(株) 村田製作所 2017年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2017年3月期 2016年3月期 増減率 (%) 要因
全社
売上高 1,135,524 1,210,841 (6.2) -コンポーネントの売上高は汎用部品を中心に数量は伸びたものの、製品価格の値下がりや為替変動の影響で微増にとどまり、またモジュールが大幅な減収となった。
営業利益 201,215 275,406 (26.9) -原価低減の取り組みと新製品の継続的な投入を推し進めたが、製品価格の値下がり、減価償却費の増加、円高などの要因により減益。
同社株主に帰属する当期純利益 156,060 203,776 (23.4) -
カーエレクトロニクス用途
売上高 168,700 152,800 10.4 1)


要因
1) カーエレクトロニクス用途
-電装化の進展により、車載用コンデンサーが大幅に増加。
-インフォテインメント向けに車載用近距離無線通信モジュールが大きく伸長。
-カーオーディオ向け電源モジュールが減少。

製品開発

表面実装型圧電サウンダ
-車載市場向けに世界最大音量を実現した表面実装型圧電サウンダを開発。2016年10月から量産を開始している。独自の材料技術と高精度な加工技術を応用し、従来品の約4倍で10~12デシベル増の音圧を実現。高い信頼性を確保するためリフロー実装に対応した。圧電サウンダは、電気的信号を加えると振動するという圧電特性を利用し、音源部を振動させることで発音する部品。先進運転支援システム(ADAS)の発展に伴ってヒューマンマシンインターフェース(HMI)の重要性が増す中、警告音などを出すために発音部品は大音量化が求められており、これらのニーズに対応する。(2017年2月21日付日刊自動車新聞より)

自動車用途で同社最小サイズ1608Mサイズ3端子積層セラミックコンデンサー
-自動車用途で同社最小サイズとなる1608Mサイズ(1.6×0.8ミリメートル)の3端子積層セラミックコンデンサーを開発。先進運転支援システム(ADAS)や自動運転といった予防安全システムへの採用を目指す。3端子積層セラミックコンデンサーは、一般的な2端子のものよりも等価直列インダクタンスが小さいため、少ない部品点数で高周波帯域のインピーダンスを低減できるのが特長。車載向けではプロセッサの高性能化や機器の小型化要求が進むADASや自動運転、インフォテインメントシステムなどで採用が進んでいる。既にサンプル出荷しており、量産開始は2017年4月の予定。(2017年2月15日付日刊自動車新聞より)

高性能加速度センサー
-産業機器や車載向けに高性能加速度センサーSCA3000シリーズを開発。インテリジェントトランスミッションコントロール、高精度な平準器・アライメントシステム、重機の傾き検知、ナビゲーションシステム、無人搬送車(AVGs)、測量機器や高精度な傾きの検出などに使用される。(2016年12月5日付プレスリリースより)

車載用絶縁型DC-DCコンバーター
-小型・面実装タイプの車載用絶縁型DC-DCコンバーター「MYIS」シリーズを開発した。EV、HEV、PHEVなどの2バッテリーシステムや、EV/PHEVなどのチャージャーシステムで使用できる。この製品の量産はタイ子会社のMurata Electronics (Thailand) において、2016年12月から開始する。サンプル価格は1000円。(2016年8月18日付プレスリリースより)

巻線インダクタ
-車載向けカメラ用途とNFC回路に最適な巻線インダクタ 「LQW15CN_0Z/1Z」シリーズを商品化した。「AEC-Q200」にも準拠する。小型で大きなインダクタンスを取得できる特徴を活かし、車載カメラに使われるBias Tee回路を効率的に構成することができる。また、巻線タイプインダクタの特徴である低損失特性を活かしNFCのマッチング回路にも利用できる。(2016年7月22日付プレスリリースより)

車載グレードHigh Q積層セラミックコンデンサ
-V2X車車間/路車間通信向けの車載グレードHigh Q積層セラミックコンデンサGCQシリーズを業界で初めて開発した。AEC-Q200に準拠した、V2X、ADAS、車載通信用途向け。既にサンプル出荷を開始しており、2016年上半期中に量産を開始する。 (2016年4月20日付けプレスリリースより)

買収

-子会社のMurata Electronics Europeが2016年10月17日に、フランスを本拠とするIPDiAの買収を完了。この買収により村田製作所は、通信市場のほか、自動車、医療機器市場におけるコンデンサー事業の強化、拡大を図る。(2016年10月18日付プレスリリースより)

-2016年10月、IPDiAの株式を取得することで株式売買契約を締結。IPDiAは、シリコン受動素子の設計、開発、生産、販売を行っており、医療機器、産業機器、通信機器などのアプリケーション向けに3Dシリコンキャパシターを提供している。フランスとカナダに拠点を持ち、従業員130名を雇用している。この買収により村田製作所は、通信市場のほか、自動車・医療機器市場におけるコンデンサー事業の強化・拡大を図る。買収は2016年10月末をめどに完了する予定。(2016年10月12日付プレスリリースより)

