タカタ (株) 2015年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2015年 3月期 |
2014年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 642,810 | 556,998 | 15.4 | -為替の円安効果などにより全地域で増収を達成。 |
営業利益 | 32,958 | 26,275 | 25.4 | - |
経常利益 | 40,657 | 25,656 | 58.5 | - |
当期純利益 | (29,558) | 11,144 | - | - |
セグメント別売上高 | ||||
日本 | 75,403 | 73,485 | 2.6 | -全体の自動車生産台数は前年比で減少したものの、受注車種の販売が好調に推移、グループ企業向けの輸出も増加。 |
米州 | 272,274 | 227,804 | 19.5 | -ブラジルで自動車生産台数の低迷が続いたものの、米国で堅調な景気を背景に米系自動車メーカーを中心に自動車生産、販売とも好調に推移したことが寄与。 |
欧州 | 166,696 | 148,587 | 12.2 | -景気が弱含みながらも堅調で、ドイツを中心に主要各国で自動車生産が好調に推移。特にドイツ系自動車メーカー向けの売上好調が寄与。 |
アジア | 128,435 | 107,120 | 19.9 | -タイを除くほぼ全域で自動車生産が増加し、中国、韓国、インド、インドネシアなどで販売が拡大。 |
戦略提携
-米国子会社TK Holdingsは、ドライバーモニタリングシステム (DMS) の開発に向けて、Seeing Machinesと15年間におよぶ戦略的提携を結んだと発表。DMSは、ドライバーの注意力が欠如した時に警告し、致命的な事故につながるリスクを低減するシステム。両社はこれまで、初のDMSの量産化に向けて2年間にわたって共同開発を行ってきた。(2014年9月24日付プレスリリースより)
リコール
NHTSAとのエアバッグインフレーターに関する市場処置拡大の合意
-2015年5月18日、米国子会社TK HOLDINGS INC.は、米国運輸省道路交通安全局 (NHTSA) との間で追加的な市場処置を実施することなどを内容とする同意指令 (Consent Order) に合意し、当該同意とともに不具合情報報告書 (Defect Information Report) を提出した。DIRでは、これまでの調査結果に基づき、製造経年数と地理的条件に基づき優先順位を付けたうえ、インフレーターの交換を進めることを定めている。また、Consent Orderにおいて、TK HOLDINGS INC.は、NHTSAとの間で、今後も継続して規制当局の決定、方針または調査に全面協力すること、NHTSAから要請された情報を適時に提供すること、引き続き試験結果やデータ等の情報を提供していくこと等に合意した。(2015年5月20日付プレスリリースより)
米運輸省、タカタが3,400万台のリコールに合意したと発表
-2015年5月19日、米運輸省のアンソニー・フォックス(Anthony Foxx)長官は同省の主張に基づき、同社が自社のエアバッグ・インフレーターに欠陥があることを認めたと発表。インフレーターに使用されている火薬が経時劣化し、作動時に破裂する可能性があるという。エアバッグの破裂によって全世界でこれまで6人の死亡が報告されている。同社は特定の運転席と助手席エアバッグ・インフレーターの全米規模のリコールに合意、対象台数を3,400万台近くに拡大する。フォックス長官はまた、米運輸省のNHTSAが同社に対して「Consent Order(同意審決)」を発行したと発表した。「Consent Order」は同社に対して、NHTSAの今後のアクションに協力することと、NHTSAが同社の監査を行うことを要求している。NHTSAは見返りとして、同社の情報提供が不足しているとして2月20日から課せられていた1日当たり1万4,000ドルの罰金を停止した。さらに、NHTSAは同社のインフレーターの交換部品をどう優先順位をつけて分配していくかという公的な法手続きを開始する意向を発表した。(2015年5月20日付タカタのプレスリリースおよび5月9日付NHTSAのプレスリリースより)
タカタのリコール対象OEM
-2015年7月10日時点、BMW、FCA (Chrysler)、Daimler Trucks North America、Dailmer Vans USA、Ford、GM、ホンダ、マツダ、三菱自、日産、スバル、トヨタ。
インフレーター増産
-2015年9月までにエアバッグのリコール交換用ガス発生装置(インフレーター)の生 産量を現状の2倍となる月産90万個まで拡大すると発表。交換部品の不足に対応する措置で、従来はメキシコのみで生産していた交換用インフレーターを米国 とドイツ、中国でも生産する。これにより自動車メーカーが実施するリコール作業の迅速化を支援する。同社では一連のリコール問題を受けて2014年12 月、メキシコ工場の交換用インフレーターの生産量を月産35万個から同45万個に拡大した。ただ、リコール台数は米国だけでも1700万台に上っており、 交換部品の不足が深刻化している。リコール作業の遅れの一因となっており、同社ではさらなる増産に踏み切った。(2015年3月4日付日刊自動車新聞よ り)
