Weichai Power Co., Ltd. [濰柴動力股份有限公司] 2012年12月期の動向

ハイライト

2012年度の業績

(单位:百万元)
  2012年12月期 2011年12月期 増減率 (%) 要因
売上高 48,165.39 60,019.27 (19.75)

- 大型トラック市場の鈍化によるもの。

営業利益 3,718.87 7,169.91 (48.13) -
経常利益 3,959.81 7,418.51 (46.62)
純利益 3,234.27 6,319.99 (48.82)

-同社 (本社、重慶濰柴、楊柴、博杜安船機、MAN大機などを含む) は2012年のエンジン生産台数は51.3万基、売上高は330億元だったと発表。前年の67.3万基、500億元に比べ、それぞれ24%と34%の減少となった。しかし濰柴動力が掲げている2015年120万基、2020年200万基、3,000億元という売上目標に変更はないという。(2013年1月 17日付けプレスリリースより)

受注

-同社はフランスMoteurs Baudouin社の6M26.2ディーゼルエンジンの国産化に成功し、初めてフランスに6基を輸出すると発表。同社は2009年よりBaudouin社のM26ディーゼルエンジンの国産化に取り組んでおり、現在6M26、12M26の国産化が完了した状態。エンジン組み立てはBaudouin社が単体組み立て方式を取っているのに対し、同社はフローライン方式を採用、年間1500基の生産が可能となっている。(2012年10月13日付け各種リリースより)

-2012年、同社が自主開発したWP5、WP7エンジンの販売は前年度75.1%増の7452台となり、バス、大型トラックに納入している。(2012年年報より)

合弁

-濰柴動力股份有限公司は2012年8月、独キオン (KION Holding 1 GmbH) の新たに発行する株式を買い取り、キオンの株式の25%を取得すること、また、キオンが油圧部門を切り離して設立するLinde Hydraulicsの株式の70%を取得することで合意している。2012年12月20日、同件について修正を加えたと発表した。それによると、この投資案件の実施主体を濰柴動力の間接的全額出資子会社「濰柴動力ルクセンブルク (Weichai Power (Luxembourg) Holding S.a.r.l.)」とするという。また、同社はオプションを取得し、出資比率を30%まで引き上げる権利を有することになっているが、これを最大33.3%まで引き上げる権利を有すると修正している。(2012年12月21日付け会社公告より)

新市場

-同社の天然ガスエンジンWP6NG、WP7NG、WP10NG、WP12NGの4シリーズがロシアGOSTが発給するECER49-05B1ユーロⅣ排ガス基準適合証書を取得した。ロシアは現在ECEの定めるユーロⅣ排ガス基準を採用している。その基準に合わせ、ETC (European Transient Cycle) 欧州過渡モードでの排出ガス試験をそれぞれ行った結果、同社の天然ガスエンジン4シリーズはすべて合格となった。これにより同社はロシア、CISおよび東欧への進出が可能となった。(2012年3月8日付けプレスリリースより)

受賞

-同社の子会社「株洲湘火炬火花塞有限責任公司 (Zhuzhou Torch Spark Plug Co., Ltd.)」は2012年11月21日、瀋陽航天三菱エンジン (Shenyang Aerospace Mitsubishi Engine) が開催した2012年度部品サプライヤー大会において優秀サプライヤー賞を受賞した。同社の受賞は10年連続となった。(2012年12月2日付けプレスリリースより)

開発動向

研究開発体制

-国内とオーストリアに研究開発センターを保有。

-同社の子会社「陝西漢徳車橋有限公司 (Shaanxi Hande Axle Co., Ltd.)」は2012年10月27日、西安涇渭 (Xi'an Jingwei) の陝西汽車集団公司産業パークで実験センター拡張工事の着工式を行った。このセンターの敷地面積は5,000平方メートル。オフィスと実験工場の建築面積は11,000平方メートル。総投資額は1.2億元。竣工は2013年末の予定。(2012年10月31日付けプレスリリースより)

-子会社「陝西漢徳車橋有限公司 (Shaanxi Hande Axle Co., Ltd.)」は自動車メーカー、モーターメーカーおよび清華大学とともに国家プロジェクトである電気自動車用アクスルの開発に当たっているが、開発開始から約1年たった現在、段階的進展を見せているという。すでに詳細な構造設計や車、モーターとのマッチング設計、アクスルのベアリング、歯車に対するチェックなどが完了した。今後は構造のトポロジー最適化や軽量化などに取り組み、9月中には全ての設計図を完成させ、試作と試験を行うとしている。この開発プロジェクトは2013年6月に完了する予定。(2012年8月9日付けプレスリリースより)

