Valeo S.A. 2010年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)
  2010年
12月期
2009年
12月期
増減率(%) 要因
純売上高 9,632 7,499 28.4 1)
営業利益 590 84 602.4 2)

要因
1)
-2010年の同社売上高は、前年比28.4%増の9,632百万ユーロとなった。売上増の主な要因は世界の自動車生産の増加によるもの。

2)
-同社収益は、年初の目標を超えるものとなった。9,632百万ユーロの6.4%を営業利益として確保、純利益は売上比3.8%(365百万ドル)となり、2009年の景気低迷前を2.8ポイント上回る。受注額は125億ユーロを記録。特にCO2排出ガス低減技術関連で伸長した。

受注

-Volkswagenの新型「Touran」と「Sharan」に駐車システム「Park4U」が採用。Valeoの 「Park4U」は7ブランド22モデルに搭載されており、2011年末までには12ブランド38モデルにまで採用が拡大する見込み。(2010年 9月30日付プレスリリースより)

-Peugeot「508」に多機能スイッチパネルを供給。また、同社は「508」にハンズフリー のアクセス&スタートシステムも納入する。(2010年9月30日付プレスリリースより)

-同社と市光工業はLEDヘッドランプを開発し、日産の電気自動車「Leaf」に採用されたと発表した。(2010年9月30日付プレスリリースより)

-アダプティブフロントライティングシステム「BeamAtic(R) Premium」をVolkswagenの新型「Phaeton」に供給。(2010年9月30日付プレスリリースより)

-「360Vue」システムがVolkswagen「Touareg」に搭載。既に 生産を開始しており、自動車メーカー4社に採用されている。2011年末までに、360Vueは5ブランド17モデルに搭載される見込み。(2010 年9月30日付プレスリリースより)

-北米向け車両用のトルクコンバーターを受注。Fordのピックアップトラック「F-Series Super Duty」の6速AT向け。また、GMのFF(前輪駆動)乗用車用6速トランスミッション向けにも供給する。トルクコンバーターの生産は、メキシコSan Luis Potosi新工場で行う。同工場は2010年に量産を開始した。(2010年7月26日付プレスリリースより)

-スタートストップシステム「i-StARS」をPSAグループに供給。ディーゼルエンジン「HDi」用で、2010年第3四半期からPeugeotお よびCitroenのモデルに搭載される。(2010年6月9日付プレスリリースより)

企業買収

-日本のスイッチメーカーであるナイルスを買収することで、RHJ Internationalおよび日産自動車と合意。買収金額は3億2,000万ユーロ。この買収により、ValeoはComfort & Driving Assistance Systems部門の強化に繋げる考え。また、今後同社は日本のカーメーカー、とりわけ日産との関係を強めていく。(2011年2月23日付プレスリリー スより)

-インド合弁会社Valeo Minda Elelctrical Systems India Private Limitedの全株式を取得し、完全子会社とした。同社はPuneに本社を置き、乗用車用オルターネーターおよびスターターを生産している。今回の完全 子会社化に伴い、社名が「Valeo Engine and Electrical Systems India Private Ltd.」と改称される。現在、Valeoはインドでトランスミッション、セキュリティシステム、エレクトリカルシステムなどを生産している。2010年 中にライティングシステム、ワイパーシステムの生産を開始する予定。(2010年5月19日付プレスリリースより)

売却

-傘下のTelmaを現経営陣に売却する意向を明らかにした。Telmaは、フランスSaint Ouen l'Aumoneに本社を置く補助制動装置(電磁リターダー)メーカー。同地に主力工場を構えるほか、中国にも合弁工場を保有している。2009年は 39.4百万ユーロの売上を記録した。今回の計画は、非中核事業の売却を進めるValeoの戦略に沿ったもの。(2010年3月19日付プレスリリースよ り)

-ランプモジュール事業を欧州のファンド連合に売却。同事業の主力製品はヘッドランプレベラーで、フランスのBobignyに研究開 発拠点、同Hirsonに工場を保有している。2009年は46百万ユーロの売上を記録した。なお、買収先のファンド連合には、英国の投資ファンド Syntegra Capitalやフランスの地域開発ファンドPicardie Investissementsが参加している。今回の売却計画は、非中核事業の売却を進めるValeoの戦略に沿ったもの。(2010年2月25日付プ レスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2010年12月期 2009年12月期 2008年12月期
合計 537 473 639
純売上高比(%) 5.6% 6.3% 5.5%

