ジヤトコ (株) 2013年3月期~2015年3月期の動向

ハイライト

近年の動向

無段変速機 (CVT) に経営資源を集中

-2014年7月、ジヤトコ、アイシン・エィ・ダブリュの自動変速機2社が世界販売を拡大しているという。ともに2013年度 (2014年3月期) の業績は販売数量 (ジヤトコは生産)、売上高、利益で過去最高を更新した。ジヤトコは無段変速機 (CVT)、アイシンAWはAT に経営資源を集中して新興国に生産拠点を増設。主要取引先の海外生産拡大に対応し、現地生産を積極化していることが売り上げ規模の拡大につながっている。両社は自動変速機の世界市場で2位と1位 (自動車メーカーの内製を除く)。アイシンAWによると、ジヤトコの世界シェアは11% (12年度) 、同社の世界シェアは15%。ジヤトコは20年度までの世界シェア1位を目指して販売先の拡大に取り組む。北米、中国を重点市場に掲げるほか、新興国向けの低価格な自動変速機の開発も進める。AWは20年度までの世界シェア15%維持を掲げ、ハイブリッド車 (HV) 用トランスミッションの販売拡大や、新興国で需要の増加が見込まれる過給ダウンサイジングエンジンへの対応を進める。

海外事業

<メキシコ>
-2014年9月、メキシコ第2工場が稼働したと発表。同工場はアグアスカリエンテス州に総額2億2千万ドル (約205億円) を投じて建設していた。新工場の稼働により、メキシコでの生産能力は第1工場と合わせ年間170万台になる。新工場は年間40万台の生産能力で、中・大型車用の無段変速機「CVT8」とハイブリッド車用トランスミッション「CVT8 ハイブリッド」を生産する。CVT8は日産が北米で販売している 「Altima」、「Rogue」、CVT8ハイブリッドは 「Pathfinder Hybrid」 に搭載されている。 (2014年9月11日付日刊自動車新聞より)

<中国>
-2013年4月、中国での無段変速機 (CVT) の累計生産台数が100万台を達成。現地生産会社のジヤトコ広州は、2009年に中型車用CVTの生産を開始し、11年には小型車用副変速機付の「CVT7」の生産を始めた。13年3月には「CVT8」の生産を開始し、東風日産の「TEANA」 向けに供給している。現在は、年間90万台の生産能力と現地での開発機能を持たせている。 (2013年4月24日付日刊自動車新聞より)

<タイ>
-2013年9月、タイの生産子会社、JATCO (Thailand) Co., Ltd.の開所式を実施。タイ工場は中国、メキシコに次ぐ3番目の海外工場で、日産自動車がタイで生産する「Micra」 (日本名=March)、「Sylphy」 に搭載される副変速機付きCVT「CVT7」を生産する。生産能力は年間50万台とし、従業員740人で7月から生産を始めた。 2014年度までに従業員数を1,300人に増員する。 (2013年9月10日付日刊自動車新聞より)

-JATCO (Thailand) Co., Ltd.ではスズキ 「Swift」 等にもCVTを納入している。

-顧客への納入比率は日産75%、三菱自動車15%、スズキ10%。 (2014年2月ヒアリング調査より)

<ロシア>
-AvtoVAZ社への供給開始に伴い、2012年6月にAvtoVAZ社本社のあるサマラ州トリヤッチに、さらに2013年6月には首都モスクワにも駐在事務所を開設。さらなるビジネス拡大を目指す。

国内事業

国内生産体制を効率化
-2013年度の組織改正を発表。水島工場の生産終了に伴って水島製造課を廃止するほか、蒲原工場の製造課を2課から1課に統合し、国内生産体制を効率化する。 (2013年3月23日付日刊自動車新聞より)

CVTの生産能力を年間50万台から60万台へ
-2012年、スズキ向けの自動変速機を生産する掛川工場でCVTを増産すると発表。生産要員を増やし生産スピードを上げるほか、設備投資を実施し、2013年にCVTの生産能力を年間50万台から60万台へ2割引き上げる。掛川工場で増産するのは、副変速機を付けコンパクト化、燃費性能向上を両立した軽・小型車向けの新世代CVT「CVT7」。スズキは同CVTを軽自動車のほか、コンパクト車に採用しており、9月に発売した新型 「Wagon R」 にも搭載した。主力車への搭載により、スズキからのCVTの需要がさらに増えることを受け、同工場での増産体制を整える。 (2012年10月26日付日刊自動車新聞より)

