日立金属 (株) 2020年3月期の動向

業績

(IFRS、単位:百万円)

2020年
3月期
2019年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上収益 881,402 1,023,421 (13.9) -主力製品を中心に需要が減少したことや原材料価格下落(価格スライド制)の影響に加え、素形材製品セグメントの構造改革施策に伴う減少等による
営業利益 (39,126) 42,442 (72.0) -
税引前利益 (40,614) 43,039 - -
親会社の所有者に帰属する当期利益 (37,648) 31,370 - -

 

事業動向

「AMソリューションセンター」設立

-金属積層造形(金属3Dプリンター)事業の強化のため、4月1日付で金属材料事業本部に新たな組織として「AMソリューションセンター」を設立すると発表した。金属積層造形に加えて、粉末射出成形や精密鋳造など幅広い造形分野で、顧客の要望に応じて素材、設計、加工、レシピを含めた提案を行う。(2020年3月13日付日刊自動車新聞より)

磁性材料事業の再生

同事業は需要低迷の長期化や電動車向け磁石の価格競争の激化で収益性が悪化し、2019年4~9月期には約400億円の減損損失を計上した。生産体制の見直しや人員削減を進め、機動的でコスト競争力を重視した事業戦略への転換を図る。磁性材事業の再生では複数の生産拠点を閉鎖し、拠点の統合も検討する。開発や生産のコストダウンにも取り組む。一方で、将来的に需要が見込める海外拠点 (中国、フィリピン) は生産比率を高めるなどによって「在庫調整にも機動的な生産体制を敷く」ことで磁性材事業を立て直す。(2019年10月31日付日刊自動車新聞より)

  

研究開発費

(単位:百万円)
  2020年3月期 2019年3月期 2018年3月期
合計 15,918 18,604 17,749

 

研究開発拠点

拠点名 所在地
グローバル技術革新センター 埼玉県熊谷市
冶金研究所-特殊鋼研究部 島根県安来市
冶金研究所-素形材研究部 栃木県真岡市
桑名工場開発センター 三重県桑名市
機能部材研究所-磁性材料研究部 埼玉県熊谷市
機能部材研究所-パワーエレクトロニクス研究部 鳥取県鳥取市
機能部材研究所-電線材料研究部 茨城県日立市

 

英オックスフォード大学とアモルファス金属とニッケル (Ni) 基超合金の共同研究組織設立に関する契約を締結

-オックスフォード大の冶金技術と日立金属の材料開発技術を組み合わせ、アモルファス金属リボンの加工モデルの確立やNi基超合金の機械的特性に及ぼす支配的組織因子の解明を進める。次世代の省エネモーターや航空機エンジンの進化につながる加工技術や材料技術の確立を目指す。(2020年3月30日付日刊自動車新聞より)

 

独フラウンホーファーとオンボードチャージャーの高電力密度化技術を開発

-電力密度を業界最高の3.8キロワット/リットルに引き上げることに成功した。電気自動車 (EV) やプラグインハイブリッド車 (PHV) に搭載することで充電時間の短縮につながる。新技術は、日立金属の軟磁性部材とフラウンホーファーの回路技術を用いることで実現した。具体的には、入出力のノイズフィルター部のコモンモードチョークコイルに結晶粒が細かく磁気特性が優れる磁性材料「FT-3K50T」、整流・力率改善回路部のチョークコイルに直流重畳特性などに優れる「HLM50」を採用。DC/DCコンバーターには低損失軟磁性材料「ML29D」を用いた共振インダクター一体型絶縁トランスを使用し、出力を高めた。3台を並列接続する3相入力の出力が11キロワットになることも確認した。同オンボードチャージャーは、最大6台まで並列接続可能な設計を採用しており、22キロワットまで出力を高められる。(2019年4月17日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

(単位:百万円)
  2020年3月期 2019年3月期 2018年3月期
全社 53,019 95,389 91,786

 

<ベトナム>
-電動パーキングブレーキ(EPB)用ハーネスのグローバル生産体制を強化すると発表した。駆動系や制御システムの電動化に伴いEPBの搭載車種が増加する中、同社はEPBハーネスの需要に応えるため、ベトナム・ハイズン省の拠点にハーネス用ケーブルの製造設備を導入するほか、タイ・アユタヤ市の拠点ではEPB用ハーネスの生産能力を増強するという。なお、両拠点ともに、2020年度上期に拡張が完了する見込みとしている。(2019年5月27日付プレスリリースより

<グループ会社動向>
-ミシガン州経済開発公社 (Michigan Economic Development Corporation: MEDC) は、
日立金属グループ傘下のWaupaca Foundryがミシガン州Ironwood工場を拡張・開設したと発表した。Waupaca Foundryの投資額は4.3百万ドルに上ると見込まれる。61名の新規雇用を予定する新拠点では、同社ウィスコンシン州工場で製造された鋳鉄品を加工する。(2019年7月18日付 Michigan Economic Development Corporationのリリースより