スタンレー電気 (株) 2016年3月期の動向
業績 |
(単位:百万円) |
2016年 3月期 |
2015年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 404,148 | 359,840 | 12.3 | -グローバルでの市場ニーズを的確に捉えた製品開発 -受注拡大を目指した営業力強化や生産能力の増強 -生産工程や間接部門の徹底的なムダ取りといった生産革新活動による生産性向上 等 |
営業利益 | 36,774 | 38,054 | (3.4) | |
経常利益 | 39,402 | 40,610 | (3.0) | - |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 25,537 | 25,198 | 1.3 | - |
自動車機器事業 | ||||
売上高 | 312,780 | 270,223 | 15.7 | -米州における売上増加 |
営業利益 | 21,185 | 23,945 | (11.5) | -一過性費用等の影響により減益 |
コンポーネンツ事業 | ||||
売上高 | 30,504 | 31,512 | (3.2) | -車載向けLEDが増加したが、自動車用電球が減少 -アジアでの液晶新ラインの立ち上げ費用増加 |
営業利益 | 5,602 | 5,765 | (2.8) | |
電子応用製品事業 | ||||
売上高 | 59,879 | 57,914 | 3.4 | -車載向け操作パネル等が堅調に推移 |
営業利益 | 6,837 | 5,921 | 15.5 |
海外事業
<中国>
-2015年6月、中国・天津市に自動車用ランプの設計開発などを行う新会社を8月に設立すると発表した。設計開発専門の子会社を設けるのは同社では初めて。独立した開発組織を立ち上げることで、現地の日系自動車メーカーへの対応力を高める。新たに設立する天津スタンレー電気科技は、資本金3,400万ドル (約41億円) で、スタンレー電気が全額出資する。天津スタンレー電気内の技術部門を独立させて発足し、隣接地に開設する。新会社ではヘッドランプやテールランプなどを設計するほか、ランプの金型の製造販売も行う。初年度に約23億円、2016年度で約27億円の売上高を見込む。(2015年6月30日付日刊自動車新聞より)
<メキシコ>
-2015年4月、メキシコのハリスコ州に自動車用ランプや電子製品の製造・販売を行う子会社を設立。新会社 「Stanley Electric Manufacturing Mexico S.A. de C.V.」 の敷地面積は約100,000平方メートル、工場建屋面積は約15,000平方メートル。資本金は665百万ペソ (約52億円) で、出資比率はスタンレー電気が70%、Stanley Electric Holding of Americaが30%となる。2016年8月操業開始予定。年産24万台で生産を開始し、徐々に拡大していく。自動車生産が拡大するメキシコ国内への供給体制を構築するとともに、将来的には米国向けへの供給も視野に入れるなど、さらなる成長が見込まれる北米エリアでの事業強化に結びつける。売上高は2016年度に約10億円、2017年度に約33億円を目指す。
製品開発
HUDモジュール
-2018年までに、垂直配光型液晶ディスプレーを用いたヘッドアップディスプレイ (HUD) モジュールを市場投入する。同社がHUD向け光学ユニットを製品化するのは初めて。2色表示ながら視認性を確保してコスト競争力を高めたHUDモジュール を開発した。同社ではMEMS (超微小電気機械システム) を用いたシステムも開発するなど、HUD関連事業に注力している。LED開発で培った技術を応用することで、今後の需要拡大が見込まれるHUDビジネスを 本格展開していく。(2015年10月14日付日刊自動車新聞より)
レーザーヘッドランプ
-レーザー光源を採用したロービームとハイビームのユニットを搭載したヘッドランプ。発光エリアが小さいレーザー光源は、ヘッドランプが小型にできるため、自動車のフロントビューデザインの自由度が増すほか、LEDより高輝度という特性を活かし、遠方視界に優れたヘッドランプを実現。
-2017年にレーザー光源を用いたヘッドランプを市場投入する。LEDヘッドランプに比べてハイビーム時で約1.7倍となる310メートルの照射距離を実現。既に性能面での開発はめどがついており、今後は実用化に向けて耐久性などを高めていく。前方障害物の早期発見を可能とする安全性の高い次世代ヘッドランプシステムと位置づけ、自動車メーカーに幅広く提案していく。同社はLEDに次ぐヘッドランプ光源として、以前よりレーザー光源の開発も行っている。反射技術などの改良により、照射範囲など自動車用ヘッドランプとしての性能を確保した。ハイビームはレーザーのみ、ロービームはレーザーとLED光源を組み合わせて使用する。ロービームの照射距離では、LEDのみの115メートルから170メートルへ大幅に高めた。(2014年10月25日付日刊自動車新聞より)
ウィンドリアランプ (2015年東京モーターショーに出展)
-樹脂製のリアウィンドウに微細加工を施し、ウィンドウのエッジに配置したLEDを発光させることで、リアランプの機能を実現。リアランプを後続ドライバーの目の高さに設置できるため、視認性が向上するほか、自動車に新しいデザインの可能性を提供する。ウィンドウ曲面の微細加工は独自の金型技術、発光の仕組みは独自の配光技術、導光技術を採用している。
路面照射信号灯 (2015年 CEATEC Japanで初披露)
-自動車が後退、停止する際にLEDの光で道路に矢印などの模様を描き、周囲の車や歩行者の注意を喚起する信号灯。より広範囲に車の動きを伝えられるため、事故防止に大きく貢献することが期待される。
異形LCDパネルユニット
-「自由曲面スクライブ技術」の確立により、ガラスを自由に切り出すことを可能にし、LCDパネルユニットのデザイン自由度を向上。操作ボタンとLCDパネルをより近くに配置するなど、小型で操作性の良い機器が実現可能になる。自動車のエアコンパネルなどに使用されるLCDパネルユニットは、これまでガラス基板の加工が難しく、ほとんどが矩形のため、搭載機器の表示部のデザインを大きく制約していた。