-同社とカナダWestport InnovationおよびHong Kong Peterson (CNG) Equipment Limited.の3社による合弁会社「濰柴動力西港新能源発動機有限公司 (Weichai Westport Inc.)」 (2008年設立) は2012年3月、中国初の大出力筒内高圧直噴天然ガスエンジン (HPDIエンジン) を発表した。このHPDIエンジンは濰柴動力のWP12エンジンにWestportのHPDI技術を加えて製作されたもので、その出力とトルクはディーゼルエンジンと同等であり、従来のプラグ点火式天然ガスエンジンのそれを20%向上させている。酸化触媒を採用し、まず5%のディーゼル燃料をシリンダーに注入し発火させたあと、95%の天然ガスを300barの高圧で噴射し燃焼させる。それにより粒状物質排出量を70%、C02排出量を20%低減し、中国Ⅴ排ガス基準に適合する。ディーゼルエンジンが同基準に達するにはコストの高いSCR (Selective Catalyst Reduction) が必要とされる。HPDIエンジンは燃料である天然ガスの価格が安いことに加え、ノンスロットル機構によるエンジン負荷コントロールやコモンレール噴射エンジンに基づき設計された高圧直噴ノズルの採用により燃料消費を抑えられるため、燃料コストの大幅な削減を実現できる。(2012年3月14日付けプレスリリースより)

技術提携

-同社の子会社「陝西漢徳車橋有限公司 (Shaanxi Hande Axle Co., Ltd.)」は清華大学 (Qinghua University) 自動車工学部との産学提携により設立した「アクスル技術共同研究センター」のオープンセレモニーを2012年3月に行った。こ の共同研究センターはアクスルの構造疲労強度、振動、騒音、総合試験の測定システムプラットホーム、アクスル構造性能の数字化試験プラットホームなどを構築し、ハイレベルの人材を育成し、国際的に先端レベルのアクスル研究開発拠点設立のために技術支援を行う計画。(2012年3月16日付けプレス リリースより)

新製品

-2012年5月16日から18日まで北京で開催された北京国際道路運輸/都市交通車両/部品展 (China Beijing International Exhibition on Buses, Trucks & Components) において、新エネルギーWN20パワーユニットを発表した。このパワーユニットは最小の車両改造でハイブリット化が可能な4-12リットルディーゼルまたは天然ガス中国Ⅳ、Ⅴ排ガス規制適応エンジンと5-16シフトオートマチックトランスミッションの組合せユニットで、10-12メートルの公共バスに適している。このパワーユニット搭載バスのGB/T19754-2005標準によるテストでは、通常の公共バス運行状態を前提に、8年間で40万キロ走行すると仮定した場合、CO2排出量は80トン、燃料消費量は30%減少できるという計算結果が出ている。なお揚州亜星客車 (Yangzhou Yaxing Motor Coach) が同社のWN20を搭載したバスを出展した。(2012年5月25日付けプレスリリースより)

-同社の上海研究開発センターが共同開発に携わった揚州亜星客車 (Yangzhou Yaxing Motor Coach) のボンネット型スクールバス"Big Nose" シリーズJS76730XC、JS6660XC、JS6661XCが2012年5月13日にラインオフした。このボンネット型スクールバスは米国のスクールバスをモデルとしたもので、車体構造を強化し、車内の学童と運転手の安全を確保している。濰柴上海研究開発センターはスクールバス専用のシャーシーを開発。フューエルタンクを車体フレームのメンバーの中間に配置することで最大限にフューエルタンクを保護し、側面からの衝突時の燃料漏れを防ぐようにしている。(2012年5月17日付けプレスリリースより)