主な受注

OEM モデル 製品
2015年3月期
日産 Altima (USA)、Rogue (USA) 中・大型車用の無段変速機「Jatco CVT8」
日産 Pathfinder Hybrid (USA) 「Jatco CVT8 ハイブリッド」
2014年3月期
日産 Micra (Thailand)、Sylphy (Thailand) 副変速機付CVT 「Jatco CVT7」
スズキ Swift (Thailand) 副変速機付CVT 「Jatco CVT7」
日産 Skyline ハイブリッドFR車用トランスミッション (JR712E)
日産 DAYZ 副変速機付CVT 「Jatco CVT7 (JF015E)」
三菱 eK Wagon/eK Custom 副変速機付CVT 「Jatco CVT7 (JF015E)」
2013年3月期
スズキ Wagon R/Wagon R Stingray 副変速機付CVT 「Jatco CVT7 (JF015E)」
日産 Note 副変速機付CVT 「Jatco CVT7 (JF015E)」
三菱 Mirage 副変速機付CVT 「Jatco CVT7 (JF015E)」
日産 NV350 Caravan 中・大型FR車用5速AT (JR507E)
日産 Cima ハイブリッドFR車用トランスミッション (JR712E)
AvtoVAZ Lada Granta 小型FF車用4速AT

表彰

表彰者 受賞者 賞の名称 理由
2015年3月期
ジヤトコ Magna Powertrain
(米国、ミシガン州)
「Global Best Performance Award」 無段変速機 (CVT) 用のプランジャーおよびシリンダー部品を評価。
ジヤトコ (広州) 自動変速機有限公司
[JATCO (Guangzhou) Automatic Transmission Ltd.]
愛思帝達耐時 (上海) 駆動系統有限公司
[Exedy Dynax (Shanghai) Co., Ltd.]
「2013年度  JATCO Supplier Award 特別賞」 -
ジヤトコ エクセディ 「2013年度 JATCO Supplier Award リージョナル特別賞」 -

研究開発拠点

名称 所在地
国内
厚木開発センター 神奈川県厚木市
岡崎開発センター 愛知県岡崎市
茂木試験場 栃木県芳賀郡
海外
JATCO USA, Inc. 米国ミシガン州
JATCO Korea Engineering Corp. 韓国ソウル
JATCO France SAS フランス Verrieres le Buisson
JATCO France SAS, Spain branch スペイン Barcelona

研究開発拠点

-2014年5月、スペインに事務所を開設したと発表。日産自動車の無段変速機 (CVT) プロジェクトの実験業務や品質業務を行う。日産と開発・実験業務分野の連携を強化し、欧州市場のニーズにきめ細かく対応する。スペイン事務所はバルセロナにある日産テクニカルセンターの敷地内に設け、12日に開所式を行った。従業員4人で業務にあたる。 (2014年5月14日付日刊自動車新聞より)

研究開発活動

CVTの効率向上
-2020年での車両への搭載を目指し、CVTの大幅な効率向上を図る。サイズ、重量、エネルギー損失を、現行の中大型車クラス用CVTに比べ40%低減する。エンジン車だけでなく、電動車にも搭載できるユニットとして開発し、電動車用の変速機の需要を獲得することを目指す。

品質技術センターを開設
-2012年、中国の生産子会社、ジヤトコ (広州) 自動変速機有限公司 [JATCO (Guangzhou) Automatic Transmission Ltd.] 内に品質技術センターを設置。品質保証機能、SQC (統計的品質管理)、開発機能、調達機能を同センターに組織し、市場品質問題、車両適用開発、部品の国産化に迅速に対応する。ジヤトコ広州は2009年にCVTの生産を開始した。13年春には年間生産能力を73万台から90万台に増強する。 (2012年4月18日付日刊自動車新聞より)

海外投資

<メキシコ>
-2014年9月、メキシコ第2工場が稼働したと発表。同工場はアグアスカリエンテス州に総額2億2千万ドル (約205億円) を投じて建設していた。新工場の稼働により、メキシコでの生産能力は第1工場と合わせ年間170万台になる。新工場は年間40万台の生産能力で、中・大型 車用の無段変速機「CVT8」とハイブリッド車用トランスミッション「CVT8 ハイブリッド」を生産する。CVT8は日産が北米で販売している 「Altima」、「Rogue」、CVT8ハイブリッドは 「Pathfinder Hybrid」 に搭載されている。 (2014年9月11日付日刊自動車新聞より)

<タイ>
-2013年9月、タイの生産子会社、JATCO (Thailand) Co., Ltd.の開所式を実施。タイ工場は中国、メキシコに次ぐ3番目の海外工場で、日産自動車がタイで生産する 「Micra」 (日本名=March)、「Sylphy」 に搭載される副変速機付きCVT「CVT7」を生産する。生産能力は年間50万台とし、従業員740人で7月から生産を始めた。2014年度までに従業員数を1,300人に増員する。

国内投資

-2012年、スズキ向けの自動変速機を生産する掛川工場でCVTを増産。生産要員を増やし生産スピードを上げるほか、設備投資を実施し、2013年にCVTの生産能力を年間50万台から60万台へ2割引き上げる。