(株) エイチワン 2015年3月期の動向
業績 |
(単位:百万円) |
2015年 3月期 |
2014年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
売上高 | 185,750 | 179,944 | 3.2 | -同社の自動車フレームの生産量は前期からほぼ横ばいであったことに加え、車一台当たりの単価は下落傾向にある中、インドネシアの子会社を新たに連結の範囲に含めたことや為替換算上の影響があり、増収。 |
営業利益 | 2,232 | 5,318 | (58.0) | -減価償却費の増加や日本での生産減少の影響、中国でのモデルミックスの悪化、インドネシア事業の操業開始の初期コストなどの要因により、減益。 |
経常利益 | 1,659 | 5,663 | (70.7) | - |
当期純利益 | 292 | 3,496 | (91.6) | - |
部門別売上高 | ||||
-日本 | 39,727 | 44,148 | (10.0) | -主力得意先向けの自動車フレームの生産が前期に比べ減少したことに加え、厳しい価格競争が影響し、減収。 |
-欧州・北米 | 85,886 | 80,709 | 6.4 | -自動車フレームの生産が前期に比べやや減少したものの、為替換算上の影響があり、増収。 |
-中国 | 32,764 | 31,588 | 3.7 | -自動車需要の増加に支えられ同社の中国生産は前期に比べ増加した一方で、モデルミックスが悪化。しかしながら人民元に対する円安の進行が為替換算上プラスとなり、増収。 |
-アジア・太洋州 | 27,372 | 23,498 | 16.5 | -タイの生産が減少したものの、インドにおいては自動車フレームの生産が増加し、また、当連結会計年度からインドネシアの子会社を新たに連結の範囲に含めたことなどにより、増収。 |
国内再編
-埼玉県戸田市にある郡山製作所戸田工場を2016年3月末で閉鎖すると発表した。同工場では自動車フレーム製造の溶接工程を行っている。同拠点の生産工程は他拠点へ集約し、従業員72名も他拠点に配置転換する予定。 (2015年5月18日付プレスリリースより)
-郡山製作所烏山工場 (栃木県那須烏山市) での生産を2015年3月末で終了する。生産中の大型車用キャビンフレームや汎用機用の部品は、郡山製作所 (福島県郡山市) に集約する。烏山工場は、主に他産業向けの製品を生産する工場として1992年に開設した。今後は研究開発用の施設として活用する。 (2015年2月4日付日刊自動車新聞より)
金型内製化
-プレス部品用の金型生産量を2016年度に13年度比5割増の年間770型に引き上げる。日本、タイ、中国、インド、インドネシアの各拠点で生産能力を高めグローバルに供給する。金型の製作は外部への委託が多く、2013年度は必要量の9割弱を外注した。新興国を中心にグループでの生産量を増やすことにより金型の内製率を高めていく。 (2014年6月26日付日刊自動車新聞より)
中期事業計画 (2014年3月期 - 2017年3月期)
-第4次中期事業計画による2017年3月期の目標は、売上高2,000億円以上、経常利益率4.5%。
経営方針:「全世界の競合他社を凌駕する競争力と技術力で、お客様ニーズに最大限にお応えする。」
大方針 | 詳細 |
①量と質に追随した生産体制の確立 | - |
②お客様ニーズにお応えする開発技術力の強化 | -車の軽量化と衝突安全性能に寄与するフレーム開発を進める。 -構造解析技術を強化し、フレーム全体での性能保証および開発のリードタイム短縮などを実施。 -生産工程への新加工法案の採用や、プレス工程、溶接工程の省人化投資を実施。 |
③個の能力最大化、機能の連鎖による企業力の向上 | - |
2016年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2016年3月期 (予測) |
2015年3月期 (実績) |
増減率 (%) |
|
売上高 | 192,000 | 185,750 | 3.4 |
営業利益 | 4,200 | 2,232 | 88.2 |
経常利益 | 2,500 | 1,659 | 50.7 |
当期純利益 | 1,000 | 292 | 242.5 |
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2015年3月期 | 2014年3月期 | 2013年3月期 | |
合計 | 1,161 | 1,024 | 970 |
-日本における研究開発費が全てを占めており、自動車部品関連事業に係る研究開発費が大半。
研究開発体制
-開発技術本部を中心とし、ホンダグループを始めとした多くの研究開発機関と連携をとり研究開発を実施。
研究開発拠点
拠点名 | 所在地 | 役割 |
機種開発センター | 栃木県芳賀郡 | 製品設計 営業企画 |
機種開発センター烏山 | 栃木県那須烏山市 | 試作開発 |
開発技術センター | 福島県郡山市 | 機種企画 溶接技術 金型技術 金型製造 |
自動車部品事業関連の主要課題
-溶接接合加工工法技術の開発
-高強度材料、軽量化材料のプレス加工工法技術の開発
-外板部品プレスの加工工法技術の確立
-厚板精密プレス加工方法と組付加工技術との複合による機能部品の開発
-材料の硬度化技術の開発
-CAD、CAM、CAEの技術革新にあわせたシステム開発および技術者養成
-精密金属部品のプレス加工工法技術の確立
製品開発
鉄パイプの焼き入れ加工
-曲面のある車体骨格部品にもパイプ材を使える新たな加工技術を開発した。郡山製作所 (福島県郡山市) で年内にも量産を始める。骨格部品は鋼板をプレス加工したものが一般的だが、パイプを使うことにより幅を小さくすることができ、ピラーに使えばドライバーの視界改善、デザイン性向上といった効果を期待できる。鋼材の使用量も削減でき、軽量化にもつながる。高周波焼き入れによってホットスタンプ (熱間プレス) 部品並みの強度を確保したことで実現した。(2014年5月30日付日刊自動車新聞より)