-同社は2012年5月8日、中国初の重型ディーゼルエンジンコモンレールシステムの量産を開始すると発表した。コモンレールシステムの核 となるECUはこれまで海外メーカーに依存してきたため、コストが割高となり、中国ディーゼル工業発展のネックになっていた。このため同社は2008年よ り大量の資金と人材を投入し、ECUの自主開発に取り組んできた。今回発表した同社のECMは32ビット高性能マイコンを採用しており、-40℃ -105℃の温度試験、振動試験、EMC (電磁適合性) 試験、1700時間の加速耐久試験などを行い、過酷な環境下において正常に機能することを確認している。レール圧制御精度は10bar以内、最多噴射回数は5回となっており、車やエンジンの各サブシステムの制御、故障診断が可能である。また中国Ⅴ排ガス規制に適合しており、耐用時間は2万時間となっている。(2012年5月10日付け各種リリースより)

-同社の子会社「株洲湘火炬火花塞有限責任公司 (Zhuzhou Torch Spark Plug Co., Ltd.)」はイリジウムスパークプラグ「イリジウムスター」を発売した。省燃費が求められるなか、同社が長年の経験を生かし開発したこの次世代型スパーク プラグには直径0.6mmのイリジウム電極が使われている。発売したのは「針-針タイプ」K6II、LD7II と「U溝タイプ」K6IU、KH6IUの4型式。「針-針タイプ」は中心電極と外側電極の両方に超極細化したイリジウムを採用している。電極を小さくすることで電極先端の電圧がより上昇し、強い火花が発生し、中心電極を加熱するエネルギーの消費を抑え、火炎核の飛散を容易にしている。これらによってスパー クプラグの爆発力が大きくなり、エンジンの起動性、加速性能を向上させることができる。同時にエンジンシリンダー内の混合気体がより多くの点火エネルギー を得て燃焼がより良くなり、燃費の向上を実現した。一方U溝タイプは接地電極内側の形状をU型溝にして、中心電極と外側接地電極の空間を大きくしたもので、火炎核の形成を確実なものにしている。またイリジウムスパークプラグは寿命が長く、一般的なプラグの寿命が2万キロなのに対し、この「イリジウムスター」は少なくとも8万キロの走行が可能である。燃費面では普通のプラグに比べ燃料消費量が100キロあたり3%から15%減ったという試験結果が出てい る。(2012年4月1日付けプレスリリースより)

-同社とカナダWestport Innovation Inc.およびHong Kong Peterson (CNG) Equipment Limited.の三社による合弁会社「濰柴動力西港新能源発動機有限公司 (Weichai Westport Inc.)」 (2008年設立) は2012年3月13日、中国初の大出力筒内高圧直噴天然ガスエンジン (HPDIエンジン)を発表した。このHPDIエン ジンは濰柴動力のWP12エンジンにWestportのHPDI技術を加えて製作されたもので、その出力とトルクはディーゼルエンジンと同等であり、従来のプラグ点火式天然ガスエンジンのそれを20%向上させている。酸化触媒を採用し、まず5%のディーゼル燃料をシリンダーに注入し発火させ95%の天然ガ スを300barの高圧で噴射し燃焼させる。それにより粒状物質排出量を70%、C02排出量を20%低減し、中国Ⅴ排ガス基準に達することが可能になっている。ディーゼルエンジンが同基準に達するにはコストの高いSCR (Selective Catalyst Reduction) が必要とされる。HPDIエンジンは燃料である天然ガスの価格が安いことに加え、ノンスロットル機構によるエンジン負荷コントロールやコモンレール噴射エンジンに基づき設計された高圧直噴ノズルの採用により燃料消費を抑えられるため、燃料コストの大幅な削減を実現できる。(2012年3月14日付けプレスリ リースより)

設備投資

2012年度の主な設備投資

(自動車部品関連のみ)
投資項目 年始時点
(百万元)
年末時点
(百万元)
資金源
濰柴動力 (Weichai Power) の生産ライン増強 1,527.85 1,326.88 自己資金
濰柴動力 (Weichai Power) の鋳造業務改善 520.97 752.16 自己資金
陕重汽 (Shaanxi heavy truck) 拠点の第二期
145.66 67.90 自己資金
陝西法士特 (Shaanxi Fast) の伝動技術改革 182.98 387.19 自己資金
陝西法士特歯輪 (Shaanxi Fast Gear) の連合3生産設備立ち上げ 140.12 41.80 自己資金
株洲歯輪 (Zhuzhou Gear) の技術改革 71.48 94.91 自己資金
スパークプラグの技術改革 22.09 28.48 自己資金
濰柴動力 (Weichai Power) の華動技術改革 122.22 129.25 自己資金
金鼎生産拠点の15万トン鋳造プロジェクト 246.95 295.89 自己資金