テイ・エス テック (株) 2013年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2013年 3月期 |
2012年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
売上高 | 359,331 | 305,482 | 17.6 | 1) |
営業利益 | 24,219 | 9,401 | 157.6 | -北米市場の回復とともに、従来からの収益体質改善施策の効果により利益率が大幅に向上。 |
経常利益 | 27,209 | 10,927 | 149.0 | |
当期純利益 | 15,741 | 4,712 | 234.1 |
要因
1) 売上高
-北米を中心に主要顧客からの受注台数が増加。
<日本>
-主要顧客からの受注台数減少により減収。
<米州>
-2012年4月に「Acura RDX」用シート、同5月に「Acura ILX」用シート、同9月にホンダ 「Accord」用シートおよび内装品の生産を開始し、北米の自動車需要の回復を背景に受注台数は好調に推移。
<中国>
-2012年2月にホンダの新型「CR-V」用シートおよび内装品、6月には新型「Elysion」用シートの生産を開始。さらに、東風ホンダのブランド「Ciimo」用シートおよび内装品の生産を開始。機種構成の変化や為替換算上の影響により増収。
<アジア・欧州>
-洪水被害を受けたタイの子会社が2012年3月より生産を再開。ホンダ新型「Civic」用シートおよび内装品、新型「CR-V」用シートおよび内装品、新型「Brio Amaze」用シートの生産を新たに開始。主要顧客からの受注台数が増加したことにより増収。
海外事業
世界生産能力を2014、15年までに年間500万台に-四輪車用シートの世界生産能力を2014、15年までに年間500万台に引き上げる。主要取引先のホンダの生産拡大などに対応して新興国で生産能力を増強し、現在の300万台から200万台増やす。工場の新設や拡張では他社との提携も検討し、投資を抑えて対応する。日系メーカーが相次いで新興国での生産拡大計画を表明したことで、シートの分野では欧米の大手シートメーカーを交えた受注獲得競争が激しくなっている。同社もホンダ向けに加え、他メーカー向けの受注獲得にも乗り出しており、提携も活用して世界で供給体制を拡充する。国内を含めた同社の世界生産能力は、12年度で300万台。「Fit」、「Accord」、「CR-V」、「Civic」などグローバル車を中心に、ホンダの四輪車用シートの7割を国内外で供給している。ホンダは中国、インド、東南アジア、メキシコなどで生産を拡大していく計画で、今後、これらの地域でシートの需要が増加する。ホンダの新興国での生産拡大に対応するため、同社はメキシコ、インド、中国、タイ、インドネシアの工場で能力増強を図る方針。投資は工場建屋だけで今後3~5年間に100億円程度を見込んでいる。各地で生産体制を拡充することにより、ホンダの四輪車用シートで7割のシェアを維持する。インドネシアでは、ホンダが14年から新工場で生産を始める新興国向け車「Brio」のシートを生産する。既存工場の拡張や現地の提携先を活用して生産量を確保する。「Brio」のシートはタイやインドでも同社が供給している。インドネシアも加わることで3拠点での供給になる。Volkswagen向けのシート供給も14年頃から始まる見込み。欧州での工場建設を検討するほか、他社との提携も活用して供給体制を整備する。(2012年6月5日付日刊自動車新聞)
<メキシコ、インドネシア>
-2013年3月に、メキシコに新会社とインドネシアに新工場をそれぞれ設立すると発表。(2013年3月28日付日刊自動車新聞より)
- メキシコ・グアナファト州に新会社「TST Manufactuaring de Mexico S de RL de CV.」を2013年4月に設立する。工場を建設し14年10月の稼働を予定する。
- 2003年に設立したPT. TS Tech Indonesiaは、西ジャワ州カラワン県のシート表皮縫製専用工場の敷地内にシート組み立て工場を建設する。14年1月の稼働を予定。
<ハンガリー>
-ハンガリーに四輪車用シートの製造・販売を行う完全子会社を設立すると発表した。新会社「TS TECH Hungary Kft.」の設立は、すでに受注していたVolkswagen向け四輪車用シートフレーム (3列目シート) の開発・生産のほか、新たに同シートの組立を受注したことに伴うもの。投資額は約1.28百万ユーロ (約1.5億円) で、建屋面積は約1,800平方メートルとなる見込み。2015年2月の稼動開始時には、従業員約50名を雇用する計画。(2013年2月22日付プレスリリースより)
<タイ>
-タイにアジア・欧州地域の統括会社を2013年1月に設立すると発表した。同地域の連結子会社6社を統括管理し、同地域の営業、開発力を強化する。資本金は1億5千万バーツ (約3億7500万円) とし同社の完全子会社としてバンコクに設立する。(2012年9月11日付日刊自動車新聞より)
-タイ連結子会社のTS Tech (Thailand) Co., Ltd.がサラブリー県Hemaraj工業団地に新工場を建設すると発表した。アユタヤ県Saharattana Nakhon工業団地に位置するTS Tech (Thailand) は、2011年10月に発生した洪水被害により約6カ月間の操業停止となった。今回、新工場を建設することで現生産工場より生産を移管し、将来の水害リスクを回避する目的。投資額は約8億バーツ (約20億円)。建屋面積は約33,000平方メートルで、2013年9月に稼動を開始する予定。(2012年8月31日付プレスリリースより)
受注
