Miba AG 2009年1月期の動向
ハイライト
業績 | (単位:百万ユーロ) |
2009年 1月期 |
2008年 1月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 374.6 | 387.7 | (3.4) | - |
税引前利益 |
63.3 | 54.5 | 16.1 | - |
焼結部品部門 | ||||
売上高 |
135.4 | 159.9 | (15.3) | 1) |
ベアリング部門 | ||||
売上高 |
160.4 | 159.6 | 0.5 | 2) |
摩擦材部門 | ||||
売上高 |
76.5 | 69.9 | 9.4 | 3) |
要因
1)
焼結部品部門
-第4四半期に需要が大幅に減少した影響で、焼結部門の売上高は前年度実績を下回り135.4百万ユーロ(前年度は159.9百万ユーロ)。連結売上高に占める比率は36%。
-スペイン焼結部品工場売却(前年度に売却)に伴う損失調整後の損失比率は3%。
-同子会社処分による特別損失にも関わらず、EBITDA(金利・税金・償却前利益)は前年の7.1百万ユーロに対し、15.5百万ユーロに向上。
2)
ベアリング部門
-注力する大型商用車や船舶向け製品の受注量は、大型輸送システムへの需要拡大により過去最高水準となった。しかし、第3四半期まで好調な受注が続いた後、第3四半期には世界金融危機の影響を受け減少。
-ベアリング部門の売上高は過去最高の160.4百万ユーロ。
-EBITDA(金利・税金・償却前利益)は前年度の38.9百万ユーロから36.5百万ユーロに減少。主な要因は原材料価格の上昇及び第3四半期までに発生した臨時生産コスト(供給能力不足補填に伴うもの)等。
3)
摩擦材部門
-2008年10月までの9ヶ月間非常に好調であった需要レベルは、世界金融危機の影響で2008年11月より急減。特に年末にかけて自動車部門、建設機器部門の落ち込みが顕著であった。
-第3四半期に売上が低迷したにも関わらず、摩擦材部門の売上高は前年度9%増の76.5百万ユーロ。連結売上高に占める同部門の売上比率は20.2%。EBITDA(金利・税金・償却前利益)は前年度の6.4百万ユーロから9.2百万ユーロに拡大。
-スロバキアVrableの摩擦材工場の製造工程最適化計画が売上増に大きく寄与。
-経済低迷の影響を大きく被ったのは、主に米国自動車市場向けに摩擦材を生産しているMiba HydraMechanica(Sterling Heights, Michigan, U.S.A.)。好調であった前半6ヶ月とは対照的に、後期は製品需要が縮小し売上は予測を下回った。
開発動向
研究開発費 | (単位:百万ユーロ) |
2009年1月期 | 2008年1月期 | 2007年1月期 | |
全社 | 19.1 | 16 | 18.5 |
売上に対する割合 | 5% | 4% | 5% |
研究開発体制
-全体で152名が研究開発に従事。
-2009年1月期の取得済み特許件数は前年比で10%増加。
研究開発拠点
-研究開発拠点は、オーストリア国内のLaakirchen、Vorchdorf、Roitham。
-ベアリング部門の研究開発を行うLaakirchen拠点で試験所の拡張を実施。
製品開発
ベアリング部門
-研究開発は商用車用部品に注力。2009年1月期は大型エンジン向けに鉛フリー4層式軸受を開発。
焼結部門
-焼結部門の主要開発テーマの一つは、新タイプの省燃費型内燃エンジン向け焼結部品(ギヤ、モジュール等)応用開発の継続。
-第二の主要開発テーマは、四輪車トランスミッション(マニュアル式及びオートマチック式)向けパワーシンクロナイゼーションシステム開発プロジェクトの継続。シンクロナイゼーションパワーの拡大により、シフト性能が大幅に改善されることが供給先の実車試験で実証された。Miba Durasint (R)と呼ばれるこの技術はシンクロナイザーハブやその他高負荷トランスミッション部品向けに開発された。
摩擦材部門
-乗用車やトラック向けにカーボン摩擦材を開発中。優れた耐摩耗性を実現したこの技術は、四輪車の負荷容量を拡大し、燃費向上にも貢献。
設備投資
設備投資額 | (単位:百万ユーロ) |
2009年1月期 | 2008年1月期 | 2007年1月期 | |
全社 | 43.1 | 36.0 | 31.9 |
焼結部品部門 | 17.4 | 18.9 | 15.1 |
ベアリング部門 | 20.8 | 11.9 | 9.8 |
摩擦材部門 | 3.7 | 4.0 | 5.3 |
その他 | 1.2 | 1.2 | 1.7 |
焼結部品部門
-2008年7月、米国オハイオ州のMcConnelsvilleに燒結部品工場を建設すると発表。2009年後半から乗用車用エンジン・トランスミッション構成部品を製造する予定。2010年半ばまでに総額16.5百万ドルを投資する計画で、60名を雇用予定。納入先は米国の主要自動車メーカー/部品サプライヤーや北米に拠点をもつ欧州系メーカーなどが中心。(2008年7月18日付プレスリリースより)
ベアリング部門
-ベアリング部門の主な投資プロジェクトは中国蘇州における大規模工場建設工事。2009年1月期の同部門における投資額は20.8百万ユーロ(2008年1月期は11.9百万ユーロ)。
-また、オーストリアのLaakirchen工場では生産体制を再編し、ラインの柔軟性及び収益性を向上。
摩擦材部門
-摩擦材部門の設備投資額は、ほぼ前年並みの3.7百万ユーロ。主な投資プロジェクトは主力拠点Roitham工場の能力拡大計画。生産ライン2本の自動化を含むクラッチ製品増産プログラムは2008年夏までに完了。この他、ブレーキ部品生産用の焼結炉も増設。
-スロバキアVrable摩擦材工場では、製造工程の改善化に注力し、生産性を向上。
-オーストリアRoitham工場のサポートを受け、Vrable工場の鋼板生産プロセス最適化計画も進行中。
国内投資
-2008年2月、完全子会社High Tech Coatings (HTC)の新工場が稼動を開始。Vorchdorf新工場は、HTCにとってオーストリアで2番目となる工場で、世界の自動車市場向けに塗装製品の開発・生産を行う。新工場では、Spacecoat(R)及びSynthec(R)ブランド製品に加え、PVDコーティング等も生産する。投資総額は400万ユーロ。(2008年2月19日付プレスリリースより)