東洋ゴム工業 (株) 2010年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2010年
3月期
2009年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 287,726 328,371 (12.4) -
営業利益 8,664 (2,964) - -
経常利益 8,979 (6,179) - -
当期純利益 2,957 (10,722) - -
タイヤ事業
売上高 214,291 242,054 (11.5) 1)
営業利益 6,933 (1,395) - -
ダイバーテック他事業
売上高 73,434 86,555 (15.2)

2)

営業利益 1,760 (1,559) - -

要因
1)
タイヤ事業
-国内の新車用タイヤは、エコカー減税など支援策の影響もあり国内自動車生産台数が回復傾向にあることや同社品装着車種の販売が好調に推移したことにより、販売量・売上高ともに前年を大幅に上回ったが市販用タイヤが前年を下回ったことにより減少。

2)
ダイバーテック他事業
-自動車用防振ゴムは、自動車生産台数が回復傾向にあるが本格的に回復するまでには至らなかったため、売上高は前年を下回った。
-自動車用シートクッションは、ハイブリッド車などエコカー向けの受注が好調だったこともあり、売上高は前年並みを確保した。

受注

-2009年のプレスリリースによる主な受注は以下の通り。
メーカー・モデル 搭載部品
トヨタPrius タイヤ
マツダAxela タイヤ PROXES R32 (205/50R17),
TOYO J48 (205/55R16)
Lexus HS250h
(米国、カナダ向け)
タイヤ PROXES A20 (P225/45R18 91W)
英国三菱
Lancer Evolution X FQ400
タイヤ PROXES R1R (245/40 ZR18 93W)
Audi AG タイヤ PROXES T1-AO (265/35ZR19 98Y)
トヨタSAI タイヤ PROXES J54 (205/60R16)

事業概況

-日米でタイヤの生産能力増強や合理化を2009年秋から実施することを決めた。第三者割当による新株予約権付き社債を発行し、約50億円の資金調達を実施する。2009年9月から2011年3月期の上半期にかけて、国内における環境配慮型タイヤの生産能力の増強とコスト競争力強化に向けた合理化投資を展開。北米ではタイヤ工場の生産能力増強を行う。(2009年7月10日付日刊自動車新聞より)

-米国市場向けのタイヤ供給体制の見直しを実施する。米国政府が中国製タイヤに対して発動したセーフガード(緊急輸入制限)に伴い、中国からのタイヤ供給を停止。中国から供給していた約200万本分を日本と米国に振り分けることを決めた。中国から供給していた 200万本のうち50万本を米国生産に、150万本を日本からの供給に変更する。(2009年11月11日付日刊自動車新聞より)

-米国ジョージア州のタイヤ生産子会社Toyo Tire North America Manufacturing Inc.(TNA)の累積生産本数が500万本に達したと発表。TNAの年間生産本数は、現在計画中の生産能力増強が完了する2010年夏には250万本に達する見込み。(2010年2月9日付プレスリリースより)

会社設立

-中国に子会社を設立すると発表。タイヤ需要の増加を受けて、単独出資で進出し、タイヤ製造を行う。新会社は、乗用車用、ライトトラック用タイヤの製造・販売を行う。江蘇省張家港市に工場を建設し、2011年12月から操業を開始する。生産能力は、乗用・ライトトラック合わせて年産200万本を予定。総投資額は9800万ドル(子会社資本金5千万ドルを含む)。従業員数は約500人の予定。(2010年1月29日付日刊自動車新聞より)

事業提携

-ブリヂストンと両社の包括提携で合意していたタイヤ相互生産委託について、実施地域を含めて再検討する。当初は2009年中に米州で相互生産委託を行う予定だったが、この間に市場環境が急激に変化したことを受け、同分野において両社にとって最適な形態を模索していくことにした。一方で、部材調達については、対象品目を拡大していくなど、比較的効果を生み出しやすい領域から取り組みを進めていき、提携の目的である業務効率の向上と相乗効果の創出を図っていく考え。(2010年2月23日付日刊自動車新聞より)

事業再編

-福島地区の事業再編を行うと発表。タイヤ用部材の製造を行う同社の福島工場と化工品の製造を行う子会社の福島ゴムを2009年7月1日付で統合する。同地区の生産品目がタイヤ用部材が大半を占める状況となってきたことから経営体制のスリム化を図るのが狙い。(2009年6月30日付日刊自動車新聞より)

