KYB株式会社 (カヤバ工業(株) ) 2010年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2010年 3月期 |
2009年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 252,020 | 329,262 | (23.5) | 1) |
営業利益 | 3,896 | 49 | - | - |
経常利益 | 5,530 | (1,395) | - | 2) |
純利益 | 661 | (5,229) | - | 3) |
油圧製品 | ||||
売上高 | 243,713 | 317,707 | (23.2) | 4) |
営業利益 | 9,802 | 6,391 | 53.4 | - |
要因
1)
-上期は顧客の大幅減産が続き、下期は回復基調となったが、通期で減収。
2)
-グループ全体で総原価低減活動を主とする諸施策を実施した結果により利益が回復。
3)
-事業再構築に係る費用や子会社の固定資産の減損を特別損失に計上。
4)
油圧緩衝器
-上期は世界規模の自動車不況が生産・販売に大きく影響。
-下期には各国の需要喚起策が浸透して持ち直し傾向が持続。
-この影響を受けて、売上高は112,300百万円(前期比 9.0%減)。
油圧機器
-パワーステアリング製品を主とする四輪車用も自動車不況の影響を受け、売上高は31,100百万円(前期比18.2%減)。
事業再編
-近く欧州に現地事業の統括機能を移管する。スペインおよびチェコの生産拠点をはじめ開発、調達、販売機能を横断したオペレーション機能を現地化する。サプライヤーには需要の拡大が見込まれる小型車や低価格車向けに品質とコストのバランスを最適化した部品の供給が求められている。その実現には、素材や部品の現地調達拡大、市場環境の変動に応じて生産量や品目を柔軟に変更可能な手法の確立が欠かせない。統括機能の移管によって現地で日系、欧州メーカーのニーズをいち早く吸収する体制を整え、優位性に結びつける。(2010年2月17日付日刊自動車新聞より)>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)
開発動向
研究開発体制
名称 | 所在地 | 研究内容 |
基盤技術研究所 | 神奈川県 相模原市 |
油圧機器、自動車機器などに関する基礎研究と新製品・新技術の開発 |
生産技術研究所 | 岐阜県 可児市 |
性能向上、低コスト化等の商品力向上のための開発 |
KYB Technical Center (thailand) Co., Ltd. | Chonburi, Thailand |
エンジニアリングサービスを行う100%出資の現地法人 |
-新興国向け事業の強化をねらい、タイのテクニカルセンターの機能を拡充する。同テクニカルセンターの業務は、これまで後付けされる市販用製品のサービスが中心だったが、今後はアジアを中心とした新興国の新車装着用部品の仕様策定、素材選定を始めとした開発業務を担当するように役割を見直す。新興国市場に近いタイに開発機能を置くことで製品仕様を最適化し、拡販に結びつける。 (2010年3月2日付日刊自動車新聞より)
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2010年3月期 | 2009年3月期 | 2008年3月期 | |
全社 | 2,816 | 3,268 | - |
油圧製品 | 2,664 | 3,136 | 3,264 |
研究開発活動
油圧製品油圧緩衝器
-四輪車用油圧緩衝器では、車両のフラットな乗り心地と操縦安定性を両立させる相互連携ショックアブソーバーシステム(REAS)がPSA社などから開発や検討の依頼を受ける。
-入力振動周波数に応じて減衰力を変化させる周波数感応ショックアブソーバー「ハーモフレック」を開発して日産自動車へ納入。
油圧機器
-四輪車用ステアリング機器では、カバーを従来の鋳鉄製からアルミダイキャスト製へ変更することで約32%の軽量化を達成した無段変速機(CVT)用ベーンポンプを開発してジヤトコへ納入。
-グリーン税制対策車用として機械式省エネバルブ付きパワーステアリング用ベーンポンプを開発して三菱自動車工業へ納入。
-操舵状況に応じて吐出流量を制御し、操舵フィーリングと省エネ性を両立させた電子制御式ベーンポンプを開発してKYB Steering Spainからドイツのダイムラー社へ納入。
-電動パワーステアリングでは、モーター・減速機部をラック軸の下側に配置し、水平対向エンジンの特異なレイアウトに対応したピニオンアシスト式電動パワーステアリングを開発して富士重工業へ採用される。