-2013年にホンダが発売する新型軽自動車のシートを受注。軽用にコストダウンや軽量化を図ったシートを新開発し、ホンダの軽の新シリーズで初めて受注に成功した。鈴鹿工場ではホンダが鈴鹿で生産する「Fit」のほか、八千代工業が生産する「Zest」「Vamos」「Acty」(トラック・バン) といった軽既存車のシートを供給している。「N BOX」、「N-ONE」といったNシリーズのシートは、独立系シート専業のタチエスが納めている。ホンダは15年までに「N-ONE」を含め、6車種の新型軽を投入する計画。来年以降は既存車の生産終了のタイミングに合わせ新シリーズが展開される見通し。同社はホンダの新商品の展開に合わせ、競争力の高い軽専用シートを開発し受注に結び付けた。(2012年11月5日付日刊自動車新聞より)>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)
2014年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2014年3月期 (予測) |
2013年3月期 (実績) |
増減率 (%) |
|
売上高 | 417,000 | 359,331 | 16.0 |
営業利益 | 28,500 | 24,219 | 17.7 |
経常利益 | 30,500 | 27,209 | 12.1 |
当期純利益 | 17,500 | 15,741 | 11.2 |
設備投資額 | 18,100 | 11,377 | 59.1 |
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2013年3月期 | 2012年3月期 | 2011年3月期 | |
全社 | 11,221 | 9,641 | 9,620 |
四輪事業 | - | - | 8,910 |
研究開発拠点
拠点名 | 所在地 |
技術センター | 栃木県塩谷郡 |
エンジニアリングセンター | 栃木県塩谷郡 |
セイフティテクニカルセンター | 栃木県塩谷郡 |
TS Tech North America, Inc. | 米国オハイオ州 |
TS Tech Asian Co., Ltd. | タイ バンコク |
TS Tech Deutschland GmbH | ドイツTappenbeck |
研究開発活動
四輪事業<日本、米州>
1) 安全技術
-自動車の安全性能を向上させるため、世界各国の安全法規・アセスメントの動向情報を基に研究開発を行い、製品を商品化した。
-後面衝突時の頸部障害を軽減するシート構造や、シートに内蔵されているサイドエアバックの展開を制御するセンサーの軽量・小型化等、安全対応技術を多くの車種に適用。
2) 環境対応技術
-製品に使用している材料・部品のリサイクル技術の研究や、自動車燃費向上への貢献策として、最適設計により部品点数を削減し、製品の軽量化を図っている。
3) 魅力・快適技術
-シートの座り心地の研究として、着座初期の快適性向上、長時間走行時の疲労低減、各種サポート機構の研究、産学連携による居眠り防止機能の共同研究など、快適なシートの実現に向け研究開発を行っている。
-シートアレンジの多機能化に伴い、ワンモーションで操作を行えるアレンジ機構や各種デバイスの電子制御化にともなう電装部品の開発の強化を行い、ユーザー目線に立った使い勝手の良い製品開発を推進。
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2013年3月期 | 2012年3月期 | |
日本 | 5,082 | 2,879 |
米州 | 2,857 | 2,465 |
中国 | 658 | 562 |
アジア・欧州 | 2,778 | 1,993 |
合計 | 11,377 | 7,902 |
新工場
<日本>-埼玉県行田市の埼玉工場 (行田) 内に内装部品を生産する新工場を建設すると発表した。埼玉県内に分散しているドアトリムの生産を新工場に集約して効率を高める。今年12月に建屋を完成し、2014年3月に稼働する。同社は行田、川越、狭山の埼玉県内3拠点でドアトリムを生産している。行田の敷地内に新工場を建設し、生産を1カ所に集約することで物流費や管理コストを削減する。行田への集約に伴い、川越は閉鎖し、跡地の売却も検討する。狭山は天井材、ステアリング、少量生産部品の生産は継続する。 (2013年2月2日付日刊自動車新聞より)
設備の新設計画 |
(2013年3月31日現在) |
会社名 または事業所名 |
所在地 | 設備の内容 | 投資予定額 (百万円) |
着手 | 完了予定 |
埼玉工場 | 埼玉県 行田市他 |
建屋、四輪車用シートおよび内装品製造設備 | 2,637 | 2013年 04月 |
2014年 03月 |
技術センター | 栃木県 塩谷郡 |
建屋、四輪車用シート、二輪車用シートおよび内装金型の試作・試験設備 | 556 | 2013年 04月 |
2014年 3月 |
九州テイ・エス | 熊本県 菊池市 |
二輪車用シート、部品および四輪車用内装・外装品製造設備 | 512 | 2013年 04月 |
2014年 03月 |
TS Tech (Thailand) Co., Ltd. | タイ アユタヤ県 |
建屋、四輪車用シートおよび内装製造設備 | 3,675 | 2013年 01月 |
2013年 12月 |
TS Tech Sun Rajasthan Pvt. Ltd. | インド ラジャスタン州 |
建屋、四輪車用シートおよび内装製造設備 | 1,119 | 2013年 04月 |
2014年 03月 |
PT. TS Tech Indonesia | インドネシア 西ジャワ州 |
建屋、四輪車用シートおよび内装製造設備 | 1,273 | 2013年 01月 |
2013年 12月 |
TST Manufactuaring de Mexico S de RL de CV. | メキシコ グアナファト州 |
土地、建屋、四輪車用シートおよび内装品製造設備 | 2,116 | 2013年 04月 |
2014年 03月 |