Mahle GmbH 2017年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
2017年
12月期
2016年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 12,788.0 12,321.8 3.8 1)
純利益 102.2 63.0 62.2 -
部門別売上高
エンジンシステム・部品 2,799.0 2,683.4 4.3 2)
フィルター・エンジン周辺機器 2,245.7 2,190.5 2.5 3)
サーマルマネジメント 4,480.9 4,293.3 4.4 4)

要因

1) 全社売上高
-2017年12月期の全社売上高は前年比3.8%増加の12,788.0百万ユーロで、3年連続の高記録達成。売上増は既存事業の成長によるもの。2016年10月の同社産業用濾過事業の売却やドイツの鍛造ビジネスの売却などにより205百万ユーロの売上減。為替の悪影響により104百万ユーロの減収。

2) エンジンシステム・部品
-2017年12月期のエンジンシステム・部品事業の売上高は前年比4.3%増の2,799.0百万ユーロ。為替の影響を除くと売上は約9%伸びた。ドイツの鍛造オペレーションやMahle Metal Leve Miba Sinterizadosなどの売却により90百万ユーロの減収。商用車スチールピストン、乗用車用ガソリンエンジンピストンやコンプリートピストンシステム全ての売上増が事業部の成長に貢献した。またアジア太平洋地域、特に中国の商用車市場での好調な業績も事業部を支援した。

3) フィルター・エンジン周辺機器
-2017年12月期のフィルター・エンジン周辺機器事業の売上高は前年比2.5%増の2,245.7百万ユーロ。欧州と中国のオペレーションが同事業部の売上増に貢献した。エアインテークモデュール、エアフィルターモデュール、オイルフィルター、シリンダーヘッドカバーやオイルクーラーなどが販売好調なシステムや部品であった。

4) サーマルマネジメント
-2017年12月期のサーマルマネジメントの売上高は4.4%増加の4,480.9百万ユーロ。為替の影響を除き、事業部としては5.5%の成長で、アジア太平洋および南米地域での売上が伸びた。



企業買収

-同社は、2017年3月に発表したスペインのエレクトロニクス企業Nagaresの買収が完了したと発表した。買収に伴い同社はエレクトロニクス事業を強化し、エレクトリックドライブ、補助部品、サーマルマネジメントなどのeモビリティ部門に注力する。Valenciaの開発センターはMahle Electronicsが操業する。同社グループ内でエレクトロニクス事業のグローバル・コンピテンスセンターとしての位置を確立することが狙いとなる。(2017年5月24日付プレスリリースより)

-同社は、ドイツDuisburgに拠点を置くO-Flexx Technologiesを買収し、熱電事業を強化すると発表した。熱電技術では、内燃エンジンからの排熱を電気エネルギーに変換することや、電気エネルギーを冷暖房機能として供給することが可能となる。O-Flexx Technologiesは2006年設立、熱電部品の開発に特化した企業で、製品は電動車の室内暖房に採用されている。(2017年2月13日付プレスリリースより)



再編

-同社は、Boschと同社の合弁会社Bosch Mahle Turbo Systems(BMTS)を投資会社のFountainVest Partners(FountainVest)に売却すると発表した。今回の取引は2017年9月6日に合意に至っており、FountainVestは約1,300名の従業員を含む全事業を取得する。BMTSは2008年設立、Boschと同社は2017年初めからBMTSの売却を計画していた。FountainVestは、BMTSの事業を成長の見込める中国および北米市場に参入させる。(2017年9月7日付プレスリリースより)

-リケンは、米国のピストンリング合弁会社アライドリングを2018年末に解散すると発表した。リケンと合弁相手の同社現地子会社が合意した。今後はそれぞれが独自に事業を展開する。(2017年3月24日付日刊自動車新聞より)

-同社は鍛造部品工場をオーストリアのFrauenthalに売却すると発表した。今回の売却は、Plettenberg工場およびRoswein工場のそれぞれ510名と130名の従業員に影響を及ぼす。これらの工場では、コネクティングロッドおよびバランスシャフト用高圧鍛造スチールブランクの開発・生産を行っている。この2工場の2016年の売上高は約125百万ユーロ。同社のドイツ国内従業員の雇用を保護する協定は両工場の従業員にも適用され、2019年末まで強制解雇が禁止される。Frauenthalグループは自動車事業部門と貿易事業部門から成るコングロマリットで、欧州および中国に9拠点を有する。2015年の売上高は約791百万ユーロ、従業員数は3,121名。(2017年1月30日付プレスリリースより)



最近の動向

-Behr Hella Serviceは、2017年7月初旬からサンデンのeコンプレッサーを欧州アフターマーケット市場で独占販売すると発表した。サンデンは、1990年にEV向け電動コンプレッサーを開発し、現在はeコンプレッサーに関する様々な特許を保有している。Behr Hella Service は、OEM、Behr、AKG、Visteon等の4,500製品を取り扱う表示システム「Premium Line」を2017年初めに導入したが、サンデンのコンプレッサー製品も「Premium Line」に組み込む。「Premium Line」の取扱い製品は、Mercedes-Benz「B-Class」、Volvo 「V60ハイブリッド」等に搭載されている。(2017年6月23日付プレスリリースより)



受注

-Iran Khodroは、現在進行中の新型車プラットフォームの開発プロジェクトに関する詳細を発表した。プロジェクトは、Pininfarina、Hyundai Powertech、Mahleを主要パートナーとして迎え入れ、共同で開発を行うという。Pininfarinaは、ハッチバック、セダン、クロスオーバー、ピックアップのモジュラープラットフォームの設計を担当する。同社は、2種類の3気筒ターボガソリンエンジンを設計する。Hyundai Powertechは、オートマチックトランスミッションの開発を行う。共同開発による初の新型車は、市場投入まで約2年半を要する見込み。その他、100社を超えるイランの現地自動車部品メーカーが新規プロジェクトに携わるという。(2017年10月30日付プレスリリースより)

