愛三工業 (株) 2015年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2015年
3月期
2014年
3月期
増減率 (%) 要因
全社
売上高 212,676 192,944 10.2 1)
営業利益 10,796 9,475 13.9 -
経常利益 11,322 9,915 14.2 -
当期純利益 6,755 5,562 21.4 -


要因
-2015年3月期実績は、販売の増加および為替の影響により増収増益。売上高、営業利益、経常利益、当期純利益とも過去最高を更新。
-日本、北米、欧州で増収増益。アジアは増収減益。

1) 売上高
-為替の影響に加え、販売が増加したことで、前年比10.2%増となった。

  • 日本:フューエルポンプモジュール、EGRバルブの増加により、前年比9.0%増
  • アジア:フューエルポンプモジュールの増加により、前年比11.9%増
  • 北米:スロットルボディの増加により、前年比12.2%増
  • 欧州:スロットルボディの増加により、前年比19.4%増

2015年3月期の重点方策

商品力・システム開発力強化

  • 省電力燃料ポンプモジュールの開発

グローバル事業拡大

  • インド: 2つ目の工場となる Aisan Auto Parts India (AAI) において、スロットルボディの生産を開始。
  • 米州: メキシコのAisan Auto Partes Mexico (AAM) において、2015年夏の量産開始に向け準備。
  • タイ: 2014年1月にトヨタがタイで 「Corolla」 に設定して発売したバイフューエルタイプのCNG車向けに新開発の燃料噴射システムの供給を開始。インジェクター、デリバリー、レギュレーターを日本とインドネシアで生産し、現地に供給。

新技術・新製品開発

  • 水素インジェクターを開発

2016年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2016年
3月期
(予想)
2015年
3月期
(実績)
増減率
(%)
全社
売上高 213,000 212,676 0.2
営業利益 11,000 10,796 1.9
経常利益 10,700 11,322 (5.5)
当期純利益 7,000 6,755 3.6


要因
-国内減収も海外増収で売上高は横ばい。営業利益は、日本と米州が減益、アジア増益、欧州横ばいで、前期並みを確保。
-連結子会社は前期の23社から25社に増加。新規連結対象は、インドのAisan Auto Parts India (AAI) とメキシコのAisan Auto Partes Mexico (AAM)。

2016年3月期の重点方策

-全社スローガン「踏み出そう、新たな時代へ ~確かな品質、ものづくり~」を掲げ、1) 商品戦略強化、2) システム化・新製品開発、3) ものづくり強化、に注力する。

商品戦略強化

  • スロットルボディ: 小型軽量、ローコスト
  • EGRバルブ: エンジンロス低減、実用燃費向上
  • 圧縮天然ガス(CNG)システム: タイで2013年12月から生産開始、新興国を中心に拡大。
  • 省電力燃料ポンプモジュール: 独自開発の「統合フィルタ」を採用し、従来品と比べて消費電力を20%、高さを35%低減。燃費向上と室内空間の拡大に貢献。
  • 燃料電池車(FCV)用水素インジェクター: トヨタ「Mirai」向けに2014年11月から生産開始。本社工場 (愛知県大府市) で同部品を生産。圧縮天然ガス(CNG)・液化石油ガス(LPG) 向け製品開発で培ったガス燃料供給技術を活かし、FCVの発電効率向上に貢献。圧縮水素を減圧調整してスタックに供給するFCV専用のインジェクターとバルブを開発。2020年頃に見込まれる普及タイプのFCV向けに提案する次世代システムの開発も推進する。

<得意先への貢献>

  • トヨタ: 部品共通化構想「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー (TNGA)」に対応
  • ルノー・日産: 2015年3月、Alliance Growth Partner (AGP) に認定。スロットルボディを供給
  • 同社はルノー・日産アライアンス向けの事業開拓を加速する。2015年夏に稼働するメキシコ工場に10億円強を追加投資。2017年度までに建屋を拡張し、日産自動車向けのスロットルボディーなどの供給能力を高める。一方、欧州ではベルギーの販売会社に技術者を駐在させ、2015年度中にルノーをはじめとする欧州メーカー向けの技術提案を本格化する。

ものづくり強化

  • 日本で熟成し、海外へ: 日本で新技術・新製品を開発、米州・欧州・アジアの世界各拠点で同一品質を実現
  • メキシコ拠点の立ち上げ: Aisan Auto Partes Mexico (AAM) で2015年夏から量産開始、米州で供給力拡大

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 10,337 9,660 8,482


-2015年3月期の研究開発費は10,337百万円。このうち、日本では9,695百万円、アジアでは642百万円。

研究開発活動

-低燃費、エネルギー多様化への対応、新興国市場向け製品に関する開発を強化。

  • 低燃費: 消費電力を従来比で約20%低減した燃料ポンプモジュールの量産化、過給エンジンに対応したPCVバルブ・スロットルボディおよびキャニスターの量産化
  • エネルギー多様化: 燃料電池車の水素圧力をコントロールする製品を量産化
  • 新興国市場向け製品: 二輪車/汎用エンジン用部品について、品質を確保しつつローコスト化を果たした燃料噴射システムを開発



設備投資額

(単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 13,280 13,006 10,113


-地域別の主な投資額

  • 海外向け投資は9,199百万円、特にアジアでは6,367百万円を投資。
  • 国内における主力製品の商品力、システム開発力強化および次世代自動車に向けた将来製品の開発に613百万円を投資。

-製品別の主な投資額

  • フューエルポンプモジュール、スロットルボディ、キャニスターの主力3製品に対する設備投資は7,280百万円。
  • EGRバルブ、エンジンバルブ、インジェクターに対する設備投資は713百万円。



主な設備の新設計画

事業所名
(所在地)
設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着工 完了
予定
本社工場
(愛知県大府市)
EGRバルブ製造設備 479 2014年
6月
2016年
3月
安城工場
(愛知県安城市)
スロットルボディ製造設備 629 2014年
4月
2016年
3月
キャニスター製造設備 485 2014年
3月
2016年
8月
エンジンバルブ製造設備 229 2015年
3月
2016年
2月
豊田工場
(愛知県豊田市)
フューエルポンプモジュール製造設備 1,006 2014年
3月
2016年
3月
インジェクター製造設備 470 2014年
9月
2016年
3月
Franklin Precision Industry, Inc.
(米国ケンタッキー州)
キャニスター製造設備 465 2014年
6月
2015年
7月
スロットルボディ製造装置 349 2014年
6月
2015年
12月


-2016年3月期の設備投資は1,500百万円を計画。
-現有設備の使い切りと革新ライン導入で、設備投資は高水準を継続。