(株) 村田製作所 2013年3月期の動向

ハイライト

業績

( 単位:百万円 )
  2013年
3月期
2012年
3月期
増減率 (%) 要因
全社
売上高 681,021 584,662 16.5 -売上高は、前年比+16.5%の681,021百万円となり、過去最高。2012年3月期に買収したルネサスエレクトロニクス (株) のパワーアンプ事業とVTI Technologies Oy (現Murata Electronics Oy) の売上が加わったことや、円高修正 (円安) に因る。
営業利益 58,636 44,973 30.4 -営業利益は、前年比+30.4%の58,636百万円で、大幅増益。企業買収に伴う固定費の増加、製品価格の値下がりといった減益要因はあったが、操業度益やコストダウン、為替が円安に振れたことによる増益効果が補った。
当期純利益 42,386 30,807 37.6 -
カーエレクトロニクス市場
売上高 102,000 85,400 19.4 -積層セラミックコンデンサーや車載用Bluetoothモジュール、電源等が大幅に売上増加。
-買収したVTI社のMEMSセンサーも売上に貢献。

旧VTI Technologies社のMEMSセンサーの販売を開始

-フィンランド子会社ムラタ・エレクトロニクス・Oy (旧VTIテクノロジーズ) が製造するアイドリングストップシステム向け加速度センサー、ジャイロコンボセンサー、傾斜センサーを販売すると発表した。発売する加速度センサーは、SCA8X0とSCA21X0センサーシリーズの高精度バージョンで、車両の走行状態、停止状態を検知する。アンチロック・ブレーキシステム(ABS)での使用、スタンドアロンシステムとしての使用も可能だ。傾斜センサーは、電子制御による駆動システムで、車体の傾斜角を高精度に測定する。エンジンの再始動時、ブレーキを使用して車両をその場に保持するために使用する。同社のMEMSセンサー内部のメカニカルガスダンピングによって、傾斜測定時にエラーの原因となる外部信号を除去して精度を向上させた。ジャイロコンボセンサーのSCC1300は、加速度センサーとの組み合わせで、アイドリングストップシステム向けの機能に加え、横滑り防止装置 (ESC) にも使用できる。 (2012年6月15日付日刊自動車新聞より)

受賞

-Learより2012年度「Supplier of the Year Award」を受賞した。同社はLearにパッシブ電子部品を供給している。 (2013年2月27日付プレスリリースより)

企業買収

-同社は、米国子会社Murata Electronics North America, Inc. (MEA) が、同国テキサス州を本拠とするRF Monolithics, Inc. (RFM) の買収手続きを完了したと発表。RFMは、医療機器・車載機器・産業機器・エネルギー関連市場向けの通信モジュールや、SAW技術を基盤とした高周波部品の開発・販売を行っている。 (2012年7月3日付プレスリリースより)

2014年3月期の見通し

(単位:億円)
  2014年3月期
(予想)
2013年3月期
(実績)
増減率 (%)
売上高 7,800 6,810 14.5
営業利益 1,000 586 70.6
当期純利益 700 424 65.1

*カーエレクトロニクス市場の売上は、前期比+10%を予想。

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2013年3月期 2012年3月期 2011年3月期
コンポーネント 21,100 19,915  19,856
モジュール 12,379 8,984  8,507
その他 4 47  21
本社部門 15,283 12,032  11,394
合計 48,766 40,978 39,778

製品開発

金属端子付き積層セラミックコンデンサー
-高リップル耐性 (自己発熱が少ない) ・高実効容量の金属端子付き積層セラミックコンデンサーとして自動車用の「KC3」シリーズと一般用の「KR3」シリーズの量産を開始したと発表した。KC3シリーズは車載電子部品規格のAEC-Q200に準拠しており、エンジンやECU、駆動系制御、セーフティー機器など向け。2012年9月から出雲村田製作所で量産に入っている。 (2012年11月22日付日刊自動車新聞より)

樹脂外部電極チップ積層セラミックコンデンサー
-150℃の環境で使用できる自動車向け樹脂外部電極チップ積層セラミックコンデンサーを開発、量産を開始したと発表した。温度特性がマイナス55℃~150℃の範囲内で、静電容量変化率+15/-40%である「X8L特性」を持つ。3225サイズ/10μF (定格電圧25ボルト)。X8L特性としては世界初の樹脂電極品となる。3225サイズでは世界最大の静電容量を実現した。新しい樹脂外部電極チップ積層セラミックコンデンサーは、ECUやトランスミッションコントロール、センサーなど、主に高温対応が必要で、フェールセーフ機能が必要な自動車向け。 (2012年10月17日付日刊自動車新聞より)

150℃で使用可能な、積層セラミックコンデンサー
-150℃で使用可能な自動車向け積層セラミックコンデンサー「GCGシリーズ」の量産を開始したと発表した。X8R特性の小型品 (1005、1608) サイズでは世界最大となる容量拡大を実現したコンデンサーで、島根県出雲市の出雲村田製作所で7月に量産を始めた。自動車の電装化が進む中、電子部品もエンジンやトランスミッションなどの近くに配置されることが多くなってきており、高温環境下で使用可能なコンデンサーの要求が高まっている。また、部品搭載スペースの削減も必要なため、同社では新材料を使用し、150℃の高温環境下で使用可能なX8R特性のコンデンサーの容量を拡大した。また同製品は、外部電極に銀-パラジウム電極を採用し導電性接着剤での実装が可能で、温度サイクルで問題となるハンダクラックの解消が可能としている。 (2012年9月13日付日刊自動車新聞より)

小型・大容量のチップ積層セラミックコンデンサー
-同社は、自動車向けチップ積層セラミックコンデンサーGCMシリーズの小型化・大容量化を実現した。新材料の開発により、これまで主流だった3225サイズ (3.2mm×2.5mm) から3216サイズ (3.2mm×1.6mm) への小型化と、静電容量2.2µFから4.7µF (定格電圧50V品)、4.7µFから10µF (定格電圧25V品) への拡大に成功。自動車の電源回路においては、これまでアルミ電解コンデンサーやタンタルコンデンサーが使用されていたが、当製品への置き換えが可能となる。これらの部品の生産は出雲村田製作所で行われており、定格電圧25V品は2012年4月より、定格電圧50V品は2012年5月より量産を開始している。 (2012年6月28日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2013年3月期 2012年3月期 2011年3月期
全社 77,662 68,445 56,752

-主な内容は、同社および連結子会社における生産設備の増強・合理化等55,770百万円、研究開発用設備の増強7,337百万円、土地および建物取得5,135百万円。

-2014年3月期の投資予定金額は77,000百万円。

 

設備の新設計画

(2013年3月31日現在)
会社名・事業所名 所在地 設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手 完了
予定
(株) 金沢村田製作所 石川県
白山市
コンポーネント生産設備 10,000 2013年
4月
2014年
3月
(株) 福井村田製作所 福井県
越前市
コンポーネント生産設備 9,000 2013年
4月
2014年
3月
(株) 岡山村田製作所 岡山県
瀬戸内市
コンポーネントおよびモジュール生産設備等 7,000 2013年
4月
2014年
3月
(株) 出雲村田製作所 島根県
出雲市
コンポーネント生産設備 6,000 2013年
4月
2014年
3月
Wuxi Murata Electronics Co.,Ltd. 中国
無錫市
コンポーネント生産設備 6,000 2013年
4月
2014年
3月