Haldex AB 2009年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万スウェーデン・
クローネ)
2009年度 2008年度 増減率 備考
全社
売上高
5,622 8,403 (33.1%)  
営業利益 (131) 250  
セグメント別売上高
商用車システム (CVS) 3,134 4,234 (26.0%) See below (1)
油圧システム 1,406 2,095 (32.9%) (2)
トラクションシステム 850 1,021 (26.7%) (3)
Garphyttan ワイヤ 232 1,053 (78.0%) -


事業概況

(1) 商用車システム
売上/損益
-2009年売上高は3,134百万クローネ(2008年:4,234百万クローネ)となった。対前年と比較し26%の低下。これは2009年前半に全商用車市場における車両生産台数減に起因。2009年後半6ヶ月の商用車マーケット生産台数は安定。
欧州の売上高は前年1,938百万クローネから1,085百万クローネに減少。北米の売上高は、前年1,852百万クローネから1,673百万クローネに減少。 為替調整後の売上高は、欧州で47%、北米で22%の減少。
-大幅な需要減の影響を受け、為替調整後の営業損益は60百万クローネとなった。 なお、2009年の後半6ヶ月は、営業損益はゼロまで回復。 

主要イベント
-欧州における配送業務と2つのビジネス・ユニットの統合化、英国での生産中止などを通した組織変革を実施。
-北米での主要トラックメーカー及びエンドユーザーに対するマーケット活動を活発化しマーケットシェアを拡大。
-インド、中国での事業構築を継続。

(2)油圧システム
売上/損益
-2009年売上高は1,406百万クローネ(2008年:2,095百万クローネ)となった。対前年に比較し32.9%の下落。同市場での需要の落ち込みは2008年後半から2009年第2四半期まで続いた。2009年第3四半期には需要は安定し、第4四半期には上昇。 この需要の持ち直しは、主に北米でのエンジン関連製品に対する先行購入による結果。
-為替調整後の営業損益は47百万クローネ(2008年:146百万クローネの営業利益を計上)。 なお、第4四半期の営業利益は10百万クローネとなり、第3四半期の14百万クローネの営業損益に対し24百万クローネ上回った。 

主要イベント
-Concentricの統合化を完了。
-Epa 10/Tier 4対応のエンジン技術契約及び新低ノイズ油圧ポンプの契約を獲得。
-部門コスト低減により損益分岐点を低減。
-中国蘇州の2工場を1工場に統合。 統合化した工場では低コストで油圧パワーパックの現地組み立てを開始。

(3)トラクションシステム
売上/損益
-2009年売上高は850百万クローネ(2008年:1,021百万クローネ)となった。対前年比26.7%の下落。第4四半期は、第3四半期に比較し、売上高が急騰。 これは、Volvo、VWの新規モデル立ち上げにより納入増となったため。
-為替調整後の営業利益は29百万クローネ(2008年:41百万クローネの営業利益を計上)。 なお、第4四半期の営業利益は17百万クローネ(営業利益率7%)となった。 

主要イベント
-収益率改善のため、生産ボリュームの低いLandskrona工場(スウェーデン)のオペレーションをハンガリーへ移動。
-モジュラーVコンセプトをベースとした前輪駆動車向け電動変速機を含む新製品コンセプトのプロトタイプを受注。

受注

-Land Roverの新型モデル用4WDシステムを受注。受注金額は、年間100百万クローネ。既存受注分を合わせると、Land Roverからの年間受注額は200百万クローネに達する。2011年から生産を開始する予定。(2009年1月26日付プレスリリースより)

-VolkswagenからAWDシステムを受注。2012年に導入予定の新プラットフォーム向けに、AWDカップリングを供給する。契約期間は約7年間で、受注額は約45億SEK(スウェーデンクローネ)に達する。これは同社にとって、1件の受注としては過去最大の金額となる。なお、カップリングの生産はスウェーデンのLandskrona工場で行う。(2009年4月16日付プレスリリースより)

-欧州のトラックメーカーから「ModulAir」を受注。「ModulAir」は空気を乾燥させ、エアブレーキに供給する製品。契約期間は約10年間で、受注額は約750百万スウェーデンクローネ。生産は2011年末から開始する予定。(2009年10月23日プレスリリースより)

