河西工業 (株) 2017年3月期の動向
業績 |
(単位:百万円) |
2017年 3月期 |
2016年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 222,537 | 237,992 | (6.5) | -為替が前期比で大幅な円高となったことにより減収。 |
営業利益 | 15,888 | 16,373 | (3.0) | - |
経常利益 | 15,649 | 16,116 | (2.9) | - |
当期純利益 | 9,017 | 8,543 | 5.5 | -税金費用の減少等により増益。 |
海外事業
<中国>
-同社は中国湖北省武漢市に、内装部品を製造・販売する新会社「東風河西(武漢)頂飾系統」を設立したと発表した。2017年7月から天井の生産を開始し、18年度に売上高8800万人民元(約15億円)を目指す。同社が中国で天井を現地生産するのは初めて。新会社の資本金は1500万人民元(約2億5千万円)。河西と、東風汽車系の部品メーカーである東風ビステオンが折半出資する東風河西(大連)汽車飾件系統の完全子会社として設立した。まず天井を生産し、ホンダと東風汽車の合弁会社である東風ホンダに納入する。(2016年7月7日付日刊自動車新聞より)
受注
-独Daimlerからトランクの内装部品を初めて受注した。Daimlerがメキシコで生産する計画の新型上級コンパクト車向けになるとみられ、2019年に供給を開始する。河西工業の売上高に占めるボリュームは大きくないとみられるものの、Daimlerとの初の取引を機に将来の採用拡大につなげたい意向。今後、Daimlerへの提案活動を強化し、主力のドアトリムに加え、力を入れている天井部品の採用拡大を目指す。Daimlerは日産自動車と次世代プレミアムコンパクト車を共同開発し、メキシコ中部のアグアスカリエンテスに建設している両社の合弁工場で複数モデルを生産する計画。同社はメキシコ現地の工場でトランク部品を生産し、Daimlerに供給する。共同開発モデルの日産車には、河西工業はさまざまな内装部品を受注したとみられる。一方で、これまで取引実績のなかったDaimlerへの提案活動は難航し、今回はトランク部品の供給のみにとどまった。今後、実際の部品供給を通じて品質や生産性、コスト競争力など同社のものづくり力を示すことで、受注品目や供給地域の拡大を目指す。(2016年5月17日付日刊自動車新聞より)
<スバル>
-スバル (SUBARU) より米国で新規車種向けの受注を獲得。2018年から生産開始予定。
2018年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2018年3月期 (予想) |
2017年3月期 (実績) |
増減率 (%) |
|
売上高 | 223,000 | 222,537 | 0.2 |
営業利益 | 13,500 | 15,888 | (15.0) |
経常利益 | 13,200 | 15,649 | (15.7) |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 7,400 | 9,017 | (17.9) |
収益力強化
収益力強化に向けた取組み:ビジネスプロセスをゼロベースで見直し、収益力を強化
- 生産工程の無人化への設計対応
- 生産自動化を想定した材料選択
- 開発費削減
- 新規メーカーの発掘・採用
- ローカルサプライヤーからの調達
- 購入部品の内製化
- 生産工程無人化
- 仕掛品 自動搬送
- 型・設備費の削減
- 双腕ロボットによる組立工程自動化
- 台車の共用化
プログラムダイレクター制:収益管理を強化し、利益目標を達成
- プログラムダイレクターは、部品単位で収益責任を負う
- プログラムダイレクターは、社長直轄の役職として収益目標達成のための必要な権限を持つ
成長に向けた種蒔き・基盤作り
天井ビジネス拡大:部品競争力を強化し、更なる拡販に挑戦
- 英国:天井部品供給スキーム検討
- 中国:天井部品拡販
- 米国・メキシコ:天井部品拡販、コスト競争力強化に向けた取組み
新たなOEMとのビジネス:新たなOEMとのビジネスに挑戦し、次の成長に繋げる
- 欧州:欧系OEMへの拡販
- 日本・アセアン:三菱自動車からの受注獲得
- 米国・メキシコ:トヨタへの拡販、米系OEMからの受注獲得
新たなコモディティ:顧客ニーズに対応して、新たなコモディティの拡販に挑戦、既存技術を活用した部品群拡大
技術開発に向けた取組み:独自技術の開発を進め、新たな価値を提案する
- スバル (SUBARU) 「WRX S4 SporVita」縫製ミシンを共同開発、複雑なステッチ実現
- 日産「Kicks」塗装レスでメタリック調の色味を実現、塗装レスによりコスト・環境負荷低減
- 日産「X-Trail」合皮表皮を立体形状に木目込み、部品削減により、重量・コスト低減
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2017年3月期 | 2016年3月期 | 2015年3月期 | |
全社 | 1,375 | 1,339 | 1,211 |
研究開発体制
-グローバル開発拠点と連携して日本に拠点をおく先行開発部他を中心に研究開発を推進。研究開発費はすべて日本セグメントに属している。
-グローバル開発拠点: 米国 (Michigan, Dublin, Tennessee)、メキシコ、欧州、中国 (広州)、タイ
-本社新技術棟: 2017年7月稼働開始予定
研究開発活動
高品質
-デザイン性に富んだ緻密なクロスステッチの量産
-コンピュータミシンを使ったデザイン性の高いキルティングの量産
軽量化
-高品質な外観としっかり感を同時に実現する射出発泡成形品の開発
-リサイクル材を用いた高剛性薄肉樹脂プレス成形製品の開発
-超軽量ウレタン天井の開発
安全性
