シロキ工業 (株) 2014年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2014年
3月期
2013年
3月期
増減率
(%)
備考
売上高 117,836 109,850 7.3 -日本は得意先自動車メーカーの生産台数減少のため売上減。米国、中国、東南アジアでの売上はいずれも前年比25%以上の伸びが見られた。
営業利益 2,630 2,506 4.9 -
経常利益 3,251 3,063 6.1 -
当期純利益 2,036 1,586 28.4 -

新会社

-2013年7月をめどに東北に生産子会社東北シロキを設立すると発表した。トヨタ紡織東北・宮城工場 (宮城県大衡村) の敷地内にサテライト拠点を設置する。シロキ工業が東北に進出するのは初めて。同拠点に対し、ウインドレギュレーターやシート骨格部品などを荷姿の良い半完成品の状態で輸送し、最終組立を行う。これにより、物流費などを削減してコスト競争力を高める。14年1月に生産開始し、トヨタ紡織を通じてトヨタ自動車東日本に製品を納入する。15年度までに東北シロキの売上高として年33億円を確保する計画だ。東北シロキは、新納入方式を国内で活用する第1弾となる。トヨタ紡織東北・宮城工場内に962平方メートルの生産スペースを確保し、従業員数23人 (15年度時点) の体制で供給を行う。

合弁事業

-2014年5月、同社の関連会社Technico Industriesとの間でインドに合弁会社を設立すると発表した。新会社「Shiroki Technico India Pvt. Ltd.」は、ウィンドレギュレーターやシート部品などの自動車部品を生産・販売する。建屋面積は約6,000平方メートル。2014年7月に設立され、2015年1月に操業を開始する予定。資本金は3億ルピー (約521.5百万円) で、出資比率はシロキ工業が50%+1株、Technico Industriesが50%-1株となる。2016年3月期の売上高は19億ルピー (約33億円) を見込んでいる。なお、合弁会社設立に伴い、シロキ工業が現在保有するTechnico Industriesの株27.37%は、全数をTechnico Industriesの株主に売却する予定。

受注

<日本>
-トヨタ自動車の 「Noah/Voxy」 向けドアフレームを継続受注。新たにシート部品も受注した。
-トヨタ自動車の 「Harrier」 にドアフレーム、ウインドレギュレーター、モールディングが搭載された。
-日産自動車と三菱自動車工業の 「Dayz」 と 「eK Wagon」 にウインドレギュレーターが搭載された。

<米国>
-Shiroki North America, Inc.が、GM向けアルミドアサッシの出荷を開始。
-北米トヨタ (ミシシッピ工場) 「Collora」 向けや北米日産 「Rogue」 向けのドアサッシを受注し、量産を開始している。

受賞

-2014年2月、ロック内蔵シートトラック、小径リクライニングが高く評価され、トヨタ自動車より「TNGA推進優秀賞」を受賞した。

中期経営計画・長期構想

新中期経営計画 「ローリングプラン」
-2017年3月期を最終年度とする、新中期経営計画「ローリングプラン」を継続遂行中。連結売上高を2013年3月期実績に対して21.7%増の1,400億円、営業利益率を同3.4%から5.0%に引き上げることを目指す。目標達成への戦略は以下の通り:
  • シートアジャスターなどの主力製品に続く、次世代製品の育成に取り組む。
  • 2年ごとに新拠点を1カ所設置するペースで世界展開を加速し、海外での拡販を図る。
  • 新たに東北に供給体制を整備することも視野に入れて生産再編を実施し、日本で利益を確保できる体質を構築する。
長期構想 「シロキビジョン2021」
-上記ローリングプランとともに、2022年3月期までの長期構想を描いた「シロキビジョン2021」を公表。

<数値目標>
  • 売上高:2,000億円
  • 営業利益率:5%
  • 海外売上高比率:50%
-上記目標を達成する足場固めとして、中期経営計画を推進していく。グローバル展開は当面、シート関連部品を中心に実施し、主要納入先のトヨタ自動車を始め世界の自動車メーカーに拡販する。次世代製品の実用化に取り組む一方、既存製品の工法、設備、物流改革などを推進して競争力を高める。

-2015年3月期に「ローリングプラン2014-2018」を策定し、「シロキビジョン2021」実現に向けた活動を強化する計画。

2015年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2015年3月期
(予想)
2014年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 121,000 117,836 2.7
営業利益 2,700 2,630 2.7
経常利益 2,400 3,251 (26.2)
当期純利益 1,600 2,036 (21.4)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 2,869 2,729 2,714

研究開発拠点

-愛知県豊川市にある技術センターで、”高品質・低コスト”で”安全性・快適性・環境”を追求した製品開発、構造・素材開発、モジュール化・エレクトロニクス化を推進している。

主な開発事例

自動車部品事業
  • パワーシートアジャスターの開発
  • マニュアルシートアジャスターの開発
  • 新ワイヤー式レギュレーターの開発
  • 新アーム式レギュレーターの開発
  • 次世代ラッゲージ・バックドアロックの開発
  • 新構造・軽量アルミドアフレームの開発
  • 高デザイン性モールディングの開発
  • ドアフレーム新省人化工法の開発

製品開発

ロック内蔵シートレール (シートトラック)
-2014年3月、ロック機構をレールに内蔵した世界初のシートレールを開発した。従来はばねと金具でロック機構を構成していた。これに対し、ばね自体にレバーからの荷重に対応する機能とロック機能を持たせることで簡素化を図った。部品点数を従来品の29点から19点に削減し、15%の軽量化と10%のコスト低減を実現した。さらに前席、後席で共通部品の採用を可能にしている。昨年からスズキ、トヨタ自動車などに供給を開始しており、トヨタから共通化の好事例として表彰を受けた。今後は同製品をシートレールの中核と位置づけ、メーカー各社に拡販を図る。

