Faurecia S.A. 2016年12月期の動向
業績 |
(単位:百万ユーロ) |
2016年 12月期 |
2015年 12月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
売上高 | 18,710.5 | 18,770.4 | (0.3) | 1) |
営業利益 | 970.2 | 830.0 | 16.9 | 2) |
部門別売上高 | ||||
-シート | 6,607.4 | 6,188.5 | 6.8 | 3) |
-クリーンモビリティ | 7,292.2 | 7,490.3 | (2.6) | 4) |
-内装システム | 4,810.9 | 5,091.6 | (5.5) | 5) |
要因
1) 売上高
-2016年12月期の売上高は、前年比0.3%減の18,710.5百万ユーロ。触媒担体の売上減少、為替の影響、Fountain Inn拠点の売却が影響したもの。減収分の一部は、既存事業ベースの売上増加により相殺された。
2) 営業利益
-2016年12月期の営業利益は、前年比16.9%増の970.2百万ユーロ。同社が事業を展開している全ての市場で増益となった。増益の主な要因は、欧州、アジアでは売上増、北米では効率改善による影響。
3) シート部門
-2016年の売上高は、前年比6.8%増の6,607.4百万ユーロ。マーケットシェアの拡大、およびルノー日産、Daimler、BMW、Fordの新モデル発売による影響。
4) クリーンモビリティ
-2016年の売上高は、前年比2.6%減の7,292.2百万ユーロ。ルノー日産、吉利、Volvo、Cummins向けの売上は増加したが、触媒担体の売上減少で前年比マイナスとなった。
5) 内装システム
-2016年の売上高は、前年比5.5%減の4,810.9百万ユーロ。ルノー日産向け売上は拡大したが、DaimlerとFCA向けの売上減少により前年比マイナスとなった。また、Fountain Inn拠点の売却による影響も減収要因の1つ。
再編
-2016年7月、Plastic Omniumは、Faureciaの自動車外装部門の買収を完了したと発表した。取引額は665百万ユーロ。(2016年7月29日付プレスリリースより)
-2016年10月、Faurecia North Americaは、Chrysler 「200」の生産終了を受けてDetroit地域の2工場を閉鎖する意向をミシガン州に通知した。今回閉鎖するのはMasonic工場とSterling Heights工場で、それぞれ93名と117名の従業員に影響が出る見込み。Sterling Heightsにあるもう1つの工場とFraser工場に関しては、同モデル向けのほかにFordやGM向け製品も生産していることから操業を続ける。Faureciaはシート、インストパネル、センターコンソール、ドアパネルを 「200」 向けに納入している。FCAはDodge 「Dart」 の生産を終了しており、12月に 「200」 の生産を終える予定。(2016年10月11日付Detroit Newsより)
買収
-2016年12月、デンマークのAmminexの株式を91.5%まで取得したと発表した。Amminexは、ディーゼルエンジンからNOxを除去するためのアンモニア貯蔵・供給システム (ASDS) を開発した企業。Faureciaは2009年中頃からAmminexと協業しており、これまでに同社の株式42%を取得している。Amminexは、デンマークのCopenhagen近くのSoeborgに本社を置く従業員数50名の企業で、Nyborgに6,500平方メートルの最先端工場を持つ。(2016年12月13日付プレスリリースより)
合弁事業
<イラン>
-2016年12月、イランで合弁会社2社を設立すると発表した。1社目は排ガスコントロールシステムを製造する「Faurecia Crouse Advanced Exhaust System (FCAES)」。MAADと折半出資で設立、2017年末に生産開始予定で、2020年に売上高5,000万ユーロ、市場シェア25%を目指す。2社目は内装部品を製造する「AFISCO」。Azin Khodroと折半出資で設立、2018年初頭に生産開始予定で、2020年に売上高5,000万ユーロを目指す。(2016年12月2日付プレスリリースより)
<中国>
