愛三工業 (株) 2016年3月期の動向
業績 |
(単位:百万円) |
2016年 3月期 |
2015年 3月期 |
増減率 (%) | 要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 215,360 | 212,676 | 1.3 | 1) |
営業利益 | 9,854 | 10,796 | (8.7) | - |
経常利益 | 9,349 | 11,322 | (17.4) | - |
当期純利益 | 6,208 | 6,755 | (8.1) | - |
要因
-2016年3月期実績は、為替のプラス効果があるものの、売上数量の減少により増収減益。
-アジアは増収増益、日本、北米、欧州で減益。
1) 売上高
-主にフューエルポンプモジュール、スロットルボディが増加したため、前年比1.3%増となった。
- 日本:EGRバルブ、インジェクターの減少により、前年比11.1%減
- アジア:フューエルポンプモジュール、スロットルボディの増加により、前年比13.2%増
- 米州:スロットルボディ、キャニスター、フューエルポンプモジュールの増加により、前年比14.7%増
- 欧州:スロットルボディの増加により、前年比4.6%増
-2015年3月期からAisan Auto Partes Mexico, S.A. de C.V.を連結の範囲にふくめ、北米セグメントを米州セグメントに変更。
2016年3月期の重点方策
商品力・システム開発力強化
-米国で新たに導入される世界で最も厳しい環境規制に対応した新型キャニスターを開発。
グローバル事業拡大
-米州における供給体制拡充のため、メキシコに設立した「Aisan Auto Partes Mexico, S.A. de C.V.」において、エンジンバルブ・スロットルボデーなどの量産を開始。
新技術・新製品開発
-愛知県豊田市に「広瀬テクニカルセンター」を竣工し、来春の稼働をめざしている。
-主力の燃料ポンプなど燃料系製品の開発・評価を主体に行うが、次世代車向けの製品も含め、開発領域の拡大を検討している。
2017年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2017年 3月期 (予想) |
2016年 3月期 (実績) |
増減率 (%) |
|
全社 | |||
売上高 | 200,000 | 215,360 | 0.2 |
営業利益 | 8,000 | 9,854 | 1.9 |
経常利益 | 7,600 | 9,349 | (5.5) |
当期純利益 | 4,800 | 6,208 | 3.6 |
要因
-為替の影響(1米ドル110円を想定)で減収減益の予想。
2017年3月期の重点方策
-「商品開発の強化」「ものづくり進化」「収益体質の強化」などに注力する。
コア商品拡大
エバポ(蒸発ガス制御)系: キャニスター
- 米・中の環境規制強化に対応し高機能キャニスターを拡販
- 現有ラインを活用した設備展開
吸排気系: EGRバルブ
- 高応答性・高密閉性で大量EGRを実現
- 燃費向上のため搭載車種増、顧客ニーズに応じた品揃えで市場の伸びを掴む
吸排気系:スロットルボディ
- 品揃えの幅を広げ、世界トップシェアを維持・拡大
- 現有ラインを活用した設備展開
吸排気系: 基幹電子部品
- 基幹電子部品を自社開発、量産化
- スロットルボディ・EGRバルブ共用量をまとめ、原低早期化
燃料系: 燃料ポンプ&モジュール
- 燃料保持のための汲み上げ廃止で省電力化
ものづくり改革
設備技術の進化
従来設備の徹底活用
新工法による製品構造変革、工程変革
商品開発
エバポ(蒸発ガス制御)系: キャニスター
- 米・中主体にグローバルで規制強化、よりコンパクトな製品・システム実現
吸排気系:サブシステム
- 高応答・高密閉なEGRバルブが主体
- 過給対応の流量確保技術確立
- 断熱技術の確立
ガス燃料(LPG, CNG, FCV)
- FCVの製品領域拡大
- 水素供給系以外にも拡大
開発の強化:広瀬テクニカルセンター設立
- 開発の基盤強化、燃料系耐久評価設備の集約・一元化および生産工場近接で効率化
開発の強化:システム適合事業の拡大
- カーメーカーの新車開発パートナーとして、環境・燃費改善に参画
- システム適合の高度化・ニーズ拡大にタイムリーに対応
地域成長戦略
米州
- 米国の収益力強化
- メキシコの安定化+拡張
中国・韓国
