テイ・エス テック (株) 2015年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位：百万円) |
| 2015年 3月期 |
2014年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
| 売上高 | 434,279 | 457,053 | (5.0) | 1) |
| 営業利益 | 35,286 | 39,133 | (9.8) | - |
| 経常利益 | 40,362 | 42,937 | (6.0) | |
| 当期純利益 | 22,008 | 23,900 | (7.9) |
要因
1) 売上高
-円安による為替換算効果があったものの、米州、中国をはじめすべてのセグメントにおいて主要客先からの受注台数が減少。
<日本>
-主要客先からの受注台数減少のほか、日本から海外への供給部品売上の減少により、前期比15.5%減の88,677百万円 (内部売上高を含む)。
-ホンダ 「Grace」用シートおよび内装品、「N-Box Slash」用リアシートおよび内装品、「Legend」用シートおよび内装品等の生産を開始。
-埼玉工場において、新内装工場の本格稼働により内装品事業を集約、生産効率の向上ならびに物流・管理コストを削減。
-軽自動車用シートの受注獲得に向け組織改革を行い、ホンダ「N-WGN」用シート、「N-Box Slash」用リアシートに続く機種の受注に向け、積極的な営業活動を展開。
<米州>
-主要客先からの受注台数減少はあるものの、減収を上回る円安による為替換算効果により、前期比2.4%増の219,814百万円 (内部売上高を含む)。
-ブラジルでホンダ「Fit」用シート、「City」用シートおよび内装品等の生産を開始。
-メキシコで米州におけるシート部品の供給拠点として新工場の稼働を開始したほか、ブラジルに新縫製会社を設立し、稼働を開始。
-米州地域統括会社 「TS Tech Americas, Inc.」 の本社建屋を拡張し、米州におけるさらなる事業拡大に向け、営業・開発体制を強化。
<中国>
-円安による為替換算効果があるものの、主要客先からの受注台数が減少、前期比5.2%減の98,652百万円 (内部売上高を含む)。
-ホンダ 「Odyssey」 用シートおよび内装品の生産を開始。
-今後さらなる人件費の上昇が見込まれる中で、生産の自動化に取り組んでいる。
-広州市増城区の都市開発計画に伴い、「広州提愛思汽車内飾系統有限公司 [Guangzhou TS Automotive Interior Systems Co., Ltd.] 」 の移転準備を開始。
<アジア・欧州>
-インドネシア等において主要客先からの受注台数は増加したが、タイにおける受注台数の減少が大きく、前期比11.9%減の59,773百万円 (内部売上高を含む)。
-タイでホンダ 「Jazz」 用シートや 「Mobilio」 用シート、インドネシアで 「Jazz」 用シート、インドで 「Mobilio」 用シートの生産を開始。
-インドで四輪車用シートの第2生産拠点である 「TS Tech Sun Rajasthan Private Limited」 の新工場を稼働開始。
-「TS Tech Hungary Kft.」 においてVolkswagen向け3列目シートの生産準備を完了。
2015年3月期の主な受注
| OEM/モデル名 | 投入時期 | 生産拠点 | 納入部品 |
| ホンダ 「N-Box Slash」 | 2014年12月発売 | 日本 | リアシート (スライド機能搭載)、ドアトリム |
| ホンダ 「Legend」 フルモデルチェンジ |
2015年2月発売 | 日本 | フロントシート、リアシート、ドアトリム |
| ホンダ 「Step WGN」 フルモデルチェンジ |
2015年4月発売 | 日本 | 3列目シート (床下収納付き)、ドアトリム、照明加飾デバイス |
| VW 四輪モデル | 2015年3月量産開始 | ブラジル | トリムカバー |
| VW SUVモデル | 2015年5月量産開始 | ハンガリー | 3列目シート |
| Eicher Polaris MUVモデル | 2015年5月量産開始 | インド | シート |
中期経営計画