-2016年11月、Borgwardと中国に自動車シート合弁会社を設立すると発表した。新会社の名称はBorgward Faurecia Auto Systemsで、出資比率はFaureciaが51%、Borgwardが46%、Borgward Automotive (China)が3%となる。新工場は天津に設立、従業員数は約800名。2020年までに合計400,000台分のシート生産を見込んでいる。2017年1月からBorgwardのSUV「BX5」およびその他の中国生産モデル向けにシートを製造し、その後欧州で生産されるモデルにもシートを供給する予定。(2016年11月30日付プレスリリースより)
-2016年10月、佛吉亜 (中国) 投資有限公司 [Faurecia (China) Holding Co., Ltd.] と浙江銀輪機械股份有限公司 [Zhejiang Yinlun Machinery Co., Ltd.] の子会社山東銀輪熱交換系統有限公司 [Shandong Yinlun Heat Exchange System Co., Ltd.] は合弁会社設立の契約を結んだ。新会社の名称は佛吉亜銀輪排気控制技術(濰坊)有限公司 [Faurecia Yinlun Exhaust Control Technology (Weifang) Co., Ltd.]。投資金額は100百万元。登録資本金は70百万元で、Faurecia (China) が52%の36.4百万元を、山東銀輪が48%の33.6百万元を出資する。新会社は自動車排気コントロールシステムを生産、販売する。(2016年11月1日付け会社公告より)
事業提携
-2016年12月、インフォテインメントおよびコネクティビティ分野のサプライヤーのParrot Automotiveと戦略提携に関する独占的交渉を開始したと発表した。Faureciaは第一段階として、2017年第1四半期までにParrot Automotive の増資を引き受け、株式20%を取得する。2019年までにParrot Automotiveへの出資比率を50.01%に引き上げ、2022年までに全株式を取得する計画。(2016年12月6日付プレスリリースより)
受注
-2016年5月、Volkswagenグループの「Future Automotive Supply Tracks (FAST)」プログラムにおける戦略的パートナーに再度指名されたと発表した。同社のシート部門および内装システム部門は、2015年にこのFASTのパートナーに選出されており、今回は排気コントロール部門が選ばれた。なお、Audi、Seat、Skoda、VolkswagenなどVolkswagenグループ向けの売上高は、Faureciaの売上高全体の約23%を占めており、最大の取引先となっている。(2016年5月24日付プレスリリースより)
-2016年12月期の主な採用実績
OEM | モデル | 製品 |
現代 | 「Ioniq」 | -排熱回収システム (EHRS) |
Renault | 「Scenic」 | -フロントシート一式、後部座席をフルフラットにできる折り畳み式シート、シートメカニズム、シートカバー、ヘッドレスト、インストパネル、スライド式センターコンソール、ワンタッチ式グローブボックス、吸音製品、ソフトトリム、ガラス繊維複合材料を使用したスペアホイールトレイ、排ガスコントロールシステムなど |
Renault | 「Megane」 | -複合材を使用したスペアホイールトレイ |
受賞
-VWグループのベストサプライヤーの1社として、2016年 「Volkswagen Group Award」 を受賞。(2016年6月2日付プレスリリースより)
-2016年5月、PSA Peugeot Citroenより 「Program Management Award」、「Technical Cost Savings Award」、「Best Plant Award」 を受賞したと発表した。今回、「Best Plant Award」 を受賞したのは、スロバキアのHlohovec工場、フランスのBain Sur Oust工場およびCrevin工場、St Michel sur Meurthe工場、スペインのPorrino工場の5工場となる。(2016年5月30日付プレスリリースより)
-GMの2015年 「Supplier of the Year」 を受賞。(2016年3月10日付プレスリリースより)
-アダプティブバルブとカバーカービング技術で2つの 「2016 Automotive News Pace Awards」 を受賞。同社のアダプティブバルブを採用することで、マフラーを30%小型化、排気システムを20%軽量化できるという。カバーカービング技術はデザイン性向上に加え、耐久性、品質性も高めるという。 (2016年4月12日付プレスリリースより)
2017年12月期の見通し
