(株) エフテック 2016年3月期の動向
業績 |
(単位:百万円) |
2016年 3月期 |
2015年 3月期 |
増減率 (%) | 要因 | |
売上高 | 196,343 | 175,579 | 11.8 | -北米での堅調な自動車販売、中国・タイでの好調な自動車販売、為替の円安影響を反映し、増収増益。 |
営業利益 | 6,821 | 5,564 | 22.6 | |
経常利益 | 6,182 | 5,791 | 6.7 | - |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 2,704 | 1,772 | 52.6 | - |
日本 | ||||
売上高 | 22,016 | 25,579 | (13.9) | -主要取引先における国内生産の減少に伴い、受注量が減少し、減収減益。 |
営業利益 | 381 | 434 | (12.0) | |
北米 | ||||
売上高 | 124,953 | 110,189 | 13.4 | -堅調な北米自動車販売および為替影響等により、増収増益。 |
営業利益 | 4,675 | 4,635 | 0.9 | |
アジア | ||||
売上高 | 49,372 | 39,811 | 24.0 | -中国での新規取引先向けの量産立ち上げ、タイでの主要取引先における生産台数の回復および拡販等により、増収増益。 |
営業利益 | 2,069 | 758 | 172.7 |
-2016年3月期、海外での売上高が増加し、海外セグメントの売上高比率が88.8%となった。
受注
-中国・北京汽車からサブフレームを受注し、納入を始めた。中国の地場メーカーとの取引は初めてとなる。同社はホンダ向けを中心にサブフレームやサスペンション部品を生産・供給しているが、今後の成長に向けて、ホンダ以外の自動車メーカーからの受注にも力を入れている。世界最大市場の中国で地場メーカーを開拓したことにより、同国での事業拡大に弾みがつくと見られる。(2015年5月12日付日刊自動車新聞より)
-2016年3月期の主な受注
自動車メーカー | モデル | 地域 | 製品 | 販売開始時期 |
ホンダ |
「S660」 | 日本 | ペダル類、リアサスペンションアーム | 2015年~2016年 |
「Step WGN」 | 日本 | リアアクスルビーム(2WD/4WD)、ロアアームR/L、フロントサブフレーム | 2015年~2016年 | |
「Shuttle」 | 日本 | フロントサブフレーム、フロントロアアーム、ペダル類、リアアクスルビーム、アンダーロードパス | 2015年~2016年 | |
「City/Grace」 | アジア・大洋州、日本、中国 | フロントサブフレーム、フロントロアアーム、ペダル類、リアアクスルビーム、アンダーロードパス |
2014年~2016年 |
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「Odyssey Hybrid」 | 日本 | リアアクスルビーム、フロントサブフレーム、ブレーキペダル |
2016年 |
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「Civic」 | 北米、中国 | コントロール関連部品、サスペンション関連部品、マウント関連部品 |
2015年~2016年 |
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「Civic Type-R」 | 日本、英国 | フロントサブフレーム、リアアクスルビーム、ペダル類 |
2015年~2016年 |
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「Clarity Fuel Cell」 | 日本 | フロントメンバー、リアサブフレーム、リアサスペンション関連部品 |
2016年 |
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Acura 「NSX」 | 北米 | ブレーキペダル |
2016年 |
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「BR-V」 | アジア・大洋州 | ブレーキペダル、クラッチペダル、リアアクスルビーム、フロントサブフレーム、アンダーロードパス、フロントロアアーム |
2015年~2016年 |
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東風ホンダ | 「Greiz (哥瑞)」 | 中国 | フロントサブフレーム、フロントロアアーム、リアアクスルビーム、ペダル類、アンダーロードパス | 2015年~2016年 |
「Elysion (艾力紳)」 | 中国 | リアアクスルビーム、フロントサブフレーム | 2015年~2016年 | |
トヨタ | 「Innova」 | フィリピン |
ブレーキペダルASSY、クラッチぺダルASSY |
2016年3月生産開始、26,400台/年 |
スズキ | 「Ertiga」 | インドネシア | ブレーキペダルASSY (MT, AT用) | 2015年7月生産開始、96,000台/年 |
GM |
Cadillac 「SRX」 |
米国 | フロントサブフレーム、フロントロアコントロールアームR/L | 2016年2月生産開始、415,000台/年 |
Chevrolet 「Camaro」 |
カナダ | リアサブフレーム | 2015年10月生産開始、100,000台/年 |
国内事業
国内生産の拡大