 

研究開発拠点

-2010年12月31日現在、世界で研究センター20ヵ所、開発センター38ヵ所を保有。

  研究センター 開発センター
西ヨーロッパ 16 15
東ヨーロッパ - 4
北米 1 5
南米 - 4
アジア 3 9
アフリカ - 1
合計 20 38

特許

-2010年の特許申請件数は、612件。

技術提携

-同社と北京汽車工業 (BAIC)は、電気自動車のデモカーを中国政府に発表した。Valeo製電動パワートレイン一式を搭載したもの。このパワートレインは、永久磁石同期モーターを採用。これにより、低・中速における加速から最高速度に至るまで、シングルギアトランスミッションで対応可能となる。ValeoがLeroy Somer、GKNと共同で開発したこのシステムには、電動モーター、インバーター、トランスミッション、充電器、監視制御システム、DC/DCコンバー ターなどが含まれている。なお、ValeoとBAICは2011年からの電気自動車量産に向けて、2010年初めから協業を開始している。(2010年 12月20日付プレスリリースより)

-同社はドライバーアシスタンスシステム事業において、Ibeo Automotive Systemsと協業契約を締結した。IbeoはドイツHamburgに本拠を置き、自動車向けレーザースキャナーセンサーのサプライヤー。Ibeoの レーザースキャナー技術を用いて、Valeoはアクティブセーフティシステムの開発・量産を行う計画。(2010年12月17日付プレスリリースより)

-IFP Energies nouvellesとパワートレインの共同開発に関する枠組契約を締結。内燃エンジンおよびハイブリッド・電動モーターシステムが対象となる。なお、 IFP Energies nouvellesはフランスの公的機関。エネルギー、交通、環境分野における研究を行っている。(2010年12月13日付プレスリリースより)

研究開発活動

-「GENIVIアライアンス」に加盟。同アライアンスは、オープンソースの車載インフォテインメント(IVI:In-Vehicle Infotainment)のリファレンス・プラットフォーム開発、およびその導入に取り組む非営利団体。自動車メーカーや部品メーカーなどが参加してい る。(2010年3月3日付プレスリリースより)

-同社は、Modulowatt Ingenierieによる自動車用充電ステーションの自動ドッキングシステムの開発に協力した。このシステムは自動化されたアームが車両と充電器をドッ キングさせるもの。車両がアームの前に正確に停車する必要があり、Valeoはドッキング位置を突き止める検知システムを供給する。なお、 Modulowattは2009年にフランスで設立された組織で、エレクトロモビリティ分野にサービスを提供している。(2010年9月30日付プレスリ リースより)

製品開発

ワイパーシステム
-2モーター直接駆動式ワイパーシステムを開発。このワイパーは2010年初めからDaimler「Mercedes SLS AMG」に搭載されている。ワイパーアームをモーターのアウトプットシャフトに直接連結し、アームを駆動させる仕組み。ワイパーリンクをなくしたことによ り、従来のワイパーシステムに比べて約30%の小型化・軽量化を実現したという。(2010年9月7日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
  2010年12月期 2009年12月期
快適性・ドライブアシストシステム
(Comfort and Driving Assistance Systems)
127 112
パワートレインシステム
(Powertrain Systems)
158 167
サーマルシステム
(Thermal Systems)
88 86
ビジビリティーシステム
(Visibility Systems)
89 110
その他 6 4

合計

468 479

設備投資

-中国に新拠点を2ヶ所開設した。広東省深圳(Shenzhen)市にエレクトロニクス開発センター(Electronics Expertise Center)、浙江省温嶺(Wenling)市にワイパーシステム工場を建設したもの。この開発センターは同社の深圳工場内に位置し、電気自動車向けの エレクトロニクス部品を開発する。また、温嶺のワイパーシステム新工場は面積15,600平方メートル。同工場建設により、温嶺の旧工場は廃止とな る。(2011年4月1日付プレスリリースより)