技術供与契約

(2014年3月31日現在)
会社名
(国名)
契約の対象品目 契約期間
日本発条 (泰国) 有限公司
(タイ)
シートリクライナー 1990年12月10日 - 2014年12月09日
シートアジャスター 1994年10月21日 - 2014年10月20日
(株) 亜山
[Asan Co., Ltd.]
(韓国)
ドアサッシ 2006年4月12日 - プロジェクト終了時
RG Brose
(南アフリカ)
ウィンドレギュレーター 2004年11月05日 - 2015年3月31日
Brose do Brasil
(ブラジル)
ウィンドレギュレーター 2005年5月2日 - 2015年3月31日
Technico Industries Ltd.
(インド)
シートリクライナー
シートアジャスター
2010年2月18日 - 量産終了まで
ウィンドレギュレーター 2010年11月15日 - 量産終了まで
ウィンドレギュレーター
シートリクライナー
シートアジャスター
2011年7月23日 - 量産終了まで
ウィンドレギュレーター 2011年11月24日 - 量産終了まで
シートリクライナー
シートアジャスター
2014年2月19日 - 量産終了まで

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 5,285 5,900 3,924

-設備投資費の大部分が自動車部品事業に投資。生産性向上と原価低減を図る設備改善および新型車生産開始の準備を中心に実施。

国内投資

-2014年1月、シートアジャスターなどを生産する名古屋工場 (愛知県豊田市) に設置スペースを4分の1以下に低減した革新ラインを導入すると発表した。シート関連事業の生産改革に向けて開発したもので、シートアジャスターを構成するラウンドリクライニングとシートトラックの自動組立機を大幅に改良した。設置スペースに加え、生産能力も従来の3分の1の水準から採算を確保できるようにした。ラインを構築する際の初期投資も約3割低減した。2014年度中に導入し、中長期的に生産変動に強い基盤を構築する。将来的には海外拠点への導入も視野に入れている。

海外投資

<中国>
-2013年7月、中国・浙江省寧波市に吉利汽車向けのドアサッシを生産する工場を設立し、2014年12月に生産を始めると発表した。独立した子会社とはせず、中国子会社の広州白木汽車零部件有限公司の分工場として運営する。13年11月に設立し、2500万元 (約3億8400万円) を投資して建屋面積約5千平方メートルの工場を建設する。15年度に売上高4800万元 (約7億3300万円)を目指す。

-2013年4月、中国子会社の広州白木汽車零部件有限公司が河南省鄭州市に鄭州分公司を5月に設立すると発表した。鄭州日産へ納入するドアサッシのインサイト生産を行うことが目的。鄭州日産の工場内の拠点を新設することで、部品工場の近隣化の要請に対応するとともに、輸送費の削減につなげる。鄭州分公司には、1500万元 (約2億2900万円) を投資し、鄭州日産の工場構内に建屋面積1800平方メートルの工場を建設する。2013年12月に稼働し、ドアサッシの最終製造工程を行う。14年度の社員数は約35人で、売上高は約4400万元 (約6億7100万円) を計画している。

<タイ>
-2013年4月、タイの現地完全子会社のシロキタイランドが、第2工場用途の土地と建物を6月に取得すると発表した。自動車生産の拡大が続くASEAN地域での生産体制を強化する。シロキタイランドが入居するチョンブリ県のアマタナコン工業団地内の物件を約2億2千万バーツ (約7億600万円) で取得する。規模は土地2万2千平方メートル、建物1万6千平方メートル。2014年5月の稼働を予定し、社員数約20人でプレス部品を生産する。

<米国>
-2013年秋をめどに米国でドアサッシの生産体制を拡大する。米ゼネラル・モーターズからドアサッシを初受注したことに加え、トヨタ自動車や日産自動車など主要納入先からのニーズが急増している。このため、シート関連部品を手がけていたテネシー州の生産子会社シロキノースアメリカでドアサッシを生産する。9月に供給開始となるGM向けを同工場に担当させる。現在、ドアサッシはジョージア州に設置するシロキGAを中核拠点としている。今後は2拠点体制とすることで生産能力を確保し、納入先各社の増産要請に対応する。

設備の新設計画

(2014年3月31日現在)
会社名/
事業所名
(所在地)
設備の内容 投資
予定総額
(百万円)
着手 完了
予定
同社
本店 藤沢工場
(神奈川県藤沢市)
生産設備 34 2014年
04月
2015年
03月
名古屋工場
(愛知県豊田市)
生産設備 1,492 2014年
04月
2015年
03月
豊川工場
(愛知県豊川市)
生産設備 635 2014年
04月
2015年
03月
大阪工場
(大阪府茨木市)
生産設備 45 2014年
04月
2015年
03月
豊川本社
(愛知県豊川市)
試験設備 282 2014年
04月
2015年
03月
子会社・関連会社
九州シロキ (株)
(福岡県北九州市)
生産設備 463 2014年
04月
2015年
03月
Shiroki North America, Inc.
(米国テネシー州)
生産設備 679 2014年
01月
2014年
12月
Shiroki-GA, LLC
(米国ジョージア州)
生産設備 317 2014年
01月
2014年
12月
Shiroki-GT, LLC
(米国テネシー州)
生産設備 274 2014年
01月
2014年
12月
Shiroki Corp. (Thailand) Ltd.
(タイ チョンブリ県)
生産設備 273 2014年
01月
2014年
12月
広州白木汽車零部件有限公司
[Guangzhou Shiroki Corp.]
(中国広東省)
生産設備 485 2014年
01月
2014年
12月