Valeo 2007年度の動向

ハイライト

2007年12月期のハイライト

業績 (単位:百万ユーロ)
- 2007年
12月期
2006年
12月期
増減率 備考
純売上高 9,555 9,436 1.3% -OE売上:7,865百万ユーロ
(全体の82%)

-アフターマーケット売上:1,690百万ユーロ
(全体の18%)
営業利益 319 271 17.7%

-



受注

-ドライブアシスト(Driving Assistance)ドメイン

Valeo Raytheon Systemsの死角検知システム(BSDS: Blind Spot Detection System)がCadillacおよびBuickブランドのいくつかの車種(2008年モデル)に搭載される。 このシステムは隣接車線を走行する車両の位置、自車両との間隔、走行方向を計測し、潜在的な危険を検知した際、サイドミラーにシグナルを表示させて見える形で運転者に警告を発するもの。(2007年7月9日付プレスリリースより)

同社の死角検知システム(BSDS)がJaguar XFの2008年モデルに搭載されると発表。(2007年9月19日付プレスリリースより)

買収

アイルランドの車載用電子機器メーカー Connaught Electronics Ltd. (CEL)の買収手続を完了したと発表。この買収により、低速走行に適応するカメラベースの車載システム製品ラインナップが拡充され、同社の「運転支援ドメイン」事業が強化される。CELはドライバー支援技術であるカメラベースの車載システムや、ワイヤレス技術を応用した自動車用遠隔操作システム、セキュリティー機器といった、車載用電子機器の開発・製造を行っている。 Tuam(アイルランド)とHumpolec(チェコ)の2ケ所の生産拠点に、300人が勤務している。(2007年7月27日付プレスリリースより)

売却

ワイヤーハーネス事業部門を担うValeo Connective SystemsをLeoni(ドイツ)に売却することで合意。売却額は5億4,500万ユーロ。同社はこのたびの事業売却に伴い、約5,100万ユーロの特別損失を計上する。本件は両国の独禁当局による承認手続を経て、2007年末を目処に完了する見通し。 (10月16日付プレスリリースより)

合弁事業

-インド

2007年5月、同社セキュリティーシステム部門が、インドの自動車セキュリティーシステムメーカー大手のA.K. Minda Groupと、折半出資により合弁会社を設立。

2007年7月、インドの自動車部品メーカー大手のN.K. Minda Groupと、オルタネーターおよびスターター生産の合弁会社を設立。

開発動向

研究開発体制

-2007年12月31日現在、世界62のR&Dセンターに約6,100名が勤務している。

地域

開発拠点数
西ヨーロッパ 36
東ヨーロッパ 1
北米 12
南米 0
アジア 12
アフリカ 1

合計

62

研究開発費 (部門別) (単位:百万ユーロ)

-

2007年
12月期
2006年
12月期
2005年
12月期
ドライブアシストドメイン
(Driving Assistance)
193 188 175
駆動系効率化ドメイン
(Powertrain Efficiency)
230 214 204
快適性追求ドメイン
(Comfort Enhancement)
242 232 231
その他 3 6 -
合計 668 640 610
純売上高に占める割合 7.0% 6.8% 6.6%

研究開発活動(2007年12月期)

-ドライブアシスト(Driving Assistance)ドメイン

同社のアダプティブライティングシステムに、DuPontの特許技術であるザイテル®HTNポリアミド樹脂(Zytel® HTN PPA)を採用した。このシステムは、「VW Passat」、「Citroen C4」を始め、多くの車種に搭載されており、安全性をあげるために夜間視認性を向上させた。このアダプティブライティングシステムには、運転速度やステアリング角度の変化に応じて、ライトの照度と方向を調整できる機能がある。同社のキセノンヘッドランプは中・高速走行用に設計されており、運転者がカーブを走行する際の視界距離を2倍に拡大できる。(2007年8月8日付プレスリリースより)

