テイ・エス テック (株) 2012年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2012年
3月期
2011年
3月期
増減率
(%)
要因
売上高 305,482 357,489 (14.5) 1)
営業利益 9,401 20,163 (53.4) -
経常利益 10,927 21,508 (49.2) -
当期純利益 4,712 11,755 (59.9) -

要因

1)
-東日本大震災やタイの洪水による生産への影響により、主要客先からの受注台数の減少および為替換算上の影響。

<日本>
-東日本大震災やタイへの洪水による生産への影響に加え、超円高などにより非常に厳しい事業環境となった。同社は、ホンダ新型「Fit Shuttle」用シート、新型「CR-V」用シートなどの生産を開始したほか、四輪車用シート事業の競争力強化を目的とする新シート生産工場(埼玉工場内)の建設を決定。

<米州>
-2011年4月、北米においてホンダ新型「Civic」用シートおよび内装品の生産を開始したものの、東日本大震災による生産への影響など、上半期の事業環境は非常に厳しい状況となった。下半期においては、タイの洪水による生産への影響はあったものの、新型「Civic」を中心とする震災後の受注の回復に加え、2011年12月より北米において生産を開始したホンダ新型「CR-V」用シートおよび内装品の受注が好調に推移した。

<中国>
-広汽ホンダのブランド「理念 S1」用シートやホンダ新型「Civic」用シートの生産を開始。

<アジア・UK>
-タイ、インドにおいてホンダ「Brio」用シートの生産を開始。

海外事業

-同社は、四輪車用シートの世界生産能力を2014、15年までに年間500万台に引き上げる。主要取引先のホンダの生産拡大などに対応して新興国で生産能力を増強し、現在の300万台から200万台増やす。工場の新設や拡張では他社との提携も検討し、投資を抑えて対応する。日系メーカーが相次いで新興国での生産拡大計画を表明したことで、シートの分野では欧米の大手シートメーカーを交えた受注獲得競争が激しくなっている。同社もホンダ向けに加え、他メーカー向けの受注獲得にも乗り出しており、提携も活用して世界で供給体制を拡充する。国内を含めた同社の世界生産能力は、12年度で300万台。「Fit」「Accord」「CR-V」「Civic」などグローバル車を中心に、ホンダの四輪車用シートの7割を国内外で供給している。ホンダは中国、インド、東南アジア、メキシコなどで生産を拡大していく計画で、今後、これらの地域でシートの需要が増加する。ホンダの新興国での生産拡大に対応するため、同社はメキシコ、インド、中国、タイ、インドネシアの工場で能力増強を図る方針。投資は工場建屋だけで今後3~5年間に100億円程度を見込んでいる。各地で生産体制を拡充することにより、ホンダの四輪車用シートで7割のシェアを維持する。インドネシアでは、ホンダが14年から新工場で生産を始める新興国向け車「Brio」のシートを生産する。既存工場の拡張や現地の提携先を活用して生産量を確保する。Brioのシートはタイやインドでも同社が供給している。インドネシアも加わることで3拠点での供給になる。独フォルクスワーゲン(VW)向けのシート供給も14年頃から始まる見込み。欧州での工場建設を検討するほか、他社との提携も活用して供給体制を整備する。(2012年6月5日付日刊自動車新聞)

<ドイツ>
2011年5月、同社はドイツに営業、販売を担う新会社を設立すると発表した。フォルクスワーゲン(VW)から新型SUVの3列目のシートフレーム構造の開発と生産を受注した。今後はシート全体の受注を目指し提案活動を続ける。約4年後の生産開始に向けて、独国内で生産拠点を選定する。同社が欧州自動車メーカーから受注を得るのは初めて。欧州域内では英国に生産会社を持つが独国内に法人を設けるのは初めて。これまではVW本社のあるウォルフスブルク近郊に駐在員事務所があった。今後はアウディ、BMWからの受注獲得も視野に入れる。新会社名はテイエステックドイチュランド。フランクフルト市に7月に設立する。資本金は1000万ユーロ(約12億円)。テイ・エス テックが100%出資する。(2011年5月7日付日刊自動車新聞より)

>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)

2013年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2013年3月期 予想 2012年3月期 実績 増減率 (%)
売上高 363,000 305,482 18.8
営業利益 21,500 9,401 128.7
経常利益 23,000 10,927 110.5
設備投資額 12,500 4,712 165.3

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
全社 9,641 9,620 9,617
四輪事業 -  8,910 8,890

研究開発拠点

技術センター 栃木県塩谷郡
TS Tech North America, Inc. 米国オハイオ州

研究開発活動

四輪事業
<日本、米州>
1) 安全技術
-自動車の安全性能を向上させるため、世界各国の安全法規・アセスメントの動向情報を基に研究開発を行い、製品を商品化した。
-衝突実験等多種多様な解析を精度高く行える手法を構築。
-後面衝突時の頸部障害を世界トップレベルで軽減するシート構造や、シートに内蔵されているサイドエアバックの展開を制御するセンサーの軽量・小型化等、安全対応技術を効率よく商品化し、適用車種を拡大。

2) 環境対応技術
-製品に使用している材料・部品のリサイクル技術の研究や、自動車燃費向上への貢献策として、製品の軽量化のための最適設計による部品点数の削減やシートフレームの樹脂化の検討等、環境対応技術の実用化に向けた開発を進めている。

3) 魅力・快適技術
-シートの座り心地の研究として、着座初期の快適性向上、長時間走行時の疲労低減を目的とした快適技術の研究開発を行っている。
-シートアレンジの多機能化に伴い、ワンモーションで操作を行えるアレンジ機構の開発等、ユーザー目線に立った使い勝手の良い製品の商品化や、多機能パワーデバイス等、電装部品開発の強化を図っている。

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期
日本 2,879 4,216
米州 2,465 2,920
中国 562 766
アジア・UK 1,993 1,384
全社 7,902 9,288

国内投資

-2011年11月、埼玉県行田市の埼玉工場(行田)敷地内に、四輪車用のシート工場を新設すると発表した。新工場建設により、生産拠点の集約を視野に入れた埼玉地区の生産体質改革を行い、主力の四輪用シート事業の競争力を強化する。新シート工場は、電気使用量の50%削減など省エネ対応や材料搬送効率の最適化を図るなど環境負荷を低減する。最新の生産技術を結集し、生産効率の30%向上と品質管理体制のさらなる充実を目指す。2012年10月に完成し、13年1月に稼働する。投資額は27億円。埼玉工場(行田)では08年8月に新内装工場の建設計画を発表していたが、その後の金融危機を踏まえ事業計画の見直しを行ってきた。新内装工場の建設も引き続き検討する。(2011年12月27日付日刊自動車新聞より)

設備の新設

(2012年3月31日現在)
会社名
又は事業所名
所在地 設備の内容 投資予定額
(百万円)
着手 完了予定
埼玉工場 埼玉県
行田市他
建屋、四輪車用シートおよび内装品製造設備 1,968 2012年
04月
2013年
03月
技術センター 栃木県
塩谷郡
建屋、四輪車用シート、二輪車用シートおよび内装金型の試作・試験設備 1,271 2012年
04月
2013年
3月
TS Tech (Thailand) Co., Ltd. タイ
アユタヤ県
土地、建屋、四輪車用シートおよび内装製造設備 1,344 2012年
01月
2012年
12月