-電気自動車の静粛性に対応できる静けさと自然な操舵フィーリングを兼ね備えたピニオンアシスト式電動パワーステアリングを開発して三菱自動車へ採用される。
-電気自動車(EV)を始め電気駆動システムの搭載車の技術動向をにらみながら、電動パワーステアリング(EPS)の開発を展開する。EVは、中長期では専用車体の開発が本格化し、従来のガソリン車などと比べパッケージングや重量配分といった多くの仕様が大きく変化していく見通しだ。こうした状況を精査しながら、電気駆動車に最適なEPSを実現し、新規ニーズの吸収に結びつける。(2010年3月15日付日刊自動車新聞より)
基盤技術
-油圧緩衝器分野では、地球環境負荷低減を目指した3種類の「環境適応型ダンパー」を手掛ける。
-四輪車用ステアリング機器分野では、回転数制御により必要流量のみ吐出でき、流量制御弁を廃止することで省エネを図ることができる「電動ベーンポンプの開発」に引き続き注力。
-生産技術分野では下記の技術開発を行った。
1) フロントフォーク用アウターチューブのアルミ鋳造において、油漏れ不良につながる可能性のある溶湯表面の酸化膜を除去する酸化膜除去作業自動化技術を開発して製造ラインへ導入済。
2) ショックアブソーバーの異品出荷防止のために従来手作業で行っていた出荷チェックラベル張り付け作業を自動化するラベル貼り付け自動化技術の開発。
3) ソレノイド用鉄心のレーザー溶接位置ずれなどの溶接不良を無くすためのレーザー発信方式の見直し、レーザー位置ずれ補正技術を盛り込んだレーザー溶接技術の開発。
4) ショックアブソーバー用ラバーブッシュの圧入位置、圧入姿勢のばらつきを少なくして自動化を目指すラバープッシュ圧入作業の自動化技術の開発。
5) ストラット型ショックアブソーバーの溶接部品の寸法検査を自動化するストラット溶接部品寸法検査作業自動化技術の開発。
6) 無段変速機用ベーンポンプの仮組立を自動化する無段変速機用ベーンポンプ仮組立工程自動化技術の開発。
自動車関連の技術供与契約
(2010年3月31日現在)
契約先 (国名) |
契約対象 | 契約内容 | 契約期間 |
Kayaba-UMW Malaysia Sdn. Bnd. (マレーシア) |
-自動車用ショックアブソーバ -二輪車用フロントフォーク -オイルクッションユニット |
1.工業所有権の許与 2.製造・販売権の許与 3.技術的知識、情報及びノウハウの提供 |
1993年10月13日- 2010年10月12日 |
P. T. Kayaba Indonesia (インドネシア) |
-自動車用ショックアブソーバ -二輪車用フロントフォーク -オイルクッションユニット |
1.工業所有権の許与 2.製造・販売権の許与 3.技術的知識、情報及びノウハウの提供 |
2010年2月1日- 2014年1月31日 |
KYB (Thailand) Co., Ltd. (タイ) |
-自動車用ショックアブソーバ -二輪車用フロントフォーク -オイルクッションユニット |
1.工業所有権の許与 2.製造・販売権の許与 3.技術的知識、情報及びノウハウの提供 |
2010年2月1日- 2011年1月31日 |
KYB Manufacturing North America, Inc. (米国) |
-自動車用ショックアブソーバ | 1.工業所有権の許与 2.製造・販売権の許与 3.技術的知識、情報及びノウハウの提供 |
2009年10月1日- 2010年9月30日 |
KYB Steering Spain, S.A. (スペイン) |
-自動車用油圧機器 | 1.工業所有権の許与 2.製造・販売権の許与 3.技術的知識、情報及びノウハウの提供 |
2004年1月1日- 2011年12月31日 |
KYB Suspensions Europe, S.A. (スペイン) |
-自動車用ショックアブソーバ | 1.工業所有権の許与 2.製造・販売権の許与 3.技術的知識、情報及びノウハウの提供 |
2009年10月1日- 2010年9月30日 |
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2010年3月期 | 2009年3月期 | 2008年3月期 | |
全社 | 10,081 | 24,968 | 23,564 |
油圧製品 | 9,767 | 24,327 | 23,243 |
-油圧製品事業では、同社及び海外子会社のKYB Advanced Manufacturing Spain, S.A. を中心に設備投資を実施。
-2010年3月期末現在において、設備の新設・改修等に係る投資計画額は68億円。うち、油圧製品事業に64億円。