Visteon Corporation 2016年12月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
2016年
12月期
2015年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 3,161 3,245 (2.6) 1)
純利益 75 2,284 (96.7) 2)
部門別売上高
エレクトロニクス 3,107 3,107 0.0 3)



要因
1) 売上高
-201612月期の全社売上高は前年比2.6%減の3,161百万ドル。為替の影響、事業売却や関連事業の縮小に伴う 「その他事業」 の売上高減少、および製品価格の低下が減収要因。

2) 純利益
-2016年12月期の純利益は前年比96.7%減の75百万ドル。減益の主な要因は、前年にクライメートコントロール事業の売却益が2,324百万ドルあったこと。その他要因としては、特定事業からの撤退による40百万ドルの損失、事業再編による49百万ドルの損失が挙げられるが、減収分の一部は売上総利益の増加と販売管理費の減少による増益分59百万ドルに相殺された。

3) エレクトロニクス部門
-2016年12月期の部門売上高は前年比横ばいの3,107百万ドル。販売量の増加と新規事業による増収が115百万ドル。市場別では、アジア太平洋地域と欧州で増収、北米は前年並み、南米では減収となった。増収分の一部は、為替の影響と製品価格の低下により相殺された。

事業再編

-2016年12月1日付けでアルゼンチンとブラジルの内装部品事業を売却し、内装部品部門の分離を完了した。

-2016年第4四半期、南アフリカのクライメートコントロール事業を売却した。

買収

-2016年7月、インドのAllGo Embedded Systemsの買収を完了したと発表した。AllGoは、グローバル自動車メーカー向けに組み込み型マルチメディアシステムやスマートフォンコネクティビティソフトウェアなどを納入している。両社は、2016年1月にこの買収について発表した。今回の買収には、AllGoの技術資産および自動車事業のほか、従業員約140名が含まれる。大部分がインドのソフトウェアエンジニアで、他に米国、欧州、アジアの営業拠点の従業員で構成されている。(2016年7月11日付プレスリリースより)

合弁

-Grupo Antolinは、中国湖北省の武漢 (Wuhan) に新工場を開設したと発表した。Renault、PSA、日産、Infiniti、ホンダなどの顧客向けにヘッドライナーやドアパネルを生産する。同工場は東風偉世通汽車飾件系統 [Dongfeng Visteon Automotive Trim Systems] との合弁会社で、両社はこのプロジェクトに11百万ユーロ超を投じた。新工場の従業員数は、現在の100名から2016年末までに約125名となる見込み。(2016年4月12日付プレスリリースより)

受注

-2016年11月、Jaguar 「F-PACE」 に新型デュアルビュー技術搭載の先進ドライバーインフォメーションシステムおよびインフォメーションディスプレイが採用されたと発表した。インストルメントクラスターは、Land Rover 「Range Rover」 およびJaguar 「XJ」 に初採用された最新プラットフォームを搭載している。Visteonは今回、「F-PACE」 の 「InControl Touch」 インフォテインメントシステム向けに3タイプのディスプレイを供給している。(2016年11月8日付プレスリリースより)

-同社はドメインコントローラー 「SmartCore」 の発売に向けて準備を進めている。2018年から、欧州自動車メーカーのグローバルモデル向けに供給する計画。「SmartCore」は、これまで別々になっていたインストルメントクラスター、ヘッドアップディスプレイ (HUD)、先進運転支援システム (ADAS) のドメインを、ワンチップのマルチドメインコントローラーに統合。使いやすいヒューマン・マシン・インタラクション (HMI) を通じてアクセスできるようにした。(2016年1月6日付プレスリリースより)

