Visteon 2008年12月期の動向

ハイライト

業績
(単位:百万ドル) 2008年12月期 2007年12月期 増減率(%)
要因
売上高

全社

9,544 11,275 (15.4) (1)
クライメート部品部門 2,994 3,370 (11.2) (2)
エレクトロニクス部品部門 3,251 3,646 (10.8) (3)
内装部品部門 2,748 3,183 (13.7) (4)
その他 505 1,178 (57.1) (5)
※継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)に関する注記
2008年度の同社アニュアルレポートの監査法人報告書は、同社の継続企業としての存続能力に重要な疑義が存在すると述べた。

(1)全社

- 工場売却や閉鎖により、10億ドルの売上減。 また、主に北米や欧州の主要顧客の自動車生産数やプロダクトミックスの影響を受け、売上が約8億ドルを減少。価格改訂分は為替差益で相殺。

(2) クライメート部品部門
- インディアナ州Connersville工場の閉鎖により、147百万ドル分の売上減
- アジア太平洋地域での153百万ドル分の為替差損(主に韓国通貨ウォン)により、売上減少。
- アジア(主としてHyundai/Kia関連)での新規受注、生産台数増、プロダクトミックスによる148百万ドル増、また欧州での為替差益48百万ドルにより、上記売上減は一部相殺。

(3) エレクトロニクス部品部門
- 世界の主要顧客の生産数、プロダクトミックス、発注転換の影響、また値下げの影響により565百万ドルの売上減。
- 主としてユーロ高に伴い、213百万ドルの為替差益が発生し一部売上減少を相殺。

(4) 内装部品部門
- 主に北米日産や欧州の日産/ルノー、PSA等、顧客の生産台数低迷やプロダクトミックス悪化により、411百万ドルの売上減。また英国Halewood工場売却やイリノイ州シカゴの工場閉鎖により、91百万ドルの減。アジアでの為替差損や値下げにより、76百万ドルの減。
- 欧州での為替差益分121百万ドル、英国での新規受注による増収などにより上記売上減は一部相殺。

(5) その他
- 主な要因は売却や工場閉鎖による635百万ドルの売上減で、シャシー事業売却、インディアナ州Bedford工場閉鎖、Visteon Powertrain Control Systems Indiaの売却、北米のアフターマーケット事業売却などが含まれる。
- 顧客生産台数やプロダクトミックス、発注転換により売上は減少。
- 英国での新規受注による売上により、上記売上減は一部相殺。


新規受注
2008年、約700百万ドル分の新規受注があった。地域に偏りなく受注しており、その内訳はアジア38%、北米32%、欧州27%。また製品分野別の内訳は、クライメート部品部門47%、エレクトロニクス部品部門32%、内装部品部門21%となっている。

新モデルへの製品搭載例(2008年)

Ford Escape Hybrid -
A/Cライン、コンデンサー、インストルメントクラスター、燃料ポンプドライバーモジュール

Jaguar XF -
デジタルラジオ、熱交換器、A/Cライン

Hyundai Genesis -
クライメートシステム一式、パワートレインクーリング、インパネ

Dodge Ram -
ドアトリムパネル、フロアコンソール、コクピットモジュール、A/Cライン

Ford F-150 -
インストルメントクラスター、コンプレッサー、A/Cライン、フォグ・リアランプ、エアクリーナーホース

Mahindra Xylo -
インストルメントパネル

Land Rover Discovery -
インストルメントクラスター、センターインフォメーションディスプレイ、デジタルラジオ、シングルCDラジオ、A/Cライン

Volkswagen Polo -
リアランプ、インストルメントパネル



受注
-2008年5月、D&M Holdingsと提携し「Dodge Challenger」2009年モデル向けにオーディオシステムをBoston Acousticsブランドで供給すると発表。(2008年5月6日付プレスリリースより)

-同社はD&M Holdings傘下のBoston Acousticsと連携し、GMに2010年式「Chevrolet Camaro」用のオーディオシステムを納入すると発表。(2008年8月12日付プレスリリースより)

-2008年10月、2009年式「Dodge Grand Caravan」「Chrysler Town and Country」のオプション装備として、ドライバーの視認性を高める「ブラインドスポットモニタリングシステム」および「リアクロスパスシステム」を供給すると発表。リアクロスパスシステムは、車が駐車場から出る際に近づいてくる車があることを警告するもので、この両車種向けが初搭載となる。(2008年10月20日付プレスリリースより)


リストラクチュアリング
-人員削減
2008年、製造要員の27%を削減。またフルタイム社員も14%削減。

-売却
英スウォンジー工場
-2008年7月、Visteon UK Ltd.が英スウォンジー工場をLinamar UK Holdings Inc.に売却。

英Halewood工場
-2008年8月、英国のHalewood工場をInternational Automotive Components Group Europe (IAC Europe)に売却すると発表。同工場は、Jaguar Land Rover (Tata Motor)のHalewood工場に納入するコックピットシステムとコンソールの組立を行っている。このIAC Europeへの事業譲渡は、工場設備のほか、既存の購買・受注契約など関連資産も対象。(2008年8月29日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費
(単位:百万ドル) 2008年12月期 2007年12月期 2006年12月期

合計

434 510 594


製品開発
内部熱交換器(IHX)
-2008年11月、自動車内部の冷却能力を最大14%アップさせる内部熱交換器(IHX)を開発。冷媒回路にチューブを同軸的に配置することで、自動車エアコンシステムの性能および効率性を向上させた。熱交換は対向流式で行う。同社は2009年の第1四半期中に本製品を商品化する予定。(2008年11月13日付プレスリリースより)


共同開発
-2008年1月、同社と3Mは、両社が共同開発した様々な先端技術を08年「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」で公開すると発表。両社は連携してCESに50以上に及ぶ新技術を盛り込んだデモカーを出品する。自動車分野OEMおよびアフターマーケット市場向けの製品を共同開発し、今日の多様なドライバーニーズによりきめ細やかに対応したい考え。車載エレクトロニクス・システムの集中制御システムにiPodRや携帯電話といった民生機器と車載用オーディオシステムとの互換性をもたせるソフトを組み込むことで、ユーザー・インターフェースを実現する取り組みもその一つ。(2008年1月7日付プレスリリースより)


技術ライセンス契約
-2008年12月、Immersion Corporationと技術ライセンス契約を締結した。Immersionの保有する触覚フィードバック技術「TouchSense(R)」を自動車部品に使用する。両社は2010年までにボタンパック、ディスプレー、制御モジュールなど触覚フィードバック機能を持つ製品を開発し、販売する計画。同社はこの技術をエレクトロニクス、ドアやインストパネルといった内装品、クライメートコントロールなど、同社の主力製品に幅広く応用したい考え。(2008年12月17日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額
(単位:百万ドル) 2008年12月期 2007年12月期 2006年12月期
合計 294 376 373


海外投資
<中国>
-2008年10月、江鈴汽車集団公司(JMC)との合弁会社Visten Climate Control (Nanchang) Co., Ltd.(VCCN)は、中国国内に拠点をおく自動車メーカーからの需要増に対応するため、南昌工場を拡張する。VCCNは、フルイドトランスポート(冷媒循環)システムやエアコンアッシー等、クライメートコントロールシステム部品を生産している。(2008年10月28日付プレスリリースより)