-2016年5月から欧州向けサブフレームを国内で生産する。ホンダの新型「Civic」に搭載する部品で、ノックダウン(KD)用部品としてホンダに供給する。欧州「Civic」のサブフレームはこれまで、現地企業が同社の技術援助を受けて供給していた。日本は需要の減少によって稼働率が低下していたため、余剰能力と円安を利用して新型は日本で生産する。海外向けの生産により、大型プレス機の稼働率は現状の80%から5月には100%に高まる見通しだ。欧州「Civic」用サブフレームは亀山事業所(三重県亀山市)で5月から6月にかけて生産を始める。ホンダが欧州で生産している「Civic Type-R」のサブフレームは日本から供給している。「Civic」用も加わることで、生産量が大きく増える。(2016年3月8日付日刊自動車新聞より)
海外事業
<インド>
-インドでホンダ向けに足回り部品の供給体制を整える。現地企業に技術援助し、2016年3月から、サブフレームやサスペンション部品の委託生産を始める。インドではペダル類などの小物部品を現地企業に委託して生産している。足回り部品はこれまで、同じアジア圏のタイから供給する計画だった。ダッシュボード内のビームなどを製造・販売しているデリーの部品メーカー VeeGee Industrial Enterprises Pvt. Ltd. と新たな技術援助契約を結び、ホンダの小型車向けの足回り部品の生産を委託する。技術指導に加え、溶接設備を日本から導入する。生産開始後はロイヤルティーとして対価を得る。相手先企業への出資計画はなく、当面は生産委託によって、ホンダのインドでの四輪車生産の拡大に対応する方針だ。現在、ホンダがインドで生産する小型車の足回り部品は、日系他社が供給している。小型車の生産拡大に合わせて部品の現地調達先を複数化したいホンダの意向に対応する。(2015年6月9日付日刊自動車新聞より)
<マレーシア>
-2016年3月期、マレーシアセランゴール州にある Erect Engineering PressWorks Sdn. Bhd. と技術援助契約を結んだ。取引先の市場シェア拡大に伴い、マレーシア特有の課税構造から、現調化は不可欠との判断となった。Erect Engineering PressWorks Sdn. Bhd.は1998年設立、従業員261名。フロントサブフレーム、リアアクスル、コントロールアーム、エンジンマウント等を生産。主要顧客に、Proton、Perodua、ホンダ、トヨタ、日産、三菱自、いすゞ、ダイハツ等がある。
受賞
年月 | 授与者 | 受賞者 | 受賞名 | 評価点 |
2016年4月 | アメリカホンダ | F&P Georgia,A division of F&P America Mfg.,Inc. | 品質賞 | 量産部品の品質レベル |
F&P America Mfg.,Inc. | 搬入賞 | 量産部品の定時定点搬入率 | ||
F&P Mfg.,Inc. | ||||
F&P America Mfg.,Inc | パーツ賞 | 旧型部品の搬入率や品質等 | ||
F&P Mfg.,Inc. |
中期経営計画
-2014年、第12次中期経営計画 (2015年3月期-2017年3月期) を策定。「圧倒的競争力を持つシャシーシステムメーカーになる」ことを方針として掲げ、売上高200,000百万円、営業利益10,000百万円 (営業利益率5%以上) を目指す。基本事業戦略は以下の通り:
1. シャシーシステム体制への変革
-サブフレーム、サスペンションアーム単体機能から組み付け部品を含めた複合機能でシャシーをシステムで開発する
2. グローバルオペレーションへの進化
-日本がマザー機能として、各拠点 (北米、中国、東南アジア) で営業、開発、技術、生産、購買を自ら進める。
-グローバル人材育成
3. 環境対応技術の強化
-シャシーシステムでさらなる軽量化設計、また、コア技術の深化 (ハイドロフォーミング、パイプフォーム焼鈍、摩擦攪拌接合) を目指す。
-ペダル部品の電子化等、電子化関連技術をシャシーに採用していく。
-地域最適生産技術を立案する。また、独自技術 (精密成形プレス技術、レーザー接合) の創出を目指す。
2017年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2017年3月期 (予測) |
2016年3月期 (実績) |
増減 (%) |
|
売上高 | 192,000 | 196,343 | (2.2) |
営業利益 | 6,500 | 6,821 | (4.7) |
経常利益 | 6,200 | 6,182 | 0.3 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 2,800 | 2,704 | 3.5 |
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 | |
全社 | 3,293 | 3,356 | 2,667 |
-2016年3月期の地域別セグメント内訳:日本1,206百万円、北米1,540百万円、アジア546百万円
研究開発拠点
名称 | 所在地 |
国内 | |
芳賀テクニカルセンター | 栃木県 芳賀郡 |
海外 | |
F.tech R&D North America Inc. | 米国 オハイオ州 |
Michigan /R&D NA Office | 米国 ミシガン州 |
F.tech R&D North America Inc. European Branch | ドイツ デュッセルドルフ |
偉福 (広州) 汽車技術開発有限公司 [F.tech R&D (Guangzhou) Inc.] |
中国 広州市 |
F.tech R&D Philippines Inc. | フィリピン ラグナ州 |
