横浜ゴム(株) 2009年3月期の動向

ハイライト

業績 (単位:百万円)
  2009年
3月期
2008年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 517,262 551,431 (6.2) -前半は原材料価格高騰への対応として値上げの浸透を進め、後半は経済環境および市場環境の悪化に対処すべく、一部工場での減産、投資の延期、凍結、更なる経費削減など、危機的状況への緊急的な対応に取り組んだが減少。
営業利益 12,808 33,118 (61.3)
経常利益 371 25,164 (98.5)
当期純利益 (5,654) 21,060 -
タイヤ事業
売上高 399,728 419,916 (4.8) <国内>
-新車用タイヤの販売は、前半は自動車メーカーの増産を受け順調に拡大したが、後半に入り世界同時不況の影響を受けた自動車メーカーの急激な減産により、前年を下回った。

<海外>
-トラック・バス用タイヤおよび建設車両用タイヤは、世界同時不況の影響を強く受け、前年を下回る販売となった。
営業利益 9,890 26,049 (62.0)


受注
-日産が全世界で販売する新型「Fairlady Z」(海外名:Nissan 370Z)向けに、「ADVAN Sport」タイヤを供給すると発表。タイヤサイズは、フロントが225/50R18 95W、リアが245/45R18 96W。(2008年12月9日付プレスリリースより)


生産体制の拡充
-インド・ハリアナ州のバハドゥルガール工業団地内の事業用地を取得。

-中国で初めてとなるトラック・バス(TB)用タイヤの新工場を江蘇省蘇州市に建設。

-タイに天然ゴム加工工場を建設。

-ロシアのリペツク特別経済区(SEZ)にタイヤ工場を建設。

>>>詳細は、設備投資へ



中期経営計画 "GD100 PhaseII" (単位:百万円)
  2009年3月期 2012年3月期 2018年3月期
売上高 517,262 550,000 1,000,000
営業利益 12,808 38,500 100,000


事業戦略
<ロシア>
-ロシア南西部リペツク特別経済区にタイヤ工場を建設。(2011年稼動開始予定)

<中国>
-増産投資を引き続き実施予定。
 乗用車用タイヤ 生産能力300万本→410万本/年へ

-日本市場でも投入している環境特化型タイヤを中国でも生産・販売することで検討に入ったと発表。2008年10月に操業開始したTB用タイヤの現地生産拠点では中期的に年産200万本体制を計画しているが、環境重視型製品もラインアップに加えニーズの多様化に対応する。中国では高速道路網の発達に伴い高速輸送に適したタイヤの需要が高まると予想、高品質かつ耐久性の向上と燃費の低減を前面に押し出した環境特化型タイヤを中国市場に導入することで現在1%以下にとどまっているシェアの拡大につなげる。(2008年11月7日付日刊自動車新聞より)

開発動向

研究開発費 (単位:百万円)
  2009年3月期 2008年3月期 2007年3月期
全社 15,277 15,289 14,649
研究開発本部 1,829 1,936 1,390
タイヤ事業 9,098 8,993 8,932


研究開発体制
研究設備
-平塚製造所内の研究開発センター「RADIC(ラディック)」が中心。スーパーコンピュータや電子顕微鏡、ESCA(材料表面分析装置)、核遠心分離装置などの装置を導入し新技術の開発を推進。

-総合タイヤテストコース「D-PARC(ディー・パーク)」と冬季用タイヤテストコース「T*MARY(ティー・マリー)」で、実車テストを実施。


研究内容
-研究部門では、精緻かつ高度な分析・解析技術をベースに物質構造や反応機構等の解明による新素材開発やシミュレーション技術の開発を行い、環境にやさしいタイヤ材料の開発や電子材料用素材・新エネルギー・省エネルギー関連への適用技術の開発などを中心に実施。

-タイヤ事業では、2018年3月期までに全商品を環境貢献商品にすることを目指し活動中。


主な技術導入契約
相手方の名称
(国名)
契約発効日 契約内容 契約期間
Continental AG
(ドイツ)
1990年05月21日 トラック・バス用タイヤに関する特許
および製造技術の供与
2012年12月31日まで
東洋ゴム工業(株)
(日本)
1990年08月02日 トラック・バス用タイヤに関する特許
および製造技術の供与
2012年12月31日まで
Continental AG
(ドイツ)
2002年04月01日 自動車用タイヤに関する特許
および技術情報の使用許諾
2012年03月31日まで