- キャニスター拡販
アセアン・インド
- 2輪FI製品拡販
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 | |
全社 | 10,854 | 10,337 | 9,660 |
-日本 | 9,969 | 9,695 | 9,108 |
-アジア | 885 | 642 | 552 |
研究開発活動
-低燃費、排出ガス低減、さらには性能向上、安全性・快適性に応えられる製品の開発を強化。
- 低燃費 : 従来と比較し約5W消費電力を低減した燃料ポンプを量産化、エンジンのアイドリングストップ化による多頻度作動にも対応。
- 排出ガス低減 : 北米LEVⅢ規制に対応したキャニスターを量産化、将来の中国での規制強化にも対応可能。
- その他 : ホールICの採用により、接点レス化および無段階出力を実現させ、製品寿命および検出精度を大幅に向上させた燃料センダゲージを量産化
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 | 2013年3月期 | |
全社 | 15,884 | 13,280 | 13,006 | 10,113 |
-77億1千7百万円を国内に、81億6千6百万円を海外に投資。
-日本ではシステム開発力強化および次世代自動車に向けた将来製品の開発のため、広瀬テクニカルセンターの建設工事1,569百万円を含む2,422百万円を投資。
-2017年にも主力のスロットルボディとEGRバルブの生産で、現状よりも長さやスペースを5割程度に減らすコンパクトラインを導入する。生産設備の小型化により、生産効率を引き上げる。同時に、グローバルで需給状況に応じた設備投資を機動的に行いやすくするほか、工場内の余剰スペースを活用して新たな製品の生産などもしやすくし、同社製品の供給体制を全体的に底上げすることを目指す。現在、設備を3割程度小型化できる技術の確立にめどをつけており、今後、技術革新を急ぎ、さらなる小型化に道筋をつけていく考えだ。(2015年9月18日付日刊自動車新聞より)
製品分野への投資額 (製品別) |
(単位:百万円) |
製品 | フューエルポンプモジュール | スロットルボディ | キャニスター | エンジンバルブ | 合計 |
金額 | 3,712 | 2,001 | 1,000 | 1,360 | 8,073 |
製品分野への投資額 (地域別) |
(単位:百万円) |
地域 | 日本 | アジア | 米州 | 欧州 | 合計 |
金額 | 1,952 | 3,230 | 2,285 | 606 | 8,073 |
主な設備の新設計画
事業所名 (所在地) |
設備の内容 | 投資予定 総額 (百万円) |
着工 | 完了 予定 |
本社工場 (愛知県大府市) |
EGRバルブ製造設備 | 734 | 2014年 10月 |
2017年 3月 |
安城工場 (愛知県安城市) |
スロットルボディ製造設備 | 799 | 2015年 7月 |
2017年 3月 |
キャニスター製造設備 | 581 | 2014年 12月 |
2017年 2月 |
|
豊田工場 (愛知県豊田市) |
広瀬テクニカルセンター試験設備 | 922 | 2015年 10月 |
2017年 3月 |
フューエルポンプモジュール製造設備 | 759 | 2015年 8月 |
2017年 3月 |
|
広瀬テクニカルセンター建設工事(2期) | 630 | 2015年 6月 |
2016年 9月 |
|
Franklin Precision Industry, Inc. (米国ケンタッキー州) |
キャニスター製造設備 | 870 | 2015年 2月 |
2016年 12月 |
Aisan Auto Partes Mexico, S.A. de C.V. (メキシコサンルイスポトシ市) |
スロットルボディ製造設備 | 449 | 2015年 1月 |
2016年 12月 |
エンジンバルブ製造設備 | 398 | 2015年 7月 |
2016年 7月 |
|
P.T. Aisan Nasmoco Industri (インドネシア西ジャワ州) |
フューエルポンプモジュール製造設備 | 642 | 2014年 10月 |
2016年 12月 |
エンジンバルブ製造設備 | 555 | 2015年 8月 |
2016年 11月 |
-2017年3月期の設備投資は1,400百万円を計画。