 |
2013年 3月 |
ダイベア(株) 本社・和泉工場ほか |
大阪府 和泉市 |
機械器具部品製造設備等 | 1,300 | 2012年 4月 |
2013年 3月 |
JTEKT (Thailand) Co., Ltd. | タイ バンコク |
機械器具部品製造設備等 | 9,000 | 2012年 4月 |
2013年 3月 |