主な技術供与契約
相手方の名称
(国名)
契約発効日 契約内容 契約期間
Continental AG
(ドイツ)
1990年05月21日 トラック・バス用タイヤに関する特許
および製造技術の供与
2012年12月31日まで
東洋ゴム工業(株)
(日本)
1990年08月02日 トラック・バス用タイヤに関する特許
および製造技術の供与
2012年12月31日まで
Continental AG
(ドイツ)
2002年04月01日 自動車用タイヤに関する特許
および技術情報の使用許諾
2012年03月31日まで

設備投資

設備投資額 (単位:百万円)
  2009年3月期 2008年3月期 2007年3月期
全社 43,300 27,300 29,000
タイヤ事業 38,400 23,000 25,600

-製造設備増強、生産性向上、品質向上等に179億円。

-Yokohama Tire Manufacturing (Thailand)において、乗用車・ライトトラック用タイヤ製造設備の増設、大型プルービンググラウンドの新設に93億円。

-蘇州横浜輪胎有限公司において、トラック・バス用タイヤ製造設備の増設で33億円。


海外投資

<インド>
-インド・ハリアナ州産業基盤開発公社からバハドゥルガール工業団地内の事業用地25エーカー(約10万1千平方メートル)を取得すると発表。同社は2007年4月、全額出資の現地法人Yokohama India Pvt. Ltd.を設立したほか、2007年7月からは乗用車用補修タイヤの独自ネットワーク構築に着手しており、現地生産の開始に向けて布石を打っていた。(2008年4月26日付日刊自動車新聞より)

<中国>
-中国で初めてとなるトラック・バス(TB)用タイヤの新工場を江蘇省蘇州市に建設し、開所式を行った。新工場の開設により、中国で乗用車用とTB用のすべての自動車タイヤの生産体制が整った。2009年5月までに生産体制を順次整え、年間34万本を生産する計画。TB向けタイヤの海外生産工場は米国、タイに続き3カ国目となる。同社の中国子会社である蘇州横浜輪胎の新工場として95億円を投じて建設。敷地面積は約7万9000平方メートル。2009年5月までに従業員を400人まで引き上げる。当面は1日当たり1000本、年34万本を生産、将来的には販売本量の拡大に合わせて追加投資を行う計画。(2008年10月25日付日刊自動車新聞より)

<タイ>
-タイに天然ゴム加工工場を建設すると発表。2009年1月に建設を開始し、2009年10月に稼働。自社系列の加工工場を運営することで、品質のばらつきが少ない天然ゴムを安定的に調達する。新工場は、タイ南部のスラタニ県に建設。タイの天然ゴム加工会社、テックビーハンの完全子会社であるテックフーとの合弁で、2008年9月3日に工場の運営会社を設立した。出資比率は同社95%、テックフー5%。(2008年11月13日付日刊自動車新聞より)

<ロシア>
-ロシアのリペツク特別経済区(SEZ)にタイヤ工場を建設すると発表。新タイヤ工場の年産能力は140万本で、操業開始は2011年の予定。投資金額は約35億ルーブル(約110億円)を計画している。(2008年12月26日付プレスリリースより)


設備の新設計画(タイヤ事業)
事業所
(所在地)
設備内容 投資予定
総額
(百万円)
着手 完了
予定
完成後の
増加能力
横浜ゴム(株)
平塚製造所
(神奈川県平塚市)
生産設備 2,472 2008年
4月
2010年
3月
-
三重工場
(三重県伊勢市)
生産設備 3,171 2008年
4月
2010年
3月
-
三島工場
(静岡県三島市)
生産設備 2,632 2008年
4月
2010年
3月
-
新城工場
(愛知県新城市)
生産設備 13,900 2008年
4月
2010年
3月
-
尾道工場
(広島県尾道市)
生産設備 4,775 2008年
4月
2010年
3月
-
Yokohama Tire Corporation
セーラム工場
(米国バージニア州) 他
生産・その他の設備 3,825 2008年
4月
2010年
3月
-
Yokohama Tire Manufacturing Thailand
本社・工場
(タイ ラヨーン県)
生産・その他の設備 16,267 2007年
6月
未定 乗用車・ライトトラック用
タイヤ280万本