-2020年ビジョン 「INNOVATIVE QUALITY COMPANY」 の実現に向け、2015年3月期より 「グローバル企業としての地位確立」 を目標とする、第12次中期経営計画 (2014年3月期～2017年3月期) に取り組んでおり、主要客先以外の完成車メーカーへの販売を強化する「他販の拡大」を主要施策と位置付けている。
-Volkswagen (VW) から乗用車用シートのトリムカバーを初受注した。複数地域で納入し、年間11億円の売り上げを見込む。VWには5月にハンガリーで、次期SUV向けシートの納入を始める予定。新たに受注したのは、これとは別の車種で、VWとの部品単品での取引はこれが初めてとなる。部品での納入実績をつくることにより、部品生産からシート組み立てまで、VWからの一貫したビジネスの獲得につなげていく。(2015年1月30日付日刊自動車新聞より)
2016年3月期の見通し |
(単位：百万円) |
| 2016年3月期 (予想) |
2015年3月期 (実績) |
増減率 (%) |
|
| 売上高 | 467,000 | 434,279 | 7.5 |
| 営業利益 | 38,500 | 35,286 | 9.1 |
| 経常利益 | 40,700 | 40,362 | 0.8 |
| 当期純利益 | 23,000 | 22,008 | 4.5 |
-同社は2016年3月期末にIFRSを適用する予定だが、2016年3月期の見通しは日本基準で算出。
業績見通しの前提
- 日本： 新機種の立ち上げ効果、自動車需要の鈍化に伴う受注台数減少
- 米州： 円安による収益押し上げ効果、ブラジル経済の減速による自動車需要の鈍化
- 中国： 人件費の上昇、機種構成の悪化
- アジア・欧州： インドを中心とした経済成長、人件費の上昇、客先生産拠点の移管等により受注台数減少 (欧州)
研究開発費 |
(単位：百万円) |
| 2015年3月期 | 2014年3月期 | 2013年3月期 | |
| 全社 | 12,900 | 11,635 | 11,221 |
-2016年3月期の研究開発費は、前期比0.8%増の13,000百万円の見通し。
研究開発拠点
| 拠点名 | 所在地 |
| 技術センター | 栃木県塩谷郡 |
| エンジニアリングセンター | 栃木県塩谷郡 |
| セイフティテクニカルセンター | 栃木県塩谷郡 |
| TS Tech Americas, Inc. | 米国オハイオ州 |
| TS Tech Asian Co., Ltd. | タイ バンコク |
| TS Tech Deutschland GmbH | ドイツTappenbeck |
| 広州提愛思泰汽車内飾科技有限公司 [Guangzhou TS Tech Automotive Interior Research & Development Co., Ltd.] |
中国広東省広州市 |
研究開発活動
四輪事業
1) 安全技術
-自動車の安全性能向上のため、世界各国の安全に関する法規・アセスメントの動向調査、実際の事故データによるシート・内装品に関する情報解析等を行い、それらの結果を踏まえ、より高い安全性能を備えた製品を開発している。
-全方向からの衝突に対する乗員への衝撃軽減機能や、眠気を低減することによる事故防止等の研究を行い、製品開発へ展開している。
2) 環境対応技術
-環境に配慮した材料の開発や、最適設計による部品の統合、新たな加工技術の開発により製品の軽量化を図っている。
3) 魅力・快適技術
-ユーザー目線に立った使い勝手の良い多彩なシートアレンジ機構の開発
-安全・快適をサポートする各種電子制御デバイス部品の開発
-製品に高質感を与える加工技術、加飾技術の開発
-快適性の追求として産学共同で生理学の基礎研究等を展開
-新たな商品創出の取り組みとして、ユーザーが求める「魅力」を模索する社内プロジェクトを発足させ、活動を進めている。
製品開発
-ECU自前開発： シート開発ノウハウを駆使して「機電一体」開発を実現
-新価値照明： 面照明 (面導光体設計)、スポット照明 (LEDランプ自前設計)、ライン照明 (ライン導光体設計)、色が変わるライン照明 (3色LED搭載)、光が動くライン照明 (多灯LED基板設計、車体信号連動制御)
設備投資額 |
(単位：百万円) |
| 2015年3月期 | 2014年3月期 | 2013年3月期 | |
| 日本 | 4,158 | 5,380 | 5,082 |
