Honeywell International Inc. 2017年12月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
2017年12月期 2016年12月期 増減率 (%) 要因
売上高 40,534 39,302 3.1 1)
純利益 1,698 4,846 (65.0) -
航空宇宙事業 売上高 14,779 14,751 0.2 -
輸送システム事業 売上高 3,148 3,055 3.0 2)


要因
1) 全社売上高
-2017年12月期の全社売上高は、前年比3.1%増の40,534百万ドル。増収は主に航空宇宙、住宅・ビル技術、安全性および生産性ソリューション事業の取得による。これらの増収は一部高性能素材事業での販売減で相殺された。

2) 輸送システム事業
-2017年12月期の輸送システム事業の売上高は、前年比3.0%増の3,148百万ドル。商用車の販売増とガソリンターボチャ-ジャーの普及率向上、さらに為替の好影響などが増収の主な理由。ディーゼルターボチャージャーのの販売減により一部相殺された。



最近の動向

-同社日本法人は、地球温暖化係数(GWP)をゼロ水準まで低減したカーエアコン用次世代冷媒「ソルスティスyf」を国内市場に投入する。次世代型カーエアコンシステムの搭載が増えている欧州系輸入車の補修需要に対応するのに加え、環境規制の強化を背景とした将来的な需要拡大に対応する。次世代冷媒が日本で普及する前に販売体制を構築し、カーエアコン用冷媒でのトップシェアを堅持していく構え。(2017年1月20日付日刊自動車新聞より)



再編

-同社は、輸送システム事業および住宅関連事業を分離独立すると発表した。2018年末までに新会社2社を設立し、株式公開する予定。輸送システム事業は自動車、トラック、その他車両向けのターボチャージャー技術に注力し、年間売上高30億ドルを見込む。一方の住宅関連事業はHVACおよび防火製品に特化し、年間45億ドル規模の売上になるという。(2017年10月10日付プレスリリースより)



受賞

-同社は、VWと共同開発した可変ノズルタービン(VNT)ターボチャージャーが「Automotive News PACE award」を受賞したと発表した。同社のVNTターボチャージャーは、VWおよびAudiモデルに搭載されているVWの1.5Lガソリンエンジンに採用されている。(2017年4月3日付プレスリリースより)



研究開発費

(単位:百万ドル)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
全社 1,835 1,864 1,856
売上に対する比率 (%) 4.5 4.7 4.8



研究開発体制

-同社の研究開発に携わるエンジニアは23,000名、このうちソフトウェア開発は11,000名。



研究開発拠点

-同社の開発・エンジニアリング拠点は約150カ所。



技術提携

-Karamba Securityは、グローバルサプライヤー4社がコネクテッド、自動運転分野で協業すると発表した。Honeywell、日本のアルパイン、ドイツのIAVおよびイスラエルのKaramba Securityが安全な車両のマルチレイヤーソリューション開発で提携する。Karamba Securityがサイバー攻撃の防止システムを開発、同社がOEM Security Operations Center (SOC)へサイバー攻撃を報告する。Alpineはインフォテインメントシステムを提供。IAVがエンジニアリングした車両でデモ走行を行うという。(2017年12月18日付プレスリリースより)

-Learと同社は、自動車サイバーセキュリティソフトウェアソリューションおよび自動運転車両開発で提携すると発表した。両社は、車両走行時に生成される1億行以上のデータの識別、検証を行うシステム等を共同で開発した。同社のソフトウェア・グローバルセキュリティセンターが車載ネットワークの通信を監視し、Learの電子ゲートウェイとセキュリティモジュールが機械の故障や車両へのハッキングを検出し、報告する。これら取得したデータは、分析および改善のため同社のセキュリティセンターに送信される。(2017年9月12日付プレスリリースより)



製品開発

新型ガソリンターボチャージャー
-同社は、独フランクフルトで開催された2017年国際モーターショー (IAA)で、自動車の性能向上や排出ガス削減に貢献する最新のターボチャージャー技術を披露した。また、同社が1.5L以上の4気筒ガソリンエンジン用に開発した第3世代ツインスクロール・ウェイストゲートターボチャージャーが、BMWの新2.0Lエンジンに初めて採用されたと発表した。第3世代は、第2世代と比べ、出力を90kW/Lから100kW/L以上に、トルクを175Nm/Lから200 Nm/L以上に向上。また、第3世代の特徴の1つであるワンピース構造のウェイストゲートは、従来の3ピース構造と比べ、ノイズを5-10dB低減し、燃費を最大0.5%改善した。(2017年9月13日付プレスリリースより)



特許

-2016年12月末時点、特許および特許申請数は約38,000件。



設備投資額

(単位:百万米ドル)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
-航空宇宙部門 380 331 314
住宅・ビル技術 88 92 103
高性能素材 303 473 481
安全性および生産性ソリューション 79 55 47
本社 181 144 128
合計 1,031 1,095 1,073

-2018年12月期の設備投資額は約9億ドルと予想。売上拡大、生産量・能力拡大、コスト削減、メンテナンス、インフラ整備等に充てる予定。



国内投資

-同社はルイジアナ州ガイスマー工場に新設したカーエアコン用次世代冷媒「ソルスティス」(HFO-1234yf)の製造施設が商業稼働したと発表した。年産能力は非公開だが、同冷媒の生産拠点として世界最大規模という。投資額は3億ドル(約330億円)。新拠点を活用して地球温暖化係数の低い次世代冷媒の供給を活発化し、自動車メーカーの環境対応を支援する。(2017年6月1日付日刊自動車新聞より)