ユニプレス (株) 2014年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2014年
3月期
2013年
3月期
増減率
(%)
備考
売上高 289,491 237,832 21.7 1)
営業利益 15,435 16,025 (3.7) 2)
経常利益 17,518 18,153 (3.5)
当期純利益 8,208 11,218 (26.8)

要因

1) 売上高
-北米における増産影響および円安に伴う為替影響により、前年比で21.7%増。

2) 利益
-グループをあげて取り組んでいるユニプレス生産システム活動を柱とした合理化効果はあるものの、将来に向けた設備投資増や北米における増産対応費用により、前年比で減少。

事業概況

<日本>
-売上高は前年度比1.1%減となったものの、営業利益は合理化効果により同24.8%増となった。

<北米>
-得意先の増産影響に加え為替影響等もあり、売上高は前年度比82.2%増。一方営業利益は、新車展開に係る費用、増産対応費用等により営業損失は5,300百万円 (前年度は300百万円の利益) となった。

<欧州>
-為替影響により、売上高は前年比16.9%増となり、営業利益は同3.9%増となった。

<アジア>
-為替影響により、売上高は前年比27.7%増。一方営業利益は、中国の新拠点の初期投資費用の負担影響があるものの、合理化効果により、同42.2%増となった。

事業譲受

-2014年3月13日、ホンダ系部品メーカーの八千代工業の米国連結子会社である Yachiyo Manufacturing of Alabama, LLC (YMA社) の板金事業を譲受することに関し、八千代工業と基本合意書を締結した。北米での車体部品事業を強化するとともに、ホンダ向けの事業を開拓していく。譲受日は2014年10月を予定しており、投資額は総額1,500百万円を予定している。

合弁事業

-2013年11月、中国遼寧省大連市に車体用プレス部品を製造する合弁会社「ユニプレス東昇大連会社」 [Unipres Sunrise Corporation] を2014年1月に設立すると発表。工場を2015年8月に稼働させ、中国東北部での自動車の生産拡大に対応する。資本金は5千万元 (約8億円) で、ユニプレス (中国) が40%、襄陽東昇機械有限公司が40%、襄陽吉晟機械有限公司が20%を出資。15億円を投資し、敷地面積8万平方メートル、建屋面積1万9千平方メートルの工場を建設。従業員数は300人を予定しており、2017年3月期に売上高70億円を見込む。

拡販

ホンダ向けに拡販
-2013年5月、ホンダ向け売上高を2015年3月期に2013年3月期の2倍の8,000百万円に引き上げると発表。米国での受注が増えるほか、新たにメキシコで車体骨格部品を受注し2014年3月期から納入を始める。ホンダは2017年3月期に四輪車の世界販売台数を600万台に拡大する計画で新興国を中心に生産が拡大する。
-中期経営計画の中で、2017年3月期のホンダ向け売上を、2014年3月期比3倍の17,000百万程度と設定している。

ルノー・日産コモンモジュールファミリー車への拡販
-C・Dセグメント (コンパクト・ラージ) へ積極拡販。
受注済車種は、
  • 日産 「Qashqai」 (英国、中国生産)
  • 日産 「X-Trail」 (日本、中国、ロシア生産)
  • 日産 「Rogue」 (米国生産)
  • 東風ルノー 多目的スポーツ車 (SUV)
トランスミッション用部品の拡販
-2012年11月、トランスミッション用部品の売上高を2017年3月期に2012年3月期比2倍の60,000百万円に引き上げる計画を発表。CVT (無段変速機) 用の精密プレス部品の海外生産を拡大するとともに、自社開発に取り組んでいるトルクコンバーターの受注拡大を目指す。

-工場展開:
  • メキシコ工場にて2014年7月より、トランスミッション部品の量産開始予定。
  • ユニプレス精密広州会社 [Unipres Precision Guangzhou Corporation] にて、自社開発トルクコンバーターを初受注し、2015年8月より生産開始予定。
メキシコ車体部品事業・樹脂事業の拡販
  • ホンダ 「Fit」 向け: 車体部品・ステアリングハンガーを受注。フィラーチューブをホンダより初受注。
  • マツダ 「Axela」 向け: 車体部品・フィラーチューブを受注。樹脂部品を受注。
  • マツダ 「Demio」 向け: 車体部品を受注。樹脂部品を受注。

中期経営計画 (2015年3月期 - 2017年3月期)

-2017年3月期の売上目標は、2014年3月期比10.5%増の320,000百万円

2015年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2015年3月期
(予想)
2014年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 285,000 289,491 (1.6)
営業利益 17,000 15,435 10.1
経常利益 16,500 17,518 (5.8)
当期純利益 8,000 8,208 (2.5)
-売上高は、日本の台数減等により横ばい。
-営業利益は、日本の台数減による影響等はあるものの、北米事業の改善に伴い増益。

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 3,200 3,000 2,400

研究開発活動

-2014年3月31日現在、研究開発に携わる人数は275名。
-2014年3月31日現在、産業財産権を95件保有。

<製品開発>
-製品の強度・剛性の最適化
-製品の小型・軽量化
-プレス技術を応用した製品の設計
-開発期間の短縮化

<材料開発>
-高強度鋼板
-高剛性樹脂材料
-軽量化樹脂材料

<工法開発>
-高強度鋼板プレス加工法
-ホットプレス工法
-金属精密塑性加工法
-軽合金材料のプレス工法
-軽合金材料の溶接工法
-高強度パイプ加工法
-高強度樹脂プレス加工法
-樹脂複合成形加工法