-2017年12月期、触媒担体売上分を除く純売上高で前年比6%増を目指す。営業利益率目標は6.4%~6.8%。
-2017年の戦略分野として、環境に優しく軽量な車両など、Sustainable Mobility (持続可能なモビリティ) 技術の開発を加速する。また、コックピットのコネクティビティ、フレキシビリティ、予測機能の向上に焦点を置く、Smart Life on Board (自動車スマート技術) 開発を加速する。
-中国OEM向け売上比率を2018年までに20%、2020年までに30%に引き上げることを目指す。
-長安汽車、東風汽車との合弁事業の売上高は、2020年に25億ユーロに達する見込み。
研究開発費 |
(単位:百万ユーロ) |
2016年12月期 | 2015年12月期 | 2014年12月期*1 | |
合計 | 1,021.5 | 924.3 | 866.9 |
売上に占める割合 (%) | 5.5 | 4.9 | 5.1 |
*1: 国際会計基準IFRS5号 「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」 により修正されている。
研究開発体制
-6,000名のエンジニア・技術者が在籍。11カ国に30カ所の主要なR&Dセンターを保有。
研究開発拠点
-2016年5月、フランスBrieres-les-Scellesの技術センターに、自動車用シートカバーの専門技術センター 「CoverTech」 を建設したと発表した。2015年12月から稼働している。「CoverTech」 の開設により、自動車用シートカバーの設計、切断、縫製、取付の技術や工程に関して新たな境地に踏み出す意向。また、「CoverTech」 では、同社の開発・生産拠点すべてにおけるベストプラクティスを選択・実行する。(2016年5月11日付プレスリリースより)
研究開発活動
-2015年、納入先11社と72件の研究開発活動に携わった。このうち34件がプレミアムブランドとの共同開発。
技術提携
-2016年9月、Renault TrucksおよびExoesと、排熱発電 (EHPG) システムの性能試験に関して協力することで合意したと発表した。これによりRenault Trucksは 「Euro VI」 に準拠したトラック1台を提供し、これに同社のEHPGシステムが装着される。このEHPGシステムにはExoesのエキスパンダーが採用される。同社はシステム全体の統合などを担当し、2017年に路上試験を開始する予定。ランキンサイクルを基にしたこのシステムは、排熱をエネルギーに変換することで自動車やトラックの燃費向上・排ガス削減に貢献する。(2016年9月14日付プレスリリースより)
特許
-特許申請数は年間約500件。2016年は501件の特許を申請した。
部門別設備投資額 |
(単位:百万ユーロ) |
2016年12月期 | 2015年12月期 | 2014年12月期 | |
シート | 179.1 | 184.8 | 152.6 |
クリーンモビリティ (旧排気コントロール) | 215.9 | 203.4 | 139.5 |
内装システム | 224.0 | 188.8 | 158.7 |
外装 | - | - | 45.5 |
その他 | 49.6 | 46.2 | 22.9 |
IFRS5による修正 | - | - | (44.5) |
合計 | 668.6 | 623.4 | 474.7 |
地域別設備投資額 |
(単位:百万ユーロ) |
2016年12月期 | 2015年12月期 | 2014年12月期 | |
フランス | 112.2 | 99.0 | 73.7 |
ドイツ | 28.9 | 35.9 | 54.4 |
その他欧州 | 190.5 | 146.1 | 160.0 |
北米 | 148.2 | 154.8 | 123.0 |
南米 | 18.4 | 18.9 | 21.3 |
アジア | 165.9 | 159.2 | 83.8 |
その他 | 4.5 | 9.3 | 3.0 |
IFRS5による修正 | - | - | (44.5) |
合計 | 668.6 | 623.4 | 474.7 |
海外投資
<米国>
-2016年10月、米国のインディアナ州Columbusに新工場を開設したと発表した。投資額は57百万ユーロ。このColumbus South工場の面積は37,000平方メートルで、従業員数は450名となる。商用車用エミッションコントロール製品を生産し、Cummins Emission Solutionsに納入する。(2016年10月6日付プレスリリースより)