日立金属 (株) 2012年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2012年 3月期 |
2011年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 556,914 | 520,186 | 7.1 | -自動車関連製品は全般に需要が回復基調となり業績は伸長した。 |
営業利益 | 44,867 | 43,143 | 4.0 | |
経常利益 | 44,288 | 37,591 | 17.8 | |
当期純利益 | 17,886 | 22,204 | (19.4) | -事業構造改善費用3,831百万円、タイ洪水被害による損失3,128百万円を計上した。 |
高級金属製品 | ||||
売上高 | 215,642 | 223,660 | (3.6) | 1) |
営業利益 | 18,786 | 24,707 | (24.0) | - |
電子・情報部品 | ||||
売上高 | 168,928 | 133,510 | 26.5 | 2) |
営業利益 | 23,819 | 14,231 | 67.4 | - |
高級機能部品 | ||||
売上高 | 170,891 | 161,583 | 5.8 | 3) |
営業利益 | 9,294 | 11,353 | (18.1) | - |
要因
1)
<金型・工具用材料>
- 工具鋼は、主要な用途である自動車向け金型が国内の自動車生産が回復したことに伴い好調。
<産業機器・エネルギー関連材料>
- 自動車関連材料は、欧州市場が後半やや低迷したものの、国内生産は回復し大幅に伸長。
<切削工具>
- 切削工具は、超硬工具業界としては横ばい傾向となったが、主要顧客である自動車関連産業向けの工具需要が底堅く推移した。
2)
<マグネット>
- 希土類磁石は、FA関連や家電向けの部品が後半に生産調整となったものの、自動車向けの電装部品の国内生産が回復し、価格の見直しも進み、全体では大幅に伸長した。
- フェライト磁石においても、家電向けの部品で生産調整があったものの、自動車の国内生産回復により自動車向けの電装部品が好調に推移し、全体では大幅に伸長した。
3)
<高級ダクタイル鋳鉄製品>
- 高級ダクタイル鋳鉄製品は、国内では東日本大震災とタイ洪水による生産停滞から回復し前期並みとなった。海外では米国等での需要が好調で、全体としては好調に推移した。
<耐熱鋳造部品>
- 耐熱鋳造部品は、排ガス規制強化や省エネルギー対応へのニーズを背景に、欧米の自動車メーカー向けの輸出を中心に伸長。
<アルミホイール>
- アルミホイールは、国内では円高や欧州の景気停滞の影響による顧客の輸出向けが減少した。海外でも米国の日系メーカーが東日本大震災とタイ洪水による減産分を取り戻せず、全体として減少した。
合弁事業
-同社は、米国モリコープ社とネオジム磁石原材料の供給で基本契約を締結したと発表した。米カリフォルニア州の世界有数のレアアース鉱山マウンテン・パスの権益を持つモリコープ社と原材料調達に関する契約を締結することで、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)向けで市場拡大が予想されるネオジム磁石需要に安定的な供給体制を確立する。一方、これまで両社が検討を進めていたネオジム磁石用合金とネオジム磁石の製造事業では合弁会社設立を行わないと決定した。北米や欧州のHV、EVを中心としたネオジム磁石需要に対応するため、日立金属が単独で米国でのネオジム磁石製造に向けた検討を進めるとしている。(2011年8月17日付日刊自動車新聞より)
>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2012年3月期 | 2011年3月期 | 2010年3月期 | |
高級金属製品 | 5,182 | 5,187 | 4,099 |
電子・情報部品 | 4,299 | 4,707 | 4,116 |
高級機能部品 | 2,672 | 2,330 | 2,411 |
全社 | 12,153 | 12,224 | 10,626 |
対売上高比率 | 2.2% | 2.3% | 2.5% |
研究開発体制
-2012年3月31日現在、713名の研究開発人員が在籍。開発拠点(自動車機器カンパニー)
拠点名 | 所在地 | 概要 |
素材研究所 | 栃木県 真岡市 |
自動車業界のグローバル化に伴う環境対策、軽量化、短納期化など、顧客ニーズに対応する「製品開発型研究所」として、最新の素形材からユニットまで幅広い研究開発活動を行う。 |
主な研究開発実績
部門 | 開発実績 |
電子・情報部品 | -EV用および太陽光発電用の低損失リアクトル -スマートキー用アンテナ |
高級機能部品 | -低燃費高出力ダウンサイジングエンジン用耐熱鋳鋼製品の拡充 |
技術供与契約 |
(2012年3月31日現在) |
相手方 (国名) |
契約品目 | 契約内容 | 期間 |
TDK株式会社 (日本) 信越化学工業株式会社 (日本) |
希土類磁石 | 希土類磁石に関する非独占的実施権の許諾 | 1988年 3月24日(基本発明の権利取得日)から、許諾した特許出願の権利が消滅する日まで |
Magnequench Limited (バルバドス) |
希土類磁石 | 希土類磁石に関する独占的実施権の許諾 | 2007年8月10日から 契約対象特許の終了日まで |
相互援助技術契約 |
(2012年3月31日現在) |
相手方 (国名) |
契約品目 | 契約内容 | 期間 |
Magnequench, Inc. (米国) |
希土類磁石 | 希土類磁石に関する特許実施権の交換 | 2000年8月22日から契約対象特許の終了日まで |
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2012年3月期 | 2011年3月期 | 2010年3月期 | |
高級金属製品 | 11,191 | 8,272 | 4,964 |
電子・情報部品 | 6,848 | 6,560 | 7,301 |
高級機能部品 | 5,660 | 4,685 | 3,440 |
サービス他 | 485 | 674 | 633 |
消去又は全社 | 116 | 178 | 147 |
全体 | 24,300 | 20,369 | 16,485 |
海外投資
- 米国でハイブリッド車(HV)、電気自動車(EV)向けにネオジム磁石を製造する工場を新設すると発表した。欧米市場で需要拡大が見込まれるネオジム磁石の供給体制を強化するとともに、日本以外で生産して為替リスクを分散する。米国でフェライト磁石を生産している日立メタルズ・ノース・カロライナが約20億円を投じてネオジム磁石を生産する工場を新設する。新工場では、原材料であるネオジム合金を使用してネオジム磁石を生産する。工場は2012年2月に着工し、13年4月に量産開始する。生産能力は量産開始時が月産約40トン。(2011年12月24日付日刊自動車新聞より)- 韓国子会社の南陽金属(株)(Namyang Metals Co., Ltd.)に増産投資を行い、自動車向け高靱性ダクタイル鋳鉄品の生産能力を増強すると発表した。着工は既に開始しており、2012年夏の稼働を予定している。これにより、生産能力は現行の月産約6,000トンから約8,000トンとなり、約3割増加する見込み。(2011年9月22日付プレスリリースより)
主な設備投資
事業部門 | 投資目的・内容 |
高級金属製品 | グローバル生産体制構築および国内工場の合理化投資。 |
電子・情報部品 | 希土類磁石の増産合理化投資。 |
高級機能部品 | 自動車部品および配管機器製品のグローバル生産体制構築。 |
設備投資計画
金額 | 投資目的・内容(単位:百万円) | |
高級金属製品 | 13,800 | 新製品対応の設備新設と既存ラインの生産性向上 |
電子・情報部品 | 11,300 | 同上 |
高級機能部品 | 6,000 | 同上 |
サービス他 | 900 | - |
全体 | 32,000 | - |