提携

指月電機製作所と資本・業務提携を締結
-指月電機製作所と資本・業務提携を締結することで合意。両社は、合弁会社を設立して技術を融合、耐熱性の高い新素材を使ったフィルムコンデンサーを開発して電気自動車(EV)に搭載されるシステムの冷却機構の簡素化に貢献する。フィルムコンデンサーは2年後の量産を目指す。合弁会社の社名は未定で、資本金が1億円。出資比率は村田製作所が65%、指月電機が35%で、10月3日付けで設立した。村田製作所のセラミックコンデンサー技術と指月電機のフィルムコンデンサー技術を融合して開発する新素材は、セ氏125度の耐熱性を持つ。合弁会社は新素材を使用したフィルムコンデンサーを開発、製造、販売する。EVやハイブリッド車に搭載されるパワードライブ系やエアコンの電動コンプレッサーなどのシステムを冷却する機構を簡素化する用途を見込む。(2016年10月4日付日刊自動車新聞より)

再編

ソニーグループの電池事業を取得
-2017年2月、同社と村田製作所への電池事業譲渡ソニーは、ソニーから村田製作所への電池事業譲渡に関し、2016年10月31日付のプレスリリースにて、2017年4月上旬を目途に本取引の完了をめざすと発表していたが、関係当局の審査の進捗状況を踏まえて、2017年7月上旬に変更すると発表した。 (2017年2月15日付プレスリリースより)

-2016年10月、同社とソニーはソニーグループの電池事業を村田製作所グループが譲り受けることに関し確定契約を締結。本件については、2016年7月28日に意向確認書の締結について公表済み。本件取引に伴う譲渡金額は約175億円。対象となるソニーグループの社員約8,500名については、本取引完了に伴い、村田製作所グループにて雇用を受け入れる予定。今後両社は、関係当局の必要な承認及び認可の取得等を条件として、2017年4月上旬を目途に取引の完了を目指す。(2016年10月31日付プレスリリースより)

-ソニーグループの電池事業を村田製作所グループに譲渡することで合意。10月中旬に確定契約を締結し、2017年3月末に取引の完了を目指す。対象は、ソニー子会社のソニーエナジー・デバイスの電池事業と、ソニーが電池事業で中国とシンガポールに持つ生産拠点、ソニーグループが国内外に持つ販売拠点と研究開発拠点のうち、電池事業に関連する資産や人員。ソニーブランドで展開するUSBポータブル電源やアルカリ乾電池、ボタン・コイン電池、モバイルプロジェクターなどの一般消費者向け販売事業は含まない予定。(2016年8月9日付日刊自動車新聞より)

2018年3月期の見通し

(単位:百万円)
2018年3月期
(予想)
2017年3月期
(実績)
増減率 (%)
売上高 1,225,000 1,135,524 7.9
営業利益 226,000 201,215 12.3
同社株主に帰属する当期純利益 174,000 156,060 11.5

*カーエレクトロニクス用途の売上高は前期比+13%程度を予想。

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
2017年3月期 2016年3月期 2015年3月期
コンポーネント 37,887 32,888 31,133
モジュール 28,828 31,465 20,040
その他 24 45 37
本社部門 15,070 13,584 13,780
合計 81,809 77,982 64,990

-2018年3月期の研究開発費は90,000百万円を予定。
-同社の本社研究開発部門では、新規事業創出に向けて、特に自動車、エネルギー、ヘルスケア・メディケア市場向けの新技術・新商品の開発を行っている。

設備投資額

(単位:百万円)
2017年3月期 2016年3月期 2015年3月期
生産設備の増強・合理化等 88,869 122,845 67,704
研究開発用設備の増強 12,888 12,419 7,380
土地および建物の取得 35,096 14,681 10,921
全社 158,579 172,540 101,184

-2018年3月期の設備投資は170,000百万円を予定。

-生産子会社の出雲村田製作所は、2015年4月より新生産棟2棟の建設を進めていたが、このたび2棟目の新棟が完成し、2016年11月1日に竣工式を執り行う。今回の新生産棟の建設は、電動化が進む自動車向けを始めとする電子部品需要の増加に対応するための生産能力の増大を目的としており、さらなる需要拡大へ対応できる体制を構築していく予定。(2016年10月26日付プレスリリースより)

設備の新設計画

(2017年3月31日現在)
会社名・事業所名 所在地 設備の内容 投資予定総額
(百万円)
着手 完了予定
(株) 富山村田製作所 富山県
富山市
コンポーネントおよびモジュール生産設備 27,000 2017年4月 2018年3月
(株) 福井村田製作所 福井県
越前市
コンポーネント生産設備 21,000 2017年4月 2018年3月
(株) 出雲村田製作所 島根県
出雲市
コンポーネント生産設備 20,000 2017年4月 2018年3月
Wuxi Murata Electronics Co., Ltd.
[無錫村田電子有限公司]
中国
江蘇省無錫市
コンポーネント生産設備 15,000 2017年4月 2018年3月
(株) 村田製作所
八日市事業所
滋賀県
東近江市
原料、半製品およびコンポーネント生産設備 13,000 2017年4月 2018年3月