2016年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2016年3月期 (予想) |
2015年3月期 (実績) |
増減 (%) | |
売上高 | 700,000 | 642,810 | 8.9 |
営業利益 | 34,000 | 32,958 | 3.2 |
経常利益 | 34,000 | 40,657 | (16.4) |
当期純利益 | 20,000 | (29,558) | - |
-2016年3月期の各セグメント別の売上予想:
- 日本:自動車生産の減少を背景に前年比12.2%減
- アジア:タイは自動車販売回復の兆しから前年比15.3%増、中国は同10.4%増
- 米州:北米は前年比4.6%増を見込むが、南米は需要の減少により同4.7%減
- 欧州:前年比横ばいを見込む
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2015年3月期 | 2014年3月期 | 2013年3月期 | |
日本 | 2,662 | 2,470 | 3,140 |
米州 | 10,104 | 8,991 | 6,991 |
欧州 | 9,107 | 9,186 | 7,461 |
アジア | 2,535 | 2,302 | 1,916 |
調整額 | (26) | 125 | 42 |
合計 | 24,383 | 23,075 | 19,552 |
-売上に占める割合 (%) | 3.8 | 4.1 | 4.7 |
-2016年3月期の研究開発費は、前年度比18.9%増の29,000百万円 (売上高に占める割合:4.1%) を計画。
研究開発体制
-研究開発拠点は、日本 (滋賀)、米国 (デトロイト)、欧州 (ベルリン) の3極に設置。
製品開発
エアベルトシステムGen. 2
-胸部に接する部分が膨張することにより後部座席の乗員の胸部傷害を低減させる「エアベルトシステム Gen.2」を開発。2010年に乗用車へ搭載を開始した「エアベルトシステム Gen.1」に対し、普及に向けて生産性を考慮した改良モデルで、現在、米国の自動車メーカーで採用されている。
シート一体型乗員検知システム
-助手席にチャイルドシートが取り付けられている場合、エアバッグが展開しないように制御することで、子供をエアバッグの圧迫による怪我から守ることができる新製品を開発。海外に加え、日本の自動車メーカーでも採用が決まり、供給を開始。
静電容量方式タッチスクリーン
-米国ミシガン州Detroitで行われた国際会議「SAE World Conference」で、論文「In-vehicle Touchscreen Concepts Revisited: Approaches and Possibilities」による研究結果を発表。この論文では、静電容量方式タッチスクリーンは便利である一方、ドライバーが注意散漫になり、セーフティクリティカルな状況につながる可能性があることを指摘している。さらに、タッチ入力をはじめとするさまざまな技術に対する問題解決のためのアプローチを提案。オン・オフを正確に検知するセンサーと、聴覚・視覚・触覚によるフィードバックを組み合わせた総合的なタッチパネル技術の実現に焦点を当てている。(2014年4月9日付プレスリリースより)
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2015年3月期 | 2014年3月期 | 2013年3月期 | |
日本 | 2,330 | 1,786 | 3,447 |
米州 | 11,887 | 7,885 | 7,572 |
欧州 | 12,019 | 5,005 | 6,448 |
アジア | 9,027 | 3,768 | 3,116 |
合計 | 35,265 | 18,445 | 20,584 |
-2015年3月期、ハンガリー工場、中国・荊州工場など、各セグメントにおいて生産ラインの新設、拡充等を行い、各地域の需要増に対応可能な生産体制を整えております。
設備の新設計画 |
(2015年3月31日現在) |
会社名/事業所名 (所在地) |
設備の内容 | 投資予定 総額 (百万円) |
着手年月 | 完了年月 |
Takata Safety Systems Hungary Kft. (ハンガリー ミシュコルツ) |
エアバッグ部品生産設備 | 9,221 | 2013年11月 | 2016年4月 |
Takata (Changxing) Safety Systems Co., Ltd. (中国 長興県) |
エアバッグ部品生産設備 | 2,554 | 2015年1月 | 2015年12月 |
TK Holdings Inc. (米国 モーゼスレイク) |
エアバッグ部品生産設備 | 2,542 | 2014年12月 | 2015年10月 |
TK Holdings Inc. (米国 サンアントニオ) |
シートベルト用バックル生産設備 | 1,646 | 2014年11月 | 2015年8月 |
TK Holdings Inc. (メキシコ モンクローバ) |
エアバッグ部品生産設備 | 1,475 | 2014年11月 | 2015年5月 |
タカタ九州株式会社 (佐賀県 西松浦郡) |
シートベルト用バックル生産設備 | 1,320 | 2014年10月 | 2017年3月 |