-2016年発売モデルに関する受注内容は以下の通り。

OEM 搭載モデル 納入部品
GM Cadillac CT6 インストクラスター
Buick LaCrosse インストクラスター
Buick Excelle インフォテインメントシステム, インストクラスター
Buick GL8 HMIインフォテインメントシステム, インストクラスター
Peugeot Traveller ヘッドアップディスプレイ
Citroen SpaceTourer ヘッドアップディスプレイ
C6 インストクラスター
Ford Escape インストクラスター, クライメートコントロールヘッドユニット
Fusion 多機能ディスプレイ
SuperDuty Silverboxオーディオシステム
上汽GM Chevrolet Malibu インストクラスター
Renault Logan Bezelオーディオシステム
Kwid (India) インストクラスター
一汽轎車/マツダ CX-4 クライメートコントロールヘッドユニット
FCA Chrysler Pacifica クライメートコントロールヘッドユニット
ホンダ Acura CDX ヘッドアップディスプレイ, インストクラスター
Acura MDX LTEテレマティクスユニット
マツダ Mazda3/Axela コネクティビティマスターユニット
Mazda 2/Demio インストパネルモジュールディスプレイ
第一汽車 B50 リモートキーレスエントリー, ボディコントロールモジュール, イモビライザー, クライメートコントロール
VW Passat インストクラスター
上汽VW Santana GP インストクラスター
Porsche Panamera インストクラスター
江鈴汽車 YuSheng 330 インストクラスター
Tata Hexa インストクラスター
Opel Zafira Tourer インストクラスター
東風汽車 PV AX5 インストクラスター

2017年12月期の見通し

-2017年12月期の売上高は31億~32億ドル、EBITDAは355百万~370百万ドルと予測している。

研究開発費

(単位:百万ドル)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
合計 295 294 257


-同社は事業再編後の研究開発費として、全社売上高の12~12.5%相当を充てる計画。

研究開発拠点

-12カ国20拠点のテクニカルセンターを保有: ブラジル、ブルガリア、中国、フランス、ドイツ、インド、日本、メキシコ、ポルトガル、韓国、英国、米国。

-2016年12月、Silicon Valleyの新テクニカルセンターで自動運転車両用の人工知能(AI)を開発すると発表した。新テクニカルセンターはカリフォルニア州Santa Claraにあり、同社のAIソフトウェア、ADASおよびディープラーニング開発のテクニカルセンターと密接に連携していく。同センターの近くにはStanford大学、California大学Berkeley校や多くの自動車メーカーの西海岸オフィスなどがある。同社では、2018年に最初の自動運転ドメインコントローラープラットフォームを市場投入する予定。(2016年12月13日付プレスリリースより)

製品開発

2017 CES出展製品
-ラスベガスで開催されるCES 2017で、コネクティッドカーとそれに関連する最新のイノベーションを紹介。同社は次世代のインフォテインメントプラットフォームPhoenixを披露。これは第三者が容易にアプリを開発できるようにすることでイノベーションを促進させる設計となっており、サイバーセキュリティと無線によるアップデート機能も内蔵している。このほか、運転者の視野内にバーチャル情報を直接表示する車載拡張現実フロントガラスヘッドアップディスプレイ(HUD)、フルレンジのオールデジタルインストルメントクラスターなどを展示する。(2016年12月21日付プレスリリースより)

ヘッドアップディスプレイ
-CES 2016においてさまざまなヘッドアップディスプレイ製品を展示。高級車から量産車まで、複数のセグメント向けとなる4種類のコンバイナーHUDも含まれる。同社は、アジアや欧州で販売される2016年および2017年モデル向けに、コンバイナーHUDを発売する予定。(2016年1月4日付プレスリリースより)

設備投資額

(単位:百万ドル)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
エレクトロニクス 74 99 87
その他 - 4 2
コーポレート - 3 7
合計 74 106 96

海外事業

<ブルガリア>
-同社はブルガリアでソフトウェア事業を拡充する。ソフトウェアサービスの需要拡大に伴い、同国の首都Sofiaにある別の拠点から、従業員700名を新たに開設した89,000平方フィートのオフィスに異動させた。さらに、最大150名の従業員を増員する計画。Sofiaのソフトウェアセンターは2001年に操業を開始し、グローバル自動車メーカー向けにインフォテインメントシステム、ヘッドアップディスプレイなどを提供している。(2016年5月16日付プレスリリースより)