| 米州 | 9,114 | 6,698 | 2,857 |
| 中国 | 3,678 | 654 | 658 |
| アジア・欧州 | 4,066 | 7,227 | 2,778 |
| 合計 | 21,018 | 19,960 | 11,377 |
-2016年3月期の設備投資額は、前期比2.3%増の21,500百万円の見通し。
<日本>
-2014年8月、埼玉工場における内装事業の集約・再編に伴い、同工場の土地を売却。価額は505百万円。
<ブラジル>
-2014年4月、ブラジルにトリムカバーの生産子会社を設立すると発表。2015年1月に稼働開始。同国子会社が内製していたトリムカバーの生産を分社化する。主要な取引先以外への提案活動も強化し、同国での事業拡大につなげる。新会社は、資本金2,600万レアル (約11.8億円) 全額を同国の生産子会社が出資して2014年5月に設立。投資額は2,206万レアル (約10億円)。(2014年4月28日付日刊自動車新聞より)
設備の新設計画 |
(2015年3月31日現在) |
| 会社名 または事業所名 |
所在地 | 設備の内容 | 投資予定額 (百万円) |
着手 | 完了予定 |
| 総和産業 (株) | 埼玉県 加須市 |
建屋、四輪車用シート部品および樹脂成型品製造設備 | 552 | 2015年 4月 |
2016年 3月 |
| TriMold, LLC. | 米国 オハイオ州 |
建屋、四輪車用シート部品および内装樹脂部品製造設備 | 721 | 2015年 4月 |
2016年 3月 |
| TS Tech USA Corporation | 米国 オハイオ州 |
四輪車用シート製造設備 | 529 | 2015年 4月 |
2016年 3月 |
| TS Tech Alabama, LLC. | 米国 アラバマ州 |
四輪車用シート製造設備 | 1,357 | 2015年 4月 |
2016年 3月 |
| TS Tech Indiana, LLC. | 米国 インディアナ州 |
四輪車用シート製造設備 | 760 | 2015年 4月 |
2016年 3月 |
| TST Manufacturing de Mexico S. de R.L. de C.V. | メキシコ グアナファト州 |
四輪車用シート部品および内装品製造設備 | 1,053 | 2015年 4月 |
2016年 3月 |
| 広州提愛思汽車内飾系統有限公司 [Guangzhou TS Automotive Interior Systems Co., Ltd.] |
中国 広東省 |
建屋、四輪車用シート製造設備 | 6,456 | 2015年 4月 |
2016年 3月 |
| 武漢提愛思全興汽車零部件有限公司 [Wuhan TS-GSK Auto Parts Co., Ltd.] |
中国 湖北省 |
四輪車用シートおよび内装品製造設備 | 1,195 | 2015年 4月 |
2016年 3月 |
<北米>
-「TS Tech USA Corporation」 の建屋増築により、倉庫移設・新物流システムによるコスト削減を図る。2015年末稼働予定。
-「TS Tech Americas, Inc.」 (米州本社) の建屋増築により、営業・開発要員増強による「他販体制」強化。
-「TriMold, LLC.」 の建屋増築により、新規インジェクション設備を導入。2015年夏ごろ完成予定。
-「TS Tech Canada Inc.」 の建屋増築により、生産工場の集約・効率向上を図る。2015年秋頃に稼働予定。
<中国>
-「広州提愛思汽車内飾系統有限公司 [Guangzhou TS Automotive Interior Systems Co., Ltd.]」 の工場移転により、生産および物流効率の向上を図る。2016年7月移転完了予定。
-「武漢提愛思全興汽車零部件有限公司 [Wuhan TS-GSK Auto Parts Co., Ltd.]」 の建屋増築により、ドア生産の内製化・自動化を促進。2015年5月完成予定。
<インド>
-「TS Tech Sun Rajasthan Pvt. Ltd.」 は、四輪車の市場拡大に合わせ、前期比50%増産予定
<ハンガリー>
-「TS Tech Hungary Kft.」 は、2015年5月よりVW向けビジネスの礎となる量産開始。
