ThyssenKrupp AG 2013年9月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)
  2013年
9月期
2012年
9月期
増減率 (%) 要因
全社
売上高 39,782 47,045 (15.4) 1)
EBIT (538) (4,370) -
欧州鉄鋼事業 (Steel Europe)
売上高 9,620 10,922 (11.9) 2)
EBIT 62 188 (67.0)  -
部品テクノロジー
売上高 5,712 7,011 (18.5) 3)
EBIT 173 681 (74.6)  -
米州鉄鋼事業 (Steel Americas)
売上高 1,867 2,014 (7.3) 4)
EBIT (1,180) (4,747) -

要因
1) 全社
-2013年9月期の売上高は前年比15.4%減の398億ユーロ。ステンレス部門 (Stainless Global) の事業停止と、部品テクノロジー部門および素材サービス部門の売上が減少したことが影響。

2) 欧州鉄鋼事業 (Steel Europe)
-2013年9月期の売上高は前年比11.9%減の9,620百万ユーロ。鉄鋼価格の下落が主な要因。欧州経済の低迷している中での供給過剰状態が鉄鋼価格の下落を引き起こした。

3) 部品テクノロジー
-2013年9月期の売上高は前年比18.5%減の5,712百万ユーロ。米国のWaupaca Foundryの売却が主な要因。また、米国およびカナダの乗用車向けの売上は堅調だったが、米国トラック市場や欧州市場向けの売上が低迷したことも影響。

4) 米州鉄鋼事業 (Steel Americas)
-2013年9月期の売上高は前年比7.3%減の1,867百万ユーロ。販売は堅調に推移したが、売価が低下したことが影響。

事業再編

新日鉄住金とAlcelorMittalへの事業売却および長期契約の獲得
-新日鉄住金とAlcelorMittalに、米国アラバマ州の自動車用鋼板工場 (ThyssenKrupp Steel USA, LLC : TKUS) を売却することで大筋合意した。売却額は15.5億ドル (2千億円) 程度。同取引は、TKUSの売却の他に、2019年までブラジル拠点のThyssenKrupp CSAが、新日鉄住金およびAlcelorMittalに対して2百万メートルトンのスラブを供給する契約が含まれる。今回の契約により、米州鉄鋼事業が継続事業となった (昨年は非継続事業としてリストラを進めていた)。

Neuwied工場を閉鎖
-欧州鉄鋼事業は、最適化計画の一環としてドイツのNeuwied工場を閉鎖すると発表した。従業員数約320名の同工場では、主に亜鉛めっき鋼板の生産を行っているが、同製品の需要は近年減少している。これに伴い、2014年はじめから従業員を徐々にThyssenKrupp RasselsteinのAndernach工場へ異動させる予定。Neuwied工場の生産は段階的に中止する。すでに亜鉛メッキ生産ライン「FBA 11」を閉鎖しているほか、「EBA 6」を2013年9月30日までに、また、冷間圧延工場を2013年12月31日までに閉鎖する計画。(2013年8月20日付プレスリリースより)

テーラードブランク工場を売却
-子会社のThyssenKrupp Tailored Blanksを中国の武漢鋼鉄 (集団) 公司 [Wuhan Iron and Steel Corporation: WISCO] へ売却する手続きを完了したと発表した。両社は、2012年9月に同契約を締結。同子会社は、自動車産業向けにテーラードブランク材を供給しており、世界市場のシェアは約40%とされる。従業員約930名が、ドイツ、スウェーデン、イタリア、トルコ、米国、メキシコ、中国にある16工場に勤務し、年間売上高は約740百万ユーロに達している。(2013年7月31日付プレスリリースより)

事業最適化計画
-2014-2015年度 (2015年9月期) までに約5億ユーロを削減する最適化計画を発表した。この計画では、主に傘下のSteel Europeの事業や施設の閉鎖、移転、売却を行う計画。対象となるのは、以下の通り:
  • ドイツのDuisburg-Beeckerwerth拠点のコイル塗装ライン1本
  • Dortmund拠点における電解コーティングライン2本のうちの1本
  • Neuwiedの冷間圧延・塗装工場
  • ThyssenKrupp Electrical Steelの方向性電磁鋼製品事業
  • ThyssenKrupp Galmed (スペイン) の溶融亜鉛めっきライン。
また、これに伴いThyssenKrupp Steel Europeは、現在の従業員27,600名のうち2,000名超を削減する計画。(2013年2月8日付プレスリリースより)

ステンレス鋼部門InoxumとフィンランドのOutokumpuの統合
-同社のステンレス鋼部門InoxumとフィンランドのOutokumpuの統合を完了したと発表。同社は、統合後の新会社の株式29.9%を取得する予定。(2012年12月28日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2013年9月期 2012年9月期 2011年9月期
合計 647 644 551

研究開発体制

-3,000名以上が研究開発に従事。

製品開発

異なる強度を持つホットスタンプ (熱間プレス) 材
-局部焼入れ工法の採用で、1枚のブランク材に、1900メガパスカルと1500メガパスカルの異なる強度を持つホットスタンプ (熱間プレス) 材を開発した。成形シミュレーションによって機械的特性を予測することで実現した。同社では、局部焼入れ工法をBピラーやフロントフレーム、ルーフフレームなどに適用することで、強度を維持しながら車体重量を削減できるほか、接合部削減による部品点数削減も図れるとしている。今後、低燃費化に向けて軽量化対策に注力している日系自動車メーカーに対する販売活動を強化、欧州市場向けに投入するモデルなどへの採用を目指す構え。(2013年6月14日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額

(単位:百万ユーロ)

 

2013年9月期 2012年9月期 2011年9月期
全社 1,411 2,204 2,771
-欧州鉄鋼事業 (Steel Europe) 408 505 431
-部品テクノロジー 389 420 361
-米州鉄鋼事業 (Steel Americas) 170 515 1,369

国内投資

-ドイツのザクセン=アンハルト州Ilsenburgに設立したシリンダーヘッドカバーの生産工場「ThyssenKrupp Valvetrain GmbH」が操業を開始したと発表した。同社は、新工場に約50百万ユーロを投じており、このうちザクセン=アンハルト州から約10百万ユーロが援助されている。新工場の年産能力はモジュール約100万個。従業員180名を新たに雇用する計画。(2013年8月28日付プレスリリースより)

-ドイツのChemnitz拠点において組立式カムシャフト工場の建設を開始した。今後数カ月をかけて、ThyssenKrupp Presta CamshaftのChemnitz拠点の既存工場に隣接して建設する。完成は2013年末の予定。ThyssenKruppは、2007年に同拠点でカムシャフトの生産を開始した。当初は、乗用車エンジン向けの組立式カムシャフトの生産に注力していたが、現在はトラック用カムシャフトの中核拠点。従業員は200名。(2013年7月26日付プレスリリースより)

-ドイツのKesselsdorfにおいて炭素繊維強化プラスチック事業に注力する。これに伴い、技術センター「Tech Center Carbon Composites」および新工場「ThyssenKrupp Carbon Components GmbH」を開設した。技術センターはグループ全体の炭素複合材に関するプロジェクトを支援する。一方の新工場では、主に軽量カーボンホイールの開発・生産に取り組む予定。(2013年6月14日付プレスリリースより)

海外投資

<中国>
-中国の江蘇省南京市 (Nanjing) にトラック用クランクシャフト工場「ThyssenKrupp Engine Components Co. Ltd.」を開設したと発表した。投資額は約190百万ドル。従業員約650名を雇用し、年産能力は最大345,000ユニットを見込んでいる。(2013年4月18日付プレスリリースより)