KYB株式会社 (カヤバ工業(株) ) 2011年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2011年
3月期
2010年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 320,082 252,020 27.0 -グローバル最適を重点方針として、前年度の欧州統轄会社に続き中国に統轄会社を設立。
-国内外で生産・販売体制の再構築や原価低減活動に取り組んだ。
営業利益 24,151 3,896 519.9
経常利益 23,972 5,530 333.5
純利益 17,014 661 2474.0
AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業
売上高 186,962 168,631 10.9 1)
営業利益 10,181 4,890 108.2 -

要因
1) AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業
-四輪車用油圧緩衝器、二輪車用油圧緩衝器、四輪車用油圧機器とその他製品から構成。

四輪車用油圧緩衝器
-四輪車用油圧緩衝器は、各国の需要喚起策の効果もあり四輪車販売が国内外で増加。売上高は1,190億円と前年度に比べ5.8%の増収となった。

二輪車用油圧緩衝器
-二輪車用油圧緩衝器は、国内外での在庫調整が一段落し、生産が増加傾向となった。売上高は前年比15.6%の222億円。

四輪車用油圧機器
-パワーステアリング製品を主とする四輪車用油圧機器の中で、CVT(無段変速機)用油圧ポンプの販売が大幅に増加。売上高は前年比24.2%の385億円。

企業買収

-油圧機器やエンジン部品の製造を手掛けるグループ企業の柳沢精機製作所(長野県坂城町)を株式交換の形で全額出資子会社にすると発表した。グループの経営 基盤強化と事業の競争力強化を図るのが狙い。10月1日付で株式交換契約を締結し、11月15日を株式交換の効力発生日とする。株式交換はKYB株1株に つき柳沢精機株14・85株を割り当てる。 (2010年9月25日付日刊自動車新聞より)

新会社

-中国に統括会社を設立。中国ビジネスの最適運営と事業基盤の強化が目的。江蘇省鎮江市に中国事業を統括する同社100%出資会社を12月に 設立する。統括会社の「凱迩必(中国)投資有限公司」(案)の資本金は3050万USドル。凱迩必液圧工業(鎮江)有限公司、凱迩必機械工業(鎮江)有限 公司など複数の中国関係会社を傘下に置き、一元化により事業基盤の強化を図る。(2010年7月26日付日刊自動車新聞より)

>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)

開発動向

研究開発体制

名称 所在地 研究内容
基盤技術研究所 神奈川県
相模原市
油圧機器、自動車機器などに関する基礎研究と新製品・新技術の開発
生産技術研究所 岐阜県
可児市
性能向上、低コスト化等の商品力向上のための開発

研究開発費

(単位:百万円)
  2011年3月期 2010年3月期 2009年3月期
全社 3,218
2,816 3,268
AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業 1,733
- -

研究開発活動

AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業

ショックアブソーバ
-四輪車用ショックアブソーバでは、適度な”張り”と”いなし”のフィーリングを両立させた、単筒式ショックアブソーバをトヨタ自動車に納入。レクサスLFAに採用。
-高機能製品の減衰力40段調整機構タイプと、低コスト製品の小型のストラット型ショックアブソーバを開発。

四輪車用ステアリング機器
-従来品より吐出量をアップした油圧パワーステアリング用4KSベーンポンプを開発。マツダに納入。

ベーンポンプ
-4KW2ベーンポンプをGeneral Motors do Brasil Ltda.へ納入。
-米国クライスラーのDセグメント向け新V6エンジンに搭載される、ベーンポンプを納入。

生産技術
-ストラット型ショックアブソーバの溶接工程自動化、検査支援システムの開発。
-CVT用ベーンポンプ組立工程自動化技術の開発を完了。
-ショックアブソーバ用オイルシールの自動検査技術の開発。

自動車関連の技術供与契約

(2011年3月31日現在)

契約先
(国名)
契約対象 契約内容 契約期間
Kayaba-UMW Malaysia Sdn. Bnd.
(マレーシア)
-自動車用ショックアブソーバ
-二輪車用フロントフォーク
-オイルクッションユニット
1.工業所有権の許与
2.製造・販売権の許与
3.技術的知識、情報及びノウハウの提供
1993年10月13日-
2012年10月12日
P. T. Kayaba Indonesia
(インドネシア)
-自動車用ショックアブソーバ
-二輪車用フロントフォーク
-オイルクッションユニット
1.工業所有権の許与
2.製造・販売権の許与
3.技術的知識、情報及びノウハウの提供
2010年2月1日-
2014年1月31日
KYB (Thailand) Co., Ltd.
(タイ)
-自動車用ショックアブソーバ
-二輪車用フロントフォーク
-オイルクッションユニット
1.工業所有権の許与
2.製造・販売権の許与
3.技術的知識、情報及びノウハウの提供
2011年2月1日-
2012年1月31日
KYB Manufacturing North America, Inc.
(米国)
-自動車用ショックアブソーバ 1.工業所有権の許与
2.製造・販売権の許与
3.技術的知識、情報及びノウハウの提供
2010年10月1日-
2011年9月30日
KYB Steering Spain, S.A.
(スペイン)
-自動車用油圧機器 1.工業所有権の許与
2.製造・販売権の許与
3.技術的知識、情報及びノウハウの提供
2011年1月1日-
2015年12月31日
KYB Suspensions Europe, S.A.
(スペイン)
-自動車用ショックアブソーバ 1.工業所有権の許与
2.製造・販売権の許与
3.技術的知識、情報及びノウハウの提供
2011年10月1日-
2012年9月30日

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2011年3月期 2010年3月期 2009年3月期
全社 8,915
10,081 24,968
AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業 3,988
- -

 

設備投資

-欧州事業統括会社の設立を機にドイツ車への純正採用の拡大を目指している。昨年末に稼働したスペインの高付加価値製品工場ではBMWから初受注した5シ リーズ向 けに加え、アウディRS6向け、シトロエンC5向けなどのショックアブソーバー(緩衝器)を生産している。「BMWからの初受注をきっかけに(緩衝器を) 内製している自動車メーカーを切り崩したい」(同社幹部)考え。新工場「KYBアドバンスド・マニュファクチャリング・スペイン」は、ちりの混入を抑え加工精度などの品質を向上させた。生産される製品は各輪の緩衝器を油圧制御により連結するものや、減衰力やストロークを自動で制御するなどの高性能サスペンションに採用されている。生産、販売などの各部門の意思決定速度の向上を狙い設立した統括会社を活用し、欧州車メーカーへの提案力を強める。(2010年 9月17日付日刊自動車新聞より)

-中国100%子会社の凱迩必機械工業(鎮江)有限公司(KYB Industrial Machinery (Zhenjiang) Ltd.)における生産能力を増強する。同社は江蘇省鎮江市に本社を置き、自動車用サスペンションシステムやパワーステアリング用油圧ポンプなどの製造・ 販売を行っている。現地での自動車機器用油圧ポンプの需要拡大に対応するため、新工場棟を建設するもの。生産開始は2012年4月からの予定。なお、同じ 鎮江市にある別の100%子会社でも生産体制を整備する計画で、2012年度までの投資額は総額58億円を見込んでいる。(2010年5月13日付プレス リリースより)