-側面衝突時の安全性に寄与するドアの射出成形樹脂パッドの開発
快適環境
-遮熱天井材を世界で初めて量産
-塗装に使われる有機溶剤削減を推進
-塗装を行わずに高輝度メタリック外観を射出成形技術で実現した高輝度メタリック原着成形技術
魅力機能
-内装がクルマと乗員のインターフェースとなる、いわゆるインテリア ユーザー インターフェース (IUI) コンセプトを取り入れた次世代に向けた内装革新商品の先行開発を推進
-同社は英国に設計拠点を新設し、英ジャガー・ランドローバー (JLR) 向けのビジネスを強化する。JLRが2018年から生産開始する車両のトランク部品の受注を獲得した。今回の受注では、これまでの受注と異なり、部品の生産にとどまらず部品の設計を含めた受注となった。英国に設計拠点を置いて、JLRと現地で迅速にやり取りできる体制を整える。JLR向けのサポート体制を強化して、新たな部品の受注獲得を目指す。(2016年12月2日付日刊自動車新聞より)
-同社はメキシコを含めた北米エリアでの研究開発体制の強化に乗り出す。エンジニアを現状の70人から2020年までに130人とほぼ倍増する。17年7月の稼働を予定している神奈川県寒川町の本社の新技術棟などを活用して北米エリアに配置するエンジニアを育成し、開発や設計の大部分を現地で担当できるようにする。市場規模が大きく、自動車メーカー各社が北米専用モデルを投入している北米地域で現地での開発力を高めて、受注拡大を図る方針。今後、北米エリアのエンジニアを増やすことで、高度な技術が求められる一部の部品を除いて、ある程度現地で開発を完結できる体制づくりに着手する。(2016年11月10日付日刊自動車新聞より)
-同社は研究開発体制の強化に乗り出す。神奈川県寒川町の本社に新技術棟を建設し、ものづくりにかかわる関連部署を集結する。新技術棟は2017年7月の稼働を目指しており、各部門との連携を深めることで新たなイノベーションの創出につなげる。今年9月には北米子会社の新社屋を立ち上げる予定で、ここにも現地での開発や設計の機能を集める計画だ。足元の製品開発だけでなく、中・長期を見据えたものづくり力の向上につながる体制を整備し、持続的な成長に向けて経営基盤を強化する。(2016年8月31日付日刊自動車新聞より)
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2017年3月期 | 2016年3月期 | 2015年3月期 | |
日本 | 7,300 | 5,513 | 3,981 |
北米 | 4,458 | 4,059 | 5,801 |
欧州 | 664 | 839 | 375 |
アジア | 1,619 | 2,352 | 4,277 |
合計 | 14,043 | 12,765 | 14,435 |
-2017年3月期は、自動車内装部品事業中心にモデルチェンジに伴う生産設備を投資。
-重要な設備の新設、改修に係る、2018年3月期の投資予定額は12,000百万円。
設備の新設計画 |
(2017年3月31日現在) |
会社名 事業所名/ 所在地 |
設備の内容 | 投資予定額 (百万円) |
着手 | 完了 予定日 |
本社工場 (神奈川県寒川町) |
自動車内装部品組立設備、金型、治工具等 | 3,647 | 2017年4月 | 2018年3月 |
三重河西 (株) (三重県津市) |
自動車内装部品組立設備、治工具等 | 115 | 2017年4月 | 2018年3月 |
群馬河西 (株) (群馬県明和町) |
自動車内装部品組立設備、治工具等 | 179 | 2017年4月 | 2018年3月 |
九州河西 (株) (大分県宇佐市) |
自動車内装部品組立設備、治工具等 | 184 | 2017年4月 | 2018年3月 |
河西テック (株) (静岡県富士宮市) |
自動車内装部品用金型製造設備 | 43 | 2017年4月 | 2018年3月 |
Kasai North America, Inc. (米国テネシー州) |
自動車内装部品組立設備、治工具等 | 2,743 | 2017年4月 | 2018年3月 |
Kasai Mexicana S.A. de C. V. (メキシコ グァナファト州) |
自動車内装部品組立設備、治工具等 | 907 | 2017年4月 | 2018年3月 |
Kasai UK Ltd. (英国タイン&ウェア郡) |
自動車内装部品組立設備、治工具等 | 662 | 2017年4月 | 2018年3月 |
広州河西汽車内飾件 [Guangzhou Kasai Automotive Interior Trim Parts Co., Ltd.] (中国広州市) |
自動車内装部品組立設備、治工具等 | 711 | 2017年4月 | 2018年3月 |
Kasai Teck See Co., Ltd. (タイ アユタヤ県) |
自動車内装部品組立設備、治工具等 | 489 | 2017年4月 | 2018年3月 |
PT. Kasai Teck See Indonesia (インドネシア 西ジャワ州) |
自動車内装部品組立設備、治工具等 | 292 | 2017年4月 | 2018年3月 |
Kasai India (Chennai) Private Ltd. (インド タミルナードゥ州) |
自動車内装部品組立設備、治工具等 | 13 | 2017年4月 | 2018年3月 |
長期経営計画
-2014年、長期経営ビジョン 「KR10 (Kasai Realize 10)」を策定。対象期間は2014年から2023年。テーマとして 「グローバルで統一したモノづくりにより、優秀な品質を提供する」、「ONLY1技術を生み出し、No.1技術に進化させる」、「自動車業を主軸に新規ビジネスに挑戦する」 を掲げており、最終年度の数値目標は以下の通り:
- 売上高:3,000億円
- 営業利益率:8%
- 内装トリムのグローバルシェア:10%