Pirelli Tyre S.p.A. 2014年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
2014年
12月期
2013年
12月期*
増減率
(%)
要因
全社
売上高 6,018.1 6,061.0 (0.7) 1)
営業利益 837.9 784.7 6.8 -
部門別売上高
タイヤ部門 6,007.5 6,030.6 (0.4) 2)

*2013年12月期の数字は、スチールコードビジネスが廃止事業損益対象となったため、再計算されている。

要因
1) 全社
-2014年12月期の全社売上高は前年比0.7%減。為替の影響を除けば前年比5.9%増。コンシューマービジネス (乗用車、二輪車) は好調だったが、産業用ビジネス (バス、トラック、農機) は南米市場の後退がマイナス要因となった。

2) タイヤ部門
-2014年12月期のタイヤ部門の売上高 (全社売上高の99.8%を占める) は前年比0.4%減。為替の影響を除けば前年比6.2%増。コンシューマービジネスではすべての主要な地域で売上を伸ばし、特にプレミアム製品の売上が継続して好調。また、新興市場での価格と製品ミックスの改善による売り上げ増が功を奏した。

中国化工集団による同社買収

-2015年3月23日、中国化工集団 (China National Chemical Corporation: ChemChina) は100%子会社の中国化工橡膠公司 (China National Tire & Rubber Co.: CNRC) を通じ、Camfin S.p.A.が保有するPirelliの株式26.2%を1株あたり15ユーロで取得することで大株主と合意した。残りはTOB (株式公開買い付け) で取得する。買収額は71億ユーロと見られている。中国化工橡膠はラジアルタイヤやオフロードタイヤ、ブレーキホースなどの大手メーカーで、中国国内だけでなく、140カ国以上に製品を輸出している。 (2015年3月23日付中国化工集団プレスリリースより)

売却

-2014年2月に締結した、Bekaertへのスチールコード事業の売却契約に則り、トルコのIzmit、イタリアのFigline、ルーマニアのSlatina、ブラジルのSumare工場の売却を完了した。これに伴い、BekaertはPirelli向けにタイヤコードの長期供給も開始する。なお、この両社の買収契約にはPirelliの中国山東省の兗州 (Yanzhou) 工場も含まれている。買収金額は255百万ユーロ。 (2015年2月6日付プレスリリースより)

中期計画 (2013年12月期 - 2017年12月期)

-主な施策:

  • 2016年にプレミアムタイヤ売上の割合を、乗用車向け売上の60%に引き上げる。 (2014年現在: 55%)
  • 中型乗用車用タイヤ分野で機能性タイヤ (冬用タイヤ、自己シールタイヤなど) を積極的に投入する。
  • 産業用タイヤにおいては、キーマーケット (南米、中東、アフリカ) でシェア確保する。
  • 2017年末までに46の製品改良: 乗用車用14品種、二輪車用21品種、トラック用11品種
  • 設備投資額: 2014年から2017年の期間に1,600百万ユーロを計画。

-2017年12月期の財務目標:

  • 営業利益率: 15%以上 (2014年度実績: 14%)
  • 投資利益率 (ROI): 28% (2014年度実績: 22%)

受注

-プレミアム・プレステージセクターの車両専用ビスポークタイヤである 「P Zero」 は2007年以降380車種の承認を達成。また、中~大排気量エンジン向け環境対応ハイパフォーマンスタイヤである 「Cinturato P7」 は5年間で170車種の承認を得た。 (2014年3月5日付プレスリリースより)

受賞

-BMWより2014年Best Innovation in Quality賞を受賞した。タイヤの加硫工程で使用されるReal Dynamic Curing技術が評価された。同社の全ての工場で採用されているこの技術は、感熱センサーを活用し各タイヤに最適なレベルの加硫条件を適用させることを可能にする。 (2014年10月7日付プレスリリースより)

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
全社 205.5 199.2 178.9
売上に占める割合 (%) 3.4 3.3 2.9

研究開発体制

-イタリアをはじめ世界10カ所にR&Dセンターを保有。R&D要員は合計約1,400名。 (2013年12月時点)

共同開発

-PirelliとRosneftは、2014年に締結した了解覚書 (MOU) に照らして、ロシアのNakhodkaにおける合成ゴムの研究・生産・供給に関する技術パートナーに、ポーランドの化学原料メーカーSynthosを選出したと発表。同プロジェクトにおいて、3社は石油化学製品会社Far East Petrochemical Company (FEPCO) を活用する予定。同地域でスチレンブタジエンゴム (SBR) などゴム分野の開発をさらに進める意向。 (2015年4月16日付プレスリリースより)

製品開発

マイクロチップ埋め込み型タイヤ 「サイバータイヤ (Cyber tyre)」
-タイヤに埋め込まれたマイクロチップが車の調子や路面状況、タイヤの状態に関する生きた情報を提供するインテリジェントタイヤ。これらの情報はドライバーや電装部品へ伝達され、より高い安全性や効率性の向上に役立てられる。新型Ferrari 「FXX K Hybrid」に採用。 (2014年10月31日付プレスリリースより)

トラック用モニタリングシステム 「サイバーフリート (Cyber Fleet)」
-テレマティックボックスとタイヤの内側に搭載されたセンサーで構成される、トラック用モニタリングシステム。タイヤの圧力、温度等をリアルタイムで管理者に報告。パンクやその他の異常を知らせる装置。

フォーミュラワン用新型18インチタイヤ
-2016年まで、FIAフォーミュラワン・ワールドチャンピオンシップにタイヤを供給する唯一のサプライヤーとして選定された。2014年7月に英国のシルバーストーンサーキットにて新型18インチコンセプトタイヤのトラックテストを初めて実施した。

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
全社 378.1 413.1 470.9
売上に占める割合 (%) 6.3 6.8 7.8


-2013年までにメキシコ、中国、ルーマニアといった工場建設を終え、製造コストが低い地域での生産が可能となっている。(コンシューマービジネスの78%、産業用ビジネスの100%の生産能力をカバー。)

-中期計画にて、2014年から2017年の期間に1,600百万ユーロの投資を計画。

海外投資

<エジプト>
-同社とエジプトの投資省は、同社傘下のAlexandria Tire (Atco) の拡張に関する了解覚書 (MOU) を締結したと発表。同社が株式の90%以上を保有するAtcoは、エジプトのAlexandriaでトラック用ラジアルタイヤを生産している。MOUによれば、Atcoは約107百万ドル (85百万ユーロ) を投じて工場の拡張と技術的アップグレードを行うという。投資計画は3年間。今回の拡張により、Atcoでは新たに最大250名の直接雇用を創出する予定。生産能力は年間30万本増加する見込み。(2014年11月25日付プレスリリースより)