Honeywell International Inc. 2016年12月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
2016年12月期 2015年12月期 増減率 (%) 要因
売上高 39,302 38,581 1.9 1)
純利益 4,846 4,847 (0.0) -
航空宇宙事業 売上高 14,751 15,237 (3.2) -
輸送システム事業 売上高 3,055 2,961 3.2 2)


要因
1) 全社売上高
-2016年12月期の全社売上高は、前年比1.9%増の39,302百万ドル。事業買収・売却による増収分の一部は、販売量の減少および為替の影響に相殺された。

2) 輸送システム事業
-2016年12月期の輸送システム事業の売上高は、前年比3.2%増の3,055百万ドル。新プラットフォームの発売とターボ搭載ガソリン車の世界的な普及が寄与した。

事業提携

-2016年3月、地球温暖化係数 (GWP) 1未満の自動車用冷媒 「Solstice yf」 に関して、インドのNavin Fluorine International Limited (NFIL) と供給および技術ライセンス契約を締結したと発表した。Honeywellより冷媒の製造技術ライセンスを供与されるNFILは、インドで独占的に 「Solstice yf」 を生産し、Honeywellに供給する。2016年中に少量生産を開始する予定。(2016年3月22日付プレスリリースより)

受注

-同社の輸送システム部門は、中国に200名余りの現地エンジニアと開発要員が在籍し、上汽GM五菱の 「宝駿560 (Baojun 560)」 及び 「730 1.5T」 にターボ技術を提供している。そのほか、江鈴、江淮、長安、ホンダなどにも納入している。(2016年12月5日付け各種リリースより)

-同社の2ステージ電動コンプレッサーがホンダの水素燃料電池車 「Clarity Fuel Cell」 に採用された。 (2016年6月14日付プレスリリースより)

見通し

-同社は自動車メーカーのターボチャージャー採用率が2021年には2016年より9%増加して、世界販売台数の48%を占めるとの予測を発表した。ターボ搭載車の年間販売台数は、3,800万台から2021年には35%増の5,200万台に増加すると予測、年間成長率は6%で、世界販売全体の2%に比べて大幅に伸びると見ている。この予測によると、2017年から2021年の間に世界で2億3,200万台超のターボ搭載車が販売され、現時点より35%増加することになる。また同社はバッテリーシステムの需要が12ボルトから48ボルトに移行し、マイルドハイブリッド車のエンジンパフォーマンスを向上させるには電動ターボチャージャーの使用が不可欠になるとしている。電気自動車およびハイブリッド車は2016年の300万台から2021年には1,600万台に増加すると予測され、電動車輌のうち46%がマイルドハイブリッド車、40%がフルハイブリッド車、14%が電気自動車になると見ている。(2016年12月8日付プレスリリースより)

研究開発費

(単位:百万ドル)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
全社 2,143 1,856 1,892
売上に対する比率 (%) 5.5 4.8 4.7

研究開発体制

-米国、欧州、インドおよび中国に研究開発拠点を保有。

-2016年12月末時点、同社の研究開発に携わるエンジニアは23,000名、このうちソフトウェア開発は11,000名。

研究開発拠点

-2016年12月末時点、同社の開発・エンジニアリング拠点は約150カ所。

-2016年5月、上海のアジア太平洋地区に100百万ドルを投資して張江高科技園区内の新築ビルを購入し、本社およびR&D施設の拡張を行うと発表した。10階建のビルで、延床面積は従来より50%以上広くなる。(2016年5月31日付プレスリリースより)

製品開発

2016年ハノーバー商用車ショー
-2016年IAAハノーバー国際商用車ショーで複数のターボチャージャー技術を発表した。

  • Serial TwoStageターボチャージャー:2つの1ステージターボの組み合わせから2ステージへとデザインをシフトした次世代型ターボチャージャー。2ステージデザインによりタービンホイールおよびコンプレッサーホイールを小型化し、効率を向上させた。
  • Axial TwoStageシステム:大型長距離トラック向けにアキシャルタービンホイールを追加し、性能と効率を改善した2ステージシステム。
  • ターボコンパウンド用エアシステム:排気フロー分配を改善する羽根付きノズルを備えたセクター分割タービンハウジングと、コンプレッサーの性能を向上する羽根付きディフューザーを備えたターボチャージャー。新設計により、排熱回収システムを使用するパワートレインをサポートする。

(2016年9月21日付プレスリリースより)

2016年ウィーンモーターシンポジウム
-2016年ウィーンモーターシンポジウムにおいて、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、水素燃料電池向けの新型過給システムやソフトウェアを発表。

  • 燃料電池向け2ステージ電動コンプレッサー:オイルレスフォイル軸受付きの電動コンプレッサー。燃料電池の出力増大あるいは燃料電池スタックの小型化・軽量化・コスト低減に貢献する。
  • ガソリンエンジン向け可変ノズルタービン (VNT) ターボ:ガソリンエンジンにおいて優れた低速トルク・燃費を実現する。

(2016年4月28日付プレスリリースより)

特許

-2016年12月末時点、特許および特許申請数は約38,000件。

設備投資額

(単位:百万米ドル)
2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
-航空宇宙部門 331 314 315
全社 1,095 1,073 1,094


-2017年12月期の設備投資額は11億ドルと予想。売上拡大、生産量・能力拡大、コスト削減、メンテナンス、インフラ整備等に充てる予定。

国内投資

-同社および同社の主要サプライヤーは、約300百万ドルを投じて 「Solstice yf」 のグローバル生産能力を拡大するとしている。米国のルイジアナ州Geismarにある既存の冷媒工場に、新たに生産工場を建設する計画も含まれている。(2016年3月22日付プレスリリースより)