Benteler 2009年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)
  2009年
12月期
2008年
12月期
増減率
(%)

要因

グループ全体
売上高 4,563.8 6,327.4 (27.9) -
自動車部品部門
売上高 3,604.5 4,579.8 (21.3) 1)

要因
1)
シャシーシステム製品グループ
-シャシーシステム製品グループは、23%減少。
-部品売上は15%減少。フロント・リアサスペンションのモジュール売上は26%減少。
-顧客が直接調達方式を採用したこと、クライスラー破たんによる損失、日本の生産拠点の閉鎖などが背景となる売上減少は10%相当。

構造製品グループ
-構造製品グループの売上は、11%減少。
-北米市場での販売不振は特に深刻な影響を与えた。

エンジン・排気システム製品グループ
-エンジン・排気システム製品に売り上げは32%減少。
-米市場の売上減少については減少を予測していたものの、欧州地域の売上減少幅が予想以上に大きかった。
-北米と南米の落ち込み幅は約50%。特に大きな減少は北米の排気システム事業で前年に比べ51%減少。

エンジニアリングサービスグループ
-エンジニアリンググループの売上は21%減少。この減少は特にオランダの拠点に影響を与えた。
-一方、メカニカルエンジニアリングについては落ち込み幅は緩やかだった。

合弁事業

-欧州のカーボンファイバーメーカーであるSGL Groupと合弁会社を設立。独Paderbornを本拠とする新合弁会社Benteler SGL GmbH & Co. KGに、自動車部品生産及び開発またカーボンファイバーや製品原材料の生産における両社のノウハウをプールする。

企業買収

-ドイツのBenteler-SGL GmbH & Co. KGは、オーストリアのFischer Composite Technology GmbH (FCT)を買収。Benteler-SGLは、Benteler AGとSGL Group(ドイツ)の合弁会社。自動車向けCFRP(炭素繊維複合材料)部品の製造・販売を行っている。また、FCTは複合材料を使った自動車部品メー カーで、サイドブレードやドアといった車体外装部品などを製造。(2009年2月9日付プレスリリースより)

-Norsk Hydroの自動車構造部品事業買収を発表。この事業ではバンパー、横転保護システム、クラッシュマネジメントシステム、構造部品など、アルミニウム製品 を製造。生産拠点はノルウェーRaufoss工場を中心に、米国、中国、チェコ、スウェーデン、デンマーク、フランス、ドイツなど、世界11ヶ所。なお、 同事業は2008年に260百万ユーロの売上高を記録した。(2009年10月27日プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2009年12月期 2008年12月期 2007年12月期
全社 95.8 123.3 109.3

 

製品開発

-合弁企業のBenteler SGL GmbH & Co. KGの協力を受けて、同社ではコストアップは妥当なレベルに抑えながら、大幅な重量減と性能向上を可能とするスチール炭素繊維補強プラスチック(CFP) 複合材料をどの部品に採用したらよいか具体的な部品の特定調査を行なった。その結果、重量減はそれぞれの部品によるが最高50%まで可能、特定の衝撃抵抗 要件に個々に対応できるよう設計された炭素繊維補強プラスチックBピラー用材料として採用可能であることが判明。また、同材料の大量生産を可能にするため の様々な方法についての検討も行なわれた。

エアバッグ
-エアバッグ部品用チューブの改良型プロトタイプを2009年度内に大手エアバッグメーカーに供給。生産方法と熱処理工程の最適化により硬質材料の応用範囲をさらに拡張することに成功。

スタビライザー

-パイプ型スタビライザーの重量は中空でない型に比べて30%から40%軽い。スチール/チューブ部門が市場に導入したこの製品は、特別に開発したメカニ カルな特性を保有する、高強度で、水冷焼き入れをほどこした、強化マンガンホウ素鋼鉄により構成されている。同社は、このパイプ型スタビライザーの継続生 産を初めて2009年にスポーツタイプ車両向けに開始。この製品は、1,200MPa以上の硬度を有するものの冷間曲げ加工が可能で、顧客は本来必要とさ れる本格的な熱処理加工を行わずにすむ。

ドア強化部品
-乗用車の側面衝突保護を目的としたシングルタイプのチューブで構成された製品を開発。この製品は従来の2本チューブ式に比べ、衝突時の保護性能に優れかつ製造コストも安い。廉価材料と低生産コストによりさらなるメリットが生じている。

自動車用の材料と軽量な車体構造
-CRPとGRP(炭素とガラス補強プラスチック)などの連続繊維補強プラスチックを採用する車両軽量化に対する課題に応じる目的で2008年に設立した 合弁会社”Benteler SGL GmbH & Co. KG”ではこうした材料を採用した大量生産可能部品を開発した。 同社では軽量化構造部品のサンプルとしてドイツ自動車メーカーとBピラーを使ったFRP(繊維補強プラスチック)スチールのハブリッド技術を開発中。 Benteler SGL社ではCAE技術と代替試験を行いながら研究活動を行う。検査にはメーカーの施設を使った車両衝突試験も予定されている。車体構造に強化繊維を使っ た製品は他の用途を対象に開発が進められており、その例としてFRPスチールのハイブリッド技術を採用した天然ガス燃料タンクがあげられる。また、このタ ンクは軽量材使用によるコスト削減と弾力的工法という二つのメリットが結合して実現したもの。この新構造は従来のスチール製品に対しその重量がほぼ半減す る。2009年に買収したFischer Composite Technology (FCT)社のRied工場(オーストリア)のRTM(レジントランスファー塑造)とプリプレグ技術方式による生産手法を工場規模でBenteler SGLに移転。シャシースプリングの製造時にRTM技術の応用は現在試験中で自社技術を市場に将来導入することに目標としている。

設備投資

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
  2009年12月期 2008年12月期 2007年12月期
グループ全社 144 208 318
自動車部品部門 104 133 132

-同社は2009年12月期に144百万ユーロの設備投資を実施。このうち135百万ユーロは有形固定資産に投資。

-総額104百万ユーロ(全体の72%)が自動車部品部門の生産設備に使用。設備投資を実施した重要なプロジェクトには、ルノー(フランス工場)、フォー ド(メキシコ工場)とメルセデス(中国工場)のアクスルプロジェクトなどが含まれる。また2009年の新工場建設に関する大きな投資はスロバキアと中国。

海外投資

-自動車部品部門は、スペインにVW PoloおよびSeat Ibiza向けモジュール組立工場を建設。