Haldex AB 2006年度の動向
ハイライト
業績
百万スウェーデン・クローネ | 2006年度 | 2005年度 | 増減率 | 備考 |
売上高 |
7,890 | 7,486 | 6% | - |
営業利益 | 390 | 391 | 0% | - |
セグメント別売上高 | ||||
商用車システム (CVS) | 4,765 | 4,430 | 7.6% | 以下(1)項参照 |
油圧システム | 1,331 | 1,269 | 4.9% | (2) |
Garphyttan ワイヤ | 1,049 | 1,039 | 1.0% | (3) |
トラクションシステム | 745 | 748 | 0% | (4) |
セグメント別動向
(1) 商用車システム
商用車システム (CVS)部門の2006年度売上は対前年比で7.6%増加し4,765百万クローネを計上(2005年度:4,430百万クローネ)。現地通貨建ベースではそれぞれ北米で3%、欧州で15%の伸び率。営業利益は前年から引き続き改善しており昨年比4,100万クローネ上乗せし232百万クローネを計上(リストラ費用15百万クローネを除く)。販売量の増加と、摩擦製品アクチュエーター事業部門における各種効率向上プログラムが収入増の大きな要因。トラックメーカーからの旺盛な需要により、同社では生産が追いつかない状況が年間を通じて生じていた。生産及び物流面の追加費用、補修部品市場の需要に対応できなかったことなどは売上のマイナス要因となった。
(2)油圧システム
送油ポンプの好調な売れ行きは油圧システム事業にとってプラスの要因となり前年比4.9%増で1,331百位万クローネの売上を計上(2005年:1,269百万クローネ)。社内改善対策プログラムは事業部収益増に寄与。2006年度の営業利益は前年度とほぼ同等で90百万クローネ。2005年度の営業利益は雇用保険積立金を含んだ営業外費用によるプラスの影響を受けていた。材料費の高騰は多角的な施策をおこなったことでその大半を吸収できた。
(3)Garphyttan ワイヤ
当該事業部の売上は前年度と同レベルの1,049百万クローネ(2005年:1,039百万クローネ)。販売量は欧州市場で比較的堅調のうちに推移したものの、年初6か月は得意先の在庫調整の影響を受けてマイナス成長。北米市場の販売は、米国主要自動車メーカーによる生産カットの影響を受けて軟調。リストラ費用を除く営業利益は前年の41百万クローネから55百万クローネに減少した。営業利益減少の主たる要因は、材料費アップ分を顧客価格に転嫁できなかったことによるもの。
(4)トラクションシステム
トラクション製品の販売は増えなかったものの、部門利益と資本収益率は改善。VWグループへの販売は良好であるが、SUV市場ではマイナス傾向。SUV市場の傾向は、北米FORDの受注が大幅に減少したこととあいまって、販売停滞の要因となった。売上高は、745百万クローネ(2005年:748百万クローネ)。売上高は昨年と同レベルだったものの、利益は12百万クローネ増加して48百万クローネを計上。
受注
・2006年度の受注額は、対前年比で291百万クローネ増加して、合計で7,883百万クローネ。これは2005年に対して4%の増加となる。
-2006年初頭、ModulXディスクブレーキの認可をVolvoより取得、直ちにVolvo社への供給を開始した。また、当該製品についてはRenaultの認可もとりつけ中型トラック用として供給を始めた。圧縮空気をベースとしたディスクブレーキを含むこの製品群では、バリエーションが少なく、特殊要件への適合が容易で、部品点数も少ないなどのいくつかのアドバンテッジを持つモジュラーシステムがベースとなっている。この新型ディスクブレーキの量販は2006年に開始されており、今後数年間継続する。
-2006年1月、DaimlerChrysler社とAlfdex ABの間でAlfdexシステムの供給契約を締結した。受注額は5年間で約250百万クローネ。量産は2006年度後期からスタート。北米ではエンジンメーカー大手2社がクランクケースガスのソリューションとしてAlfdexシステムの採用を決定した。
-4月には、AWDシステムをグローバルプラットフォームメーカーから受注。新規受注分は800百万クローネ。これは前年度に1200百万クローネの受注があった大手自動車メーカーの注文の上乗せとなるものであるが、合算すると20億クローネの取引となる。生産準備はメキシコの新工場で進めている。
-Fordより新型モデルに搭載される4輪駆動システムのサプライヤーとして指定を受ける。生産開始は2008年度。
-Land Rover Freelander 2に搭載されるAWDシステムの量産が2006年度第3四半期より始まる。この製品は、第三世代AWDシステムの改良モデル。