-自動車用防振ゴム製造の子会社ティー・ジー・ケー(株)(三重県亀山市)を解散すると発表。今後の生産は他工場に移管・集約する。清算完了は2010年7月下旬を予定。(2009年8月6日付プレスリリースより)

-中国のタイヤ生産事業を再編すると発表。中国の合弁会社2社について合弁事業契約を解消し委託生産に切り替えるとともに、単独出資によるタイヤ工場を立ち上げる。新設する中国生産拠点は中国沿岸部に建設し、2011年末の操業開始を目指す。第一期の投資額は約100億円。中国市場向けの乗用車、ライトトラック用タイヤを年産200万本生産する予定。合弁を解消するのは1995年に台湾の正新橡膠工業と立ち上げ、自動車用タイヤやチューブ製造を行っている正新橡膠(中国江蘇省)。もう1社は2002年にマキシス国際などと立ち上げたトラック・バス用ラジアルタイヤの製造を行う厦門正新海燕輪胎(中国厦門市)。(2009年8月28日付日刊自動車新聞より)

-マレーシア子会社「Toyo Rubber (Malaysia) Sdn. Bhd.」(TRM)の株式の大半を、昭和ホールディングス(株)(千葉県柏市)に売却すると発表。TRMは工業用ゴム製品の製造・販売を行っている。この売却により、同社の保有比率は65.6%から10.0%に変更となる。(2009年10月13日プレスリリースより)

>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)

2011年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2011年3月期 2010年3月期 増減
売上高 300,000 287,726 12,274
-タイヤ 227,800 214,291 13,509
-ダイバーテック他 72,200 73,434 1,234
営業利益 10,400 8,664 1,736
経常利益 7,700 8,979 1,279
当期純利益 4,000 2,957 1,043

 

地域別売上高

(単位:百万円)
  2011年3月期 2010年3月期 増減
日本 155,400 159,908 (4,508)
北米 97,100 86,358 10,742
その他 47,500 41,458 6,042

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
事業セグメント 2010年3月期 2009年3月期 2008年3月期
全社 8,315 8,762 9,618
タイヤ 5,327 5,567 5,829
ダイバーテック他 2,102 2,326 2,951
共通 886 869 837

研究開発拠点

タイヤ技術センター 兵庫県伊丹市
研究開発センター 大阪府茨木市
自動車部品技術センター 愛知県みよし市
自動車部品東日本技術センター 千葉県千葉市
タイヤテストコース 宮崎県児湯郡
冬期タイヤテストコース 北海道常呂郡

研究開発活動

タイヤ事業
-タイヤ技術センターにおいて、タイヤ挙動と車両の挙動の解析を結び付けたタイヤ設計基盤技術およびタイヤ騒音や磨耗性能のシミュレーション技術開発により、商品開発を進めている。
-タイヤ技術センターの敷地に「生産技術工房」を建設し、工法にかかわる要素技術開発、生産技術の改善を推進。

ダイバーテック他事業
<輸送機器>
-先行技術開発として、最適接地サスペンションシステムへの取り組みから、車両の乗り心地と操縦安定性を高次元で向上させるLF-BUSHを完成させ、市場への投入を目指している。
-エンジンルーム内の温度上昇に対応した高性能高耐熱性防振ゴム材料の開発を行い、市場展開を目指している。
-環境問題への対応として鉛フリー、6価クロムフリーの製品開発を実施してきたが、現在は製造工程・製品からVOC(揮発性有機化合物)を削減するため、新素材への切替を進めている。
-車の燃費向上のために部品の軽量化および性能向上を目指し、アルミや樹脂材料の採用以外に新工法・新材料の開発を進めている。

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
事業セグメント 2010年3月期 2009年3月期 2008年3月期
全社 13,215 29,221 20,153
タイヤ 10,842 23,955 14,763
ダイバーテック他 2,372 5,266 5,389

タイヤ事業
-合理化および品質向上、北米タイヤ工場の生産設備増強などを中心に設備投資を実施。

ダイバーテック他事業
-合理化および品質向上を中心に設備投資を実施。

設備の新設計画

(2010年3月31日現在)

事業部門 計画金額
(百万円)
設備等の主な内容・目的
タイヤ 22,942 合理化および品質向上、高品位タイヤ拡販への対応
ダイバーテック他 2,287 合理化および品質向上、グローバル供給体制への対応
全社(共通) 189 基礎研究技術の強化
合計 25,418 -