製品開発

薄板プロテクターフェンダー
-樹脂深絞り成型部品の薄板化により重量で16.7%の削減。ヒンジ形状と、剛性確保の最適ビード形状の採用および、同社USS工法で実現。

高成形性超ハイテン材を使った車体骨格部品
-2013年5月、引っ張り強度が1.2ギガパスカル級の高成形性超ハイテン材を使った車体骨格部品が、日産自動車が北米で発売する 「Infiniti Q50」 に採用されたと発表。超ハイテン材は一般的な鋼材に比べ重量が軽い半面、硬いため成形が難しいという難点がある。同社はシミュレーション技術と高度なプレス・溶接技術を使い、複雑な形状の部品を量産することに成功した。

工法開発

直水冷方式によるホットプレス部品の量産化
-2013年5月、同社と新日鐵住金は、ホットプレス部品の生産性を従来の工法と比べて約3倍に引き上げることが可能となる直水冷方式によるホットプレス部品の量産化に成功した。この工法による1.5メガパスカル級の骨格部品が日産自動車のスポーティーモデル 「Fairlady Z」 に採用された。ホットプレス部品は高強度で成形性も高いことから自動車の軽量化に結び付く素材だが、焼き入れに時間を要することから、生産効率が悪いことがネックだった。

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 29,900 24,400 17,800
-地域別投資額
日本: 得意先のモデルチェンジに対応するための自動車用部品の生産用設備の更新を主な目的として、4,900百万円。
北米: 得意先のモデルチェンジと増産に対応するための自動車用部品の生産用設備の更新を主な目的として、12,200百万円。
欧州: 得意先のモデルチェンジに対応するための自動車用部品の生産用設備の更新を主な目的として、6,000百万円。
アジア: 得意先のモデルチェンジに対応するための自動車用部品の生産用設備の更新および中国における新会社設立を主な目的として、6,600百万円。

-2015年3月期の設備投資は、28,000百万円を予定。前年より1,900百万円減少するものの、新拠点の投資により、引き続き高水準を維持。

海外投資

<ロシア>
-2013年10月、2014年1月にロシアに車体用プレス部品の組み立てを行う完全子会社「Unipres Russia LLC」を設立すると発表。投資額は60億円。日産自動車のサンクトペテルブルク工場に車体骨格部品を供給する。2015年6月の稼働を予定しており、2016年には売上高60億円を見込む。新工場では次期型の 「X-Trail」 および 「Qashqai」 の車体骨格部品を組み立てて、近隣の日産ロシア工場へ納入する。プレス部品は英国、中国、日本の各工場から輸送する。日産がロシア工場の増強に合わせて、英国サンダーランド工場で生産する車種を同国へ移管することに対応する。従業員は約230人を予定。敷地面積は10万平方メートル、建屋面積は1万8千平方メートルとなっている。

設備の新設計画

(2014年3月31日現在)
会社名・
事業所名
(所在地)
設備内容 投資予定
金額
(百万円)
着手 完了
予定
同社 本社および事業所
(神奈川県横浜市、静岡県富士市、神奈川県大和市)
職場環境整備および危機管理強化ほか 1,800 2014年
4月
2015年
3月
同社 栃木工場
(栃木県真岡市・小山市、神奈川県横須賀市)
生産体制強化およびモデルチェンジによる生産設備更新ほか 1,500 2014年
4月
2015年
3月
同社 富士工場
(静岡県富士市・富士宮市)
生産体制強化およびモデルチェンジによる生産設備更新ほか 1,400 2014年
4月
2015年
3月
ユニプレス九州 (株)
本社および工場
(福岡県京都郡)
生産体制強化およびモデルチェンジによる生産設備更新ほか 1,300 2014年
4月
2015年
3月
Unipres U.S.A., Inc.
本社および工場
(米国)
生産体制強化およびモデルチェンジによる生産設備更新ほか 4,000 2014年
4月
2015年
3月
Unipres Southeast U.S.A., Inc.
(米国)
生産体制強化およびモデルチェンジによる生産設備更新ほか 1,000 2014年
4月
2015年
3月
Unipres Mexicana, S.A. de C.V.
本社および工場
(メキシコ)
トランスミッション部品事業を含む生産体制強化およびモデルチェンジによる生産設備更新 2,900 2014年
1月
2014年
12月
Unipres (UK) Limited
本社および工場
(英国)
生産体制強化およびモデルチェンジによる生産設備更新ほか 1,300 2014年
1月
2014年
12月
Unipres Russia LLC
(ロシア連邦)
新規生産拠点の工場および設備の新設 3,100 2014年
1月
2014年
12月
ユニプレス広州
[Unipres Guangzhou Corporation]
本社および工場
(中国)
生産体制強化およびモデルチェンジによる生産設備更新 1,300 2014年
1月
2014年
12月
ユニプレス鄭州
[Unipres Zhengzhou Corporation]
本社および工場
(中国)
生産体制強化およびモデルチェンジによる生産設備更新 1,900 2014年
1月
2014年
12月
ユニプレス精密広州
[Unipres Precision Guangzhou Corporation]
本社および工場
(中国)
生産体制強化およびモデルチェンジによる生産設備更新 4,400 2014年
1月
2014年
12月