ジヤトコ (株) 2010年3月期の動向

ハイライト

2010年3月期

受注

-2009年のプレスリリースによる主な受注は以下の通り。
メーカー・モデル 搭載部品
日産 NV200 Vanette 小・中型FF車用4速AT
日産 Fuga 中・大型FR車用7速AT
日産 Roox 軽・小型FF車用次世代CVT
Renault Koleos 中型FF車用ベルトCVT
スズキ Kizashi 中型FF車用ベルトCVT
スズキ Alto 軽・小型FF車用次世代CVT、軽・1リッタークラスFF車用4速AT
三菱自動車 RVR 中型FF車用ベルトCVT

-仏Renaultへの自動変速機の供給拡大を目指し受注活動を本格化する。中国を始めインド、南米などの乗用車の普及が見込まれる新興国向けに重点を置き、CVT(無段変速機)、ステップAT(ギア式変速機)の提案を活発化する。Renaultと同社の筆頭株主である日産自動車がアライアンス強化の一環として、パワートレーンの共通化をさらに進める方針を打ち出した。さらに、RenaultはMT車が中心の欧州以上に、AT車の浸透の可能性が考えられる新興国での成長を重視していることから、開拓の余地が広いと判断した。(2009年4月17日付日刊自動車新聞より)

-中国・広州の子会社、ジヤトコ(広州)自動変速機がCVT(無段変速機)の量産を開始したと発表した。メキシコ工場に次ぐ同社2番目の海外生産拠点で、2-2.5リットル車用のCVTを日産自動車の現地合弁生産拠点、東風日産乗用車に供給する。CVTは「シルフィ」「ティアナ」「キャシュカイ」「エクストレイル」の現地生産車に搭載される。年産能力は14万台。約40億円を投資し、日本と同様な品質基準での量産体制を整えた。これによって燃費性能に優位なCVTの海外供給体制を拡充し、新規ニーズの吸収に結びつける。(2009年9月29日付日刊自動車新聞より)

事業概況

-自動変速機の最量販機種である中型車用CVT(無段変速機)で主要部品の仕様統合を完了した。トルクコンバーターの種類を見直したもので、従来の80種を約3分の1の28種に削減した。納入先と共同で検討しながら設計を最適化し実現した。トルクコンバーターは変速機用部品の中では原価が高いため、仕様統合による合理化効果が大きいとしており、こうしたノウハウを幅広く他の自動変速機に応用して競争力を高める。従来同等以上の燃費、性能を実現する手法を確立することによって、量販機種である中型車用CVTのトルクコンバーターの種類削減を実現した。(2010年1月8日付日刊自動車新聞より)

-CVT(無段変速機)の販売台数が2009年度に初めてステップAT(ギア式の自動変速機)を上回ることが確実になった。燃費改善に効果的なユニットとして認知が進み、2008年秋の新車市場の低迷以降にも着々と搭載車種、販売台数を伸ばした。その成果によって2009年度は販売台数が前期比19・5%増、190万台、販売構成比が同6ポイント増の52%に達する見通し。2010年度はさらに販売が拡大、台数が200万台を超えるほか、構成比が60%近くに高まる見込みになった。(2010年1月26日付日刊自動車新聞より)

-CVT(無段変速機)事業を拡大する。2010年度のグローバル販売について2009年度見込みの20%増となる230万台とし、初めて200万台を上回る計画を打ち出した。同社は、2008年秋の金融危機以降にも低燃費車の拡充に取り組む自動車メーカーのニーズを取り込みCVT販売の伸びを維持してきた。2010年度はエコカー減税が秋まで延長されたことや、自動車の二酸化炭素(CO2)排出削減が世界的に取り組まれていることなどを追い風に目標達成に結びつける。(2010年3月29日付日刊自動車新聞より)

開発動向

研究開発拠点

本社 静岡県富士市
厚木開発センター 神奈川県厚木市
岡崎開発センター 愛知県岡崎市
茂木試験場 栃木県芳賀郡

製品開発

次世代無段変速機
-日産自動車と小型軽量化とフリクションの低減を図った次世代の無段変速機(CVT)を開発したと発表した。ベルト式CVTとしては世界初となる副変速機内蔵式とすることで、プーリーを小型化しコンパクトな設計を実現した。CVT単体の伝達効率は現行製品に対して10%向上し、搭載車の燃費も10%改善が見込めるという。1年以内に2リットル以下のエンジンと組み合わせて市販車に搭載する計画。(2009年7月23日付日刊自動車新聞より)

設備投資

海外投資

<中国>
-中国の生産会社、ジヤトコ(広州)自動変速機有限公司を増設、生産能力拡大を図ると発表した。 CVT(無段変速機)の需要拡大に対応、24万台/年の生産ラインを新設する。同社は2007年4月にジヤトコ広州を設立、2-2・5リットルクラス車向けのベルトCVTの生産を始めている。現行年産能力は14万台で、ライン増設後は同38万台と1・7倍に拡大する。投資額は建物、生産設備等をあわせ53億円(4億元)で、11年中頃の稼働を予定、人員は現在の270人から700人に膨らむ。(2009年11月26日付日刊自動車新聞より)