テイ・エス テック (株) 2016年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2016年
3月期
2015年
3月期
増減率
(%)
要因
売上高 458,732 422,317 8.6 1)
営業利益 39,279 36,047 9.0 -
税引前利益 40,766 40,268 1.2
当期純利益 23,528 22,585 4.2


要因
1) 売上高
-主に新興国での自動車需要の減少等はあったが、円安による為替換算効果に加え、積極的に取組んだ収益改善施策の効果が現れ、前期比で増収増益となった。

<日本>
-主要客先からの受注台数は減少したものの、新機種効果の通年寄与等により、前期比7.2%増の92,071百万円 (内部売上高を含む)。
-ホンダ「STEP WGN」用シート及び内装品、ホンダ「SHUTTLE」用シートなどの生産を開始。
-埼玉地区の体質改革(新工場への生産集約等)は概ね完了し、計画に沿った効率改善を図った。
-浜松地区や鈴鹿地区など、その他国内拠点においては、生産数の減少や、軽自動車等の小型機種への生産シフトに呼応した体質改革に着手した。

<米州>
-為替換算効果や主要客先からの受注台数の増加等により、前期比12.6%増の247,087百万円 (内部売上高を含む)。
-北米でホンダ「CIVIC」用シート及び内装品などの生産を開始。
-米州市場での競争力を更に強化するため、メキシコの部品生産子会社を本格稼動。
-TS TECH CANADA INC.では生産拠点を集約し合理化などに取組んだ。
-TS TECH ALABAMA, LLC.においては、新規受注機種に対応するための建屋増築など、米州地域全体で生産アロケーションの最適化を積極的に展開した。

<中国>
-為替換算効果や主要客先からの受注台数の増加等により、前期比6.0%増の96,513百万円 (内部売上高を含む)。
-ホンダ「CITY」用シートやホンダ「GREIZ」用シートなどの生産を開始。
-広州市増城区の都市開発計画に伴う広州提愛思汽車内飾系統有限公司[Guangzhou TS Automotive Interior Systems Co., Ltd.]の移転は、生産・物流の最適化の効率向上施策も含め、概ね計画通り進捗しており、2016年夏頃の生産開始に向けて引き続き推進している。
-武漢提愛思全興汽車零部件有限公司[Wuhan TS-GSK Auto Parts Co., Ltd.]では建屋を増築し、新規インジェクション設備の導入や、シートフレーム溶接などの内製化を推進。

<アジア・欧州>
-主要客先からの受注台数の減少はあったものの、機種構成の良化等により、前期比0.9%増の59,257百万円 (内部売上高を含む)。
-タイおよびインドネシアにおいてホンダ「BR-V」用シートの生産を開始。
-フィリピンにおいて、開発に係るノンコア業務を開発費優位性のあるフィリピンに移管、発力強化を図ることを目的に、TS TECH BUSINESS SERVICES PHILIPPINES, INC.を設立し稼動を開始した。
-四輪シート部品のコスト競争力の向上を目的に、バングラデシュダッカ近郊にトリムカバーの裁断・縫製を中心に行う新会社を設立。

2016年3月期の主な受注

OEM/モデル名 投入時期 生産拠点 納入部品
ホンダ 「BR-V」 2016年2月発売 インドネシア・タイ シート (3列7人掛け)

中期経営計画

-2020年ビジョン 「INNOVATIVE QUALITY COMPANY」 の実現に向け、2015年3月期より 「グローバル企業としての地位確立」 を目標とする、第12次中期経営計画 (2014年3月期~2017年3月期) に取り組んでおり、主要客先以外の完成車メーカーへの販売を強化する「他販の拡大」を主要施策と位置付けている。

2017年3月期の見通し

(単位:百万円)
2017年3月期
(予想)
2016年3月期
(実績)
増減率
(%)
売上高 430,000 458,732 (6.3)
営業利益 36,500 39,279 (7.1)
税引前利益 37,500 40,766 (8.0)
当期純利益 26,400 29,413 (10.2)


業績見通しの前提

  • 日本: 完成車メーカー"グローバルモデル"の日本生産回帰、国内需要の伸び悩み
  • 米州: アメリカ経済好調による自動車需要増加、ブラジル経済低迷による自動車需要低迷
  • 中国: 経済成長鈍化による自動車販売伸び率の減速
  • アジア・欧州: 経済成長低迷の長期化による自動車需要低迷、インド経済緩やかな拡大による自動車需要増加

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期
全社 13,160 12,900 11,635

-2017年3月期の研究開発費は、前期比1.4%増の13,300百万円の見通し。

研究開発拠点

拠点名 所在地
技術センター 栃木県塩谷郡
エンジニアリングセンター 栃木県塩谷郡
セイフティテクニカルセンター 栃木県塩谷郡
TS Tech Americas, Inc. 米国オハイオ州
TS Tech Asian Co., Ltd. タイ バンコク
TS Tech Deutschland GmbH ドイツTappenbeck
広州提愛思泰汽車内飾科技有限公司
[Guangzhou TS Tech Automotive Interior Research & Development Co., Ltd.]
中国広東省広州市

研究開発活動

四輪事業
1) 安全技術
-自動車の安全性能向上のため、世界各国の安全に関する法規・アセスメントの動向調査、実際の事故データによるシート・内装品に関する情報解析等を行い、それらの結果を踏まえ、より高い安全性能を備えた製品を開発している。
-全方向からの衝突に対する乗員への衝撃軽減機能や、眠気を低減することによる事故防止等の研究を行い、製品開発へ展開している。