研究開発活動
-「光の5つの価値」 (光を創る、光で感知・認識する、光で情報を自在に操る、光のエネルギーを活かす、光で場を演出する) を追求。
-コア技術 (配光、デザイン、CAE、回路、制御、光源、プロセス改革) の進化・融合。
-主な研究開発分野
- オプトエレクトロニクス分野: 高出力白色LED、高出力赤色/赤外LED、高速高感度イメージセンサー
- ディスプレイ分野: 超高コントラストLCD、光マイクロスキャナー、ディスプレイ駆動回路
- 光源・照明分野: 自動車用照明機器、LED道路照明・屋内照明機器、点灯駆動回路・電源
- ソフトウェア分野・CAE技術開発: 配光シミュレーション、光学デバイス最適形状設計ツール
- 材料・加工技術等の開発
- 全社製品のスタイリングデザイン
- 上記デバイスや関連技術を統合化した応用製品
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 | |
全社 | 5,527 | 5,513 | 5,346 |
自動車機器事業 | 3,335 | 3,044 | 2,367 |
コンポーネンツ事業 | 1,462 | 1,794 | 2,476 |
電子応用製品事業 | 699 | 578 | 361 |
特定のセグメントに帰属しない費用 | 30 | 95 | 141 |
研究開発拠点
施設名称 | 所在地 |
技術研究所 | 神奈川県横浜市 |
宇都宮技術センター | 栃木県宇都宮市 |
横浜技術センター | 神奈川県横浜市 |
オプトテクニカルセンター | 神奈川県横浜市 |
-2015年8月、中国・天津市に自動車用ランプの設計開発などを行う新会社 「天津斯坦雷電気科技有限公司 [Tianjin Stanley Electric Technology Co., Ltd.]」 を設立。
技術導入契約 |
(2016年3月31日現在) |
提携先 | 内容 | 期間 |
日亜化学工業株式会社 | 白色LEDに関する特許 | 該当特許の有効期間中 |
OSRAM GmbH | 白色LEDに関する特許 | 該当特許の有効期間中 |
技術提供契約 |
(2016年3月31日現在) |
提携先 | 内容 | 期間 |
Thai Stanley Electric Public Co., Ltd. (タイ) | 自動車用ランプ類に関する技術 | 2015年4月1日 - 2018年3月31日 |
SL Lighting Corporation (韓国) | 自動車用ランプ類に関する技術 | 2014年4月1日 - 2017年3月31日 |
Lumax Industries Ltd. (インド) | 自動車用ランプ類に関する技術 | 2016年4月1日 - 2017年3月31日 |
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 | |
全社 | 39,003 | 38,834 | 27,652 |
-自動車機器事業 | 29,408 | 28,531 | 19,054 |
-コンポーネンツ事業 | 1,353 | 3,413 | 2,918 |
-電子応用製品事業 | 5,192 | 3,012 | 1,998 |
-その他 | 580 | 125 | 31 |
-全社 (基礎的試験研究活動および管理部門に係る設備投資額) | 2,469 | 3,749 | 3,649 |
-2017年3月期の設備投資額は、全社合計で44,000百万円を計画。
設備の新設計画 |
(2016年3月31日現在) |
会社名/事業所 (所在地) |
内容 | 投資予定 総額 (百万円) |
着手年月 | 完了予定 年月 |
Stanley Electric Manufacturing Mexico S.A. de C.V. (メキシコ ハリスコ州ラゴス・デ・モレノ) |
四輪事業設備 | 6,140 | 2015年6月 | 2016年8月 |
武漢斯坦雷電気有限公司 [Wuhan Stanley Electric Co., Ltd.] (中国 湖北省武漢市) |
四輪事業設備 | 7,510 | 2012年1月 | 2016年8月 |
2017年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2017年3月期 (予想) |
2016年3月期 (実績) |
増減率 (%) |
|
全社 | |||
売上高 | 410,000 | 404,148 | 1.4 |
営業利益 | 41,500 | 36,774 | 12.8 |
経常利益 | 43,500 | 39,402 | 10.4 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 27,500 | 25,537 | 7.7 |
自動車機器事業 | |||
売上高 | 315,500 | 312,780 | 0.9 |
営業利益 | 24,100 | 21,185 | 13.8 |
コンポーネンツ事業 | |||
売上高 | 36,300 | 30,504 | 19.0 |
営業利益 | 7,100 | 5,602 | 26.7 |
電子応用製品事業 | |||
売上高 | 58,000 | 59,879 | (3.1) |
営業利益 | 7,800 | 6,837 | 14.1 |
第V期中期3ヶ年経営計画 (2014年4月 - 2017年3月)
1. キャッシュフロー経営の確立 | -いかなる環境下でもグループ各社がキャッシュを創出でき、グループのさらなる成長に向けて、その創出したキャッシュを活用する仕組みを整える。 -営業活動により生み出されるキャッシュを最大化させ、健全な財務体質のもと、企業価値を増加させる。 |
2. 新事業の開花・拡大 | -マーケティング情報および、その分析のレベルを向上させ、将来動向を先取りする。 -新製品、新事業を生み出していく下地である「全社イノベーション」の仕組みを効果的に実践する。 |