引っ張り強度1180メガパスカル (120キロ級) の超高張力鋼板 (超ハイテン材) を使った車体骨格部品
-引っ張り強度が1180メガパスカル (120キロ級) の超高張力鋼板 (超ハイテン材) を使った車体骨格部品を初受注した。複数の自動車メーカーから受注し、2014年度内に国内で生産・供給を始める。自動車メーカーでは車体軽量化のため、骨格に高強度なハイテン材の採用割合を増やしており、冷間プレス部品としては最高強度に当たる120キロ級の採用事例も増えている。新たに製品ラインアップに加えることにより、今後、一段と加速すると見られる超ハイテン材の需要に対応する。 (2014年10月3日付日刊自動車新聞より)
-さらに1470メガパスカルを使用したフレームについても、量産化の準備が整っている。
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2015年3月期 | 2014年3月期 | 2013年3月期 | |
合計 | 33,995 | 30,824 | 17,813 |
-自動車部品関連事業を中心に設備投資を実施。
-自動車部品事業関連では、新型自動車部品の量産開始に合わせ専用設備12,979百万円、生産効率化のための生産用汎用設備および工場の増改築等21,016百万円の投資を実施。
海外投資
-2015年3月期の主な活動:
工場 | 所在地 | 詳細 |
KTH Parts Industries Inc. | 米国 オハイオ州 |
-大型サーボプレス機の導入を進め、需要地での能力増強と自動車フレームに採用される鋼材の高強度化への対応を図っている。 |
武漢愛機汽車配件有限公司 [WH Auto Parts Industries Inc.] |
中国 湖北省 |
-大型サーボプレス機の導入を決定。 |
広州愛機汽車配件有限公司 [GH Auto Parts Industries Inc.] |
中国 広東省 |
-大型プレス機の増設と溶接ラインの増強が完了。 |
清遠愛機汽車配件有限公司 [QH Auto Parts Industries Inc.] |
中国 広東省 |
|
H-one India PVT., Ltd. | インド ウッタルプラディッシュ州 |
-ラジャスタン州に第2工場を新設し、溶接ラインが稼働を開始するとともにプレス機の導入準備を進めている。 |
PT. H-one Kogi Prima Auto Technologies Indonesia | インドネシア カラワン県 |
-金型鋳物工場が製造を開始。金型素材から金型製作までの一貫体制が整った。 |
<タイ>
-タイ南部・チョンブリ県の工場の生産能力を倍増する。2014年度中に敷地内に建屋を新築し、同年度中に溶接ラインを稼働する。2015年にはプレス機も増設する。同国では日系自動車メーカーからの受注が増加しているほか、主要取引先のホンダが2015年に新工場を稼働し、生産能力を2013年比で1.5倍に増強する。日系メーカーが集まる南部の工場を増強することにより、現地で高まるプレス部品の需要に対応する。 (2014年1月27日付日刊自動車新聞より)
設備の新設計画 |
(2015年3月31日現在) |
会社名/事業所名 | 所在地 | 投資予定金額 (百万円) |
着手年月 | 完了年月 |
エイチワン | ||||
亀山製作所 | 三重県亀山市 | 1,402 | 2015年3月 | 2016年5月 |
前橋製作所 | 群馬県前橋市 | 6,068 | 2015年2月 | 2017年1月 |
郡山製作所 | 福島県郡山市 | 3,556 | 2015年2月 | 2017年1月 |
連結子会社 | ||||
KTH Parts Industries Inc. | 米国 オハイオ州 |
5,556 | 2013年6月 | 2017年8月 |
Kalida Manufacturing, Inc. | 米国 オハイオ州 |
1,968 | 2015年3月 | 2017年8月 |
KTH Leesburg Products, LLC. | 米国 アラバマ州 |
1,726 | 2015年3月 | 2016年9月 |
KTH Shelburne Manufacturing, Inc. | カナダ オンタリオ州 |
1,807 | 2014年11月 | 2016年10月 |
広州愛機汽車配件有限公司 [GH Auto Parts Industries Inc.] |
中国 広東省 |
4,435 | 2014年10月 | 2016年12月 |
清遠愛機汽車配件有限公司 [QH Auto Parts Industries Inc.] |
中国 広東省 |
3,074 | 2014年1月 | 2016年12月 |
武漢愛機汽車配件有限公司 [WH Auto Parts Industries Inc.] |
中国 湖北省 |
3,421 | 2014年10月 | 2017年2月 |
H-one Parts (Thailand) Co., Ltd. | タイ アユタヤ県 |
2,567 | 2015年3月 | 2016年11月 |
H-one Parts Sriracha Co., Ltd. | タイ チョンブリ県 |
1,016 | 2015年3月 | 2016年10月 |
H-one India PVT., Ltd. | インド ウッタルプラディッシュ州 |
2,827 | 2015年3月 | 2016年12月 |
PT. H-one Kogi Prima Auto Technologies Indonesia | インドネシア カラワン県 |
2,948 | 2015年3月 | 2016年10月 |