-Anand Groupは、同社との折半出資による合弁会社Mahle Filter Systems India (MFSIL)がBS-IVやBS-VI排気規制に適合するカーボンキャニスターを新たにインド市場に投入したと発表した。同製品は、マルチ・スズキの多目的車 (MUV) と「エルティガ(Ertiga)」に搭載される予定。(Anand Group ニュースレターより)



研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
全社 748 753 657

-2017年12月期、全社売上高の約5.8%にあたる748百万ユーロを研究開発費に投資した。



研究開発体制

-2017年末時点、16か所の主な研究開発センターで6,067名が研究開発に従事している。



研究開発施設

-同社Powertrainは、英Northamptonに建設中のRDE (Real Driving Emission=実路走行排気) 試験センターに関連し、Weissから高度・気候制御システムが納入されたと発表した。ハイテクの同システムは、同社のNorthamptonに対する総額8百万ポンドの投資の一環で、センターは2018年半ばまでに完成する予定。実験室は、高度5,000メートルまで、気温-40℃から60℃、湿度10-80%、換気量1時間につき7万立方メートルの環境を提供し、自動車メーカーは、実証実験のために高低温な気候や高地に行くことなく、次世代のガソリンエンジンを開発することが可能になるとしている。 (2017年12月14日付プレスリリースより)



技術提携

-同社は、Faureciaと提携し、将来のモビリティー向けに内装のサーマルマネジメント技術を共同開発すると発表した。Faureciaの内装システムに関する技術と、同社の持つ快適さやエネルギー効率といった総合的な温度管理に関する技術との統合を目指す。提携分野として、EVのための空調ソリューション、将来のコックピットのための個別化されたサーマルマネジメントの共同開発などがすでに候補に挙がっているという。(2017年10月10日付プレスリリースより)



製品開発

EVシンポジウムでの革新技術
-同社は、ドイツのStuttgartで開催される電気自動車シンポジウム展示会 (EVS)で、都市型モビリティ向け48Vコンセプトカー「MEET (Mahle Efficient Electric Transport)」を含む幅広いeモビリティ技術を披露すると発表した。EVのサーマルマネジメント技術やレンジエクステンダーも紹介される予定。(2017年10月6日付プレスリリースより)

「IAA 2017」での紹介された効率的な電気輸送デモンストレータコンセプト
-同社は、都市型モビリティ向け48Vコンセプトカー「MEET (Mahle Efficient Electric Transport)」を発表した。MEETは独フランクフルトモーターショー2017にて公開される。MEETの技術的コンセプトは、エネルギー効率の最大化。高速での走行を考慮して、デモカーの出力を28kWに設定し、電圧48Vを採用している。電圧レベルが60Vを下回る場合、コストのかかる電気障害の対策を講じる必要がないため、低コストに抑えることができるという。Mahle IPM (Interior Permanent Magnet Synchronous Motor) は、永久磁石式同期モーターと48Vシステムが効率的に統合されているため、広いスピード範囲で効率的に走行することが可能。 (2017年8月3日付プレスリリースより)

摩擦低減パワーセルユニット
-同社は、ピストン、ピストンピン、ピストンリング、シリンダーライナーで構成され摩擦を低減したパワーセルユニット(PCU)を開発した。このPCUは最適なクリアランス、摩擦接触面を少なくした低摩擦面を利用した設計になっている。摩擦低減は基本的な基準寸法を変更せずエンジンの出力増加を可能にする。新しいPCUの摩擦低減はCO2排出量を2.5%まで低減する。さらに部品は低粘度油の使用を可能にする様に設計されている。その結果ピストンはより少ない冷却油で済みシステムとして追加の燃料を必要としない。

U-フレックスオイル制御リング
-同社のU-フレックスピストンリングはエンジン燃焼室に入るオイルの量を減らすことによりオイルアッシュや微粒子排出物を減らす。

流体マネージメントモデュール
-同社は水冷回路制御と安全装置とを組合せ12Vあるいは48Vで操作可能な電動水冷ポンプから成る新しい流体マネージメントモデュールを開発した。このモデュールにより冷却液をより迅速にコントロールする利点やエンジン燃焼のためのウォームアップ時間を短くする利点が得られる。これによりCO2排出量を2%までセーブ出来る。さらにこのモデュールはEVにも装着出来る。

空調システム部品
-同社は400Vおよび800V用電動コンプレッサーを開発した。同社はまた空気から個体とガス粒子を濾過し臭いを除去する5層から成る新しいCareMetrixキャビンエアフィルターを開発した。



特許

-2017年に369件の特許を申請した。



設備投資額

(単位:百万ユーロ)
部門 2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
全社 612 563 564

-2017年12月期、同社の欧州における設備投資額は約306百万ユーロで、全体の約50%を占めた。欧州における投資はポーランド、チェコ、ルーマニア、ドイツなどの工場拡張同様、スロバニアのメカトロニクス工場にも行われた。

-2017年12月期、北米向け投資額は約141百万ユーロで全体の約23%。内訳は主に米国およびメキシコ拠点の拡張。

-アジア太平洋地域への投資は129百万ユーロで全体の約21%だった。内訳は主に中国の工場の拡張や新しい工場の設立。また日本の所在地の拡張にも多額の投資を行った。