-大手グローバルエンジンメーカー3社と燃料移送ポンプ製品について複数の開発供給契約を締結。合計取引額は5年間で約5億クローネ相当。量産開始は2007年度初頭。
中国に新工場建設
-蘇州(中国)の工場が落成。ブレーキ製品、油圧製品、バルブスプリングワイヤなどの生産を担当する。>>>"設備投資"を参照
売却
北米内の商用車部品システム工場を売却した。生産ラインの大半は米国内か中国の工場に移転する。このリストラにかかわる費用合計は約1,500万クローネ。
開発動向
研究開発費用
百万スウェーデン・クローネ | 2006年12月期 | 2005年12月期 | 2004年12月期 | 2003年12月期 |
研究開発費 | 349 | 343 | 321 | 283 |
製品開発
ModulAir
同社は、モジュールベースの空気乾燥と空気分配製品ModulAir の開発を続行している。このモジュールシステムはコスト削減に貢献するだけではなく、自動車メーカーの異なるニーズに合わせた対応が容易にできる。2006年度には大手メーカーと覚書が結ばれ、2010年に量産を開始する予定。
新型ピストン式ブレーキシリンダー
自動車メーカーと連携の下、この新型製品の開発を続行した。トラックとバス用のエアサス電子制御システムも引き続き開発中。2007年中に供給契約締結を目指している。
固定式キャリパーデュアルディスクブレーキ
北米と欧州の自動車メーカーが、固定式キャリパーデュアルディスクブレーキの総合実験を展開中。同社とSKF社は、商用車・トラック・バス・トレーラー用のハブとブレーキユニットの共同開発をすることで2005年に合意に達している。この製品は、同社が開発する固定式キャリパーデュアルDiscとSKF社のハブ製品技術がベースとなっている。安全性と性能を改良したよりコンパクトな製品の開発が目標。計画では2008年に量産を開始する予定。
電動ディーゼルポンプ
新世代送油ポンプ開発の次期段階は電動ディーゼルポンプを予定している。エンジンから独立した送油は幾多のアドバンテッジがあるが、起動特性と燃料供給制御を改善する。2006年度末、大手ディーゼルエンジンメーカー2社がこの製品の試作品を注文した。
クランクケースガスからオイル微粒子を分離するシステム
同社がAlfa Laval社とともに開発した。Alfdexは2007年から米国、また2008年にはEUで発効される環境規制に適合したものである。したがって、当該製品の市場性は相当高いものと期待されている。次世代型モデルの開発も始まっている。
EMS
油圧システムの電子制御(EMS)の新技術開発が2006年を通して実施。試作プロジェクトを自動車メーカー2社と開始。EMSは、油圧とエレクトロニクスを組み合わせた方式で、効率改善と省エネを実現する。この技術により油圧式ハイブリッド車への期待が高まる。
AWDシステム
2006年に第三世代型AWDシステムの新規改良製品の量産が始まりLand RoverのFreelanderに搭載された。全面的に新技術を取り入れた第四世代型システムは2007年度内に立ち上がり中長期ベースの新規顧客プロジェクト用の技術プラットフォームを構成する。コスト効率の高いAWDシステムに対する顧客の要望に対応するとともに、市場占有率を高めるためにすでに次の世代の製品開発が自動車メーカーと共同で2006年度に開始された。当該製品を搭載した試作品が2007年の冬期に評価実験されることとなっている。
設備投資
設備投資
百万スウェーデン・クローネ | 2006年12月期 | 2005年12月期 | 2004年12月期 | 2003年12月期 |
合計 | 228 | 191 | 171 | 131 |
商用車システム | 61 | 57 | 73 | 54 |
油圧システム | 75 | 77 | 38 | 35 |
Garphyttanワイヤ | 55 | 33 | 29 | 51 |
トラクションシステム | 420 | 357 | 313 | 271 |
・2005年1月、中国で同社製品の現地生産を決定した。投資額は130百万SEKで、2005年と2006年に等分する。5年以内に、中国でのグループ売上高を現在の100百万SEKから10億SEKへ引き上げることを目指す。中国に於ける生産拠点は、完全子会社として上海西部蘇州市に設置する。共通敷地内に工場建屋2棟を建設し、一方の工場でエアーブレーキシステム製品及び油圧製品を生産し、他方の工場でバルブスプリングワイヤー製品を生産する。ブレーキ製品の一部は、2005年第2四半期に生産開始予定。以後、他のブレーキ及び油圧製品の生産プログラムを拡大する。バルブスプリングワイヤー製品の供給は2006年末に開始する予定。