-北米の研究開発センターにロードシミュレーターを導入し、サブフレームやサスペンション単体から、車のシャシー全体で開発、解析、評価、提案できるよう、自動車メーカーおよびオハイオ州立大学と連携して研究を推進している。
研究開発活動
-2016年3月期、ホンダ 「Civic」 のサブフレームやサスペンションで大幅な軽量化や低コスト化、生産性の向上を実現。
深化させる生産技術力
ハイドロフォーミング技術
-パイプを素材とした閉断面構造製品の成形法。金型を閉じた状態で、パイプ材の内面に液体を充填し、圧力をかけて、空洞状の部品に形成する。従来の工法に比べ、プレス工程、金型の削減が図れ、溶接工程の簡素化にもつながる。また、強度・剛性の向上とともに部品の軽量化にもつながり、コストも削減可能。
焼鈍炉
-熱処理を実施し製品の残留応力を除去する事により、製品の耐久性を向上させる焼鈍加工技術。ハイドロフォーミングを組み合わせ、車重の重いクラスにも適用できるクラッシュドトーションビームを自社開発している。
FSW(摩擦攪拌接合)技術
-スチールとアルミという異種金属を連続接合する摩擦撹拌接合(FSW)を用いた新技術を開発し、シャシーシステムに軽量化と高剛性化を実現。この技術を用いて、世界で初めてスチールとアルミのハイブリッド構造のフロントサブフレームを制作した。
FUT-1(厚板摩冷鍛造)技術
-独自開発した、超精密抜き加工技術と圧造成形技術を融合した超精密塑性加工 (FUT-1) 技術。究極の材料歩留まりと後工程レスによる大幅な原価低減を実現。
*FUTは、F-TECH ULTIMATE TECHNOLOGIES の略
主な技術供与契約 |
(2016年3月31日現在) |
相手先 | 国名 | 契約の内容 | 契約期間 |
成宇工業股份有限公司 [Cheng YU Industry Co., Ltd.] |
台湾 | 製造販売に関する技術援助契約 | 1994年12月21日- 1999年12月20日 以降一年の自動更新 |
Gestamp Tallent Ltd. | 英国 | 製造販売に関する技術援助契約 | 2011年7月18日- 2016年7月17日 或いは対象製品の継続期間 |
Progressive Tools & Components Ltd. | インド | 製造販売に関する技術援助契約 | 1996年11月29日- 以降出資中継続契約 |
YPS Limited | トルコ | 製造販売に関する技術援助契約 | 2010年9月30日- 2015年9月29日 或いは対象製品の継続期間 |
Benteler Componentes Automotivos Ltda. | ブラジル | 製造販売に関する技術援助契約 | 2011年5月20日- 2016年5月19日 或いは対象製品の継続期間 |
SMC Co. Ltd. | 韓国 | 製造販売に関する技術援助契約 | 2006年4月4日- 2011年4月3日 以降一年の自動更新 |
Cosma do Brasil | ブラジル | 製造販売に関する技術援助契約 | 2015年1月30日- 2020年12月31日 技術援助対象商品の生産が終了するまで契約継続 |
VeeGee Industrial Enterprises Private Limited | インド | 製造販売に関する技術援助契約 | 2014年11月25日- 2019年11月24日 或いは対象製品の継続期間 |
上海匯衆汽車製造有限公司 [Shanghai Huizhong Automotive Co., Ltd.] |
中国 | 製造販売に関する技術援助契約 | 2014年11月25日- 2019年11月24日 或いは対象製品の継続期間 |
Gestamp Brasil Industria de Autopecas S/A | ブラジル | 製造販売に関する技術援助契約 | 2015年8月7日- 2020年8月6日 或いは対象製品の継続期間 |
Erect Engineering PressWorks Sdn. Bhd. | マレーシア | 製造販売に関する技術援助契約 | 2015年9月14日- 2020年9月13日 或いは対象製品の継続期間 |
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 | |
全社 | 20,578 | 15,631 | 12,715 |
-2016年3月期地域別セグメント内訳:日本3,340百万円、北米13,507百万円、アジア4,691百万円
-2016年3月期の設備投資については、新機種の投入や体質強化および合理化などを中心に実施した。
設備の新設計画 |
(2016年3月31日現在) |
会社名 事業所名 (所在地) |
設備の内容 | 投資 予定金額 (百万円) |
着手 | 完了 | 完成後の増加能力 |
F&P Mfg., Inc. (カナダ オンタリオ州) |
自動車部品関連設備 | 4,007 | 2016年4月 | 2017年3月 | 新機種立上げに伴う設備増強 |
F&P America Mfg., Inc. (米国 オハイオ州) |
自動車部品関連設備 | 2,288 | 2016年4月 | 2017年3月 | 新機種立上げに伴う設備増強 |
F&P Mfg. de Mexico S.A. de C.V. (メキシコ グアナファト州) |
自動車部品関連設備 | 2,812 | 2016年1月 | 2016年12月 | 新機種立上げに伴う設備増強 |
偉福科技工業 (武漢) 有限公司 [F-Tech Wuhan Inc.] (中国湖北省) |
自動車部品関連設備 | 2,053 | 2016年1月 | 2016年12月 | 新機種立上げに伴う設備増強 |
F-Tech Mfg. (Thailand) Ltd. (タイ アユタヤ県) |
自動車部品関連設備 | 2,464 | 2016年4月 | 2017年3月 | 新機種立上げに伴う設備増強 |