Brembo S.p.A. 2013年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)
  2013年
12月期
2012年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 1,566.1 1,388.6 12.8  
営業利益 121.4 89.5 35.6
乗用車用製品事業
売上高 1,097.8 939.5 16.9 1)
商用車・小型トラック用製品事業
売上高 191.8 184.5 4.0 2)

要因
1) 乗用車用製品事業
-2013年12月期の乗用車用製品事業は、前年比16.9%の成長を達成。西欧およびロシアの売上が軟調に推移したが、自動車販売が堅調な中国、米国での売上増加が寄与。

2) 商用車用製品事業
-2013年12月期の同事業の売上高は、前年比4.0%の増加。欧州市場で売上が微増したことが寄与。

企業買収

-合弁相手の東華汽車実業 (Donghua Automotive Industrial) より布雷博 (南京) 制動系統有限公司 [Brembo Nanjing Brake Systems] の株式30%を取得し、完全子会社化した。取得金額は90百万元 (約11百万ユーロ)。同子会社は、乗用車および商用車向けの鋳鉄ディスクやアルミ製フィクストキャリパーの加工・塗装を行っている。Bremboが70百万ユーロを投じて2012年に開設した南京のハブ拠点に属しており、今回の100%子会社化が同拠点の完全統合に向けた最終段階となる。なお、同拠点は新たに建設した鋳造工場、ディスクおよびブレーキシステムの生産ライン、研究開発センターで構成されている。(2013年8月8日付プレスリリースより)

受注

-ニューヨーク国際オートショーで発表されたChevrolet 「Camaro Z/28」に、同社のカーボンセラミックブレーキシステムが採用されたと発表。従来の鋳鉄製ブレーキディスクに比べて重量は約半分。摩擦係数は10%増加するとともに、ブレーキシステムの動作温度は鋳鉄製の平均より5%低くなるという。(2013年10月29日付プレスリリースより)

-Ferrariがジュネーブモーターショーで展示する新型スーパーカーに、同社の新型「Extrema」キャリパーが採用されたと発表。このモデルはFerrari 「Enzo」の後継車となる。(2013年3月5日付プレスリリースより)

-GM 「Chevrolet Corvette」の2014年モデル向けに、ブレーキキャリパーおよびディスクを納入すると発表。米国ミシガン州のHomer拠点においてこれらの部品の組み立て・製造を行う予定。(2013年1月14日付プレスリリースより)

受賞

-イタリアMapelloのディスク加工工場がGMより2013年「Supplier Quality Excellence Award」を受賞したと発表。同社がこの賞を受賞するのは今回で2度目となる。(2013年10月31日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発体制

-全従業員の約10%にあたるエンジニアと専門家が研究開発に従事。

-同社はイタリア、中国および米国に研究施設を保有。

研究開発活動

-イタリアBergamoにある同社の研究開発拠点への投資プロジェクトの支援に向けて、欧州投資銀行より55百万ユーロの融資を受けると発表。環境負荷の管理やブレーキシステムのさらなる軽量化を目指す。このプロジェクトの期間は4年間で、総投資額は約116百万ユーロとなる。車の品質と安全性を高めるとともに、EV・HVと高度道路交通システム (ITS) との統合促進を最終目標にしている。(2013年12月18日付プレスリリースより)

-2013年、鋳鉄ブレーキディスクに関する研究開発を実施。主な目的は、振動特性に影響する技術パラメーターの適正化による走行快適性の改善。他にも、大型商用車向け鋳鉄ブレーキディスクの素材、質量特性、冷却能力に関する研究を推進している。

製品開発

軽量ブレーキディスク
-鋳鉄とスチールを組み合わせた新型ブレーキディスクをDaimlerと共同で開発。スチールハウジングの肉厚がわずか2.5ミリと、従来品の7.5-9ミリに比べ大幅に薄肉化を実現。従来品に比べ10-15%の軽量化を可能とした。現在、ブレーキディスク以外の自動車部品にも、鋳鉄とスチールの組み合わせが適用できるかを検討している。

電動パーキングブレーキ
-2013年、制御ユニット一体型電動パーキングブレーキ2種類を開発。制御ユニットのハードウェア、ソフトウェアの設計を自ら手掛けたことが特徴。これらの製品は、現在開発中の制御ユニット一体型ABSシステムのベースとなる。

設備投資

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
  2013年12月期 2012年12月期 2011年12月期
全社 133.1 140.6 165.3

-2013年12月期の設備投資額133.1百万ユーロの内、115.4百万ユーロは土地、工場および設備機器の購入に充てられた。残りの17.7百万ユーロは無形資産に投じられた。

-2013年、設備投資は以下4地域に集中的に投下された:
  • イタリア:28%
  • 東欧:23%
  • 中国:15%
  • 米国・ブラジル:30%

国内投資

-2013年、主な国内投資は生産工場、機械、設備の取得。研究開発には12.0百万ユーロを費やした。

海外投資

<東欧>
-2013年、主に以下拠点の生産能力増強を実施:
  • ポーランドのDabrowa Gornicza拠点:乗用車、商用車用ブレーキディスクの鋳造および加工
  • チェコのOstrava-Hrabova拠点:ブレーキキャリパーおよびその他アルミ部品の鋳造、加工、組立
<中国>
-2013年、前年に引き続き南京の生産ハブ拠点に設備投資を実施。主にブレーキキャリパーおよびディスクの鋳造所、加工施設、テクニカルセンターに費用が投下された。

<米州>
-2013年から2015年にかけて、115百万ユーロの設備投資額を米国とブラジルに投下する見通し。内訳は以下の通り:
  • 米国:ハブ拠点である米国ミシガン州・Homer拠点の生産能力増強に83百万ユーロ。新規受注への対応、北米での市場シェア向上を目的とする。
  • ブラジル:ブラジル Sao Paulo工場の生産をSanto Antonio de Posseに移管。設備投資額は32百万ユーロの見通し。