Autoneum Holding Ltd. (旧 Rieter Automotive) 2015年12月期の動向

業績

(単位:百万スイスフラン)
2015年
12月期
2014年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 2,085.9 1,954.7 6.7 1)
純利益 68.7 102.8 (33.2) 2)


要因
1) 売上高
-2015年12月期、売上高は前年比6.7%増の2,085.9百万スイスフラン。スイスフラン高の影響にかかわらず、SAMEA (南米・中東・アフリカ) 以外のすべての地域で売上高が増加した。

-欧州では増産に伴い売上高が増加した。北米では、米系および日系OEMの量産モデル向けに製品を供給し増収。アジアでは、スイスメーカーおよび海外OEM向けに供給を開始し増収。一方、SAMEA部門は、ブラジル市場減速の影響で減収。

2) 純利益
-2015年12月期、純利益は前年比33.2%減の68.7百万スイスフラン。欧州における稼働率向上、北米およびアジア市場の材料効率改善、生産性向上等の増益要因があったが、違約金などの臨時費用、増税、設備投資拡大等の影響で減益となった。

受注

-2015年の主な新規受注プログラム:

  • ドイツ高級車メーカー向けカーペットシステム
  • ドイツ系および日系自動車ーメーカー向けテキスタイル素材のアンダーボディシステム、フードライナー
  • スウェーデンメーカーの中国拠点向けカーペットシステム、ヒートシールドおよびフードライナー

事業再編

-設備更新、生産性向上のため、ブラジル サンパウロの工場を移転した。

受賞

自動車メーカー Autoneumの工場 受賞名
Daimler (北京Benz) 中国 北京市 Qualified Supplier Award 2014
Ford 米国 Bloomsburg; スペイン Valldoreix Q1 Certification 2014
GM 米国 Bloomsburg; カナダ London; ポーランド Katowice GM Supplier Quality Excellence Award 2014
Jaguar Land Rover スイス Sevelen; ポルトガル Setubal; 英国 Stoke-on-Trent; ポーランド Katowice; チェコ Chocen Jaguar Land Rover Quality Award
トヨタ インド Chennai Toyota Certificate of Recognition of Quality and Delivery 2014
米国 Bloomsburg Toyota Quality Alliance Gold Award 2014
Volvo スイス Sevelen Volvo Quality Excellence Award (VQE) 2014

見通し

-2016年12月期の売上高 (為替の影響を除く) は前年比4~5%増になると予測。売上高営業利益率も前年を上回ると予想。

-2020年までに売上高を2,600百万スイスフランに引き上げる計画。同時に、新興国の売上高を全体の20%以上に、EBITDAを12%に引き上げることを目指す。

研究開発費

(百万スイスフラン)
2015年12月期 2014年12月期 2013年12月期
全社 60.7 57.1 64.4


-近年は新材料や新製品の開発に加え、新たな生産技術の開発に取り組んでいる。特に軽量で吸音性が高いカーペット、断熱性に優れた内装部品、アンダーボディ用エアロダイナミックカバー、ヒートシールド、パワートレインのカプセル化技術等に注力している。

研究開発体制

スイス Winterthur (本社) -アコースティックセンター
-研究開発センター
Sevelen -開発センター
フランス Aubergenville -アコースティックセンター
-開発センター
ドイツ Rossdorf-Gundernhausen -アコースティックセンター
ポーランド Katowice -開発センター
米国 ミシガン州Fmarmington Hills -アコースティックセンター
-開発センター
イリノイ州Tinley Park -アコースティックセンター
-開発センター
ブラジル Sao Bernardo do Campo -アコースティックセンター
-開発センター
中国 上海市 -アコースティックセンター
-開発センター
日本 東京都北区
(日本特殊塗料との合弁)
-アコースティックセンター
静岡県
(日本特殊塗料との合弁)
-アコースティックセンター

製品開発

「Theta-FiberCell」繊維フォームを使用したエンジンカバー
-「Theta-FiberCell」 繊維フォームを使用した多機能エンジンカバーを開発した。従来の樹脂製カバーに比べ50%以上軽く、1台につき最高で1kgの軽量化につながるという。「Theta-FiberCell」 は摂氏200度までの使用環境に耐え、耐振性も高い。これにより車内の高い断熱性および吸音性を実現する。(2015年10月22日付プレスリリースより)

インナーダッシュ、フロア断熱部品用「Prime-Light」軽量材料

-インナーダッシュやフロア用断熱部品向けの新技術 「Prime-Light」 を開発した。同社の 「Ultra-Light」 技術をさらに改良したもの。「Prime-Light」 を用いた部品は、既存の 「Ultra-Light」 の製品に比べて、さまざまな形状やサイズに成形できる。また、同レベルの防音性能を維持しながら軽量化を実現。従来製品に比べて30%軽量化したことで、「Prime-Light」 を用いたインナーダッシュやフロア用断熱部品は、平均2kg以上の軽量化が可能になるという。また、これらの部品には熱可塑性綿フェルトコンパウンドを使用しており、リサイクル材料の割合は用途に応じて最大50%となる。「Prime-Light」 の量産は、複数の米国自動車メーカー向けに、2016年より北米と中国で開始される予定。(2015年6月18日付プレスリリースより)

プレミアムカーペット

-自動車用の高品質カーペットのラインナップを拡充し、高級車向けの品質をコンパクトカーやミドルクラス車向けにも供給すると発表した。同社の新しい 「Clean-Tuft」 システムは、これらのクラスの車両で多く使用される不織布に比べて、高い洗浄・清掃性や耐久性を実現する。(2015年1月12日付プレスリリースより)

設備投資額

(単位:百万スイスフラン)

2015年12月期 2014年12月期 2013年12月期
欧州 27.5 25.3 23.1
北米 61.2 48.2 34.0
アジア 14.4 9.9 10.5
南米・中東・アフリカ (SAMEA) 13.2 13.7 7.0
グループ共通 4.4 4.9 6.2
全社 120.7 101.9 80.7

海外投資

<メキシコ>
-2015年8月、北米市場における事業拡大に向けて、メキシコに同国3番目となる生産拠点を設立すると発表した。サン・ルイス・ポトシ州のSan Luis Potosiに建設する新工場では、2017年よりカーペットシステム、インナーダッシュ、フロア用断熱部品の生産を開始する予定。工場面積は19,000平方メートルで、北米に拠点を持つ米国やドイツの自動車メーカー向けに納入する。(2015年8月20日付プレスリリースより)

<米国>
-2015年、米国インディアナ州Jeffersonvilleおよびオハイオ州Monroeの新工場でカーペットシステムとアンダーボディシールドの生産を開始した。これらの工場は2014年に完成した。

<中国>
-太倉市、瀋陽市、広州市の工場で生産能力拡大のための拡張工事を完了した。これらの工場は、欧州系、米系、中国系メーカー向けに製品を供給している。