日本板硝子 (株) 2010年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2010年
3月期
2009年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 588,394 739,365 (20.4) -年度前半は、事業展開している国・地域のほとんどにおいて景気後退の影響が顕著。
-第3四半期になり、市場の状況は徐々に落ち着く。
-4四半期では、主要市場のほとんどで年度前半を大幅に上回る水準で安定。
-これらの結果、通期では減収。
営業利益 (17,183) 1,908 -
経常利益 (28,552) (12,259) -
当期純利益 (41,313) (28,392) -
自動車用ガラス事業
売上高 265,017 299,096 (11.4)
営業利益 221 1,292 (82.9) -販売数量減少の影響がコスト削減効果によって一部カバーされた。

自動車用ガラス事業
<欧州>
-当事業売上高の50%を占める。
-上高は、新車向け部門では、政府の自動車買換支援制度が一時的に需要を喚起する効果を持ったが、全体として需要は減少基調で推移したため減収。補修用部門は、業績が比較的堅調に推移したため好調を維持。

-PilkingtonはスロバキアのSenecに自動車用ガラス工場を設立し、生産を開始した。この工場は組立ライン7本を備え、従業員数は46名。(2009年5月11日付プレスリリースより)

<北米>
-当事業売上高の21%を占める。
-売上高は、販売数量低下により大きく減収するも、第4四半期になって自動車販売が上向いたために販売数量は改善。補修用部門の利益率は、需要と市場価格の双方の低下により減益。

<日本>
-当事業売上高の17%を占める。
-売上高は、政府の支援制度の導入により市場は回復したものの、需要はなお低水準にあり減収。
-利益率は、市場環境の改善やコスト削減効果により改善。

<その他の地域>
-新興市場である国・地域は比較的好調を維持したため、売上高は前年比横ばいだったが、営業利益は増益。

事業再編

-世界的な需要減に対応する追加リストラ策を発表した。欧米を中心とする人員・設備のリストラで予定した対策費220億円をさらに30億円上積みするほか、日本・アジア・南米で生産能力を削減することで検討に入った。自動車・建築用ガラスに加え、タイミングベルト用ゴムコードなど機能性ガラス材料事業でも一時休業などの生産調整を拡大する。すでに2009年3月期に全世界で3千人の人員削減を行ったが、10年3月期にはさらに2800人を削減する。同社は世界的な自動車生産の減少を受けて、09年3月期は6期ぶりとなる約220億円の最終赤字に転落する見通し。このため今年1月末には全世界でのガラス生産能力を15%削減するなどを柱とした事業再構築施策を発表したが、さまざまな事業での環境悪化が長期化し追加施策が必要となった。(2009年4月9日付日刊自動車新聞より)

受賞

-Pilkington Automotiveはバックライトの品質が評価され、トラックメーカーDAFから「Quality Achievement Award」を受賞した。対象はフィンランドのYlojarvi、Tampere両工場と、ブラジルのSao Paulo工場。(2010年2月3日付プレスリリースより)

>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2010年3月期 2009年3月期 2008年3月期
全社 12,100 10,500 15,500
自動車用ガラス事業 4,300 3,200 5,200

研究開発体制

-兵庫県伊丹市の技術研究所で、自動車用ガラスの研究を行う。
-自動車用ガラス事業においては、Pilkingtonの研究開発組織と一体化。技術部門は、研究開発、グレージング・システム開発、グローバル・ツーリング開発の機能で構成。

研究開発活動

自動車用ガラス事業
-温室効果ガス削減に対応した防曇ガラスや軽量硝子の開発。
-大量生産ラインでの全量自動欠品検出装置の開発・導入。
-サイド用ガラスのコスト削減と品質向上のための工程改善プロジェクトは完了。

-Pilkingtonは、光調節技術「SPD-Smart」による自動車部品の生産・販売に関して、米国のResearch Frontiers Inc.からライセンス供与を受けた。「SPD-SmartGlass」を採用した製品は、乗員がボタン操作によって車内の光量を調整することが可能となる。ガラスが光線と熱を遮断するため、カーエアコン使用の必要性が低減。その結果、車両の軽量化、低燃費化、CO2排出量の低減につながる。今回の契約を契機として、同社はサンルーフ、ルーフパネル、サイド&リアウィンドウ、可変サンバイザーなど、「SPD-Smart」製品の供給を開始する計画。(2009年10月12日プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2010年3月期 2009年3月期 2008年3月期
全社 15,700 42,100 47,700
自動車用ガラス事業 12,700 15,600 21,200

自動車用ガラス事業
-主としてイタリアでの技術改善投資。