2) 環境対応技術
-環境に配慮した材料の開発や、最適設計による部品の統合、新たな加工技術の開発により製品の軽量化を図っている。

3) 魅力・快適技術
-ユーザー目線に立った使い勝手の良い多彩なシートアレンジ機構の開発
-安全・快適をサポートする各種電子制御デバイス部品の開発
-製品に高質感を与える加工技術、加飾技術の開発
-快適性の追求として産学共同で生理学の基礎研究等を展開
-新たな商品創出の取り組みとして、ユーザーが求める「魅力」を模索する社内プロジェクトを発足させ、活動を進めている。

新工法の開発

複数部品を一括で溶接できるシートフレームの新工法を開発した。フレームの設計を見直し、部品点数、溶接治具、溶接工程を削減して製造コストの引き下げとフレームの軽量化につなげた。主要取引先であるホンダの新型「CIVIC」向けに、まず北米の工場で新工法による生産を開始し、中国に導入する。この他のグローバル車でも同様の設計を取り入れた提案を行い、受注の拡大につなげる。生産は米インディアナ州とカナダの2工場で開始し、中国では湖北省武漢の工場に導入する。新型フレームをホンダのグローバル車向けのフレームと位置付け、採用の拡大を狙う。(2015年11月6日付日刊自動車新聞より)

製品開発

-シート用の電子制御装置(ECU)を自社開発する。これまでは納入先のホンダが他の車体部品の制御も含めた統合ECUを開発していた。電子制御化の進展に伴い、車体部品の制御が一段と複雑化することを踏まえ、シート用の専用化を提案し、2016年に投入されるモデルで採用された。今後、他モデルへの展開も目指し、シートの機能充実につなげる。(2015年4月7日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

(単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期
日本 2,233 4,158 5,380
米州 7,026 9,114 6,698
中国 6,153 3,678 654
アジア・欧州 1,650 4,066 7,227
合計 17,064 21,018 19,960

-2017年3月期の設備投資額は、前期比55.6%減の115,000百万円の見通し。

<日本>
-鈴鹿工場(三重県鈴鹿市)で生産体制の最適化に着手した。同工場での生産が小型車向けから軽自動車向けに移行しているため、軽に見合ったコスト構造へと変革する。2017年を目標に工程の集約などの作業を完了する見通しだ。同社は埼玉地区と鈴鹿地区に主要な生産拠点を構えている。埼玉地区の再編が完了したことに続き、鈴鹿の効率化も進め、国内の収益力を高める。鈴鹿工場では、ホンダの鈴鹿製作所向けにシートやドアトリムを生産している。敷地内に4棟の建屋があるが、国内市場の縮小や小型車「FIT」の埼玉地区への生産移管によって生産台数が減少してきた。今後は軽自動車用の生産が中心になっていくことを踏まえ、軽用の生産に適したコスト構造をつくる。(2015年11月30日付日刊自動車新聞より)

<バングラデシュ>
-2016年秋に稼働するバングラデシュのトリムカバー工場の生産能力を3~5年後に16年度比倍増の年間60~80万台に拡大する。これまでは中国を日米などへの供給拠点として活用してきたが、人件費の上昇と通貨・人民元の値上がりによって輸出競争力が低下している。バングラデシュを中国に代わる供給拠点と位置付け、グローバルでのコスト競争力の強化につなげる。同社はバングラデシュの首都ダッカ郊外に「TSテック バングラデシュ」を15年に設立。四輪用シートのトリムカバーを生産する会社として16年9月の稼働を予定している。稼働当初は年間30万台の生産能力とし、日本向けの生産を始める。その後、仕向地の拡大に合わせて順次、生産能力を増強し、年間130万台分の能力があるメキシコ工場に次ぐ規模に拡大していく計画だ。(2016年2月16日付日刊自動車新聞より)

-バングラデシュにトリムカバーの製造子会社「TS Tech Bangladesh Limited」を設立すると発表した。資本金は2.6億タカ (約4億円) でテイ・エス テックが100%出資する。2016年9月に稼働を開始する予定。(2015年11月4日付プレスリリースより)

設備の新設計画

(2016年3月31日現在)
会社名
または事業所名
所在地 設備の内容 投資予定額
(百万円)
着手 完了予定
本社埼玉工場 埼玉県行田市他 四輪車用シートおよび内装品製造設備 660 2016年
4月
2017年
3月
本社技術センター 栃木県塩谷郡 四輪車用シート、二輪車用シートおよび内装金型の試作・試験設備 592 2016年
4月
2017年
3月
TS Tech USA Corporation 米国
オハイオ州
四輪車用シートおよび内装品製造設備 1,489 2016年
4月
2017年
3月
広州提愛思汽車内飾系統有限公司
[Guangzhou TS Automotive Interior Systems Co., Ltd.]
中国
広東省
建屋、四輪車用シート製造設備 2,192 2016年
4月
2017年
3月
武漢提愛思全興汽車零部件有限公司
[Wuhan TS-GSK Auto Parts Co., Ltd.]
中国
湖北省
四輪車用シートおよび内装品製造設備 549 2016年
4月
2017年
3月