Haldex AB 2008年度の動向

ハイライト

業績

(百万スウェーデン・クローネ) 2008年度 2007年度 増減率(%) 備考
売上高
8,403 7,890 5.8% -
営業利益 250 302 (17.2%) -
セグメント別売上高
商用車システム (CVS) 4,234 4,529 (6.5%) 以下(1)項参照
油圧システム 2,095 1,467 42.85 (2)
Garphyttan ワイヤ 1,053 848 (24.2%) (3)
トラクションシステム 1,021 1,095 (6.7%) -

(1) 商用車システム
・売上高は前年比で295百万クローネ減少し、4,234百万クローネ。欧州市場の売上が、年度前半に好調に推移したことで北米の売上減少の影響を軽減したが、年度後半(特に第4四半期)には欧州のトラック・トレーラー需要が共に大幅に減少。
・欧州の売上げは前年の2,058百万クローネから1,938百万クローネに減少。北米は同じく2,022百万クローネから1,852百万クローネに減少。為替調整後の売上は欧州で8%、北米で6%の減少。

・リストラ費用と資産評価損を除く営業利益は4百万クローネ。北米市場の低迷と第4四半期(特に11月と12月には顧客側で3週間から5週間の操業停止)に見られる欧州市場の極端な需要減は、年度内の原材料費高騰などと相まって、同部門の収益に大きなマイナス影響を与えた。

(2)油圧システム
・売上高は2,095百万クローネ。企業買収効果と為替変動要因を織り込んだ場合は前年度とほぼ同額。売上のうち買収したConcentric社の売上げ寄与分は606百万クローネ。
・リストラ費用と企業買収に関する余剰価値の償却分を除いた営業利益は146百万クローネで営業利益率は7%。Concentric社買収による寄与は82百万クローネ。(ただし買収に関する余剰価値の消去分に相当する31百万クローネと組織統合に関する費用は含まない。)

(3)トラクションシステム
・計画は下回ったものの、売上げは20%伸張し、1,021百万クローネ。売上増の要因は、Landrover向け供給部品の増加と2007年下半期に供給を開始したVWのTiguan用部品、さらに2008年に供給を開始したFord Kuga用部品などによるもの。
・営業利益は41百万クローネ(4,900万)。供給先の操業停止による12月の大幅な需要減で12月は赤字に転落、第4四半期の営業利益に大きなマイナス要因をもたらすこととなった。


企業買収
・ドイツ独禁当局による承認決定をうけ、2008年4月1日をもって、Concentric社の買収を完了。ディーゼルエンジンメーカー向けに潤滑、冷却、燃料ポンプ・システムを供給するConcentric社を傘下に収めたことで、最先端技術の確立とニッチ市場への特化を目指す同社戦略を強化。Concentric社の主力分野である潤滑、冷却、燃料ポンプ事業を取り込むことで既存製品群を補完、ディーゼルエンジン市場向け製品のラインナップを拡充する。Concentric社は、今後、油圧システム部門の傘下となる。買収金額は75百万英ポンド。(2008年4月2日付プレスリリースより)

受注
・Volkswagenから4WD(AWD)システムを受注。納品開始は2008年秋を予定。受注した4WDシステムはLandskrona工場(スウェーデン)で生産し、納入する。(2008年1月3日付プレスリリースより)

・商用車システム部門は、独BPW (Bergische Achsen)との間で供給契約を締結。BPWは、欧州最大のトレーラー用アクスルメーカー。受注額は5年間で約800百万クローネ。供給する製品は、オートマチックブレーキアジャスターをベースに両社が共同で開発にあたった独自の製品。量産は2008年4月から開始予定。(2008年3月10日付プレスリリースより)

・欧州のスポーツカーメーカーから、第4世代4WDシステムを受注。2010年から納入を開始する予定。供給する4WDシステムは、同社のLandskrona工場(スウェーデン)で生産。(2008年10月15日付プレスリリースより)