-Haldex Concentricが、トラックメーカー中国重型汽車(CNHTC)からウォーターポンプを受注した。CNHTC の新型12Lディーゼルエンジン「D12」向け。既に、江蘇省蘇州(Suzhou)の同社工場から山東省済南(Jinan)にあるCNHTC拠点への出荷を開始している。年内に約1万4,000台を納入予定で、2011年には3万台に拡大する見込み。(2010年1月4日付プレスリリースより)

-Volvo CarsからAWDシステムを受注したと発表。2012年から現行および次期プラットフォーム向けに納入する。生産はスウェーデンのLandskrona工場で行う予定。このほかHaldexは、Volkswagen、Audi、Skoda、Seat、Ford、Land Rover、GMのモデルにAWDシステムを供給している。(2010年3月12日付プレスリリースより)

-トラクションシステムは2009年Buick Lacrosse及びCadilac SRX向用AWDシステムを継続供給。

事業再編

-商用車システム(Commercial Vehicle Systems:CVS)部門の再編を発表。エアマネージメント(Air Management)、ブレーキ制御(Brake Control)の2事業を統合し、エアコントロール(Air Controls)事業とする。(2009年10月6日プレスリリースより)

-当社は、米国の油圧システム部門の生産拠点2箇所を1箇所に統合すると発表。ノースカロライナ州Statesville工場は、イリノイ州Rockford工場に生産を移管後、閉鎖される。Statesville工場の従業員の多くは、Rockford工場に異動する。統合は2010年半ばに実施される。リストラ費用は約1,3百万スウェーデン・クローネで、2010年第1四半期に計上される。これにより、年間2.3百万クローネの経費節減が見込まれる。(2010年1月19日付プレスリリースより)

売却

-2009年6月1日、Garphyttanワイヤ事業を日本の鋼鉄メーカー鈴木金属工業へ売却。売却金額は、827百万スウェーデン・クローネ(負債額除外)。411百万スウェーデン・クローネのキャピタルゲイン(土地売買などよる所得)を計上。

開発動向

研究開発費

(単位:百万スウェーデン・クローネ) 2009年度 2008年度 2007年度
合計 267 339 335

*2009年度の製品開発費用は、連結売上高の5%に相当。

製品開発

安全
<世界初UN-ECE承認のトレーラー転覆模擬実験装置(シミュレーター)>
-世界初UN-ECE承認のトレーラー転覆模擬実験装置(シミュレーター)を立ち上げる予定。
これにより、トレーラーメーカーは,費用が嵩むロードテストを実施せずに、EB+エレクトロ二ック・ブレーキング・システム装着車両がUN-ECE規定(ブレーキシステムの新規定を含む)に適合したものとして個別認証取得することが可能となる。 

<ソフトドッキング>
-2009年、トレーラーを貨物の積み込み/積み降ろしのフロアにバックする際にトレーラーとフロアの距離を認識しブレーキ作動するシステムを発表。トレーラーと積み込み/積み降ろしのフロアの距離が0.5m以内となると自動的に作動し、ドライバーが車両を安全に操縦することが可能となる。

車両力学
<第5世代AWDカップリング>
-1998年に第1世代AWDカップリングがAudi TT及びVW Golf用に導入されて以来、次々に新世代の製品開発が進み、第5世代の開発が進められている。実験室及びロードテストにおいて、好ましい結果を得たと発表。
第5世代の出荷開始は、2012年第1四半期を予定。

<ハイブリッド・テクノロジー・プロジェクト>
-同社は、大学及び自動車メーカーと協力しハイブリッド・テクノロジー・プロジェクトに取り組み中。2009年に、電動AWDの全面的なプロトタイプを開発。良いテスト結果を得た模様。
ウィンターテストは2010年上半期に実施予定。
なお、当プロジェクトは、スウェーデン・エネルギー局より一部資金面などの支援を得ている。

設備投資

設備投資

(単位:百万スウェーデン・クローネ) 2009年度
2008年度 2007年度
商用車システム 103 232 259
油圧システム 40 88 89
トラクションシステム 26 60 95
Garphyttanワイヤ 6 21 20
合計 175 402 463

設備投資額の地域別内訳

(単位:百万スウェーデン・クローネ)

2009年度
2008年度
北米 54 94
欧州 109 243

アジアおよび中東

10 11
南米 2 54
合計(グループ) 175 402