ElringKlinger AG 2019年12月期の動向

業績

 (単位:百万ユーロ)
  2019年
12月期
2018年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 1,727.0 1,699.0 1.6 1)
EBITDA 181.0 196.6 (7.9) -
OE部門
売上高  1,423.4 1,407.7 1.1 2)

要因
1) 全社
-2019年12月期の売上高は、前年比1.6%増の1,727.0百万ユーロ。米ドル、メキシコペソ、及びスイスフラン等の為替の影響が25.1百万ユーロ、1.5%の増加をもたらした。一方、2018年のHug社買収による連結範囲の変更によって6.2百万ユーロの減少となった。上記の要因を除いた増加は0.5%。


2) OE部門
-2019年12月期の売上高は、前年比1.1%増の1,423.4百万ユーロ。軽量化/エラストマー技術・Eモビリティ事業の売上高が増加したものの、その他事業部門は売上減となった。

 

事業動向

-2030年までにバッテリーおよび燃料電池技術関連の売上高の構成比率が現在の7%から25%超に成長する見込みであると発表した。同社は中核事業を継続的に重視し、2018年に排ガス浄化を専門とするSwiss Hug Groupを売却、またドイツのノイブランデンブルク (Neubrandenburg)に本拠を置くnew enerdayも売却しており、今後は燃料電池技術分野の低温PEM燃料電池事業に注力するという。さらに投資については、戦略的観点から将来的に特に重要であると考えられる事業分野に向けるとしており、現在はデッティンゲン (Dettingen)本社にバッテリーと燃料電池アプリケーション技術に特化したエレクトロモビリティ技術センターを建設中。この新センターは2020年第1四半期に稼働開始予定。(2019327日付プレスリリースより)

 

事業提携

燃料電池技術分野でオランダのVDLグループとの協業を発表した。両社は欧州の資金調達プロジェクト「H2Haul」に参加しており、他のプロジェクトパートナーのサブプロジェクトに加えて、3台のVDL車両にElringKlingerの燃料電池システムを搭載し、ベルギーのColruyt Group協力のもと実運用のテストを行っている。H2Haul」はFuel Cells and Hydrogen Joint Undertaking (FCH JU)からの12百万ユーロの助成金により実現したプロジェクトで、ElringKlingerの燃料電池モジュールはバスやコーチなどにも使用される予定。ElringKlingerのスタックは、2-150 kWの出力で利用可能で、オプションとして、エンドプレートモジュールに統合された周辺コンポーネントとシステム機能を装備できるため、燃料電池システムのコストを大幅に削減できるという。(20191021日付プレスリリースより)

 

受注

米国の電気自動車(EV)メーカーとシリーズ契約を締結し、EV用コックピット・クロスカービームを供給すると発表した。契約期間は5年間で、受注額は数千万ユーロ規模となる見込み。製品はカリフォルニア州Fremont工場で2020年に生産開始予定。ElringKlingerは、ハイドロフォーミングと射出成形を単一のプロセスステップで組み合わせた革新的な生産プロセスを活用して、車体用の軽量樹脂コンポーネントを生産する。この製品は高い寸法精度と構造強度を持ち、樹脂と金属両方の利点を備えると同時に、金属製品よりも大幅な軽量化を実現するという。(20191112日付プレスリリースより)

研究開発費

 (単位:百万ユーロ)
  2019年12月期 2018年12月期 2017年12月期
全社 80.8 87.2 75.9
売上に占める割合 (%) 4.7 5.1 4.6

注: 外部からの出資に基づく研究開発費を含む

研究開発体制

-2019年12月31日現在、研究開発に従事するスタッフは611名。同社は主にドイツ拠点及び米国サウスフィールド拠点にて研究開発活動を行っている。

 

研究開発動向

ー2019年12月期、同社は81件の特許を申請した

ー2019年12月期、同社は以下において研究開発活動を行った。

-特殊ガスケット

  • 排ガス再循環システム向けコンパクトチェックバルブ付シーリングシステム

-シールド技術

  • 排熱管内における温度管理システム

-軽量化

  • バッテリーシステムにおける車体下部保護製品
  • クロスカービーム、フロントエンドキャリア及びアダプターの設計改良、新機能追加、生産工程改善、材料見直し

-オルタナティブドライブテクノロジー

  • バッテリーセルにおけるセルハウジング、圧力平均化ユニット、空気口及びベントエレメント等の改良

-高い電力密度の低温燃料電池スタック「NM12」を開発したと発表した。欧州委員会が後援するVOLUMETRIQプロジェクトの一環として、NM12は乗用車・商用車および高レベルのパフォーマンスを必要とするアプリケーション向けに開発されたJohnson Matthey Fuel Cells Solvay Specialty PolymersCNRS Montpellierも開発に加わった。NM12の体積出力密度は5.7kW / l、電流密度は2.5A /cm²。(20191121日付プレスリリースより)

 

設備投資額

 (単位:百万ユーロ)
  2019年12月期 2018年12月期 2017年12月期
全社 130.0 178.6 166.2

 

海外投資

-同社の南米地域の本拠地であるブラジルのPiracicabaの工業団地内に25百万ブラジルレアルを投じて新規工場を開設したという。6,200平方メートルに及ぶ施設は4,500平方メートルの生産エリアを持ち、そこではカムシャフトカバー、インテークマニホールドカバー、ギアボックスカバーなどの樹脂製品を生産する。なお同社は、自動車と産業分野での部品に特化しており、シリンダーヘッドガスケット、シリンダーヘッドカバー・クランクケースカバー用の樹脂モジュール、軽量樹脂パーツ、遮音装置、ハイブリッド車および電気自動車用のバッテリーモジュールや燃料電池を生産しており、その他エンジンや工具技術などのサービスも提供しているという。(2019年4月18日付複数報道メディアより)