リストラクチュアリング
商用車システム部門が2008年度に行った主なリストラ
・Prattville工場(Alabama州)のドラムブレーキライニングの製造を中止し、外注生産に移管。
・ディスクブレーキライニング製造事業を売却。年間売上高は1億クローネ。
・コスト削減計画の一環として欧州物流部門の統合を決定。それまで4か所にて運営されていた在庫と物流機能をWeyersheim工場(France)集約。
・Redditch工場(英国)の製造と物流機能を別工場に移転することを決定。
-Iola(米国)のブレーキアクチュエーターの生産をメキシコに移管。

売却
2008年10月25日、Garphyttanワイヤ事業を売却することにつき日本の鋼鉄メーカー鈴木金属工業と合意。

開発動向

研究開発費
(単位:百万スウェーデン・クローネ) 2008年
12月期
2007年
12月期
2006年
12月期
研究開発費 339 335 349

*2008年度の製品開発費用は、連結売上高の4%に相当。

製品開発

安全
<トレーラー転覆抑止システム>
・2008年に第2世代型トレーラー転覆抑止(TRS)システムの追加仕様を発表。最新の4S/2M ABSプラットフォームを基盤として構築されたこのシステムは横揺れ安定技術を採用した次世代型高性能ブレーキ。TRSはエアサスペンションを使用する1から3車種ないしそれ以上の車種のアクスルトレーラー用として設計されている。通常のブレーキ使用時、またABS使用時どちらでもトレーラーの状態に合わせて調整するこのシステムはすぐれたブレーキ性能を発揮させる。また、転覆危険が差し迫ったことを予知するとブレーキを作動させて防止することも可能としている。

環境
<ALFDEX>
同社のAlfdexのシステムは、クランクケースガスとして知られる、ディーゼルエンジンのクランクケース内部にある循環ガスからオイルと粒子状物質を分離するすぐれた効果がある。Alfdexは遠心技術における専門企業Alfa Laval社との合弁で設立された組織。2008年内にAlfdexシステムの次世代型が完成。次世代型は従来型に比べ4倍の分離能力を有し、クランクケースガス容量を3倍までコントロールできる。遠心技術による粒子状物質の排除は、通常の走行状態では0.1 g/hないしそれ以下である。7,000?8,000 RPMの回転スピードでは粒子状物質とオイルミストがガスから分離されて油だめに送りこまれる。

車両力学
<Generation IV & XWD-2007/2008>
Haldex XWDと呼ばれる、高速で軽量化されたGeneration IVは、左右後輪間のトルクを制御する補助的カップリングと結合することが可能。

設備投資

設備投資額

(単位:百万スウェーデン・クローネ) 2008年
12月期
2007年
12月期
2006年
12月期
商用車システム 232 259 228
油圧システム 88 89 61
トラクションシステム 60 95 55
Garphyttan 21 20 75
合計 402 463 420


設備投資額の地域別内訳

(単位:百万スウェーデン・クローネ)

2008年度 2007年度
北米 94 94
欧州 243 302

アジアおよび中東

11 58
南米 54 9
合計(グループ) 402 463


海外投資
・2008年2月、メキシコに最先端技術を導入した新工場を建設。カップリング式LSD (リミテッド・スリップ・デフ) の生産能力拡充を図った。新工場のあるGuanajuato州IrapuatoのCastro del Rio工業団地の近隣には複数の自動車メーカー、部品メーカーが拠点を置いている。総延床面積は2,500平米で、生産棟、倉庫施設、配送施設、事務棟から成り、従業員数は現在70名。将来的には拡張も可能という。新工場では第4世代電子制御リミテッド・スリップ・デフ(eLSD)を用いた4WDシステムを年25万台生産し、GMの様々な4WDプラットフォーム向けに供給する。同工場が生産を手掛ける4WDシステムは、先ず、SAABブランド初の4WDモデルである新型「SAAB 9-3 XWD」に搭載される予定。(2008年2月15日付プレスリリースより)

・2008年10月、Haldex Concentricは、Pune(インド)にある既存工場の敷地内に建屋面積40,000平方フィート規模の生産棟を新設。Pune工場では、中/大型ディーゼルエンジン車向けのオイル/ウォーターポンプを生産。同社は、この生産施設拡充で、インド内外の自動車メーカー向けのポンプ需要増に対応する。(2008年10月15日付プレスリリースより)