-駆動系効率化(Powertrain Efficiency)ドメイン


2007年3月、自動車エンジン効率の向上とCO2排出削減を目的とした同社の研究プログラム「LOwCO2MOTION™」に対して、フランスの産業技術革新庁が61百万ユーロの資金を供与することに合意。このプログラムは、2つの主要技術に焦点を当てている。1つ目はカムレスシステムで、エンジン内のカムシャフトに代わって電磁アクチュエーターが各バルブを個別に操作するもの。残留ガスのコントロール、ポンピングロスの最小限化、そしてシリンダーとバルブの動きを停止することによって、この技術はガソリンエンジンの場合、燃料消費と汚染物質排出をともに20%削減する。2つ目は、同社のStARS+X技術に基づいた次世代マイルドハイブリッド。車両が停車したときはエンジンが停止する「スタート・ストップ機能」に加えて、ブレーキをかける際に発生するエネルギーを回生するブレーキ機能を備えている。(2007年3月5日付プレスリリースより)

RATP(パリ市交通公団)はBievre-Montsourisエリアで、同社開発の「スタート・ストップシステム」を搭載したGruau社製マイクロバスを導入している。このシステムは、バスが停止するとエンジンがスタンバイ状態に切り替わるため、燃費向上および騒音レベル低減に効果がある。この試験走行は、RATP、Gruau、同社の3社が締結した研究パートナーシップに基づき、2006年にANR (フランス国立研究庁)とPREDIT (フランス交通研究プログラム)より選定、認定されたもの。また、フランスの「クリーン自動車およびコスト低減自動車プログラム」の一環として、同国の環境・エネルギー管理庁(ADEME)が資金援助を行っている。StARSスターター・オルタネーター技術は、 エンジンを静粛かつ迅速にスタート・ストップさせる機能に基づく仕組み。車両を停止させることが極めて多い市街地において、燃費を最大で20%改善させることが可能。(2007年5月18日付プレスリリースより)

-快適性追求(Comfort Enhancement)ドメイン


自動車用芳香器およびビタミンCフィルターを開発したと発表。芳香器は様々な種類の香りを備えており、エアコンユニットの中に設置するか、もしくは車内で単体モジュールとしての使用が可能。一方、ビタミンCフィルターは運転者や乗員への美容効果を持ち、肌の保湿剤としての働きをする。なお、更なる汚染物質が原因で、車内の空気環境は車外に比べて2倍から5倍汚染されている。これに対処するため、同社はフィルター性能を向上させる新技術を2つ開発した。1つは静電フィルターで、従来のフィルターでは扱えない超微粒子を捕捉する。もう1つは抗アレルゲンフィルターで、アレルギーや喘息の危険を防ぐことができる。(2007年10月24日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額 (単位:百万ユーロ)

-

2007年
12月期
2006年
12月期
2005年
12月期
欧州 365 437 436
北米 64 86 67
南米 32 39 35
アジア 92 87 59
消去 - (2) (5)

合計

553 647 592
*2007年12月期の設備投資額には、同期中に売却したワイヤーハーネス事業に関連する投資を含まない。また、2006年12月期の設備投資額には、同期中に売却した電気モーター/アクチュエーターに関連する投資を含まない。

海外投資(2007年12月期)

-インド

同社セキュリティーシステム部門が、インドの自動車セキュリティーシステムメーカー大手のA.K. Minda Groupと、資本折半により合弁会社を設立したと発表。新会社の名称は「Valeo Minda Security Systems」で、ムンバイ近郊のプネーに本社を置く。ロックセット、ステアリングコラムロック、ラッチ、ストライカー、ハンドル、エンジン・イモビライザー、キーレスエントリーシステムといったValeo Security Systemsの手掛ける一連の製品の開発、生産、販売を行う。これに伴い、A.K. Mindaの四輪駆動車用セキュリティーシステム部門は、新会社に統合される予定。2010年には年商約5,000万ユーロを見込んでいる。(2007年5月31日付プレスリリースより)

インドの自動車部品メーカー大手のN.K. Minda Groupと、オルタネーターおよびスターター生産の合弁会社をインドに設立したと発表。新会社の名称は「Valeo Minda Electrical Systems India Private Limited」で、資本比率は同社が66.7%、Mindaが33.3%。ムンバイ近郊のプネー(Pune)に本社を置き、乗用車用オルタネーター、スターターといったValeo Electrical Systemsが手掛ける一連の製品の開発、生産、販売を行う。(2007年7月24日付プレスリリースより)