日本板硝子 (株) 2016年3月期の動向
業績 |
(単位:百万円) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 629,172 | 626,713 | 0.4 | - |
個別開示項目前営業利益 | 19,362 | 16,848 | 14.9 | |
税引前利益 | (37,439) | 4,807 | - | |
当期利益 | (47,500) | 2,893 | - | |
親会社株主に帰属する当期利益 | (49,838) | 1,668 | - | |
自動車用ガラス事業 | ||||
売上高 | 316,327 | 313,956 | 0.8 | 1) |
個別開示項目前営業利益 | 9,813 | 9,372 | 4.7 |
要因
1) 自動車用ガラス事業
-売上高は前年度並み。日本における販売数量の増加やコスト削減により、営業利益は前年度を上回った。
<欧州>
-事業売上高の44%を占める。
-西欧の乗用車販売台数増により、市場の回復が持続。補修用 (AGR) の販売数量も堅調に推移。
-新車向け (OE) ガラスおよびAGR合計の現地通貨ベースの売上高と営業利益は前年度よりわずかに改善した。
<日本>
-事業売上高の18%を占める。
-エコカー減税制度の改定を受けて乗用車の販売台数は前年度より減少しているものの、同社グループの販売数量は増加した。
-OE部門の売上高と営業利益は前年度を上回った。AGR部門の営業利益も前年度を上回った。
<北米>
-事業売上高の28%を占める。
-OE部門の現地通貨ベースの売上高は前年度より増加。AGR部門の売上高は前年度を下回った。
<その他の地域>
-南米市場は引き続き低調に推移し、特にブラジルの乗用車販売は大幅に減少した。
研究開発活動
自動車用ガラス事業
-IR・UV (赤外線・紫外線) カット・コーティング技術の改良、製造プロセスの改良
-ヘッドアップディスプレイ (HUD) など、表示領域を拡大する映像システムに対応したフロントガラス
-プラグインハイブリッド車向けに、軽量かつ複雑な形状を有するリアウィンド用ガラスを開発
高機能ガラス事業
-燃料電池および次世代二次電池向けの極薄ガラスペーパー等の部材を開発
製品開発
UVカットガラス
-2016年7月、紫外線 (UV)の最波長領域に対応したUVカットガラスの開発にめどをつけたと発表した。380ナノメートル (ナノは10億分の1) を超える長波長を含むUVを約99%防げるのが特徴で、実用化すれば世界で初めてとなる。今後は車載向けでの量産技術の確立などに向けて、開発に取り組んでいく。従来のUVカットガラスは380ナノメートル以下のUVを防ぐことが可能だが、最波長領域の380ナノ~400ナノメートルでも皮膚の深層部などに微細な影響を与えるため、医学的には400ナノメートルまでのUVをカットすることが理想だとされている。(2016年7月6日付日刊自動車新聞より)
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 | |
全社 | 9,800 | 8,200 | 7,900 |
-自動車用ガラス事業 | 3,000 | 3,100 | 2,800 |
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 | |
全社 | 28,200 | 36,600 | 31,600 |
-自動車用ガラス事業 | 13,300 | 17,500 | 10,700 |
自動車用ガラス事業
-主に日本における自動車用ガラス加工設備の取得ならびにフロートガラス製造設備にかかる支出。
設備の新設計画
会社名 事業所名 (所在地) |
設備の内容 | 投資予定 総額 (百万円) |
着手 | 完了 予定 |
Pilkington Automotive Poland Sp.zo.o (ポーランド ワルシャワ) |
加工ガラス製造設備 | 3,202 | 2015年3月期 第2四半期 |
2017年3月期 第2四半期 |
2017年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2017年3月期 (予想) |
2016年3月期 (実績) |
増減率 (%) |
|
売上高 | 620,000 | 629,172 | (1.5) |
営業利益 | 31,000 | 19,362 | 60.1 |
税引前利益 | 15,000 | (37,439) | - |
当期利益 | 7,000 | (47,500) | - |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 5,000 | (49,838) | - |
自動車用ガラス事業
-欧州: 乗用車販売台数ベースではピーク時をなお下回るが、販売回復傾向が継続する見通し。
-日本: 前年度のエコカー減税制度の改正による市場低迷の影響を受けて、売上が減少する見込み。
-北米: 自動車ガラス市場は堅調に推移し、業績が改善する見込み。
-南米: 乗用車販売の減少が底入れする見通しだが、短期的に販売数量が大きく改善することは無いと見ている。
-東南アジア: 引き続き好調に推移する見通し。
高機能ガラス事業
-エンジンタイミングベルト用グラスコードの数量は、欧州での乗用車販売の改善傾向を反映し堅調に推移する見込み。
中長期経営計画
-2014年5月、長期戦略ビジョンおよび中期経営計画 (MTP) を発表。設備稼働率の拡大と、VA (高付加価値) 製品比率の拡大に注力。
長期戦略ビジョン
-今後の進むべき方向として 「VA (Value-added) ガラスカンパニー」 に変容・変革することを戦略ビジョンとして設定。
-自動車用ガラス事業の課題:
- 自動運転技術対応、高度情報化対応、スーパーUV/IRカット、軽量化といった高付加価値分野における技術的優位性を維持する。
- 補修用 (AGR) ガラス分野で、既存ビジネスの成長や必要に応じた戦略的買収を通じて事業の拡大を図る。
中期経営計画 (MTP) (2014年4月~2018年3月)
-MTPの最上位の目標:
- 財務サステナビリティ (財務面で安定的な姿になる) を実現すること
- 「VAガラスカンパニー」 への変革を一層推進すること
-自動車用ガラス事業の取り組み:
- 南米: ブラジルの2生産拠点を1拠点に統合 (固定費の削減)、補修用ガラス拡販
- 欧米: 操業効率・生産性の回復と高付加価値品の拡大に注力
-高付加価値 (VA) 製品事例:
- 自動車用ガラス: スーパーUV+IRカット、薄板化対応、ヘッドアップディスプレイ対応、カメラセンサー対応、高機能ガラスアンテナ等
- 高機能ガラス: アイドリングストップアンドスタート対応セパレーター
-2018年3月期の財務目標:
- ネット借入/EBITDA比率 3倍
- 売上高営業利益率 (ROS) 8%以上
2018年3月期 (目標) |
2015年3月期 (実績) |
2014年3月期 (実績) |
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売上高 | 6,700億円以上 | 6,267億円 | 6,061億円 |
営業利益 (注) | 600億円 | 252億円 | 224億円 |
EBITDA | 1,000億円 | 579億円 | 544億円 |
ネット借入 | 3,000億円 | 3,741億円 | 3,791億円 |
ROE | 10%以上 | 0.9% | - |
注: Pilkington買収に伴う無形資産の償却費及び個別開示項目の控除前営業利益